なーーんて★甘酸っぱいありきたりな展開で初外出を終えました。が、その後のはたけさんは至って普通で、やはりあの最強バックハグは都合のいい夢だったのでは?(2回目)なんて思う今日この頃です。…そんなことより大事なことが今、私達を襲っています。

「はた…け…さん……」
「ああ…言いたいことは分かってる」

「「暑い…」」

そうですどうやら夏に差し掛かっているようで、そりゃもう暑くって死ねるっていうか…。もうタンクトップに短パンという超部屋着を買ってきてもらっても(女の子に変化したはたけさん最高だった)、クーラーも扇風機もないのでじわじわと蝕まれる感すごい。

「私…逃亡しません…。約束するから…せめて涼しい部屋に…」
「そうだね…。もし逃げるってなってもさ…その前に溶けて死ぬよね」
「はい…液体になると思います…。てかはたけさんは…」
「え?」
「マスク取ればよくないですか…」

けだるい顔で指差すと、あぁ…。と納得していた。だってすごい蒸れてるって見た目で分かる。そして彼が涼しさを求めるにあたって、多分それが一番手っ取り早い。もちろんやましい気持ちなんてない。………全然。

「…そんなに見たい?」
「は?え、いや一言も言ってないですけど」
「ふーん?顔がそう言ってたけどね」
「ダッ……」
「ダ?」

しまった。ニヤニヤを隠しすぎたせいで濁音が漏れた。だってそんなのカカシ先生ファンなら一度は拝みたい生素顔!!今が最高で最強に良い指摘だと思う。これを逃したらもう後はない、と血走った目がバレたのか。ちょっと引いているはたけさんがいた。

「ダ…………いこんでも食べたいですね」
「大根?好きだったの?」
「………ええまあ」
「へえ。なら今度持ってきてあげるよ、一本。」
「そっ、そこまでして要らないです!」
「好きなのに?」
「グッ」

押し黙るしかなかった私に、笑い声が飛んでくる。本当嘘ヘタ過ぎ、と言われてからかわれていたことが判明。結局は全てバレていたのか。いつも同じ展開だよ畜生……。

「あれ?怒んないの?」
「……怒りたい気持ちは、山々なんですが……。なんせ、暑さには敵わぬ……。」
「……確かにね。」

全ての意識を暑さに持っていかれている為、思考回路が子どもに近いようだ。気付いたらコンクリートの地面に大の字で寝ていた。ひんやり感が欲しすぎた結果だね……。

「夏って…なんで暑いんでしょうね…。誰が決めたんでしょうか……」
「そうだね…。神様?」
「えぇ…。はたけさん神様信じる派ですか私信じない派」
「え。名前は信じてると思ってたな。」
「……なんか小馬鹿にされてるきがする」
「お前俺のことよく分かってきたね。」
「うれしくない………」

暑さのせいで言い返すのも怠くなって、目をゆっくり閉じた。いっそのこと、この時期になると暑くなるということを夏が忘れたらいい。冬…いや秋ぐらいがベストだな。せめてずっとそんな季節でいてくれたら。どうせ神様なんていないんだからさ。……

***

「………ん、」

気付いたら寝ていたようだ。今何時だろう。…てかあんな暑かったのによく寝れたな私。もう夜なのかな、と思いながらも意識がはっきりすると身震いがした。……え?

「え、なんか…。……?」
「名前。起きてたの?」
「あ、はたけさん…」

階段を降りている最中の彼と目が合う。どこかに行っていたんだろう。今何時かと問うと、夕方の16時半前だと言われた。………いや暑い時間帯じゃない?…え?なんで?

「なんか……やけに涼しくないですか?気のせい?」
「ああ…それね、それ「あ!!クーラー付けてくれたんですね!?だからですか?」

嬉しくて飛び起きるも、部屋中を見渡したがそれらしきものはない。……え?どういうことだ。いやいやいや。………ハイ?

「クーラー、ない…です、よね?」
「無いよ。でもお前が寝始めてから段々と気温が下がって、今の状態で止まってる。ここだけじゃない、里全体がだ。」
「…………え?異常気象?」
「ま、俺達にとっては嬉しい限りだけどねえ…」

嬉しいが普通はあって然るべきなものだから、と言いかねない微妙な表情のはたけさん。ごもっともだと思います。まさか私の存在が作品の流れを変えて…!?なんて夢小説的なことを思った。が、アレは話を面白くするだけの設定であり、全く現実的ではないのだ。

「今日だけなら良いけどね」
「……あの暑いのもう勘弁ですよ」
「ハハ!それは言えてる」