「ん?何だこれ…予言の書?」

火影に就任して早数ヶ月。俺は何故か地下にある重要書物を探していた。ふらりと立ち寄られた綱手様に、面倒事をやんわり押し付けられたせいである。火影しか入れない、なんて嘘だろうな…。と思いながらも見つけたのは、目的のものでない巻物。ご立派に書かれたそれは、嫌な気が垂れ漏れていて手に取ったことを後悔する。

「…またやーなもん取っちゃったねぇ…。」

なんで手に取ってしまったのか。いつもなら不気味なものに手を出すなんてことはしないのに。更にご丁寧と言うべきか巻物の封が取れ掛かっていて、溜息どころではない。一度、書庫の保管体制を見直すべきだろう。

しかしもう取ってしまったのだ。どうしようもない。このまま封印班の元に運ぶしかないか…と重たい腰をあげたところだった。

「え」

立った衝撃などない。なのに封は外れ、勝手に巻物が開かれていく。咄嗟に身構えるも、何かが起こる様子も、術の反応もない。そっと腰を下ろすと、巻物の中身は文字もなく白紙。

「…このまま閉じる方が良いな」

変にチャクラでも流して何かが発動されてからでは遅いのだ。とりあえず簡易になるが、封印をし直して封印班の所に…。と思って巻物に触れた瞬間。

「!」

スッ…と浮かび上がってきたのは筆で書かれた文字。何が原因で…?俺が触れたせいなのか、と目を見開くも、達筆ながらも綺麗に書かれた文字を見つめる。長くはないが、あまり良い内容ではなかった。

「んー…、」

魔、ってまた…。と眉を下げつつも、素早く巻物を閉じる。簡易で封をし、綱手様から頼まれていた書物を探しに掛かれば、すぐに出てきたから驚きである。まるで、仕組まれたかのように。

「ま、考えすぎでしょ」

なんて言いつつも気になっていたのか、すぐに封印班に巻物を渡して封じてもらった。そして書庫に直した後は、自分でも驚くぐらい記憶から離れていった。