とんだ時限爆弾だった。少しの火を灯してくれて、やっと存在を確認できたと思ったらまさかのカカシ先生だったなんて!

「おーい。名前ちゃん?聞こえてる?おーい」
「……はっ!!ご、ごめんなさい!久しぶりに光を見たのでぼんやりしちゃって」
「あ、そう。いやー気が回らなくてすまないね。これだからおじさんとか言われちゃうんだよね」
「え!?いやいやいや全然そんなことは…!」

そう?ありがとう。と微笑まれるだけですぐ天国と化したコンクリート部屋。場所はかなりヘビーだが、ある意味カカシ先生とずっと二人っきりだなんて!こ、これも夢小説の一つですね!!…と、引っ掛かる言葉の数々。さらっと名前呼びされたこととか(これは昇天)、おじさんとか…

「あの…つかぬことをお伺いしますが…、はたけさんは、おいくつなんですか?」
「ん?46かな。」
「よ!!……」
「よ?」
「よ…んじゅうには、全く見えないです。」

笑って、そう?と微笑んでくれるその顔は本当に46歳に見えない。あ、だから両目見えてるんだ…。いや全く変わってなくイケメンなんだけど、え、てことはこの時代は次(ボルト)世代!?ナルトもサスケくんも所帯持ち!?え!?

「名前ちゃんはいくつ?」
「25歳、です。」
「…へえ。もっと若いかと思ってたな」
「…それ褒めてますか」
「多分ね」

もう、と小さい声で反論しようとするも、手に枷が付いていて上手く動かせない。ジャラ…と鳴る音に自然と会話が止まる。

「…重い?」
「…。逃げたり、しないのに」
「俺もナルトも反対したんだけどね、」
「いえ…」

気付けば私の視線に合うように、しゃがんで近付いてくれていたカカシ先生。鉄格子越しが辛いところだ。手首は手錠のせいで赤くなっていたが、近くでカカシ先生が見れたこと、両目があることに胸が詰まる。…そうか、もう火影じゃないから私の監視員なんてしてくれてるんだ。時間があるし、力もある。何か、あっても……。

「名前ちゃん?」
「!すみません、大丈夫です」
「…そう?」
「はい。ごめんなさい、ちょっと疲れちゃったのかも。」
「あ…そうだね。ちょっと寝る?今、14時すぎだから…夜ご飯の前には起こすよ」

今、お昼過ぎだったのか。外の様子が分からないって、やっぱり、なんだかな…。と思いつつ、お礼を述べて敷かれている布団に潜る。…カカシ先生…、て心の中で呼ぶの控えた方がいいな。ポロッと口に出てからじゃ遅い。私、特殊設定なしっぽいし。寂しいけどはたけさん、って呼ぼう。

***

「カカシ先生、あの子…どうだったってばよ」
「んー…一般人って感じだけどね。」
「記憶がないってのは、?」
「拷問班が言うんだから間違いないと思うけどね…。それに、幻術とか色々術掛かけたって聞いたけど」
「ああ…ちっとやりすぎってくらいにな」
「で、白。ならそーでしょ」
「だよなぁ…。でも、上が聞かんねぇーんだ。予言の書の奴だって」
「そうとは見えないな。今の所」
「不審な点、なかったんだよな?」
「…まあね」
「そのせいか分かんねぇけど…行方不明者が出てる。一般人の女2人だ」
「ナルトは関係あると思ってんの?今回のと」
「思いたくは…ねえ。何となくだけど。だからカカシ先生、悪ぃけど監視頼むってば」
「ああ、」