沈んだ意識の中に、ぽつんと一人でいた。どこか分からないが、真っ暗で、冷たい。…やっと死後の世界だろうか?てか前の世界含んだらトータル2回も死んでるんですけど。なかなか酷い仕打ちだ。それに今回は…大事な人の死を、私のせいで誘発させてしまった。もう謝っても謝りきれない。話の流れを変えてしまっただろうし、何よりはたけさんの人生を奪ってしまったことが、悔やんでもどうしようもなくて。

……はたけさん、誰に殺されたのだろうか。彼女…ミリンさんだったら、本当に酷い話になる。そもそも、はたけさんは彼女が大蛇丸の部下だと知っていたのであろうか。あー…、知っていたら付き合ってなんかないか。でも、ミリンさん…昔はそうじゃなかったとしても、今はすごく好きだったんだと思う。はたけさんのこと。あの会話を聞く限りでは。

だからきっと、彼を殺したのはミリンさんだったと思う。ずっと一緒に居たかった気持ちを断ち切らなければならない時、自分の手でやるのが手っ取り早い。かなりきつい選択肢だけれど。彼女にとってそれは良くても、…はたけさんにとってはどうだったのだろう。

愛しい人に命を奪われるとは。もう死ぬ運命しかないのなら、まだマシな終わり方と捉えるべきか。それとも、裏切られたと思うのか。今までずっと騙されていたと絶望感の中で亡くなったのか。……どちら、だったのか。もう私も死んでしまったし聞けず仕舞いだけれど、せめて、せめて……。

――…てかはたけさんって結局、私のこと好きだったのかな。好きなそぶりは見せてくれてた気も…したんだけど分からないまま。それが聞けないままだったけど、せめて言いたかった。あなたが好きです、って。

「……ん?!」

なんて思っていると何かに急に引っ張られる。もうあの世なんだしいいじゃないか。のんびり感傷に浸らせてくれ…。と願うも叶わず透明な何かが私の肩を揺さぶるから、一人でグラグラしてる奴みたいになってる。あーもうなんだ、そっとしておいてよ。もうグダグダ言わないからゆっくりさせて、

「おい!起きろ!」
「……………はっ、?」

大きな声が聞こえて、一瞬で何かに吸い込まれる。そして次に目を開けると、ぼやけた視界に見知った顔の男が私を揺さぶっていた。その男の背景は、微かに見たことのある街で、男の服装も、空気の匂いも、…息が止まる以外のリアクションができなかった。だって、だって…

「アンタこんなとこで何してんだ。酔っ払い…ではねえよな」
「………」
「…おい?聞いてんのか?」

私にそう問うのは、中忍ベストを着たあの奈良シカマルだった。…でも、どう見ても大人ではない。私がよくナルトを読んでいた頃の、中忍に上がって少ししたぐらいの………彼だった。