あれから毎日お店に迎えにくるはたけさんのおかげで、ある意味王道的展開に陥った。 「あなた、カカシさんの何?」 「……何、と言いますと」 「親戚?腹違いの兄妹?義理の妹?」 「近いものはないかと…」 「なら1000歩譲って友達?」 「いや…(綺麗に彼女以外言ってくるとこ)」 「じゃあ何なの?」 昼休憩時。お店の外で日光浴をしながらおにぎりを食べていたら、ニッコリ微笑む3人のお姉さまに囲まれた私。皆さまボインのキレイめギャルだった。歳はきっと私と同じぐらい。…はたけさんの趣味がよく分かる絵図だ。 普通はビビる所だが、相手はなんせ私だ。青春を投げ捨てて数ある夢小説を読破してきた女だ。こんな場面なんて……オイシイとしか思えない…!! 「なにニヤニヤしてるの?気持ち悪い」 「あ、ごめんなさいつい」 「私達を見下してる…?」 「…いやその思考は流石になかったです」 「調子乗らないでね。」 「いや、それもまた違うくて」 「じゃあ何なの?おブスちゃん」 「ブッ…」 優しい口調が逆に怖い中の、ブス!貶しワードの中でなかなか上位に入る王道!!それを投げられる私、ザ・ヒロイン★としか思えなくて最高にハッピーな脳だなと再確認。でもそろそろ、昼休憩の時間が削られることに萎えてくる。けれど、まさか 「どうせセフレでしょ?」 「あぁ…、まあそんな感じです」 「ほらやっぱり。カカシさんが本命作るなんてそれこそ都市伝説だもん」 「だよね。あなたもカカシさんのテクにやられた一人なの?」 「テ、テク…。ま、まぁ…?」 「やっぱりー!?もう、最っ高よね!それにあのイケメンなんて罪よねー」 「罪なのは分かります!それに優しいし、背高いし!!」 「それにエッチも上手いと来たら落ちない女はいないと思うの!」 「分かります!!!もう、ワンナイトばっちこい★ですよね!?」 「一晩でも相手して貰えたらラッキーだもん…!」 「「「「分かるー」」」」 なんてその後もノリノリで喋っていたら、気付く。……お姉様とめちゃくちゃ仲良くなってる!!そしてその後も同調の嵐は静まらず、カカシあるあるについて話していたら昼休憩は簡単に過ぎていった。でも全然良い、とても楽しかったから!!しかもお姉様達はまたお店に客として来てくれるとのことで、楽しみが増えた。広がるはたけカカシの輪(嬉しい)!! … …… 「……てことがありました!すごくない!?」 「お前ね……。」 「?広がるはたけの輪だよ」 「普通そんな嬉しそうな顔?」 「へ」 呆れるはたけさんにこの話をしたのはその夜。彼より先に家に着いた私は、ご飯の用意をしてワクワクして待っていた。で、ご飯を食べつつ話したらこれだ。何故そんな顔?と思いつつも首を傾げると、呆れが通り越したのか笑い出したはたけさん。 「そーゆーところ、飽きないよね名前は」 「…特別変なことをしたっけ私」 「うん、自覚なくてよし。」 「?はぁ」 頷くとなんだか愛おしそうに微笑んで、テーブル越しに手を伸ばして頭をわしゃわしゃしてくる。何があなたのツボだったんだ、と不思議でしゃーなかった。その後もはたけさんはご機嫌で、終始私から離れることはなかった。 「くっつき虫」 「はい。なんですか」 「離してお風呂入りたい」 「一緒に入「却下!!!」 「あ、はい……。」 面倒臭いけど、これはこれで可愛い。しゅんとするのが私のせいだなんて、それははたけの輪からしたら死ぬほど贅沢だ。もー分かち合いたいよお姉様方!!お風呂から出ると、バスタオルを奪われて髪をごしごしされる。どうやら乾かしてくれるみたいだ。 「ねー名前」 「んー?」 「明日、俺もその輪に混じってもいい?」 「うーん。お姉様方来るかなぁ」 「来たらでいいよ。どうせ帰りにしか店に寄れないからね」 「ふふ。分かった。お姉様方喜ぶだろうなぁ〜」 「だといいけど」 壊れ物を包むみたいに、やさしくやさしく髪を乾かしてくれて、どこぞの姫にでもなった気分だった。幸せだ。これだけは、はたけの輪で共有も、渡したくもなかった。ただ、好きと好きが相重なる空間を。 「明日さ、名前が俺の彼女だって言っていい?」 「それはやめて」 えー、と眉を顰めるはたけさんだったが、言いくるめてその話は無くなったはずだった。まさか次の日、本当にお姉様方と遭遇して言うとは思ってなかったのだ。お姉様方は死ぬほど驚いていたが、まさかの私なら許せないこともないらしい。それこそまさかの展開だった(これが夢小説展開かどうかは不明)。 ← |