み、未来にまた来ちゃった感じですか?

「名前?」
「……」

やさしく呼んでくれるはたけさんは、どう見たって以前まで見ていた彼ではない。証拠は目と、初めて見た彼と雰囲気が酷似していたから。…でも、とりあえず、嬉しかった。生きていてくれて。大蛇丸は約束を守ってくれた…ということか。そりゃおめめ渡したしな。

そうなると、この状況からしてはたけさんは17年もの間…私を覚えててくれたということになる。記憶消したのに何故?もしかしてちゃんと消せてなかったのか?…なんのハプニングかは分からないがとにかく嬉しい。これぞ夢小説的展開…!!一生噛み締められる気がする。

…して。この嬉しさがずっと続くのか終わりを迎えるのか。が、今の一番の問題である。残った多数の問題を解決していかなければならない。まずは…

「あの…」
「………ハハ、ちゃんと名前だ」
「えっ」
「声、変わってないね。」

それはもうこちらが溶けるぐらい愛おしそうに見つめて、抱き締め直してくれるものだから。…む、胸がギスギスいってる。キュンキュンし過ぎてる……!!感情が高ぶりすぎて思わずはたけさんを抱きしめ返した。するとそれに応えてくれるように抱き締めてくれる力が強くなって、もうこの幸せ何なんだ…死ねる。

「生きててくれて、よかった…」
「え…?」
「昔、死のうとしたことがあったでしょ?」
「………あぁ……。」
「あの頃…名前が居なくなった時、自分で死んだとは思ってなかった。誘拐されたと思っててね」
「……誘拐?」
「そう。あの時俺には言ってくれなかったけど…眼、持ってたでしょ?」
「………」

はい、と小さく小さく呟いた。だってずっと黙って、勝手に動いて、勝手に消えたのだから。はたけさんは少し微笑んで、そんな顔しないの、と額に口付けを落としてくれる。いつも優しくて、絶対私のせいだと言わずに包んでくれる。……どう考えたって私が悪いのに。…やっぱり、どうしたってこの人が好きだ。

「他の里にその情報が漏れて、連れて行かれたと思ってたんだ…初めはね。」
「……」
「でもどの里に協力を得て、何年探してもお前は居なかった。…だから、有るべき場所に帰ったんじゃないかって」
「…有るべき、場所?」

もしかして異世界から来たことが…バレてる?一瞬冷や汗をかいた。なんでだろう、眼のこともそうだけどあまり言わない方がいい気がした(夢小説談)。…異世界でなくても、木の葉の人じゃないってのはもう分かってるのだろうけれど…。と思いつつ恐る恐る彼を見上げた。

「そう。火の国ではなくて、把握しきれていない村、集落とか…。」
「…」
「そう思って、この…10年以上かな。思い込むのに必死だった」
「……」
「じゃないとどうにかなりそうだった。…忍らしくないけどね」

発せられる彼の言葉に返答ができないのは、言えないからじゃない。…言葉が詰まって、出てくれなかったから。その当時、どんな気持ちで私を思っていてくれたのか……身に染みて痛かった。心臓が絞られる思いだった。はたけさんの胸に顔を埋める。

「でもまあ…途中で彼女とか作ってみたりもしたな。」
「!」
「でも上手くいかなくてね…。無意識に名前を追ってたんだろうね、気付いたらその女の子達はお前にちょっと似てた。」
「……っ」
「…あ、ゴメン。引くね」

思い切り首を振った。だって、声が透明になるぐらい嬉しかった。…だってあり得ない、あの二週間だけしか一緒にいなかった私を、そこまで…?私にとってはあの幽閉時代も一緒にいて、はたけさんにはその記憶がもちろん無い。あれは今となっては回避した未来だ。なのに、どうして…?目頭が熱くなる。ダメだ泣くな。

「あんな少ししか一緒に居なかったのに、って思ってるでしょ?」
「え、…」
「ハハ、そりゃそうだよね。でも俺、あの頃からよく見る夢があって」
「…夢?」
「そう。牢屋に名前と二人で、生活してる夢」
「………!!」

それ夢じゃないと思う……!!と思いっきり驚く。…顔、埋めててよかった。今、すごい顔してるよ私。だ、だって牢屋で二人で生活って……!ま、まあ若干違うけど!監視員と身元不明人だけど!!でも、そんな近しい夢を見るなんてこと…!

「変だよね。でも、それが意外と楽しくて」
「た、楽しい…?」
「うん。名前はずっと暇だ暇だ言っててさ」
「……」
「夜に抜け出して夜景見たり、花火見たり……。なんか夢じゃなかったんだ、体験してたぐらいに」
「……!」
「だから、この17年考えて…出た結果があるんだけど聞いてくれる?」

………嫌な、予感だけがする。いやこれ絶対、絶対気付いてる!だってはたけさん、私の眼の存在を知ってるんなら…きっとどんな効力を持った眼かなんて分かってるはずだ。で、でも!!あの時大蛇丸に過去の時代に飛ばされて、結果あの未来を回避できたわけで!……ん?

……でも多分明日ナルトの所に連れて行かれて、また幽閉されたりする?そしたらまた繰り返す可能性…、いやでも!!おめめはもうないから予言の書もないわけできっと大丈夫だよね、?

と、まあまた不安増えたけどあの時はたけさんの記憶操作はしてない!!けど、きっと勘違いしてる……

「俺の記憶、消したでしょ?」

ほ、ほらあああああ!!