じっくり見ると、やっぱりイケメンだ。心なしか色気が見えます(気のせい)。私がよくナルトを読んでいた頃の、シカマルの中でいっちばん好きな時代。大人になっちゃうともう人のモンだからね。この大人になりかけてる少年感がもう堪らん…!!ようやく見つめさせてくれてありがとう、マイ、二推し…!

「……記憶がねえ上に、死の森ってのがな……。」
「?」
「…とりあえず木の葉に向かう。いいな?」
「あ、ハイ…。」

うんやっぱり死の森だったのね。と思いつつ、大半は今後のことを考えていた。このまま火影様の元に連れて行かれたら、また幽閉されかねない。だって戸籍ないしね!!かといって、もうシカマルに見つかってるわけで、逃げられるはずもない。……そして、やはりあの未来を回避するには、主要キャラと関わるべきではないと思うのだ。その為にも、また幽閉されるわけには行かない。はたけさんが監視員ではないと思うけれど……

とりあえずこのまま、火影様の元に連れて行かれるわけにはいかないってことは確かなので。普通の会話から逃げる隙を見つけねば、

「あ、あの…」
「ん?」
「あなたは…?」
「俺は…まぁ、木の葉の里の忍だ。任務帰りでちっと近道しようと思ったら…アンタを見つけたわけだ。」
「あ、忍の方…なんですね」
「まあな。…で、今から火影様の元に行く。報告しねえとな」

もちろん知らないフリをして、シカマルにおんぶして貰って意味の分からないスピードで移動している。…あぁこれ一番始めにこの世界に来たときの、酔った感じに似ている。ゲロ吐くなよ私…。と思いつつも、火影様の元に着いたら本気で終わる。この背中からどう降りよ……あ、そうか。そうだ。

「……あ、…あの…」
「ん?あんま喋ると舌噛むぞ」
「………きもち、わるいです」
「…え?」

移動スピードに慣れていないので、普通に酔っていた。だから、素直になればいいだけだった。悪い、と言ってすぐ降ろしてくれたシカマルは、やはり紳士だと思う。…一応、軽くではあるが疑われてるっぽいのに。降ろして貰ったところはもう里の門を潜った後だったので、里の外れのような少し薄暗い場所だった。…ダッシュすれば何とかなる…か?

「大丈夫か?…悪い、ちょっと速かったな」
「……いえ、…。こちらこそ、すみません…」
「いや、俺こそ悪かった。水、飲むか?」
「……」

頷いて、多分シカマルの手持ちの水筒だろうか。を、受け取る。…あぁこれどこで飲んだら口移しだろう。……っいや違う!!逃げる方法!!大蛇丸に眼を使う方法、聞いておけばよかった…。ああっもうそんなものに頼ろうとすな私!!いやでもそれしか逃げる方法が思いつかない。今まで知らない間に使っていたらしい眼よ、何がきっかけで…

「…あれ」
「どうした?」
「手…いつの間に」

思考回路がシャットダウンしそうなとき、ふと目に止まった自らの手。少し血が出ていて、どこかで切ったらしい。不意にシカマルがその手を取ってくれるものだから、その先を期待(舐めてくれたり)してしまうクズ感は私の中からはもう一生消えないと思う。

「浅いから大丈夫だと思うが…水、貸してくれ」
「…あ、はい」
「痛くねえと思うが…、」

水筒を渡すとそのまま水を掛けてくれるとこ、本当好き…。こんなちっちゃい傷ぐらい放っておいても全然問題ないのに。……ってもう違う!!だから、早くここから逃げ出さないといけないんだって!いちいちトキめいてる暇じゃ…

なんて感情がバタバタ忙しない時だった。カタン…、とシカマルが持っていた水筒が落ちた。え?と彼を見れば何故か倒れていた。…いや、

「…………は?」

トキめいたらおめめ使えるとかなんかですか?はい?…とか思ったけど、どうやら首の皮一枚繋がって助かったようだ。親切にしてくれたシカマルに詫びながら、その場を去った。ある決心を抱いて。