あれから。放課後の花に水をやるあの人を見つめても、授業中にちょっかいを掛けても、面白いぐらい普通で態度も変わらない。そんなのに苛立つのは仕方ないわけで。けれどそのおかげで、俺の内面は反逆に燃えていた。

「せーんせ。」
「あ、はたけくん。どうしたの?」

廊下を歩くあの人を見つけて、つい声を掛ける。振り向いて微笑んでくれる姿も、いつもの白衣も、何も変わっていない。

……俺だけが、一人浮かれているかのように。

グイッ、と腕を掴んで近くの空き教室に投げ入れる。小さくてか細いあの人はされるがままで、ドアを閉めた俺を怪訝に見つめていた。

「ずいぶん乱暴になったね、」
「それはあなたが変わらないから」
「え…」

一歩一歩、近付く。連動するように、一歩一歩下がっていく、可愛い人。窓に背中が付いて逃げ場がないことを知ると、その瞬間をついて窓に手を付く。

「俺だけ……俺だけ恋い焦がれてる。前から、あれからも、ずっと…」
「……!」
「どうしたら俺を見てくれるの?」
「はたけくん、落ち、着いて…」
「…無理」
「!ちょ…っ」

近付く俺を離そうと手を伸ばしてきたものだから、ラッキーと言わんばかりにその手を掴んで窓に縫い付ける。俺に押し付けられるこの人はとても欲情的だ。睨んでくる視線も、いつもの白衣の姿も、全て。

「いいの?このまま襲っちゃうよ?」
「……っ!何言って…っ!離しなさい!」
「んー…ダメ。だって名前、俺のこと生徒としてしか見てくれないから」
「それは…!だってあなたは生徒で私は先生だから!」
「そんな普通なの要らないんだよね」
「っ!」

首元に顔を落とすと、嫌そうに脚をバタつかせるから、俺の片膝をこの人の足の間に入り込ませる。動きを鈍らせたところで、首元に舌を這わせた。

「……っ!やめ、っ」
「んー…誘ってる、ようにしか見えないんだけど」
「そんなわけないでしょ…?!」
「じゃあそんな可愛い声出さないでよ…。勘違いしちゃうでしょ、」

舐めたその場所をきつく吸い上げると、誘われているかのような可愛い声がまた聞こえる。高揚にしか駆られない声だ。あー…どうしようか。ちょっとやりすぎたかもしれない。歯止めが、

「ほら、やっぱり…」
「違っ……!」
「ただの生徒にもそんな誘惑するんだ?」
「違、う…っ!離し、てっ…!」
「本当にエッチだよね、名前は」

首筋に咲いた赤い花に、優越感に浸っていた。それよりも、少し潤んだ目で睨んでくるこの人をどうしようか考えていた。…こんなの喰って下さいって言ってるようなもんだよね?自分の可愛さ自覚してないんだろうな。これからちゃんと教えなきゃ、自分の魅力を…。なんて、唇を食べようとした時だった。