社会人2年目にもなって、急に両親から実は二度目の結婚であることを告げられる。父とは顔が似ていないと思っていたがそういうことだったらしい。父にも子どもがいたようだが、母親側に引き取られているとのこと。だがその母親が先日事故に遭い、こちらで引き取ることになった。と言われた朝。

実の父親じゃなかったのかとか、腹違いの兄妹がいるだとか、それと近々一緒に住むだとか、なんだか急過ぎて思考が追い付かない最中、仕事を終えて家に帰ると玄関に見知らぬデカイ靴。

「………まさか」

一気に緊張と重たい何かが身体を走る。リビングを通らないと自室に行けない家の構造を酷く恨んだ。溜息を一つ落として、ドアを開けた。母と、すらっと背の高そうな男の人がソファに座っていて目が合う。……もしかしてその隣の人?ねえハイスペック過ぎやしないか…てか引き取るとかいう歳じゃなくね…

「名前!おかえり。良いところに帰ってきたわね」
「………あぁ…。うん」
「紹介するわ。あなたのお兄さんにあたるカカシくんよ。仲良くしてね」
「カカシです。名前…ちゃんだよね?よろしくね」
「……ど、どうも……。」
「カカシくん、真面目で良い子なのよ。話しててすぐ分かったわ。名前もすぐ仲良くなれるわね!」
「ハハハ。言い過ぎですよ、お母さん」
「…」

近寄ると立って挨拶してくれるあたり礼儀正しい人のようだ。けれどすごい背高いね何p??しかもマスク付けてるけど分かるこのただならぬイケメン感…!しかも髪の毛銀色ってヤンキー…。けれどそれに全く負けないイケメン感。それにお母さんへの対応(愛想)200点満点。……こりゃすごいのが家に来てしまった。

「名前ちゃんは何歳?」
「…24です」
「じゃあ5個下だね。」
「(29…歳もまた良い感じ)そうですか」
「仕事は何してるの?」
「物流系の事務員です」
「そっか、だからこんな早く帰って来られるんだね」
「はい。…あなたは?」
「カカシでいいよ。俺は普通のサラリーマンかな」
「(その髪がウソだと言っている)…そうですか」

母親がルンルンでキッチンに向かうと逆に、流れで何となくソファに座らされると銀髪からの質問攻め。…まあ別にいいんだけど。イケメンだし。腹違いじゃなきゃワンナイトぐらいお願いしたいぐらいだし。けれどなんだろうこの人。…なんだか危ない匂いがする。仕事とか、本当は何やってんだろ。

「俺ね、本当に兄妹とか欲しくてさ」
「…はぁ」
「だから、名前ちゃんが妹って知って本当に嬉しいんだ」
「……そりゃどうも、」
「だから、俺のこと本当のお兄ちゃんだと思って何でも頼ってね。」
「(それは無理)…ありがとうございます。」
「あーほら、敬語とかやめてよ。ね?」
「……まあ、はい。がんばります」

可愛いなぁ、と頭を撫でてくるところも女慣れの匂いしかしない。…さては職業ホストか?有り得るこの顔面なら。と思いつつそろそろ部屋を出ようと立ち上がると、それを止めるように手首を掴まれて反動で後ろから転けそうになる。…ところを、抱き留められて声が透明になる。

「っ」
「…どこ行くの?」
「い…いや、着替えたいし……部屋に」
「なら俺も一緒に行っていい?」
「……は?ダメです」
「まだ名前ちゃんと話したいんだ」

耳元で囁かれるように呟くから、何かがゾクッとした。母に目をやると料理に夢中で気付いておらず、ホッとしつつも離してほしくて少し暴れるも、抱き締められる力が強すぎてびくともしない。

「ちょ…っ!とりあえず離して…!」
「俺も一緒に行っていい?」
「い、いいから…!お母さんに見られる…!」
「…見られちゃダメなこと、してるって思ってるんだ」
「!」

心臓が大きく唸って、羞恥から銀髪を押し返す。やっと離れた大きい奴は、うさんくさい目で微笑んで顔を近付けてくる。その分離れようとしても、後頭部に手が回されていたようで距離を狭められただけになる。

「ほら…なんでもお兄ちゃんに言ってみてよ」
「……っ」

お母さん!これのどこが真面目ですか!!こんなお兄ちゃん要りません!!こんな…こんな前途多難だなんて聞いてません!!