「名前ちゃん、一緒に寝「おやすみなさい。」
「名前ちゃん、ご飯食べに行「行ってらっしゃい。」
「今名前ちゃんの職場の近くにいるから一緒に「もう帰りました。」

あれから数週間。ことあるごとに名前ちゃん、名前ちゃんと……もう鬱陶しい!!いや、うん、銀髪としくってヤってしまったが、認めよう。確かに上手かった!上手かったけど、いや、一応義理でも妹なんで。そういうお友達にはなりません。一回だけの過ちとして処理したい。いやさせてくれ。

「名前ちゃーん…「煩い!!」
「まだ何も言ってないのに…。」
「人の名前を連呼しないでください嫌いになりそう!!」
「え、名前が?それとも俺が…?」
「両方です!!!」

さぁ寝ようと自室に入る手前に、隣の部屋にいたのか銀髪が出てくるとこれだ。顔を合わせる度にガーガーなる私に、よくも飽きずにつっかかってくるものだ。逆に褒めてあげたいその心意気。じゃあおやすみなさい、と部屋に入ると、すぐさまノック音がする。……どんだけやねん。

「……名前ちゃーん…。」
「(煩い)……」
「ごめんね…怒ってる?」
「(怒ってるアンタのしつこさに)……」
「名前ちゃんに似合うかなってこれ買ってみたんだけど……」
「!(なんだと)」

そろり、とドアを控えめに開けて置かれた小さな袋。…チクショウ私が好きなブランドじゃないか!!あの小ささからしてピアスかネックレスか指輪か…。でも最近欲しかったネックレスは10万強したが、もしそれだったら銀髪を許してしまいそうだ。…そもそも、ヤってしまったことには怒っていない。このやり取りが面倒なだけで。

「要らなかったら、捨てるか質屋にでも入れてくれていいから」
「……」
「だからせめて、中身だけでも見て欲しいな」

…くそう。そう言われると罪悪感が沸くじゃないか。こちとらプレゼントに弱いんだよ!!謎に忍び足で近付いて袋を取った。中を見ると、……え。

「え!!!私が欲しかったネックレス!!」
「あ、ホント?よかった。」
「な、なんで分かったのこれって…」
「んー…、愛の力?」
「…」

てか、なにさり気に入って来てんだ。と突っ込んでももうただひらすらにニコニコしているだけの銀髪。大きめの舌打ちをかましても気に留めていないようだ。でもネックレスは本当に嬉しくて、いやでもこんな高価なもの…、と視線を投げたのを気付いたのか。

「それ、付けてもいい?」
「え?」
「名前ちゃんが付けてるの、見たいなって」
「……まぁ、はい」

私の手からネックレスを奪って、抱き締められるみたいに付けてくれるネックレス。…ちょっとドキドキしたなんて口が裂けても言えない。いやでもこれは仕方ないというか!イケメンに側に寄られたら誰だって…ねぇ?

「できたよ、名前ちゃん。」
「…わぁ、可愛い、」
「喜んでもらえた?」
「……はい、」

鎖骨下で光る控えめなそれは、本当に可愛くて綺麗で。ついうっとりしてしまうぐらいだった。それと同時に気付く、これはなかなか高価なものであって、妹の分際である私がもらっていいものでは…!と。

「でも、これ…」
「なーに?」
「結構…高いものだと思うんですけど…、その…私が貰っていいものでは、」
「どうして?俺があげたかったからあげた。それじゃダメかな?」
「そ、そういうのは彼女にした方が…」
「だから名前ちゃんにあげたんだよ。」
「あ、そっかだからか……。………は?」

ん?と微笑む銀髪に目眩がした(悪い意味で)。彼女?What?は?キョトン顔が過ぎたのか、ツボに入ったらしく大笑いをかまされた。…いやだってそりゃ、…お前妹に何いってんの?じゃんよ。そんな私を気にもせず、笑いながら髪を撫でてくる奴。…行動の意味がよく分からない。

「可愛いなぁ、名前ちゃんはホント」
「……私はあなたが理解できませんが。」
「いいの俺だけ分かってたら。」
「?…はぁ、」
「だからあの日の責任はきっちり取らせていただきます。」

ぎゅ、と抱き締められて放たれた言葉。あの日…?と首を傾げると、顔を赤くしてごにょごにょ言い出す銀髪。…ウブか。絶対違うだろうに。…ウブぶってるだけか!!それが可愛いとでも思ってるのかコイツ…。ちょっと引きながら、目の前の義理兄の胸を押し返す。

「ヤっちゃったことなら、別に気にしてないんで…」
「そんなこと言って…。目が泳いでるよ、」
「そういうあなたに引いてるだけです。」
「大丈夫。俺、彼女兼妹とか最強だと思ってるからさ。」
「……こ、怖ぁ……。」
「だからとりあえず、名前ちゃんのセフレたち追い払っといたよ。」
「!?」

語尾に音符マークが聞こえてきそうな言葉に目が飛び出た。逆に身体は後ずさりしたけど、すぐに近寄ってきて簡単に壁ドンされる私。…私こういうありきたりな少女漫画チックなの苦手なんだけど。もう銀髪の存在自体が少女漫画系男子にすら見えてきた。

「本当…あの…責任とか結構ですので……。」
「ダメ。避妊しなかったし、デキちゃってるかもしれないでしょ?」
「あ、そっかそれじゃあ……、……は!?!!?」
「ごめんね、気持ちよくてつい中に…」
「馬鹿じゃないの!!?!?」
「だからほら、早く親父達に言わなきゃ「言わんでいい!!まだ分かんないでしょーが!!」
「でも名前ちゃん、生理遅れてない…?」
「………あ、ホントだ……。…ってなんでそんなことまで知ってんの!?!」
「ハハハ。名前ちゃんのことなら何でも知ってるよ。」
「ねえホント怖い」
「だから親父に言って?お兄ちゃんと結婚するって…」
「ねえホント無理…」

おでこに唇を落とされても、抱き締められてもドン引きには勝てない。もう余裕でイケメン割り効きません。そういえばネックレスだって、なんで欲しいの知ってたの!?って気付いてまた引く。だってよく考えたら全部計算じゃ…

「計算?いくらでもするよ。だってお兄ちゃん、名前ちゃんのこと大好きだからさ。」
「いやマジドン引きだから」

こんなのお兄ちゃんとは呼びたくない!絶対に!…絶対に!!