もちろん、そんなこと言えるわけもなく。 「あー…チルタイム」 「ねぇキショいから」 「たまには若者の気持ちになんねぇと…」 「ならんでいいわ」 21時49分。部屋を真っ暗にして、アロマを炊く火だけが部屋を占領している。おじじチョイスの音楽は、このいい雰囲気のままの時と、ぶち壊す時の差が激しい。今日は失恋ソングばかり流しているようで、まぁ雰囲気通りだ。もう定番である、外で飲んで、家で飲み直す(我らは家二軒目と呼ぶ)。強くないお酒が進んでも仕方ない。 「幸せー…。」 「お前当分彼氏できねーな、こンままじゃ」 「うっせ良いんだよ!!黙れチョンマゲ!!」 「おーおー口悪ぃこった」 「家が幸せ。これ以上他に何も要らない」 「歌詞かよ」 「そんな歌流せよ」 「ねーよ」 あんだろ探せよコノヤロウ。と視線を送るも二人して出来上がってるので、もうなんでもいい。コップに残った梅酒を喉に流すと、空になったそれをシカマルに差し出す。 「は?」 「氷」 「無理」 「こおり」 「……ハァ。」 重たそうな腰が上がって、奪い去られたコップ。酔っ払ってる時、謎におじじは言うことを聞いてくれる(主に雑用)。私は王様かってぐらいソファで横になっているのに、後ろで氷がコップに入る音がする。いつものことだ。ありがとなオヤジ、と思いながらコップを受け取っ 「え」 声がシカマルのそれで閉ざされる。押し倒される、とはまさにこのことだ。両手で身体を押し返すも、逆にソファに縫い付けられて逃げられない。正直、今までもこれくらいのことはあった。でも、なんだろう。ずぶずぶ、音がする。 「やめ…」 「ん」 ん、じゃねーよ!と思うも、舌が無理やり入ってきて、酒に溺れた脳は気持ちよくあわせてしまう。あーダメだ、ダメだぞ名前、否定せねば…と思う間に、冷たい手がお腹を触っている。その手首を掴んだって、どこかのAVみたいに両手を纏められて奴の片手が掴む。Mっ気のある私にとっては最高なシチュエーションだが、相手が相手なわけで。 「ちょ…っ、シカマ…」 その声を塞ぐように口付けられて、太腿に押しつけられた硬いソレに理性が蒸発する音がした。 *** 「あーぁ…。やってしまった」 「一回も二回も変わんねぇって」 「アホか大問題じゃ」 「半年間も頑張ったじゃねーか。」 「まぁ確かに…。私偉い…じゃねーよアホか」 「アホしか言ってねぇぞお前」 「そんな私が一番のアホだな」 そうだな、と上半身裸のおじじがキッチンで煙草を吸っている。私もその煙になって消えてしまいたいぜ…と服をせっせと着た。あれだけ間違えちゃいけないと心に決めていたのに、こんなもんか。私の理性よ。 「飲み過ぎた……?」 「まぁ名前の割によく飲んでたな」 「私の割にってなんだよ」 「酒の勢いはある程度大事だろ」 「んー……、…?寝る。」 「ん」 お酒のせいにするには、記憶があり過ぎる。酔うと理性が緩くなるのをどうにかしたい。でも本心はしたかったわけで、本能に従った結果後悔だらけ、と。だってきっと、これが習慣になって、お酒を飲むと……。ってなってしまうと思うんだ。だってアホだから。 上司とも切れてないのに、同居人と遊んでしまうって。どうした私の下半身。欲に塗れていいことなんてないのに。あー、もう!とベットになだれ込む。明日、シカマルと顔を合わせてもきっといつもと一緒だ。だってアホでも大人だから。 「私の彼氏って、息してるのかな…。」 どこにいますか、救世主。 ← |