次の日。解散してからもずっとLINEはしていて、今日も暇だとなんとなしに呟けば、じゃあちょっと会うかとなって謎に2日連続で顔を合わせることになったり。またご飯行きたいねーなんて話になって結果、4月上旬にある私の誕生日に会うことになった。彼氏かって。 「悪い、待ったか」 「待った。15分。」 「あー…悪い。メシ買うから許「許す」 「早ぇな」 誕生日当日。笑いながらスーパーに入っていく私と奈良さん。…不思議な構図だな。と思いながらも嫌ではない。いや、むしろ…。と思う私ヤバいのではないか。と思いつつ何作ろうかという話になる。それより、彼が後ろで持っているケーキであろう箱が気になってちょっとニヤけた。それを買ってきたから遅れたんだろうな。…緩む頬に、自分簡単すぎないかとちょっと引いたりもしてるが。 「家に…人参とじゃがいもと玉ねぎならあるよ。」 「…それカレーの具材じゃねえか」 「あっ確かに。カレーにする?」 「いや俺は良いけど…お前誕生日なのにそんなのでいいのかよ」 「え?何でも良いけど」 ククク、と笑われながらカレー用のお肉をカゴに入れた。ら、そのカゴを持ってくれ出すものだから、そういうのいちいち良いよなぁと思う胸、止めてくれ。……そもそも、失恋したてで、付き合ってもないのに家でご飯っていう所から間違っている気がする(いや気のせいではない)…。けどまぁ、その場が楽しければ良い精神。 アイスやらお菓子、お酒も何本か買って会計をした。本当に出してくれたのでちょっと申し訳なさが募る。家まで荷物も全部持ってくれたし、この人の非が今のところ見つからない。…ちょっと腹立つな。 「お邪魔します、」 「汚いですけどどうぞ〜」 「…いや俺んちより全然綺麗だって」 「なんだっけ?"ゴミ屋敷"だっけ?」 「覚えてんなよそれ…。」 あの歓送迎会の時。今年の新年会の奈良は酷かった!という話になり。酔い潰れた彼をその同僚達が家まで連れて帰ったそうだが、その家がまぁ汚いのなんの…。食べたゴミやら服やらが散らかって酷い有様だったらしい。で、奈良の家は通称【ゴミ屋敷】になったらしい。綺麗にしてそうなのに、それはちょっと意外だった。 「まぁ、あの時は忙しくてよ…。今は綺麗だから」 「とかってその辺にゴミ散乱してない?」 「してねぇって。…多分」 「してんじゃん」 アハハ、と笑いながら先に乾杯。缶チューハイの美味いことなんの。それを飲みつつ、奈良さんは隣でありとあらゆる皮をピーラーで剥く係。その剥けたものから切る係が私。狭いキッチンで無駄に楽しいこれは、彼氏との理想のものだった。……まぁ関係性が友達だけども。 「ねー味見して」 「おー…。」 「…なんか普通じゃない?」 「……だなァ。何が足りねぇって言われたら分かんねぇけど…」 「「何か足りない」」 アハハ!と言いながら出来たカレーをよそう。美味しいけど何か足りないソレは、もはやネタである。でもわーわー言いながら誰かと食べるご飯がこんなに美味しいなんて。一人暮らし長すぎるな私…。と思いながら空になったカレー皿を見て思う。チューハイも3本目を空けたところで、おつまみのお菓子がまた美味しい。 「あ、映画借りてきたんだー。見る?」 「お。何あんの?」 「ホラーかホラー。」 「そりゃ選択肢ねーやつだな」 なんて言いながらこっちが良い、と言われた新作のホラーをセット。もう21時過ぎだけど、奈良さんは休みだから時間はまだ良いんだろう(私は仕事だが)。部屋を真っ暗にすると、えっみたいな顔で見られたが何か?という表情で返す。何故ホラーものを明るい部屋で見なければならないのか。断然こっちでしょ。 「あっ首取れた!」 「……お前よくそんなテンションで」 「アハハだって今のはさ!」 「雰囲気ねぇ奴」 「うっせー」 飛ばされた首が有り得なさ過ぎてつい突っ込んだらコレだ。でも笑ってくれるこの感じ、なんかやっぱり好きだ。この人と結婚したら、多分なかなか幸せなんだろうなぁ。と素で思っていて、ホラーよりそっちの方が驚いた。なに思ってんだ、私。 「…ね、寒いからちょっと寄ってよ」 「あぁ」 映画を見やすいから、なんていう言い訳で狭いコタツに同じ方向から入る。少しくっついたり離れたりする肩がもどかしい。…てか雰囲気完璧すぎじゃね。なんかドキドキするような、なんだろう、変な気分だ。……奈良さんは、どう思ってんだろう。この状況。、 「………ん?」 「……」 気付いたら肩に重さを感じてチラ見すれば、私にもたれ掛かって寝ていた。……おぉ。なるほどな。この人朝6時から仕事してた人だった。そりゃもう眠たくなるね。お腹いっぱいでお酒も飲んで、暗かったら特に。寝てくれてもいいが、ちゃんと家帰ってくれよ…。と思いながら、一人ビビりながらホラー映画を見終えた。 「………ん、…?」 「…あ、起きた」 「……えっ、…悪い寝てた」 「うんもう映画終わりましたね」 「うわマジか」 「ご愁傷様です」 ハハハ。と言いながら電気を付けると、離れていく温かみ。肩も軽くなってしまった。…ちょっと寂しいとか思ってないし。時計を見ると23時過ぎで、いくら家が近いとてそろそろ帰る時間だろう。と思って、そろそろ…と声を掛けると、あっけらかんとそう答えられるのだ。 「んー…、帰るのめんどくせぇ。泊まる。」 「……えー…。」 やべぇ夜になりそうな予感。 ← |