ナルトに連れて来られた雑居ビルは、カオスなBARが集結していた。

「カカシ先生!どこ行きたいってば?」
「だからさァ、もうその先生って止めて…?」
「ナルト!ここ入らない?」
「サクラちゃん良いチョイスだな〜〜そこにすっか!」

みんなまぁまぁ出来上がってるので、会話が噛み合ったり合わなかったりと様々だが店は意外とすんなり決まった。サクラが入っていった店は、エスニック風のふくよかな女性がマスターのようだ。タイの土産屋で居残りそうな風変わりの置物がひしめいている。…ここはマスターの趣味がすごい。

「ビールくーださい!」
「梅酒ロックで」
「私その水割りで」
「エンジェルが旅立った後にください」

ナルト、はたけさん、私、サクラの順で飲み物を頼む。……さらっと流してしまいそうになったが、サクラの飲み物の名前なかなかじゃないか?てかその酒何の酒?くっそ面白いじゃんか。酔った脳内ではそこまで突っ込めるのに、外の世界に出るのは難しい。呂律が回らないんだなきっと。

「サクラちゃん、そのぶっ飛んだ名前の酒なんなんだ…?」
「バカね。分かんないから頼んでみたんでしょ」
「チャレンジャーすぎィ……!」
「天使が旅立った後に、だからすごい強い酒っぽくないか?」
「「「なるほど…」」」

はたけさんの推理に、一同納得。しているとお酒がやってきて、マスターが、このお酒はウォッカマティーニですと言われた。ナルトはポカンとしていたが、はたけさんと私は乾いた笑みだけが出た。なかなか強い酒ですねそれは……。今のサクラに飲ませるのは…と隣を見ると、水かのようにソレを飲む彼女に全員でストップを掛けたぐらいだ。

「その勢いで飲むものじゃないよサクラ…!落ち着いて」
「えー?そ?名前も飲んでみる?」
「…ひとくち」

貰うと、ウォッカ!!!がめちゃくちゃ襲ってきて男二人に首を振った。謎に奴らは頷いて、チェイサーを頼んでくれた。よく出来た人達だ…!!サクラを宥めながら、水と交互に飲むんだよ、と言いながら話は私たちが働くスーパーの話に。

「私はさぁ、もっとやりがいが欲しいわけでぇ……。でも今の店はそういう気持ちになれなくて、しんどい」
「……サクラ……。おいナルト。バイトの気持ちをくみ取れ」
「まァ気持ちは分からなくもねぇけど……。サスケだって頑張ってるだろ?」
「そうだけど…。…バイト内で揉めることが多くてしんどいの」
「あぁ…なんかよく聞くね。私は後から聞くことがほぼだけど」

サクラはがっつりシフトに入っているわけで、私とは違う。ので、話があまり分からないがナルトはなんとなく分かっていそうで、この話は何度か持ち掛けられているのだろうと思った。でもその後のナルトは煮え切らない返答ばかりで、サクラはちょっとご機嫌ナナメだった。……この二人なんか、ある?な?と第六感がビービー言っていた。

その店は小一時間で出て、二軒目こそカオスマックスのBARだった。亭主がもう酒飲みすぎで出来上がっていて、サクラと私とヤりたいだとか爆音で音楽流すだとかもうしっちゃかめっちゃか。そして私もその辺から、記憶が曖昧になっていってたらしく……−−−


「−−−……ん…?」

寒さからの身震いで目覚めた、ら、家の廊下だった。……アレ?いつの間に飲み会終わった?てかこれどうやって家に帰ってきたワケ?見渡してももちろん誰もいない。…が、玄関に転がる水×2。えーーーー待って全然分かんないぞーーー!?完全に記憶が途切れている。あの、カオスなぶっ飛びBARから……。携帯を覗くと夜中の3時半過ぎで、あんまり寝ていないのかどうかさえも曖昧だ。でも見覚えのない水があるから、きっと誰かが私を送ってくれたんだろう…けど誰が!?

サクラは一軒目のBARでなかなか出来上がってたからきっと無理だろうし、…そしたらはたけさんかナルト?でもはたけさんだったら送り狼になってるでしょうよ。ってことはナルトか?よく送って貰うしな。…色々気になるけど、明日普通に仕事だからとりあえず寝よう。なんていう図太い神経で秒で寝た。

「………おはようございます」
「あぁ、おはよう」

くっっっそ寝不足の日に限って、バイトもあったりするのだ。本業ももちろんこなしてきた為、目が半分しか開いていないだろうがちゃんと出勤してる私偉すぎないか…?と思いながら事務所に入る。うちはさんは今日もイケメンだけど、眠気には、勝てぬ…。

「昨日何時まで飲んでたんだ?」
「あぁ……。3時ぐらいじゃないですかね…」
「…結構だな」
「最後の方はもう記憶がなくて、…起きたら家の廊下で寝てました」

フッ、と笑われるも格好良いから言い返す気もなく。あくびをしながらタイムカードを押して、バックヤードに出たらばったり出くわすはたけさん。……この人が一番しんどいよな、今日。多分寝ずに出勤してるはずだし。昨日のことを聞こうと思ったら、先に言葉が飛んできた。

「あ、酔っ払い。」
「……すんません。」
「お前昨日夜中電話してきたの覚えてる?」
「………エ?なにそれ」
「…うんそうだよな。その方が良い」
「?」
「後で携帯見てね」
「…なんか嫌だな」

実は今日、怖くてLINEを見れていない。…でも、やっぱり見なくて正解だったのかもしれない。あのはたけさんの口調、何かしでかしてんじゃん私…!と思いながら、せっせと働いた。そしてきたる水分休憩中、携帯を覗くと3時すぎにはたけさんに電話した後があった。…しかもLINEまで!

「"どこ行ったの"…って……。」

送っているのは私だ。帰ってもいい?と返事が来ていて、その後6分ぐらい電話していた。……何を話したんだ。そして、どこ行ったの、ってことは……

「私を部屋まで送ってくれたの、はたけさん……?」