廉「あら、寝てんの」
神「昨日なかなか寝付けなかったらしいよ」
廉「なに、体調不良?」
神「分かんない、でも来てすぐ岸くんに甘えてたから疲れてんじゃないかな」
事務所の会議室に入ると、
奥のソファで毛布にくるまりながら寝ている〇〇。
余程疲れているのか。近付いても微動だにしないところを見ると、
どうやら本当にお疲れらしい。
廉「はよ」
紫「ん、おはよ」
近いんだよなぁ。距離が。
ソファで寝転ぶ〇〇の横で、何かの動画を見ながら座っている紫耀。
ギリギリ膝枕にはなってないけど、
毛布からちょっとだけ出ている〇〇の頭を撫でる手が、
やたらと恋人っぽくて腹立つ。
廉「岸さんは?」
紫「知らない。〇〇寝かせてどっか行った」
廉「自由やなぁ。来た時からやばかったん?」
紫「うん、岸くん見つけてすぐ引っ付いてたもん」
廉「まじか。えぇなぁ岸さん」
紫「でも本人、なんだよ重い!って最初めちゃくちゃ文句言ってたから
ジンと俺で殴った」
廉「アホやん笑」
紫「その後はすぐ様子おかしいのに気付いて、ちゃんと優しかったけどね。
一回寝ろって寝かしつけたら、すぐ出てっちゃった」
話の最中、寝ていた〇〇の顔をのぞき込み、前髪を避ける紫耀。
紫「………〇〇?ごめんね、起こしちゃった、?」
自分で気付いとるかは知らんけど、声のトーンも普段の3割増しで甘い。
紫「まだ時間あるから大丈夫だよ、寝てな」
『………ぅん、』
紫「ほらちゃんとあったかくして」
『、しょお……』
紫「ん?」
『……しょお、……、ふふ、』
俺の位置から〇〇の顔は見えんけど、これは相当可愛いやつやろなぁと思う。
紫「なに、どしたの?」
『、ううん……なんでもない、呼んでみただけ』
紫「なにその可愛いの」
『…ふふ、』
紫「もぉ〜〜!!」
廉「おら、なにイチャついとんねん」
『れぇんだ、』
廉「廉な」
『おはよ……いつ来たの、髪の毛ぼしゃぼしゃじゃん、』
廉「今。てかぼしゃぼしゃてなんやねん。喋れてへんよ」
『ん〜……』
紫「〇〇、寝癖ついてるよ」
『ん、?』
廉「ちゃう、こっちやん」
『ありがとー』
紫耀が触れようとした髪に、先に手を伸ばし、振り向かせた。
嬉しそうに、こちらを向いて笑う姿はめちゃくちゃ可愛い。
こういう時は、本当にただの女の子って感じなんよな。
岸「〇〇ー」
神「あ、岸くんおかえり」
岸「おー。〇〇起きてる?」
『ん?』
岸「はいこれ。好きでしょ」
出て行ったという岸さんが〇〇に渡したのは、コンビニの袋。
『わ、あったかい、』
岸「俺の奢りだからな、感謝しろよ」
『ほんとに?ありがとう岸くん、半分食べる?』
岸「俺はいいから、〇〇が食いなって」
『でも美味しいよ』
岸「うん、だから、」
『、ほんとにいらないの?』
岸「じゃあ、一口だけ貰ってい?」
『うん!』
袋から取り出したあんまんを二つに割り、片方を岸さんに差し出す〇〇。
さっきまでの笑顔も可愛かったけど、
やっぱり〇〇は、岸さんと絡んでる時の顔が一番嬉しそうやと思う。
『はい、あーん』
岸「あー」
ソファに座っていた〇〇に合わせ、
少し屈んだ岸さんが口を開けるのを見て、ちょっとだけ嫉妬。
廉「もーらいっ」
岸「?!」
岸さん、油断しすぎやで。
横から掻っ攫ったあんまんを堪能しながら言うと、
仕方なさそうに笑う岸さんが優しいから、
結局、俺も岸さんを嫌いにはなれないんよなぁ。