ライブも終盤で、気が緩んでしまったのかもしれない。
アンコール前最後の曲は、メインステージ。
そこに向かいながら、ファンの子に手を振り、時にはファンサービスをしながら走っていると、急に体が浮いたような感覚がした。
そして、直後に聞こえる、女の子達の悲鳴。
会場に流れる爆音のせいで、それはごく一部の範囲にしか聞こえていないだろうが、非常にマズイと思った。
「〇〇ちゃん!」
「やばくない?大丈夫かな、?」
「〇〇ちゃんっ、」
「〇〇ちゃん平気、?!」
衝撃でイヤモニがずれ、近くにいたファンの子達の声が聞こえる。
長い時間こうしていれば、メンバーも異変に気付くだろう。
「△△さん!」
「△△さん大丈夫ですか?!」
近くにいたスタッフさん達もわたしに気付き、体を支えてくれる。
しかし、立ちあがろうと足に力を入れた瞬間、片方の足に激痛が走った。
『っ、…………少し、待ってください、』
「担架用意しますか?!」
『それは大丈夫です、ちょっとだけ……』
痛みが引くまで、少しだけ待ってほしい。
体を支えるスタッフさんに寄り掛かりながら、なんとかゆっくり立ち上がる。
サビで良かった。
自分一人のパートだったら、さすがにキツかったかもしれない。
「ほんとに大丈夫ですか?」
『いけます、』
「すぐスタッフ全員に連携します」
『、すみません』
心配をかけたファンの子達に口パクでごめんね、と伝え、足を踏み外した外周の方へ戻る。
メンバーは、既にわたし以外全員がメインステージにいた。
次の曲が始まるまで、少し走れば間に合う距離だか、歩くだけでズキズキと痛む足首に、涙が出そうになった。
『っ、………』
未だ外周にいるわたしを見つけて、視線で早く!と伝えてくる岸くんと目が合う。
しかし、それも最初の一瞬だけで、すぐに動きがおかしい事に気付いたのか。険しい顔をしながら、ジェスチャーでわたしにメッセージをくれた。
下手側を指差し、その指を上手側へ。最上手の立ち位置に立つと、そこを指差し、うなずく。
今回、最後の曲でわたしが立つ位置は最下手。上手側から移動する今の状態だと、間に合わないと踏んだのだろう。
咄嗟の判断に、涙が出そうになるのをなんとか堪えながら、メインステージに辿り着いた。
「〇〇!」
『岸くんありがとうっ、立ち位置、』
「んなことどうでもいいから!何したの?!転んだ!?」
『あ、えと、階段で、』
「まさか落ちたん?!」
「それで立ち位置変えたってこと?」
「〇〇さん足見せてください!」
「メンバーの皆さんは早く着替えて!」
「時間通りアンコールいきます!」
舞台袖に下がり、慌てて衣装のジャケットを脱ぎながら岸くんの方に行くと、すぐ他のにスタッフさんにも囲まれ、座らされた。
「とりあえずアンコールは諦めてすぐに病院に、」
『出ます!』
「でもこれだいぶ捻ってるでしょ。無理してまた転んだらどうするの?」
『でも、最後の曲もちゃんと歩けました、!』
「だからって、次どうなるかなんて分からないでしょ。〇〇のせいで、ファンの子が泣いてもいいの?」
『っ、………でも、これで、わたしが出て行かない方が、もっと心配かける、』
「それは、」
『お願い、外周一回回るだけにするから……』
「許可出来ない」
『じゃあ、せめてメンステに立つだけでも、」
「あのね、今そんな負担かけたら、!」
「じゃあ俺がおんぶして回りますよ」
「え、」
『、紫耀……』
スタッフの中でも、わたしにメインで付いてくれている女性マネージャーとの間に、紫耀が割って入った。
「おんぶするって、アンコール中ずっと?」
「はい。〇〇くらいならそこまで負担じゃないんで」
「でも、」
「前のツアーでも岸くんが〇〇のことおんぶしてたし、それが一番自然じゃないですかね。ここで出る出ない言ってる間にももう時間無いし」
「…………大丈夫なの?」
「はい」
「〇〇はそれでいい?」
『紫耀が、いいなら……』
「はい、じゃあ決まりね。早く乗って」
『え、ここから?!』
「だって足痛いんでしょ、もう時間も無いし」
『、ありがと』
既にTシャツ姿で準備万端だった紫耀の背中に乗り、その首に腕を回した。
「どうしても痛くなったら、すぐに言ってね」
『うん、』
「終わったら、すぐ病院行ってもらうから」
『分かった』
「っし!じゃあ行くで」
「紫耀、途中で疲れたら俺代わるから」
「うん、ありがとう」
「〇〇はファンサに夢中になりすぎて落ちんなよ?」
『うん、』
「紫耀に任せとけば大丈夫だから」
ポンポンと、わたしの肩を優しく叩いて先に出て行った岸くんの背中を見送る。
「岸くんってさ、あぁいうとこズルイよね笑」
『うん、めちゃくちゃホッとした、』
「こんなに体張ってんのに全部持ってかれる俺の立場よ、笑」
『ふふ、ごめん、笑』
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アンコール紫耀くんが〇〇ちゃんおんぶしながら出てきて発狂した
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アンコール中ずっと〇〇おんぶしたまま外周回る平野紫耀
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やばいやばいやばいしぬ〇〇おんぶした平野がわたしのうちわ気付いてくれて、〇〇にねーねーって感じで声掛けてくれてファンサ貰えた、、、、一生感謝する
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キンプリ 名古屋 xx日
終盤メンステ戻る時、〇〇転倒。
外周の階段踏み外して結構ヤバそうだった。
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アンコール前外周で〇〇転んでた
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スタンド側から〇〇転んだの見たんだけど、しばらくちょっと痛そうにしてたから心配
その後アンコールで平野におんぶされてたのも演出っぽくしてたけど、あれ多分怪我してんじゃないかな
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え、〇〇外周で転んだって出てるけどマジなの?
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〇〇ちゃんのことおんぶしてる紫耀くんがちょこちょこ大丈夫?って感じで〇〇ちゃんのこと気にしてる様子見てしにそうになった