「れぇん〜」
「ん〜?」
「れぇ〜ん」
「用事ないなら次から返事せぇへんよ」
「暇だっただけ」
「そうかい」
雑誌撮影の合間。
メイクも着替えも済ませ、特にやる事もないわたしは、長い足でソファを占領し、今にも寝そうな廉に構ってもらおうとしていた。
「お兄さーん、寝るのー?」
「お前が黙ってくれたらなぁ」
「暇」
「知らん」
「転がって寝るとヘアメイク崩れて怒られるよ」
「じゃあなんかおもろい話して」
「岸くんに電話する?」
「なんでやねん」
〜もしも廉くんが彼氏だったら♡〜
わたしが専属モデルを務めるファッション誌の企画で、廉を彼氏に見立てた特集を組むことになった。
外でのデートから、おうちでの過ごし方まで。もしも廉が彼氏だったら、という女の子が見て全力でキュンキュン出来るような企画を作りたい、とのことで、その相手役にわたしが選ばれたのだ。
「話し相手廉しかいないのに寝ないでよー」
「ならきっさんに電話掛けたらえぇやん」
「岸くん今日テレビの収録」
「じゃあ海人か紫耀」
「何で選択肢に自分いないの」
「俺はここにおるやろ」
「じゃあちゃんと話相手になってください」
「じゃあちゃんと俺が寝んようにおもろい話してください」
「も〜こんな彼氏絶対やだ!」
なんだかんだ言いながら、こうして寝ずに相手をしてくれている時点で、廉は優しい。
瞼は閉じているけど、横でしゃがみ込むわたしの頭をポンポンしながら話す声は、本気で寝ようとしている時のそれでは無かった。
「わがままな彼女やなぁ、どっちが年上やねん」
「わたしのこと年上なんて思ってないくせに」
「だってそんなんどっちでもえぇし」
言いながら、ゆっくりこちらへ首を向けた廉と目が合う。
相変わらず、憎たらしいくらい整った顔が近くにある事に、少しだけドキッとした。
「〇〇のせいで目覚めたわ、」
「それは良かった」
「撮影まだなん」
「ん〜 もう少しじゃないかな」
「〇〇、こういう特集初めてやないよな?」
「うん、まぁデート服の企画とかもやるし、初めてって訳じゃないけど、ここまでガッツリカップルとしての特集ってのは無いから、初めてって言えば初めてかな」
事前に貰った企画書に目を通し、答えると同時に、お待たせしました!とやっとスタッフさんがわたし達を呼びに来た。
最初の撮影は、ハウススタジオでの日常風景。
わたしも廉も、お互いラフなTシャツとパンツ姿で、やけにリアルに作り込まれたキッチンのセット前に立たされた。
「それじゃ、今日は一日よろしくお願いしますね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「お願いします」
「じゃ、まずは朝の設定から撮らせてね」
「はい」
キッチンで、一緒に朝ご飯の用意をする二人。
置いてある物は自由に使っていいから、まずは好きなように動いてみてくれる?
現場を指揮する監督者にそう指示され、とりあえずは普段の朝と同じように動くか、と着ていたTシャツの裾を捲った。
「〇〇」
「ん?」
すると、後ろからするりとわたしの腰に腕を回し、肩口に顎を乗せる廉。
「カップルらしくって、こんなんでえぇんかな」
「うん、大丈夫だと思う。シャッター切られてるし」
「このまましばらく話しとく?」
「うん、なんの話しよっか」
「せやな〜 いざ話しましょうってなると、」
「わたし達いつもなんの話してたっけ?」
「さ〜?思い出せないくらい中身無いんやろな笑」
「ふふ、そうだね、いつも下らないことばっか話してるもんね」
「〇〇おるのに下ネタとかな」
「分かってるならやめて笑」
「そら男5人もおったらしゃーないやん、大好きやもん笑」
「今のセリフそっくりそのままファンの子に聞かせてあげたい」
「営業妨害」
「てか廉、くっ付きじゃない?髪の毛くすぐったいよ、」
後ろから、こちらを覗き込むように話してくる廉の髪が、ほぼピタリと頬に触れているせいで、凄く気になる。
「わざとやん」
「意地悪」
「なぁ、もうちょっとくっ付いてい?」
「どうぞ」
これ以上どうくっ付くの?と思いながらもうなずくと、緩く腰に回っていた腕がぎゅっと隙間なく巻き付き、後ろから軽く体重をかけられた。
「ねぇ重い、笑」
「俺からの愛の重さー」
「棒読みでなに言ってんの」
「海人の真似やん、この間きっさんにやってた」
「いや知らないし、不仲で売るのもうやめたの笑」
「もともと設定ブレブレやから」
「まぁそっか、笑」
こんなに自由でいいのか?というくらい緩いやり取りにも関わらず、スタッフさんからは割と高評価をいただき、そのまま何度かシチュエーションを変えてスタジオでの撮影は終了した。
今日はこの他に、別スタジオでの撮影と、外での撮影が控えている。
「さっむ、あかんやろ、」
「あ!廉見て見て、猫!」
「そら猫くらいおるやろ外やし」
「テンション!」
「あかん、寒い、」
スタジオから外に移動し、撮影の為、景色の綺麗な公園の中を歩く。
隣の廉は、ロケバスから出た時点で寒い寒いを連呼し、わたしと繋いだ手を秒で自分の上着のポケットへ突っ込んだ。
「巻きで終わらせんで」
「わたし絶対廉とは付き合いたくない」
「何でよ?!顔面国宝!」
「顔だけでなんでもカバー出来ると思わないでほしい」
「ガチギレやん」
「彼女といるのに寒いからって巻きで帰ろうとする彼氏だよ?顔が良いから付き合ってみたけど一回目のデートでこの人は無いな〜って萎える。紫耀なら絶対こんなことはしない」
「お前も顔が良いから付き合ってみたってなんやねん笑 これを機に反省せぇや」
「はぁ?そっちだってどうせ顔だけで選んだくせに!」
「突然の喧嘩越やめろて、ダルいなぁ笑」
歩きながら、しばらくこんな話をしていると、すぐに「オッケーです!」という声が掛かり、外での撮影は終了する。
「てかナチュラルに紫耀と比べたよなさっき」
「え今?もう終わったんじゃないのそれ」
「急に思い出して腹立ってきたわ」
「めんどくさっ笑」
ロケバスに戻るまでの間、文句を言いながらも、なんだかんだ繋いだ手を離さない廉に笑ってしまった。
「あらぁ〜 えっち〜」
「分かりやすくニヤけないで笑」
「男の子なもんで」
「巻きで終わらせんで」
「俺の真似やめろ」
最後の撮影は、夜。
大きなベッドが設置されたセットで、可愛らしいパジャマを身に纏い、先にスタジオ入りしていた廉と合流した。
「普段絶対そんな可愛いパジャマ着ぃひんやん」
「それは言わないで」
「にしても太もも出てるのがえぇよな、触りたいわ」
「せめてもう少し感情を隠して笑」
ベッドにゴロンと転がっていた廉の隣に腰掛け、バシッと腕を叩く。
「廉って本当オープンだよね」
「あかん?隠すよりえぇやろ」
「どっちが良いかはよく分かんないけど、笑」
「はあぁ〜、せっかくの〇〇独占もこれで終わりか〜」
「そうだね、わたしも廉の独り占めこれで終わりだ」
「おん?可愛いこと言うやん」
「わたしもちょっとキュンとした笑」
「、んえ?」
「あ、照れた〜!」
分かりやすく裏返る声に、楽しくなって両手を広げる。
「れぇん〜!」
「わっ、んやねん!」
「可愛いねれぇんっ」
「おま、今俺のこと海人と同じ扱いしとるやろ!」
「よしよし、お姉さんがいっぱい可愛がってあげるからね〜!」
「うっざ!だっる、笑」
言葉はキツイが、一緒に転がってくっ付いていると、しっかりわたしの腰に腕を回して、落ちないように気遣ってくれる廉に、ぎゅっと抱きついた。
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〇〇ちゃん見つめる廉のお顔が優しすぎる
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ベッドでじゃれてるオフショやばすぎんか??何でこれで付き合ってないん??わたしが知らないだけ??
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さりげなく〇〇の脚に置かれたこの手
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公式カレカノ初の誌面特集、、、イッテキマス、、
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出勤前ゲットしたのにお昼にもコンビニで目が合って買ってしまった、、、
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こんなんどう見ても本物だろ
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顔面強すぎ
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朝から夜のページに捲る時チラッと拝見して一旦ページを戻したのはわたしです
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理想のカップル像すぎる