時が経つのは早いもので、ついに明日公演初日を迎えようとしていた。
仕事を終えた私はたるちと合流して劇団員が使っている寮に向かっていた。いづみちゃんと話し合って公演が連日ある場合は今回みたいに前泊する形になった。まあ、仕事次第ではあるけど。


「#名前#、今夜ゲーム付き合ってね」

「いいけど、明日公演初日なんだから程々にしてよ」

「わかってる」


たるちは公演前日も変わらずゲームをやるらしい。私はヘアメイクするだけだから構わないけど肌のコンディションとかあるじゃん?



むにっ、


「…何すんの」

「いや、不健康極まりない生活してるのに肌綺麗だなって思って」

「別に何かしてるわけでもないんだけどね」


と言いながらむにっと私もほっぺを軽く抓られた。

「私はされる必要なくない?」
「いや、なんとなく?」
「意味わからん」


寮に着いて意味わかんないほっぺの抓り合いをしてから中に入る。


「あ、至さん、#名前#ちゃんおかえりなさい」

「監督さんただいま」
「お邪魔します」


私はおかえりと言うよりお邪魔しますよね。


「これから数日間お世話になります」
「こちらこそよろしくね!」


いづみちゃんと軽く挨拶を交わして、たるちに部屋に案内してもらった。寮に泊まらせてもらう間はいづみちゃんの部屋と迷ったがどうせたるちにゲーム付き合わされるのわかってるからたるちの部屋を使わせてもらうことになった。まあ、たるちの提案なんだけどね。

いづみちゃんが私の心配してくれたけど、大丈夫。たるちと私の間に恋愛感情はないから。たるちも恋愛よりゲームだろうし。私も意識するつもりはない。むしろ私んち何回か泊まりに来てるから一緒に寝てるしね。



「うわ、汚な…」
「うるさい」
「エリートリーマンが聞いて呆れるね」
「それ外面だけだからね」

「まあ、住めないほど汚くはないからいいけど」

「掃除してくれてもいいんだよ?」
「気が向いたらね」



たるちは夕食前に稽古があるらしく、その間に私が夕食を作ることになったから、暫したるちとはお別れ。






稽古も終わり、私が作った夕食も好評で真澄くんと咲也くん以外からはやっとカレー回避と言っていた。たるちから聞いていたけどいづみちゃんはカレー好きで連日カレーの日があるとか。

夜と次の日の朝ぐらいならいいが数日続くのはさすがにきつい。まあ、私がいる間はカレー以外にしてあげよう。


お風呂も入って、たるちとゲームやってあとは寝るだけ。


「ソファ使ってい?」
「俺が使うから、#名前#はロフトで寝ていいよ」
「いやいや、たるち明日公演だからね?」
「じゃあ、一緒に寝る?」
「は?…まあ、それが一番早いよね」


何かするわけでもないからそれでいっか。


結局2人仲良くロフトで寝ることにした。


「腕枕する?」
「んー、腕痛くなるかもよ?」
「俺も一応男だし、そのぐらい平気。おいで」
「ん。ありがと」


私んち泊まる時もまるで恋人かのようにたるちに腕枕してもらって寝てたんだけど明日公演あるし、腕痛んだりしたら嫌だなって思ったけど、たるちがいいならいいや。お言葉に甘えて伸ばしてくれた腕に頭を乗せてたるちに抱き着いた。


「#名前#って意外と甘えただよね」
「んー、そうなのかな?」
「なんか見た目は綺麗なお姉さんじゃん?」
「見た目だけねw」
「それなw」
「」

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