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「それから、王様…
私のお腹の子は、王様の子だということにするのです。」

「なんだと!?」



「待ち望まれていたお子が生まれ、しかも、その子が魔法の力を持つ者だとわかったら…
モルガーナの民は、どれほど王様のことを称えることでしょう?
王様は、もはや揺るぎようのない程の、威厳をお示しになれるのですよ……」



この女……
余の思惑を知っていた。



確かに、余はアンジェラに話した。
ジョシュアを手懐け、奴の子を産んで欲しいと。
だが、それだけだ。
魔法のことなど何も告げなかったのに。
もちろん、その子を余の養子として育てるつもりだったことも話してはいない。



「……なぜわかった?」

アンジェラは、余の問いをはぐらかすようにただ微笑む。



「そんなこと、どうでも良いではありませんか?
私は、初めてお会いした時から、王様のことをお慕いしておりました。
私…今の王妃様よりずっと王様にお尽くし致します。
どうか…どうか、私を王妃に……!」



(……ジュリアよ、すまぬ。)



馬鹿げた話だ。
叶えられるはずのない望みだ。



だが…余は、アンジェラの望みを叶えることにした。
なぜならば、アンジェラの言うことはすべて正しいからだ。
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