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「アルバート様、今日も二人が戻った様子はありません。」

「……そうか。」



私の思惑は完全に外れた。
あれから一週間が経ったというのに、ふたりは戻って来ないのだ。



「いかがしましょう?まだ待たれますか?」

「明日、モルガーナ城に戻ろう。
イズル、おまえはここに残り、別荘を見張ってくれ。」

「はい、わかりました。」



モルガーナ城で何事かがあったのかもしれない。
もしくは、ここを引き払い、別のところへ向かったか。
ふたりが、モルガーナ城を出てどこかに行ってしまう前に、なんとか捕えねばならない。
もっと早くにモルガーナに向かうべきだった。
しかし、今更、そんなことを言ってもどうにもならない。



そういえば、カンナも心配してるだろうな。
私達が出発する日の彼の顔は、とても心細そうに見えた。



この件が片付いたら、オルリアンに連れて帰り、良い医者にみせてやろう。
家を借り、ネイサンとふたりで暮らせるようにしてやろう。
ネイサンには、引き続き、私の護衛として働いてもらい、カンナにも何か城の仕事を与えてやろう。



(そのためにも無事に戻らなくては、な…)


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