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「……あと少しだからな。」

真っ暗な部屋の中で、隣のベッドからネイサンさんの声がした。



「ってことは、仕事はまだ終わってないんですか?」

「あぁ、実はそうなんだ。
そのことで明日はちょっと出かけて来るが、アルバート様はいらっしゃるから心配するな。」

「は、はい。」

最初は数日で帰るってことだったけど、それがけっこう長引いて…
ようやく戻って来たと思ったら、まだ仕事は終わってないなんて…
何か、アクシデントでもあったのかな?
心配だけど、聞いたところできっと教えてはもらえないよね?



「あ…あの、なにかトラブルでもあったんですか?」

「……まぁ、そういうことだな。
あ、そうだ。
以前言ったことがあっただろう?
もしかしたら、君は重要な力を持った者ではないかと…
あれはどうやら違ったようだ。」

「え?あぁ…はいはい。そうなんですか。
そりゃそうですよね。」

一瞬、何のことだか忘れてた。
確かにネイサンさんはそんなこと言ってたね。
うん、私がそんなたいそうな者じゃないことはわかってる。
そもそも、私、さらわれてないし。



(あ……)



でも、私がその重要な力を持った者じゃないってわかったってことは…
アルバートさん達が、関わっているのは、その人…?
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