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魔法の力を復活させないために、ふたりの命を狙っているって知った時は、アルバートさんのことをとても怖い人だって思った。
でも、アルバートさんと接する時間が増えれば増えるごとに、そう言う気持ちは少しずつ薄れて来た。
それは、多分…アルバートさんの優しさや責任感の強さを知ってしまったから。
私には何の力もないけれど、それでも力になりたいって思う。
あぁ、私、なんでこんなに頭が悪いんだろう?
頭の良い人だったら、きっと何か良い案が思い付くんだろうに…



「カンナ…どうかしたのか?」

「え?あ、いえ…なんでもありません。」

「君は、時々、ぼーっとすることがあるな。」

「え?そうですか?」

アルバートさんは優しく微笑む。
そう、この顔…なんかとっても癒される。



アルバートさんが、王子様でなくて、ごく普通の国民だったら、こんなに苦しまなくて済むだろうに…
そう思うと、なんだかお気の毒だよね。
そういえば、今回のことだって、もしかしたら王様のご命令なのかもしれないし。



(大きなお城に住んでても、幸せだとは限らないんだね…)


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