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「カンナ……私は、君の話を信じる……」

ネイサンさんがそう言って、私の前にハンカチを差し出した。



「あ、ありがとうございます。」

私は受け取ったハンカチで、涙を拭う。
あ〜あ…人前で泣くなんて、本当に情けない。
でも…もしかしたら、今まで言えなかったことを全部打ち明けられてほっとしたのかもしれない。
何か月もこんな大きな秘密を抱えてたんだもの。
辛かったよね。



「ネイサンさん…このことをアルバートさんには黙っていて下さいますか?
今後も、私はネイサンさんの弟だということにしといていただけますか?」

ネイサンさんはゆっくりとそして深く頷く。



「君の言いたいことはわかる。
君が召喚された異界からの女性だということがわかれば…アルバート様は君を殺すかもしれない。
本来ならば、すぐにでも報告しないといけない話なのかもしれないが…しばらくは状況を見守ろう。」

「あ、ありがとうございます!」

ますます涙が込み上げた。
ネイサンさんが協力してくれて、私の命が助かるって思ったからかもしれない。
こんな得体の知れない世界にいることはとても怖いことだけど、殺されるのはもっと怖いし、無念だもの。
生きてさえいたら、いつかは元の世界に戻れることもあるかもしれない。
そうよ…だから生きなきゃ!
なんとしても、生き延びなきゃ!



「心配するな。私は約束は必ず守る。」

うん、わかってるよ。
ネイサンさんは今までずっと私を守ってくれた。
信頼出来る人だもの。



あぁ、良かった。
ネイサンさんがいてくれて…
ネイサンさんのお陰で、私はどれほど救われたことか。
いつか、恩返ししなきゃね。
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