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「なんだと!今、なんと申したのだ!?」



ある時、信じられない報告が余の耳に入った。
なんと、カーメルで叛乱が起きたというのだ。
カーメルといえば、モルドの南端にある大国だ。
人口が多いだけに、今まで最新の注意を払って来た。
あそこを統治しているのは、ランダースだ。
ランダースは忠義に厚く、とても優秀な人間だし、あそこには百戦錬磨のメドル将軍もいる。
それに、叛乱の兆しなどなかったはず…
なのに、なぜ…!?



(……許せぬ!)



「すぐに兵の用意をせよ!5000だ!
そして、タブラ将軍に今すぐ連絡を。」

大変なことではあるが、私が行く程のことではあるまい。
タブラなら、5000の兵を伴えば、きっと容易く叛乱を納められるだろう。



「陛下…何事かあったのですか?」

「王妃…何、たいしたことではない。
そなたが案ずることはない。」

「そう…ですか。」

王妃の微笑みが、なんとなく心に残った。
どこかに影のある美しい微笑みが……
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