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「カンナ……すまないが、ここで待っていてくれないか?
いや、ここで祈りを済ませたら、先に降りておいてくれ。」

「アルバートさん、まさか……」

アルバートさんはゆっくりと頷いた。
そう…アルバートさんは、このおばあさんを多分背負って、頂上まで行こうとしている。
いくら、華奢なおばあさんだからって言っても、それは相当に大変なことだ。
誰も応じてくれないのも当たり前。
なのに、アルバートさんは誰もが嫌がることをするつもりなんだ。



「ぼ、僕も行きます!」

「やめておいた方が良い。
ここからはさらに過酷な上りなんだ。」

「いいえ、なんと言われようと、僕も一緒に行きます!
一緒じゃないと、アルバートさんを行かせませんよ!」

私が強い口調で言ったせいか、アルバートさんは半ば呆れ顔で渋々受け入れてくれた。



「良いか、具合が悪くなったら、そこで待ってるんだぞ。
絶対に無理はしないこと。」

「はい、わかってます。」

「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

おばあさんは泣きながら、アルバートさんの背中におぶさった。



「では、行きますよ。
しっかり掴まっていて下さいね。」

しばらく上っているうちに、私は上り辛い理由に気付いた。
下の方に比べ、段の高さが高くなってるんだ。
祈りの塔とか言う割には、なんだか意地悪な作りだね。



ただでさえ、大変な行程なのに、アルバートさんはおばあさんを背負ってる。
そのせいか、靴音と同時にアルバートさんの激しい息遣いがあたりに響く。



「あっ!」



大きな声と同時に、アルバートさんの体のバランスが崩れ…
私はかぶさってくるおばあさんの背中を必死で押さえた。
ここで私まで崩れたら、三人とも転げ落ちると思ったから、全身の力を込めて必死で踏ん張った。
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