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それから、六日後、私達はモルド行きの船に乗り込んだ。
オスカーさんとジョシュアさんも一緒だ。
モルドの叛乱の話は、ファーリンドでもちらほら伝わり始めていたけれど、陛下はまだご存知ないのが幸いだった。
ご存知だったら、きっと私は行かせてもらえなかっただろう。



約一か月の船旅は、相変わらず退屈だったけど…
でも、そんな退屈にもいつしか慣れて…
船酔いもしなかったし、ふたりっきりではないとはいえ、アルバートさんとの新婚旅行みたいなものでもあるから、けっこう楽しく過ごせた。
もちろん、浮かれてばかりいたわけじゃない。
ネイサンさんのことは、常に心にあった。
どうか、無事ですように、と毎晩祈った。



叛乱と聞いても、実は、どこかピンと来ていなかった。
戦争みたいなものだってことはわかるけど、戦争なんて体験ないから。
想像での『戦争』は、あまりにもぼんやりとしている。
ただ、ただ…ネイサンさんが無事ですように、と、それしか考えられなかった。



そして、長かった船旅もようやく終わり…ついに私達は、モルドの港に着いた。
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