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「……どうした?何か言いにくいことでもあるのか?」

「じ、実は……
わ、私……誘拐されて……」

「誘拐!?本当なのか?」

「は、はいっ!寝てるところを何者かにさらわれて、この城に連れて来られたんです。
犯人たちは今出掛けていて、その隙になんとか逃げ出したんです。」

そう話してから、私は酷く落胆した。
こんなわざとらしい話、ネイサンさんが信じるはずがない。



「そんな重要な話、なぜ、もっと早くに言わないんだ。
こんなところでのんびりしていられない。
さぁ、早く逃げるんだ!」

「え?ええっ!?」

ネイサンさんは、急に立ち上がり、私の腕を掴んで引っ張って走り出した。
私は、ただただ驚きながら、ネイサンさんにされるがままで…

息が切れ、心臓が今にも胸を突き破って飛び出して来そうな位、森の中を走り続けて…



(し、死ぬ……)



「ちょ…ちょっと……」

話しかけても、ネイサンさんは聞いてもいない様子だ。



「……ここまで来れば、一安心だ。」

ネイサンさんがそう言うのと同時に、私はその場にへたり込んだ。
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