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「服装から判断すると…君は庶民の娘のように見えるが、なぜかどわかされたんだろう?」

「えっ!?」

しまった!そんなところまで考えていなかった。
今の私は、町娘エミリーの扮装をしている。
貴族とかお金持ちの娘なら、もっと良いもの…
たとえば、絹とかレースのドレスを着るだろうね。
今の私は質素な木綿のドレスだもの。
しかも、良く見たらあちこち汚れてて…あ、ボタンも取れてる。
どう見ても、お金持ちには見えないよね。



(そういえば……)



私はなぜ、エミリーの格好をしてるんだろう?
事故に遭ったか、急病になった時にこの服を着てたから?
私の意識にこの服装が残っていたから?
多分、そういうことなんだろうね。



「君には、何か特別な才能か何かがあるということだろうか?」

「え……私には、そんなことは何もないと思うのですが……」

「そうだな。何かがあるとしても、かどわかすなんてことは……あっ!」

ネイサンさんが急に声を上げ、私を食い入るようにみつめた。
何、何?
なぜ、そんな真剣な顔をしてるの?
私もだんだん不安になって来て……



「あ、あの…何か、心当たりでも?」

そうは言ったけど、元々さらわれたっていうこと自体、嘘だから、あてはまるはずはないんだけど…
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