シャッターチャンス
「おおおおうよく来た二人とも早く来いこっち座って!」
「何だかデジャブを感じるね」
「何だよ、今日は何のゲームなんだ?」
「……今日は」
「今日は?」
「月に一度の、ゲームテストの日なんだよ…」
「…え、何ソレ」
「月に一回、自分の苦手なジャンルのゲームを、部長が決めたチャプターまで進めなきゃいけないっていうテスト」
「何でそんなモンがあるんだよ…」
「それはここが真のゲーマーたちの集うゲーマーによるゲーマーの為の」
「あ、もう良いよ。で、苦手なジャンルのゲームっていうと、やっぱり…」
「ホラゲーなわけですよ」
「また大絶叫が始まるのか…でもお前、バイオが出来るなら何でホラゲー苦手とか言うんだよ?」
「ちっちっち。分かってないね半田。バイオはホラゲーでも、正確にはホラーアクションアドベンチャーに分類されるんだよ」
「…えーっと、で?」
「つまり、ホラーはホラーでも囲いが違うということさ!」
「プレイヤーを怖がらせることを第一に考えたホラゲーじゃなければ怖くないってこと?」
「簡単に言うとね。じゃあ、うん…やっていきましょうか、ね」
「で、結局何のゲームなんだ?」
「これです。零、月蝕の○面」
「…パッケージからして既にプレイヤーを怖がらせる気満々って感じだな」
「このシリーズ苦手なんだよぉ敵が出てくる前兆がわかんなくて!!」
「前兆?」
「ほら、バイオだと足音が聞こえたりムービー入ったり、逃げゲーだと音楽変わったりするじゃん?でも零は!突然前触れもなく出て来るパターンが多いんだよ!!」
「必死だな」
「必死だとも!考えられる?アイテム取った直後に画面にどーんとか、鏡見てたらぬばぁとか!!」
「分かった分かった、まぁとにかくやろうよ。テストなんでしょ?どこまで進めるの?」
「…ナイトメア指定入ってるから、チャプター2までって」
「ナイトメアってなんだ?」
「とどのつまりハードモードだよ。信じらんない部長自分はホラゲー好きだからってわざわざナイトメアとかマジ鬼畜」
「文句なら本人に言いなよ」
「無理だよ言った直後に縛り上げられて目の前でホラゲー始められちゃう」
「どんなお仕置きなのさ」
「あ、オープニング」
「………」
「………」
「………」
「はァッ!」
「うわっ、何だよ!」
「あ、いやびくってして」
「先が思いやられるね」
「あ、操作出来るんじゃね?これ」
「え、あ、うん。そだね」
「…」
「…」
「…早くコントローラー持ちなよ」
「くっ…!」
「…お、おお。結構リアルな作りだな」
「ああああたぼーよ最近のゲームナメんなひぃぃいいっ!!」
「うぉっ!」
「今のは別に怖くないじゃーん」
「怖い!怖いよ十分!ちょっ、半田変わってくれ小一時間くらい!」
「なげーよ!」
「諦めて先に進みなよー、ほらほら」
「こ、こいつ他人事だと思いやがって!」
「だって他人事だし」
「でぇすよねぇええあああああッ!!」
「ぎゃああああ!う、うるせぇ!どっちにびびりゃいいか分かんなくなるわ!」
「はー…はー…ちょ、深呼吸深呼吸。すぅうはぁあ」
「いっそ病気だね」
「るっさい、初見だから仕方ないんじゃ!五巡くらいしたら慣れるんじゃボケッ!」
「多いなずいぶん」
「あ、ムービー」
「……」
「…!」
「「ぎゃあああああ!!」」
「半田まで叫んじゃったよ」
「あああああ囲まれてらっしゃるううう!!」
「えっ、ちょっ、これ逃げらんねーの?逃げらんねーの!?」
「ムービーで逃げるとか無理だしああああ、あ、ああ…」
「……チャプター一個終わったね」
「この調子が続くのか…」
「帰りたい…ああ帰りたい、帰りたい…」
「変な句を詠むな」
「あははがんばれー」
「棒読みー!!」
「何か鼓膜おかしくなりそうだ…」