CLAP


(もしも灰崎さんの従兄弟が及川くんだったら)


「…徹くん」
「んー?」
「これはあれかな、人間の頭が5キロから6キロあることを知った上での狼藉かな」
「ヘぇ、そうなんだ」

知らなかったなぁ、と間延びした返事の及川に頬が引き攣る。
グリグリと押し付けられる頭を退けようと身をよじったものの、肩から膝に落ちてきただけだった。

「減るものじゃないんだからいいじゃん」

口を尖らせる及川の額をぺちりぺちりと等間隔で叩く。
痛いと言いながらも動かない様に、ため息をついた。

「自分の頭の重みで夜には2センチくらい身長が縮むんだよ。減るじゃない。思いっきり」
「てことは、岩ちゃんは朝に身長測れば悩み解消じゃん。教えてあげようっと」
「きっと待ったなしで殴られるね」
「親切心なのに!」
「徹くんはどうしてそんなに阿呆になっちゃったの?昔はもう少し格好良かったのに」
「え、格好良い?今、格好良いって言った?もっと言って!」
「クソ川さん、重いからいい加減退いて」
「岩ちゃんの悪影響がこんな所に…!」

両手で顔を覆い、さめざめと泣く真似をする。
その上、ちっちゃい時は俺の後ろをついて回ってたのに、と誤った懐古までし始める始末。
立ち上がることに躊躇いはなかった。
ごろんと不用意に床に落ち、のたうち回る及川の腹に頭を乗せる。
及川の口から、ぐぇっと百年の恋も冷めるような声が出た。

「叩くなら潰れるまで、だっけ?」
「折れるまでだよ!」
「なるほど、折れるまで、ね」
「怖い怖い怖い!骨折られる!その前に内臓潰される!」
「嫌なら腹筋に力入れて」
「え、何これ、強制筋トレ?終わりは?」
「私が飽きるまで」

手の届く範囲にあった月バレを開く。
偶然にも牛島のことが書かれているページだった。
閉じろと騒ぐ及川と、牛島を見比べる。

「徹くんが載らなかったの、分かるなぁ」
「ちょっと!そろそろ俺泣くよ!?」
「だって、同じページにあったら徹くんの方が格好良いもの。牛島さん霞む」

喜ぶ及川の耳には、写真慣れしてるから牛島よりは写りがいいはずだし、という冷静すぎる分析は入らなかった。





(拍手ありがとうございました)

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