涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
甘くてビターなバレンタイン
2月14日、今年もやってきたバレンタインデー。
涼花ちゃんとゆーちゃんの二人は、バレンタインのチョコの材料を買うため、人間の里へと向かっていました。
その道中でのこと。
涼花「どんなチョコを作ろうかな?」
ゆーちゃん「やっぱり、見た目は可愛い方がいいよね」
菫子「あ、涼花ちゃんにゆーちゃん、こんにちは」
涼花「あ、菫子さん♪」
ゆーちゃん「こんにちは♪」
菫子「…早速で悪いけど、涼花ちゃんに聞きたいことがある」
涼花「な、なに?」
菫子「どうして涼花ちゃんは、私のことをお姉ちゃんと呼んでくれないの?」
涼花「呼んでほしいの?」
菫子「呼んでほしい」
涼花「でもなぁ……菫子お姉ちゃんって呼ぶのは語呂が悪いし……」
ゆーちゃん「お姉ちゃんの判断基準って、語呂の良さだったの?」
涼花「いや、嘘だけどね。じゃあ、これからは菫子お姉ちゃんって呼んであげようかな?」
菫子「あ、ありがとう……なんだこれ?」
ゆーちゃん「そう言えば菫子さん、バレンタインのご予定は?」
菫子「聞かないでよ…」
涼花「ああ、ぼっちさんなんだね」
菫子「ぼっちとか言わないでよ! 別にぼっちでもないし!」
涼花「あ、そうだ」
菫子「なによ…」
涼花「菫子お姉ちゃん、チョコの作り方とか分かる?」
ゆーちゃん「バレンタイン用のチョコを作りたいんです」
菫子「そんなの調べれば良いじゃない。それに涼花ちゃんは、毎年みんなにチョコを渡してるって聞いたけど?」
涼花「菫子さん菫子さん」
菫子「な、なによ?」
涼花「毎年って言うけど、私が毎年作ってるわけ無いじゃん。来年の今頃は、またバレンタインのお話になるよ? その時、菫子さんは東深見高校の二年生じゃなく、一年生のままなんだよ? それと同じで、私の年齢も来年の今頃は今と同じなんだよ? この意味、菫子さんなら分かってくれるよね?」
菫子「め、目が怖い目が怖い…」
ゆーちゃん「涼花ちゃん、たまにこうなるんです。気にしないであげてください」
涼花「もうサイト設立してかれこれ九年になるけど、私も菫子さんも年齢設定があるんだから、それがブレるようなことを言っちゃダメだよ?」
菫子「メタいメタい…」
ゆーちゃん「はいはい、本題に戻りますよ?」
菫子「本題って言っても…さっきも言った通り、チョコの作り方くらい調べれば良いじゃない。どうせ二人とも、スマホを持ってるんでしょ?」
涼花「持ってないよ?」
ゆーちゃん「私も持ってないです」
菫子「…最近の小学生はスマホを持ってるって聞いてたけどね」
ゆーちゃん「全員が全員と言うわけでもないかと」
涼花「それに持ってたとしても、幻想郷では繋がらないからね」
菫子「ああ…そっか。そう言うことなら、私は力になれそうにないわね。凝ったチョコの作り方なんて知らないし」
涼花「菫子お姉ちゃんは、誰かに渡す予定はないの?」
菫子「無いことはないけど、だいたい買ってるからね」
ゆーちゃん「そうですか…」
菫子「…二人は、誰かに渡す予定が?」
涼花&ゆーちゃん「もちろん♪」
菫子「あ、そう(どうせ友チョコとかでしょ)」
涼花「まあ、知らないのならしょうがないね。わたし達はこれから人間の里に行くけど、菫子お姉ちゃんは?」
菫子「私はカセンちゃんの所へ行く予定よ」
涼花「じゃあ、里まで一緒に行こう?」
菫子「う〜ん…まあ、良いか」
女苑「バレンタインか。いかにも散財しそうな良い響きじゃない? バレンタイン用のチョコ代に財を使わせて不運にして、恋愛成就しないように仕向ける。なかなか面白いと思わない?」
紫苑「それよりも私は、あの子供が気になる」
女苑「…ああ、涼花ちゃんね?」
紫苑「いや、その隣の…」
女苑「白い方?」
紫苑「うん」
女苑「あれは……誰だっけ?」
紫苑「雪柳至音」
女苑「…それって、名前の読み方が同じだから気になるだけでしょ? あんな子供の運気を下げたところで、面白みなんて無いわ」
紫苑「………」
人間の里
菫子「それじゃあ、私はこれで」
ゆーちゃん「色々お話が出来て楽しかったです」
涼花「またね〜♪」
ゆーちゃん「…さて、色々と買い揃えないと」
マミゾウ「おや、涼花ちゃんにゆーちゃんじゃないか」
ゆーちゃん「あ、マミゾウさん」
涼花「こんにちは♪」
マミゾウ「二人して買い物かな?」
ゆーちゃん「バレンタイン用のチョコを作るための材料探しです」
マミゾウ「ほう、そうかそうか。もうそんな時期なのじゃな」
涼花「マミゾウお姉さんは、誰かにチョコ渡したりするの?」
マミゾウ「そうじゃな…。相手がおらんことはないぞい?」
ゆーちゃん「いるんですか!?」
マミゾウ「おや、意外かな?」
ゆーちゃん「そ、そうではないんですけど…」
涼花「ちなみに、誰に渡すの?」
マミゾウ「知りたいか?」
ゆーちゃん「知りたいです」
マミゾウ「そうか。まあ、大した相手ではないんじゃがな…子分の狸共にくれてやろうと思っとるよ」
涼花「なんだ、つまんない」
マミゾウ「そう言う二人には、意中の相手がおるのかのう?」
涼花「わたしはいるよ?」
ゆーちゃん「私もいます」
涼花「え?」
ゆーちゃん「え?」
マミゾウ「……まあ、恋に年齢制限は無いからのう。二人とも頑張るのじゃぞ?」
ゆーちゃん「は〜い」
涼花「…は〜い」
マミゾウ「さて、何やら不穏な空気が渦巻いておるようじゃな。少し灸を据えてやるか?」
涼花「よし。これだけあれば、良いチョコが作れそうだね」
ゆーちゃん「そうだね」
涼花「…ねえ、ゆーちゃん」
ゆーちゃん「誰に渡すかは教えてあげないよ?」
涼花「むぅ〜……。私も教えるからさ、ゆーちゃんが誰に渡すのか教えてよ〜…」
ゆーちゃん「涼花ちゃんが誰に渡すかなんてお見通しだからね。あえて教えてもらわなくても」
涼花「むむぅ〜…。本当に分かってるの?」
ゆーちゃん「香林堂の霖之助さんでしょ?」
涼花「う……」
ゆーちゃん「ほら図星。涼花ちゃんの考えてることは分かってるって言ったでしょ?」
涼花「…どうしてゆーちゃんは、わたしの考えてることが分かるの?」
ゆーちゃん「涼花ちゃんはすぐ顔に出るし、言葉にも出しちゃってるからね」
涼花「そんなことはないと思うけど…今度から気を付けよ…」
ゆーちゃん「じゃあ、戻ろうか」
涼花「そうだね。……うん?」
ゆーちゃん「…どうしたの?」
霊夢「ずいぶんと舐めた真似してくれてるみたいじゃない?」
女苑「くっ! 姉さんがちゃんと戦闘に参加してくれれば、こんなことにはならなかったのに!」
マミゾウ「おや、もう終わってしまったのかい」
霊夢「マミゾウ?」
マミゾウ「儂もこやつらが何か企んどると思って、あとをつけてきたのじゃが…徒労に終わったな」
女苑「姉さん、何してんの! 早く戻ってきて!」
紫苑「ごめん、今はそっちに行けない」
女苑「なんで!」
マミゾウ「どうやらこいつは、あの二人を守っとったようじゃ」
女苑「あの二人?」
霊夢「…ああ、涼花ちゃんとゆーちゃんね」
紫苑「別にあの子達を守った訳じゃない。私は、泣く子も不運にする貧乏神だからね。……ただ、流れ弾が里に行かないようにしていただけよ」
女苑「はぁ…。姉さん、勝負の時くらいはそっちに集中してよ! 本当に役立たずのしみったれなんだから!」
紫苑「あ、良いの? 良いの? 私を怒らせて良いの? この場で本気を出しても良いんだけど?」
霊夢「ちょっと! それだけはやめなさい!」
女苑「そ、そうよ! 私が悪かった! 謝るから、本気で怒らないで!」
紫苑「……分かれば良いの」
女苑「はぁ……」
霊夢「さて、あまりあんた達とは関わりたくないからね。巻き上げるのは程々にして、さっさと去りなさい」
女苑「わ、分かったわ……姉さん、行くよ」
紫苑「うん。……じゃあね、白い小さな人間」
マミゾウ「…あれで良かったのか?」
霊夢「あいつらは、深く関わるものではないわ」
マミゾウ「……そうか。ところで、今日はバレンタインのようじゃぞ?」
霊夢「興味なしよ」
涼花「……女苑と紫苑か。確か、疫病神と貧乏神の姉妹だったはず」
ゆーちゃん「疫病神と貧乏神…最悪の組み合わせだね」
涼花「色々と暴れてたみたいだよ? よく知らないけど」
ゆーちゃん「会ったことは?」
涼花「ない。と言うか、会っちゃダメって言われてる」
ゆーちゃん「…そっか、疫病神と貧乏神だもんね」
涼花「一度は会ってみたいんだけどね」
ゆーちゃん「ふ〜ん」
涼花「はぁ、疲れた」
ゆーちゃん「ただいま〜」
涼花「…よし。じゃあ、早速つくろうか」
ゆーちゃん「うん、そうだね」
それからしばらくして…。
涼花「完成♪」
ゆーちゃん「私も出来たよ♪」
涼花「さて…どうする?」
ゆーちゃん「別行動…だよね?」
涼花「うん。…でも」
ゆーちゃん「私なら大丈夫。里の周りからは出ないから♪」
涼花「でも、暗くなる前には帰ってね?」
ゆーちゃん「分かってるって。涼花ちゃんこそ、暗くなる前に帰らなきゃダメだよ?」
涼花「うん、わたしなら大丈夫」
ゆーちゃん「それじゃ、行こっか♪」
涼花「うん」
香林堂。
霖之助「いらっしゃい」
涼花「こんにちは♪」
霖之助「何かお探しかな?」
涼花「……ハッピーバレンタイン♪ 霖之助さん♪」
霖之助「ああ、ありがとう。大事に食べるよ」
涼花「…霖之助さん、それ?」
霖之助「ん? …ああ。これは、涼花ちゃん以外から貰ったチョコなんだ」
涼花「だ、誰から貰ったんですか!?」
霖之助「霊夢と魔理沙からね。霊夢のは、誰かからの貰い物らしい。ついでにツケを払ってくれと言ったら、断られたけどね。魔理沙の方はいつもの事さ。長い付き合いだからね」
涼花「そ、そうでしたか」
霖之助「…そう言えば、ゆーちゃんは一緒じゃないのかい?」
涼花「あ、今日は別々で」
霖之助「そうか。最近はいつも一緒だったからね」
涼花「バレンタインですからね。誰に渡すかは教えてくれなかったけど」
霖之助「そうか」
涼花「…では、わたしはこれで」
霖之助「ああ」
涼花「……ゆーちゃんの事が気になって、あまりお話出来なかったよ…。ちょっと、ゆーちゃんを追い掛けてみようかな?」
人間の里。
涼花「里の周りからは出ないって言ってたから、この辺りにいそうだけど…」
ゆーちゃん「う〜ん…」
マミゾウ「おや、ゆーちゃんじゃないか。さっきぶりじゃな」
ゆーちゃん「マミゾウさん」
涼花「…あ、いた。マミゾウお姉さんと話してる…? と言うことは?」
マミゾウ「どうした? 涼花ちゃんとはぐれたのか?」
ゆーちゃん「いえ、そうではないんです。今は別行動中で」
マミゾウ「…ははーん。子供ながらに、チョコを渡す相手を知られたくないと」
ゆーちゃん「は、はい、そんなところです」
マミゾウ「なるほどのう」
ゆーちゃん「あ、そうだ。マミゾウさん、ちょっと協力してもらえませんか?」
マミゾウ「協力?」
涼花「あ、行っちゃった…。空を飛ばれたら追い掛けられないからなぁ…」
霊夢「あら、涼花ちゃん」
涼花「あ、霊夢お姉ちゃん」
霊夢「さっきも里にいたわね。バレンタインで浮かれてる?」
涼花「いや、どちらかと言うと焦ってる」
霊夢「焦ってる?」
涼花「あ、そうだ。霊夢お姉ちゃん、ちょっと協力してほしいの」
霊夢「協力…?」
人間の里のはずれ。
マミゾウ「着いたぞい」
ゆーちゃん「ありがとうございます♪」
マミゾウ「…着いたからには、尻尾から離れてもらおうか?」
ゆーちゃん「あ、はい」
マミゾウ「…さて」
霊夢「…あのマミゾウがねぇ。まさかロリコンだったとは」
涼花「いや、そう言うアレじゃなさそうだし、何だか雰囲気も違うよね?」
霊夢「そうね。どちらかと言うと、ゆーちゃんをここまで連れてきたって感じね」
涼花「でも、こんなところに誰かいるかな?」
マミゾウ「…悪いことは言わん。やめておいた方がよいぞ?」
ゆーちゃん「ありがとう。でも、大丈夫です。…あ、いたいた」
女苑「ん?」
紫苑「あ」
女苑「あんたは確か…」
ゆーちゃん「雪柳至音です」
女苑「…子供だろうと不運にする私達よ? 関わらない方が良いんじゃない?」
ゆーちゃん「大丈夫です。すぐに終わりますから」
女苑「すぐに終わるって…?」
ゆーちゃん「えっと、紫苑さん」
紫苑「なぁに?」
ゆーちゃん「今日、人間の里で女苑さんが霊夢さんと戦ってる時、紫苑さんは私達を流れ弾から守ってくれてましたよね?」
紫苑「いや、あれは…」
ゆーちゃん「紫苑さんには、そのお礼をしに来たんです」
ゆーちゃんは紫苑に、可愛らしくデコレーションされたチョコを手渡しました。
紫苑「こ、これを…私に?」
ゆーちゃん「はい♪」
紫苑「あ……あ……ありがと……」
女苑「姉さんにプレゼントだなんて、あんた変わってるわね…。ところで私には」
マミゾウ「…行ってしまったぞ?」
女苑「ちょっと! どうして私には無いのよ!」
霊夢「…なるほど、そう言うことだったか」
涼花「なんだか、焦って損したな」
霊夢「ほら、これで満足でしょ? 戻るわよ?」
涼花「うん。あ、そうだ」
霊夢「うん?」
涼花「ハッピーバレンタイン♪ 霊夢お姉ちゃん♪」
霊夢「ん、ありがと」
ゆーちゃん「…ふふ♪ 涼花ちゃんが来てることは分かってたよ♪ ……さてと」
香林堂。
ゆーちゃん「こんにちは♪」
霖之助「おや、ゆーちゃん。涼花ちゃんなら、少し前にここに来たよ」
ゆーちゃん「いえ、今日は涼花ちゃんの事で来た訳じゃないんです」
霖之助「じゃあ、どんな用で?」
ゆーちゃん「ハッピーバレンタイン♪ 霖之助さん♪」
霖之助「ああ、ありがとう」
ゆーちゃん「霖之助さん」
霖之助「ん? なんだい?」
ゆーちゃん「単刀直入にお伺いします。霖之助さんには、好きな人がいるのですか?」
霖之助「そうだな…」
ゆーちゃん「あ、友達としての好きじゃなくて、異性として好きな人。つまり、恋愛的に好きな人がいるのかって事ですよ?」
霖之助「そうだな……ゆーちゃんが教えてくれたら、僕も教えてあげよう」
ゆーちゃん「私は霖之助さんが好きです」
霖之助「随分とストレートに言うんだね。それは憧れから来ているものかな?」
ゆーちゃん「私は本気です。あの夏の日、一目会った時から、霖之助さんの事が好きなんです」
霖之助「なるほど、あの時か。でも残念ながら、ゆーちゃんの気持ちには応えられないよ?」
ゆーちゃん「それは分かってます。私はまだ子供だから」
ゆーちゃん「………」
ゆーちゃん「さあ、私は答えました。霖之助さんの好きな人を教えてください」
霖之助「…ゆーちゃん」
ゆーちゃん「はい?」
霖之助「知っているかどうか分からないけど、僕は人間と妖怪のハーフだ。人間よりも長い年月を生きてる。もう、恋と言うものを忘れてしまっているんだ」
ゆーちゃん「だったら、私が思い出させてあげます。今は無理でも、私が大人になったら必ず」
霖之助「……親友を裏切ることになってもかい?」
ゆーちゃん「そこは競争です。涼花ちゃんが霖之助さんの事を好きなのは知ってるし、霖之助さんも、涼花ちゃんと仲が良い事も知ってます。でもそれで、私が諦めなければならない理由にはなりませんよね?」
霖之助「なるほど」
ゆーちゃん「だから、これはある意味、涼花ちゃんに対する宣戦布告です。今は無理でも、大人になったら必ず、霖之助さんを振り向かせて見せます」
霖之助「そこまでの覚悟があるんだね。それじゃあ、涼花ちゃんとゆーちゃん。どちらが僕を振り向かせられるか、勝負だと言うことか」
ゆーちゃん「はい、その通りです」
霖之助「……分かった。このチョコは君の気持ちとして、ありがたく受け取らせてもらうよ」
ゆーちゃん「ありがとうございます♪」
ゆーちゃん「ただいま」
涼花「おかえり〜♪」
ゆーちゃん「涼花ちゃんはチョコ渡せた?」
涼花「うん。ゆーちゃんは?」
ゆーちゃん「渡してきたよ♪」
涼花「そっか。それじゃあ今度は、感謝のチョコを配らないとね」
ゆーちゃん「うん、そうだね。お世話になってる人達に」
身近な所にライバルが出来てしまった涼花ちゃん。
しかし、今の涼花ちゃんは、それを伺い知ることはありません。
この、小さな恋の競争は、ゆーちゃんの心の中で密かに行われていくのですから。
終わり