涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)


東方学園 7月


夏休みも間近に迫った東方学園。
学園に通う少女達は、すぐそこまで来ている夏休みに浮き足立っているのです。
しかし、そんな時期だからこそ問題視されるもの。
それは、風紀の乱れです。


慧音「風紀が乱れている…。着崩し、不純異性交遊、不純同性交遊、そしてアルバイト。今年も、忙しい時期がやって来たものだ」


慧音は校門で仁王立ちをしながら、生徒達に風紀の乱れがないか監視しています。


霊夢「その割には、不良娘の妹紅に対して甘いわよね?」


何故か慧音と一緒に監視役をしていた霊夢が言いました。


慧音「…妹紅にも、色々と事情がある」
霊夢「それは風紀委員として看過出来る事情?」
慧音「さあ? どうだろうな。少なくとも、私が見ている範囲で風紀を乱すようなことはしていない」
霊夢「…確かに。不良娘という割には、妹紅ってまともなのよね。制服を着崩してるわけでもないし、喧嘩やカツアゲしてるって話も聞かないし。強いて言えば、遅刻したり授業サボる程度なのよね」
慧音「それにも理由がある」
霊夢「どんな?」
慧音「そこは、妹紅のプライバシーな問題だ。詮索するのは野暮だぞ?」
霊夢「別に詮索してるわけじゃないわ。ただ興味があるだけ。それにしても、アルバイトに関しては校則違反でもないし、好きなようにやらせて良いんじゃない? 私だってアルバイトしてるし」
魔理沙「私もバイトしてるぜ」
慧音「いかがわしいバイトでなければ問題はない」
魔理沙「私もバイトしてるぜ」
霊夢「そんなバイトに手を出すような奴なんていないでしょ」
魔理沙「おう、無視かコラ」
慧音「と、言うわけで」
霊夢「断る!!」
慧音「…まだ何も言ってないだろ」
霊夢「どうせ、いかがわしいバイトをしてないか見回りするつもりでしょ? そんな面倒なこと、断らせてもらうわ」
魔理沙「しかしお前に拒否権はない!」
霊夢「なんであんたが言うのよ…」
慧音「…まあ、拒否権が無いことに代わりはない。放課後に見回りを行う。もし逃げたら…風紀委員に対して非協力的だったと四季映姫に報告する」
霊夢「うぐ…。わ、分かったわよ」
慧音「素直が一番だ」


そして放課後、霊夢と慧音と、何故か着いてきた魔理沙の三名は、見回りのために町へと繰り出しました。


霊夢「…なんで魔理沙も来ちゃったのよ」
魔理沙「今日は部活もヘルプ要請も無くて暇だったからな」
慧音「良いんじゃないか? 人手が多いに越したことはない」
霊夢「こいつも問題行動を起こしそうなのに?」
慧音「その時はその時だ。ほら、早く見回りに行くぞ?」
魔理沙「まかしとけ♪」
霊夢「……はぁ」


商店街。


霊夢「商店街ね」
慧音「商店街だな」
魔理沙「商店街だぜ」
霊夢「ここでバイトをしてるのは?」
魔理沙「早苗と菫子と妖夢。それから未確認だが、妹紅もこの近辺でバイトをしてるらしい」
霊夢「詳しいわね」
魔理沙「まあな。文ほどではないが、私も情報通だからな。ここから近いのは早苗だが、行ってみるか?」
霊夢「早苗か。どんなバイトしてるのかは気になるわね」
慧音「では、まずはそちらに行ってみるとしよう」


メイド喫茶『紅魔郷』
そこはメイドさんのメイドさんによるご主人様、お嬢様のための喫茶店。
何だかんだで人気の高い喫茶店です。


早苗「おかえりなさいませ♪ お嬢さ……ま……?」
魔理沙「いやぁ…噂には聞いていたが…」
霊夢「まさか早苗が…ね?」
慧音「アウトぉぉ!!」
魔理沙「ば、馬鹿! こんなところで暴れるな!」
霊夢「早苗、とりあえず着替えてきなさい」
早苗「え? え?」
霊夢「早くしなさい」
早苗「は、はい!」


事情が分からぬまま、早苗はメイド服から制服へと着替え、店の外へと出てきました。


慧音「フーッ、フーッ」
魔理沙「どうどう」
霊夢「早苗、こんなところで何してんのよ」
早苗「何って、バイトですけど」
慧音「そんなものは見ればわかる! こんないかがわしい店で何をしているのかと聞いているんだ!」
魔理沙「メイドがそもそもいかがわしい」
早苗「い、いかがわしい? ちょっと待ってください! メイドがいかがわしいと言うのは偏見です!」
魔理沙「偏見だそうだ」
慧音「お前ちょっと黙ってろ」
霊夢「いかがわしいかどうかは別として、メイドなんて捕まえたらワシントン条約に引っ掛かるわ」
魔理沙「それ、私が言いたかった台詞なんだが」
慧音「ああ、もう! 話が進まん!」
早苗「もう戻っていいですか?」
慧音「いいや、駄目だ! こんないかがわしいバイトをしている理由を聞くまで帰さんぞ!」
早苗「だから、いかがわしくないって言ってるじゃないですか。メイドさんへのおさわりは禁止ですし、連絡先の交換も禁止。写真撮影も胸から上まで。そこより下は撮影禁止。言うなれば、喫茶店のウエイトレスさんがメイド服を着てるだけなんですよ」
魔理沙「なるほどな。私のリサーチでも、この店が健全だと言うことは掴んでるぜ」
慧音「しかし…」
早苗「逆に言わせてもらいますけど、最近流行りの猫カフェをはじめとしたペット、動物カフェの方が、慧音さんの観点から言うと不健全だと思いますよ?」
慧音「な、何故そうなる?」
早苗「だって、猫ちゃんにはおさわりOKですし、餌もあげていいわけですし、猫じゃらしで遊んであげるのも当然OK。場所によっては撮影も可だという話も聞きます。こちらの方が余程不健全だと思いませんか?」
慧音「む、むう……」
霊夢「言いくるめられてる」
慧音「ま、まあ、言いたいことは分かった。店の雰囲気を見ても不健全だとは思えないし……」
魔理沙「見逃すのか?」
慧音「ああ、今回だけは見逃そう」
早苗「ありがとうございます♪」
霊夢「ところで、早苗はどうしてバイトしてるの? 生活費…に困ってる話は聞かないし」
早苗「そりゃあ、我が守矢神社は参拝者の皆様のおかげで儲かってますし」
霊夢「………」
魔理沙「落ち着け?」
早苗「でも、それはあくまで神社に納められたお金であり、私のお金ではないのです。私だって年頃ですし、趣味にお金を投資したいです。なので、バイトをしてお金を稼いでいるのですよ」
魔理沙「その趣味ってのは?」
早苗「そこまでは教えられません。プライベートな事なので」
慧音「分かった。ただし、あまり変なことはするんじゃないぞ?」
早苗「分かってますよ♪ では、私はこの辺で」
霊夢「ええ、邪魔して悪かったわね」


早苗は一礼すると、喫茶店へと戻っていきました。


霊夢「とりあえず、早苗は白…いや、グレーね」
慧音「そうだな。何か起こってからでは遅いが…ひとまず保留だ」
霊夢「魔理沙、次は誰が近い?」
魔理沙「次は妖夢のところだぜ。とは言え、早苗よりつまらないかもしれないな」
霊夢「つまらない?」


総菜屋『永遠亭』
この町に古くから続く総菜屋です。


妖夢「いらっしゃい」
霊夢「なるほど、魔理沙がつまらないって言った理由が分かったわ」
妖夢「来て早々、何なんですか?」
霊夢「いや、こっちの話よ」
慧音「妖夢はここでバイトをしてたのか」
妖夢「これは風紀委員長。ええ、ここでバイトをさせてもらってます」
慧音「……ここなら問題は無さそうだな」
妖夢「問題? もしかして、まともなバイトをしてるかの見回りですか?」
霊夢「その通りよ」
妖夢「それはそれは、ご苦労様です」
魔理沙「で、お前はどうしてバイトしてるんだ?」
妖夢「ここの店長さんは、バイト終わりに余ったお総菜をくれるんですよ。そろそろ西行寺財閥も厳しいので」
魔理沙「お前のバイトだけでどうこう出来ないだろ」
妖夢「食費と食事をどうにかするためですよ」
霊夢「だったら、あの大食い幽々子に質素なものを食べさせなさいよ」
妖夢「質素な食事も十人前ともなれば、食費もかさむものなんですよ……」


遠くを見つめる妖夢の目は、本当に財政難に陥っていることを伺わせる何かがありました。


慧音「……まあ、あれだ。私たちはここの惣菜を買って貢献することしか出来ないが、頑張れ」
妖夢「ありがとうございます」


三人は出来立てのコロッケを購入し、その場をあとにしました。
そしてさっそく、魔理沙は購入したコロッケを食べようとしましたが…。


慧音「こらこらこら。お前はよりによって、風紀委員長の私の目の前で買い食いをするつもりか?」
魔理沙「あ? コロッケは出来立てが一番旨いんだぜ?」
慧音「それは分かるが」
霊夢「冷めたら美味しくないわよ?」
慧音「もう食べてるし…。生徒会長のお前がそんなだから」
霊夢「このコロッケは好意の結果。コロッケは出来立てを食べるもの。今、このコロッケを食べる理由なんていくらでも作れるわ。それに、あんただってお腹空いてるんじゃない?」
慧音「う……」
魔理沙「ほら、お前も食べちゃえよ」
慧音「……分かった分かった。私は何も見てない。全てを無かったことにする」
魔理沙「そうそう、それが一番だ」
霊夢「次は菫子ね」
魔理沙「菫子は……」


三人がやって来たのは純喫茶『鈴奈庵』
そう、菫子がバイトをしているのはこの場所なのです。


霊夢「そっか。あんた、ここでバイトを始めたのね」
菫子「まあね」
小鈴「私も人手が増えて助かってます」
慧音「…ここは大丈夫だな」
魔理沙「そうだな。ここはただの喫茶店だし」
菫子「もしかしてここに来たのって、バイトの調査ってこと?」
霊夢「そう言うことよ」
魔理沙「しかし、注文もせずに帰ってしまうのは忍びない。なので私は紅茶を所望する」
霊夢「私も紅茶。慧音は?」
慧音「お前達…まあ良いだろう。私も紅茶を貰おう」
菫子「紅茶三つね。注文、承ったわ」

霊夢「ところで、妹紅もこの近くでバイトしてるって言ってたわね」
魔理沙「バイトをしてるらしいってだけで、確かな情報は無いんだ。ただ放課後、商店街で妹紅を見かけたって話を聞くだけだぜ」
霊夢「妹紅のバイトについては、慧音が詳しいんじゃない?」
魔理沙「詳しいのか?」
慧音「………」
菫子「お待たせ、紅茶よ」
魔理沙「サンキュー♪」
霊夢「…悪いんだけど菫子と小鈴、ちょっとだけ席を外してくれない?」
小鈴「は、はい」
菫子「…分かったわ」
慧音「ありがとう、霊夢」
霊夢「……で?」
慧音「妹紅は……学費を稼ぐためにバイトをしている。夜に屋台を引いてな。もちろん、先生方は把握しているし、妹紅は許可も貰っている」
霊夢「夜に屋台ね…」
魔理沙「だからいつも遅刻するし、授業中も眠そうだったのか」
慧音「言わなくても分かると思うが、この事は他言無用だ。妹紅と言う女は同情されることを最も嫌うからな」

菫子「………」

霊夢「事情は分かったけど、なんで私達に話したの?」
慧音「霊夢にだけ言うつもりだったが、どうせ魔理沙も聞きたがるだろ? そうなるとしつこいからな」
魔理沙「なんか…いや、なんでもない」
霊夢「さてと。調査も終わったことだし、これを飲んだら私は帰るわ」
慧音「そうか。付き合わせてしまった礼として、ここの支払いは私が持つとしよう」
魔理沙「お、気前が良いねぇ。好きだぜ、そう言うの」
霊夢「本当に良いの?」
慧音「礼だと言っただろ?」
霊夢「悪いわね。それじゃあ好意に甘えるとしますか」


霊夢、魔理沙、慧音の三人は鈴奈庵で別れ、そして翌日。
休日の東方学園の前に、慧音と魔理沙、そして紫の三人が集まっていました。


慧音「二人とも。休日なのに呼び出してしまってすまない」
魔理沙「まったくだぜ」
紫「呼び出したからには、ちゃんと誠意を見せてくれるんでしょうね?」
慧音「もちろんだ。これが終わったら、鈴奈庵の紅茶とパンケーキを奢ってやる」
魔理沙「トッピングも自由だろうな? そうじゃなければ帰るぜ?」
慧音「む……。鈴奈庵のパンケーキのトッピングは値が張るが……分かった。好きにしていいぞ」
魔理沙「やったぜ♪」
紫「それで? 私達を呼び出した理由は?」
慧音「魔理沙は昨日も付き合ってもらったが、学園の生徒達が健全なバイトをしているかどうかの調査だ」
紫「うわ、帰りたい」
魔理沙「おい慧音。調査は終わったんじゃなかったのかよ?」
慧音「商店街の調査は終わった。だが、生徒がバイトをしてるのは商店街だけではないだろ?」
魔理沙「まあ確かに、他の場所でもバイトしてる奴等はいるが……どこに行くつもりだ?」
慧音「安心しろ。目星はつけてある」


そう言って慧音が案内したのは、スカーレットコーポレーションが運営する遊園地『紅魔館』でした。


紫「ここか…。ライバル企業だから乗り気はしないけど」
魔理沙「確かにここにも、バイトをしてる奴はいるが……そんな目星をつけるような場所か?」
紫「慧音にも考えがあるんでしょ。さっさと終わらせましょう」
魔理沙「まあ良いか。せっかく遊園地に来たんだし、楽しみながら調査しようぜ」
紫「そうね」


まず、三人が訪れたのはジェットコースター乗り場。
そこで係員のバイトをしていたのは、紅美鈴でした。


美鈴「はいはい、押さないでください。順番は守りましょう」
魔理沙「やあ美鈴」
美鈴「これはこれは、皆さんお揃いで」
紫「貴女、ここでバイトしてたのね」
美鈴「私だけではないですけどね」
慧音「他には誰が?」
美鈴「咲夜さんとパチュリーさんですね」
魔理沙「ほう、あの二人もここでバイトしてるのか」
美鈴「ところで皆さん、これに乗ってみますか?」


三人は目の前のジェットコースターを見上げました。
全長2000m、最高到達点70m、最高速度130kmのジェットコースター『凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-』
最高到達点からの眺めはまさに絶景で、遊園地『紅魔館』でもトップクラスの人気を誇るアトラクションです。


紫「……悲鳴がすごいわね」
魔理沙「あの落差だからな」
慧音「よし、乗るか」
紫「私はパス」
魔理沙「何言ってんだ、お前も乗るんだよ」
紫「ち、ちょっと! 離しなさい!!」


少女絶叫中……


魔理沙「さすが人気のアトラクション。迫力が凄かったな」
慧音「ああ。眺めも良かった」
魔理沙「そして紫よ。お前は絶叫系が苦手だったんだな」
紫「苦手じゃない……嫌いなだけ……」
慧音「どちらも同じだろう…」
魔理沙「よし、次はあれにしてみようぜ?」


魔理沙が指差す方向にあったのは、お化け屋敷『命蓮寺』でした。


慧音「お化け屋敷か。私は大丈夫だ」
紫「お化け屋敷なら、私も大丈夫よ」
魔理沙「そうかい。泣きべそかいても知らないからな」


三人は早速並ぶことにしました。


パチェ「あら、珍しい顔ぶれね」


このお化け屋敷の係員を勤めていたのはパチュリー・ノーレッジでした。


魔理沙「へえ、ここの係員はお前だったんだ」
パチェ「う、うん……」
慧音「年齢制限が無いみたいだが、大丈夫なのか?」
パチェ「大丈夫。所詮は子供騙しのお化け屋敷だから」
紫「係員が子供騙しとか言って良いのかしらね?」
パチェ「別に良いのよ。事実だから」
魔理沙「それなら楽しめそうだな。三人で入るぜ」
パチェ「ん……こ、これがチケットよ。い、入り口の係員に渡して……」
紫「なんか、パチュリーって魔理沙と話す時だけよそよそしいと言うか…」
魔理沙「こいつはいつもこんな感じだから気にするな」
紫「朴念仁……」
魔理沙「あ? なんか言ったか?」
紫「別に?」
魔理沙「???」
涼花「あ、魔理沙お姉ちゃんだ♪」
ゆーちゃん「こんにちは」
紫「こんにちは」
慧音「……お前達だけか?」
涼花「お兄ちゃんに連れてきてもらいました」
ゆーちゃん「私も、お父さんとお母さんと一緒に」
慧音「それなら安心だな」
涼花「みんなも、このお化け屋敷に入るの?」
魔理沙「ああ、そのつもりだぜ」
ゆーちゃん「魔理沙さん、怖いの平気なんですか?」
魔理沙「当たり前だろ」
涼花「なら大丈夫そうだね」
ゆーちゃん「私達は後になりますけど、頑張ってください」
紫「他人の心配をするなんて、随分と余裕ね」
涼花「恐怖よりも好奇心♪」
ゆーちゃん「だね」
魔理沙「……まあ良いぜ。出てきたときのお前達の顔が楽しみだ」
ゆーちゃん「そっちこそ、私達が出てくる前に涙くらい拭いといてくださいね♪」
魔理沙「ふん、誰が泣くかよ」


こうして三人はお化け屋敷へと入っていきました。
そして三十分後……。


魔理沙「ふ、ふん、余裕だったぜ」
紫「魔理沙、足震えてる」
慧音「パチュリーの言っていた通り、子供騙しだったな」
魔理沙「そ、その通りだ。あんなのでビビるかよ」
紫「あ、そう。一番叫んでたのは誰だったかしらね?」
魔理沙「わ、私じゃない…」
涼花&ゆーちゃん「わっ!!!」
魔理沙「キャーッ!!」
紫「……今日一番の悲鳴ね」
涼花「いやぁ、大したことなかったね」
ゆーちゃん「そうだね。やっぱり子供騙しだったよ」
慧音「それは良いんだが、腰を抜かしてしまった魔理沙をどうにかしてくれないか?」
魔理沙「お、お前らなぁ〜…」
ゆーちゃん「あれ? 魔理沙さん、泣いてるんですか?」
魔理沙「……泣いてねぇよ」
紫「その辺にしておきましょう」
涼花「そうだね。それよりもわたし、お腹が空いちゃった」
慧音「う〜む……時間も良いし、ここいらで昼食にしよう」


腰を抜かした魔理沙に肩を貸し、遊園地内にあるレストランへ。


魔理沙「昼飯だー」
咲夜「ようこそ、レストラン『フォビドゥンフルーツ』へ」
慧音「ウエイトレスはお前か」
咲夜「おや、これは風紀委員長。遊びに来た…と言うわけでは無さそうですね」
紫「バイトの調査よ。私と魔理沙は、その付き添い」
咲夜「なるはど。…涼花ちゃんとゆーちゃんは?」
魔理沙「お化け屋敷で偶然会ってな。一緒に昼食にしようってことになったんだ」 
咲夜「そうでしたか。では、そちらのテーブル席へ。ご注文が決まりましたらお呼びください」

涼花「それにしても、今日は暑いね。喉渇いちゃった」
ゆーちゃん「じゃあ、先にドリンクだけ注文しよう」


涼花とゆーちゃんは烏龍茶、魔理沙はレモネード、紫はグレープジュース、慧音はメロンソーダをそれぞれ頼みました。


紫「涼花ちゃん達より私達の飲み物の方が子供っぽいわね……」
魔理沙「別にいいだろ。それにしてもそこの二人」
涼花「ん?」
ゆーちゃん「な、何でしょう?」
魔理沙「お化け屋敷でもそうだったが、お前達は普段から本当に泣かないよな」


それを聞いた涼花ちゃんは、烏龍茶の入ったグラスを傾けながら。


涼花「人よりも濃い人生を歩んできたからね……」
ゆーちゃん「もう涙も枯れちゃった……」
魔理沙「お、おう……」


二人のその様は、まるで場末のバーで語っているかのよう。
遠い目をしてそう言う二人に対し、魔理沙はそれ以上何も言えませんでした。


紫「はいはい、暗いのは無し。さっさと注文しましょう」
慧音「そうだな。すみませ」


言い終わる前に咲夜が現れました。


咲夜「はい、ご注文承ります」
慧音「お、お前は相変わらず動きが速い…」
紫「瞬間移動でもしたかのような動きね」
咲夜「それが私の取り柄ですので。それでご注文は?」
慧音「ああ、そうだな」


そうこうして昼食を済ませた五人は、その後も遊園地のアトラクションを楽しみました。
そして夕方。


涼花「ふう。みんなと色んなアトラクションに行けて楽しかった♪」
魔理沙「ああ、私も楽しかったぜ」
ゆーちゃん「また、ご一緒できたら良いですね」
紫「ええ、そうね」
慧音「保護者同伴とは言え、帰りには気を付けるんだぞ?」
涼花「はーい」
ゆーちゃん「分かりました」


涼花ちゃんとゆーちゃんは、大きく手を振りながら帰っていきました。


魔理沙「……さて、私達も帰るか」
慧音「いや、悪いがもう少し付き合ってもらう」
紫「まだ何かあるの?」
慧音「…時間もちょうど良いだろう」
魔理沙「なにが?」
慧音「実は…良くない噂を耳にしてな」
紫「?」
慧音「…まずは一緒に来てほしい」


何が何やら理解できていない魔理沙と紫は、それでも渋々、慧音についていくことにしました。


繁華街。
商店街とは異なる活気を見せているこの場所は、夜になるとその表情を一変させます。
簡潔に言うと、この繁華街にはいかがわしい店が多いのです。
更に、路地を挟んで向かい側にはホテル街。
つまり、そう言う場所なのです。
そんな繁華街の中心部には広場があります。
待ち合わせにはピッタリの場所です。
もちろん、いかがわしい意味で。
そんな広場から少し離れた場所。


紫「…夜の繁華街は危険だと思うんだけど」
魔理沙「…リーマンも増えてきたぜ。こんなところで何を」
慧音「まあ待て。そろそろ来るはずだ」
魔理沙「誰が来るんだよ」


三人が広場を遠目から眺めていると、紅白の巫女服を身に纏った…。


魔理沙「は、はぁ!?」
紫「嘘…でしょ…」


博麗霊夢が現れたのです。
霊夢は広場のベンチに腰を下ろすと、スマホを取り出しました。
何を打っているのか伺い知ることは出来ませんが、誰かと待ち合わせをしているような雰囲気です。


魔理沙「まさか、霊夢の奴…」
慧音「結論を急ぐな」
魔理沙「だって、あんなのどう見ても!」
慧音「静かに! 今回本当に調べたかったのはこの事なんだ」
紫「なるほど、霊夢がいかがわしいバイトをしてるって噂が立ったわけね」
慧音「その通りだ。その真相を確かめる」
魔理沙「確かめるって…今聞いてくれば」
慧音「静かに。…誰かが霊夢に近付いてる」


霊夢の元にやって来たのは、サラリーマンのおっさんでした。
一言二言会話した二人。
そして霊夢が立ち上がると、おっさんをどこかへと案内し始めました。


魔理沙「霊夢が…霊夢が、あんなおっさんと…」
慧音「落ち込んでる場合じゃない、後を追うぞ」


霊夢とおっさんの後をこっそりと追う三人。
しばらく追っていくと、霊夢とおっさんは薄暗い路地へと入っていきました。


紫「…この先って、ホテル街よね?」
慧音「ああ、そうだ」
魔理沙「あ"〜っ! 霊夢があんなおっさんと〜!」
紫「まだ決まった訳じゃないでしょ」
慧音「こっそり後を追うぞ」


薄暗い路地を歩く霊夢とおっさん。その後を追う三人。
この路地を抜けるとホテル街…なのですが、そこまで行かず、霊夢とおっさんは分かれ道を曲がっていきました。
急いで後を追うと、三人の目の前に現れたのは…。


魔理沙「なんだ、これ?」
紫「来世占い…?」


そこは占い屋でした。
三人が呆然としながらその店を見上げていると。


霊夢「あら、あんた達。こんなところで何をしてるの?」
慧音「それはこちらの台詞だ。霊夢お前、こんなところで何を?」
霊夢「私はバイトよ。この来世占いのアシスタントをしてるの」
紫「変なおっさんをここに連れ込んでたけど…」
霊夢「あれはお客さんよ。一見さんは場所すら分からない人が多いから、こうやって案内役も務めてるのよ」
魔理沙「な、なんだ…私はてっきり…」
霊夢「私がいかがわしいバイトをしてると思った?」
慧音「思った。実際、そういった噂もあったからな」
霊夢「そう。そんな噂が立ってしまったのは私の落ち度ね。今後は気を付けるわ」
紫「それにしても、この占い屋…本当に健全なの?」
霊夢「疑うくらいなら入ってみれば?」
慧音「しかし…」
魔理沙「…悩んでも仕方がないし、入ってみようぜ?」
慧音「……そ、それもそうだな」


三人は霊夢に案内され、占い屋へと入っていきました。


霊夢「確かに店内の雰囲気は怪しいかもしれないけど、これは単なる演出よ。来世占いと銘打ってるけど、実際は人生相談ね。サラリーマンが多いのは、悩みを多く抱えてるから。そんな人達に道を示してあげるのが、この店の仕事なのよ」
魔理沙「なるほどな」
紫「で、ここの占いは当たるの?」
霊夢「そうね…。的中率は7割といったところかしら」
魔理沙「かなりの確率だな」
慧音「………」
紫「慧音、さっきから黙ってるけど大丈夫?」
慧音「ああ、大丈夫だ。ここが不健康ではないと言うことは分かったが、バイトの時間帯も場所も問題があると思ってな」
霊夢「痛いところを突くわね。確かに、すぐ近くにはホテル街。いかがわしい店も近くにあるし、バイトの時間も夕方から夜にかけて。あんたが納得しないのも当然ね」
慧音「分かっているのなら」
霊夢「でも、私はこのバイトを続けなきゃいけない理由があるの」
魔理沙「どんな理由だ?」
霊夢「それは……」


言いかけたところで、店の奥から霊夢を呼ぶ声が聞こえてきました。


来世占いのお姉さん「霊夢、あんたにお客さんよ」
霊夢「あ、はい、今行きます。……ちょうど良いわ。私の仕事を見て、それから判断して」


霊夢の仕事? と疑問に思った三人でしたが、とりあえず霊夢についていくことにしました。

部屋に入ると、そこには椅子に座った女性の客がいました。
具合でも悪いのか、その女性客は俯いたまま微動だにしません。


来世占いのお姉さん「いつものやつ、頼むわね」
霊夢「これまた随分と……。分かりました、どうにかします」
慧音「霊夢、これは一体?」
来世占いのお姉さん「静かに。これは大事な仕事なの。黙って見ていなさい」
慧音「………」


三人は霊夢を見守ります。
女性客は俯いたままでしたが、霊夢が近付いた瞬間、まるで女性とは思えないような低い唸り声を上げました。


霊夢「良くもまあ、ここまで溜め込んだものね。でも、安心しなさい、すぐに楽にしてあげるわ」


そう言うと霊夢はお札とお払い棒を取り出しました。
そして。


霊夢「あるべき場所へ還りなさい。夢想封印」


その瞬間、女性客は悲鳴を上げました。
そして再び、女性客は俯きます。
……しばらくして女性客が顔をあげると、まるで憑き物でも取れたかのような、清々しい表情をしていました。


霊夢「気分はどう?」
女性客「…頭が少しぼーっとするけど、肩の荷が降りたようにスッキリしました。ありがとうございます」
来世占いのお姉さん「じゃあ、続きは隣の部屋で」

紫「除霊か」
霊夢「その通りよ。悩みを抱えてる客の中には、余計なものまで抱えてる人もいるの。そういう人たちのために、私はここでバイトをしてるのよ」
魔理沙「そっか。霊夢は実家が神社だもんな」
霊夢「そういうこと。慧音、これで納得してくれた?」
慧音「………」
紫「慧音?」
慧音「正直、霊の類いとか信じられないが…今見たことは真実だ。それに、お前は他人のためにこのバイトをしている。……納得したわけではないが、とりあえず信じることにしよう」
霊夢「ありがと」


後日。


魔理沙「ついに夏休みが始まるな」
霊夢「そうね」
魔理沙「お前のバイトに関する噂も聞かなくなったし、めでたしめでたしだな」
慧音「しかし…何故、夏休みに近付くとバイトを始める者が増えるのだろうか?」
魔理沙「ああ、それは…むぐっ!」


霊夢は魔理沙の口を塞ぎました。


霊夢「さあ? なんでかしらね?」
慧音「? …まあ良いか。風紀委員の仕事があるから、先にいくぞ」
霊夢「ええ、また後で」
魔理沙「……ぷはぁっ! 何すんだよ!」
霊夢「みんながバイトをしてる理由を知ったら、私の夏休みが無くなるかもしれないのよ?」
魔理沙「ああ……。みんなは遊びのために稼いでるはずだからな。その理由を知ったら、また調査に駆り出されそうだぜ」
霊夢「でしょ? だから、慧音の前では変なこと言わないで」
魔理沙「ああ、分かったよ。それにしても夏休みだ。思いっきり遊んでやるぜ♪」
霊夢「先に言っておくけど、課題は見せてあげないからね」
魔理沙「そんなご無体な!」


涼花「次回予告♪ その前にみんな、バイトの調査お疲れ様♪」
霊夢「本当に疲れたわ」
涼花「そして、次回はいよいよ夏休み♪」
魔理沙「夏休みと言えば…」
パチェ&菫子「コミケ♪」
霊夢「腐女子は帰って、どうぞ」
涼花「開放的な夏休みに何が起こるのか♪」
紫「平和には終われないでしょうね…」
涼花「次回、東方学園8月♪ 乙女達のサマーバケーション お楽しみに♪」


8月に続く