涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
東方学園 9月
他校との異文化交流。
そんな話が出たのは、新学期に入って数日後のことでした。
霊夢「で? 異文化交流したい学校って、どこなの?」
映姫「それが、私も詳しくは知らないのですよ」
さとり「映姫さんが持ってきた話では?」
映姫「いいえ。正確には、八意永琳が提案してくれた事なのです」
阿求「肝心の永琳さんは居ませんが…」
映姫「遅れて来るそうですよ。一度は断ったのですが、熱心に勧めてくるもので…」
霊夢「あんたが折れるなんて珍しいわね」
永琳「ごめんなさい、遅れたわ」
霊夢「噂をすれば、元凶のお出ましね」
永琳「元凶? 何の話?」
霊夢「何でも? それより、他校との異文化交流についてだけど」
永琳「ええ、説明させてもらうわ。私が元々、月都学園の生徒だったことは知ってるわね?」
映姫「はい。蓬莱山輝夜や鈴仙・優曇華院・イナバらと共に、月都学園から転校してきたと伺ってます」
永琳「その通り。そして、その月都学園から私に、連絡が入ったのよ。東方学園と異文化交流をしたいってね」
霊夢「だったら、学園に直接連絡すれば良いのに」
永琳「…私に、仲介役にでもなってほしかったんじゃない?」
霊夢「………」
阿求「映姫さん、どうしますか?」
映姫「そうですね…。この様な機会は貴重ですし、お引き受けして宜しいかと」
永琳「ありがとう。それでは、月都学園には私から伝えておきます。日時に関しては改めて報告するわ」
霊夢「………」
さとり「霊夢さん。先程から黙ってますが、気になることでも?」
霊夢「別に?」
月都学園 諜報活動部
清蘭『こちら清蘭。対象は餌に食い付いた。繰り返す、対象は餌に食い付いた』
鈴瑚「了解。引き続き調査を続行せよ」
ドレミー「しかし月都学園が、この様な諜報活動部なるものを持っているとは驚きですよ」
鈴瑚「普段は通信機やスパイグッズ、それから団子が好きな集いなんだけど、今回は事情が事情だからね。こちらも気合いが入って、良い刺激だわ」
ドレミー「そうでしたか」
鈴瑚「そっちは上手くいってるの?」
ドレミー「今のところ問題はありませんね。司令塔であるサグメさんの無口さを除けば」
サグメ「………口は災いの元………」
ドレミー「ああ、そう言うキャラでしたか」
そして異文化交流当日。
東方学園は物々しい雰囲気に包まれていました。
月都学園はブルジョア学校であり、粗相をすれば何が起こるか分からない。
しかし東方学園の生徒達は月都学園の生徒に興味津々。
浮き足立つ生徒達を抑えるのに、生徒会役員は必死なのです。
霊夢「こんな状態で、異文化交流なんて出来るのかしら?」
映姫「風紀委員にも協力してもらっています。どうにかするしかないでしょう」
さとり「……映姫さん、来たようです」
東方学園の校門に現れたのは清蘭、鈴瑚、綿月豊姫、依神姉妹を引き連れた、月都学園生徒会長の稀神サグメでした。
清蘭「生徒会でもないのに、なんで私達まで…」
鈴瑚「これも仕事よ」
豊姫「東方学園は、相変わらずの賑わいね」
依姫「そのようね。八意様、元気かな?」
映姫「ようこそ、東方学園へ」
サグメ「……………」
霊夢「……?」
豊姫「本日は我等月都学園の提案を快諾していただき、まことにありがとうございます」
依姫「…と、サグメ様は仰っているわ」
霊夢「久しぶりね、綿月姉妹」
豊姫「これは霊夢さん」
依姫「その節はどうも」
霊夢「それ、私が言う台詞だと思うけど」
映姫「おや、知り合いでしたか」
霊夢「昔、ちょっとね」
さとり「積もる話は学園内で。案内致しますよ」
学園内を案内した東方学園生徒会役員でしたが、やはりどこへ行っても、月都学園の生徒は注目の的でした。
一通り案内を終えると、生徒会役員は逃げるように生徒会室へと向かいました。
生徒会室
阿求「うちの生徒達が申し訳ありません…」
サグメ「いえいえ。我々は他校の、それも生徒会役員。興味を持つのは自然かと」
霊夢「…急に喋るようになったわね」
サグメ「ここに来たことで、事態は少しずつ好転し始めたと思ったからよ」
霊夢「……?」
依姫「実は、他校との異文化交流と言うのは建前で、本当の目的は」
豊姫「貴女達に助けを求めるために訪れたのです」
映姫「助け…ですか?」
サグメ「今、我が月都学園は窮地に立たされています。このまま行けば、月都学園の全生徒を東方学園へ転校…避難させなければならなくなってしまう」
霊夢「待って待って。話が見えないし、月都学園の全生徒なんて受け入れられないわよ」
さとり「いったい、月都学園で何が起こっているのですか?」
サグメ「月都学園は、問題を起こす生徒など一人もいなかったのですが…ある日、ある生徒が問題を起こし退学処分となりました。その恨みから、彼女は月都学園へ脅迫状を送ってきたのです。月都学園を、武力をもって制圧する。と…」
霊夢「逆恨み甚だしいわ」
サグメ「教師も警察も、彼女に対してアクションを起こすことが出来ません。彼女は強大な力を持っていますから…」
霊夢「…で? 私達に何をさせたいの?」
サグメ「武力に対し武力で対抗するのは愚策。ならば説得しかありません」
阿求「それこそ、そちらの学園の問題。貴女達が説得すれば良いのでは?」
サグメ「既に試みているのですが、我々とは話すつもりもないようです。だから、貴女達東方学園と言う、第三者の説得が必要なのです」
霊夢「話にならないわ。私達は無関係だし、自力で解決しなさい」
サグメ「貴女達東方学園を、我等月都学園が人質にしている。と言ったら、貴女の態度も少しは変わるでしょうか?」
霊夢「……どういう意味?」
サグメ「先程も言った通り、我々に残されている道は東方学園への転校。もちろん、受け入れることが出来ないことは承知しています。ですが、貴女達を全員退学させ、我々が東方学園に転校する。そんな事が出来るだけの力を、我々が有しているとしたら?」
映姫「さすが、月都学園の皆さんは考えることの規模が違いますね」
さとり「それでいて、嘘やでまかせでもない。目的のためなら手段を選ばないのですね」
サグメ「褒め言葉と受け取っておきましょう。さあ、どうしますか?」
映姫「……仕方がありません。引き受けましょう」
サグメ「賢明な判断に感謝します。日時は改めて報告させていただきます。それでは…良い働きを期待してますよ?」
サグメ達は帰っていきました。
霊夢「……はぁ」
阿求「仕方がありませんよ。東方学園が人質に取られてしまったのですから」
霊夢「だから腹立たしいのよ。あいつ…サグメって言ったよね? 一発殴ってやらないと気が済まないんだけど」
さとり「気持ちは分かります」
映姫「兎に角、引き受けてしまったからには責任をもって、この問題に取り組みましょう。とは言え、東方学園が人質に取られている以上、全生徒会が動くわけにはいきませんね」
阿求「では、説得組と待機組に分けましょう」
霊夢「私が行くわ。依姫と豊姫とは顔馴染みだし、月都学園へは一度だけ足を運んでるからね」
阿求「私は…遠慮させてもらいます。月都学園の皆さんは…なんと言うか、少し苦手で…」
霊夢「問題無いわ。映姫も総生徒会長だから、残った方が良いわね」
映姫「では、説得は霊夢さんとさとりさんにお任せします。くれぐれも気を付けて」
そして迎えた説得当日。
霊夢とさとり。そして何故か現れた優曇華の三名は、月都学園を訪れました。
霊夢「……なんで、あんたが居るのよ?」
優曇華「師匠に頼まれたから。それに私は、元月都学園の生徒よ? 私が一緒に行った方が、何かと便利だと思うけど?」
さとり「月都学園に詳しいのであれば、ここで断るのは得策ではないと思います」
霊夢「分かった分かった。一緒に行きましょう」
サグメ「ようこそ、月都学園へ。異文化交流、楽しんでいってください」
霊夢「ああ、そう言う体(てい)なのね」
サグメ「おや、貴女は…」
優曇華「お久しぶりです、サグメ様」
サグメ「…なるほど、八意様の差し金か。良いでしょう、元月都学園の貴女も歓迎しますよ」
クラウンピース「…なんだか、面白そうなの見つけちゃった♪」
月都学園をひとしきり案内された霊夢達は、生徒会室へと案内されました。
さとり「月都学園…噂以上でしたね。授業に関しても、全てが最先端。東方学園でも取り入れてみたら面白そうですね」
優曇華「真面目に異文化交流してるわね…」
霊夢「異文化交流も済んだことだし、本題に入りましょうか。私達が説得しなければならない相手の情報を寄越しなさい」
サグメ「……………」
霊夢「急に黙るな」
サグメ「………なんて間の悪い………」
霊夢「え?」
「きゃあぁ!」
月都学園に突如、悲鳴がこだましました。
その異常事態に、霊夢、さとり、優曇華の三名は悲鳴の元へ向かいます。
月都学園の中庭。
そこでは清蘭と鈴瑚が、なんとも奇抜な服装の少女に追い詰められていました。
霊夢達はその場へ駆け付けます。
霊夢「何事?」
清蘭「れ、霊夢さん、助けてください!」
清蘭と鈴瑚は酷く怯えていた。
訳は後で聞こうと、三名は少女の前に立ちはだかりました。
クラウンピース「面白そうなのが居ると思ったけど、あんた達は本当に面白いね♪ あたいを見て怖がらないんだもん♪」
霊夢「怖がる? …あんたみたいな奴、怖いわけがない」
さとり「どちらかと言うと、愉快な人ですかね」
優曇華「頭悪そう」
クラウンピース「……マジで言ってる? あんた達、この穢れが怖くないの? 穢れさせちゃうぞー?」
霊夢「……ああ、なるほど。月都学園の生徒は、H=穢れだったわね。どうりで、一人称とかHっぽいと思ったわ」
クラウンピース「う…月都学園の生徒のくせに、あたいに歯向かうの!?」
優曇華「やっぱりHだったわね」
さとり「制服で判断出来ないのでしょうか?」
クラウンピース「え? え? 月都学園の生徒じゃないの?」
霊夢「そのくらい分かりなさいよ」
クラウンピース「……やめたやめた。月都学園の生徒じゃなければ用はないし、あたいは帰る」
霊夢「あ、待ちなさい!」
クラウンピースは去っていきました。
さとり「逃げられましたね」
優曇華「追い払ったってことで良いと思うわよ? 実際、月都学園からしてみたらその通りなんだし」
鈴瑚「あ、ありがとう、助かったよ」
サグメ「どうやら、みんな無事のようで」
霊夢「あのさ、月都学園はあんな奴に歯が立たないの?」
サグメ「あれは、純狐が差し向けた刺客です。純狐があの者に力を与えてしまったため、我々では手が出せずにいたのです」
さとり「純狐?」
サグメ「月都学園を退学処分された、貴女達が説得しなければならない相手の名よ。あの穢れ(ミス)にまみれたクラウンピースを、いとも容易く退けた貴女達なら…あるいは…」
霊夢「穢れ穢れって、月都学園は相変わらずね」
サグメ「貴女達が月都学園を訪れたことにより、物語は逆転し始めました。さあ、純狐の元へ向かうのです」
優曇華「はあ…。サグメ様が仰るのなら、そうなっちゃうんでしょうね」
月都の外れ。静かの海の更に先。
誰も寄り付かないこの場所に、今回の首謀者が佇んでいました。
純狐「貴女の部下が逃げ帰ってきたけど、月都学園もようやく、奇策を打ち出してきたようね」
???「そのようね。でも彼女には、もう一仕事してもらいましょう」
静かの海。
ドレミー「やれやれ。私が道案内をすることになろうとは」
霊夢「ぶつぶつ言わないの」
さとり「それにしても、この辺りは何もないですね」
優曇華「都市開発の残滓。整地だけして、あとは手付かずなのよ」
ドレミー「日当たりも地盤も立地条件も最悪ですからね」
クラウンピース「はい、そこまで! ここから先は狂気のJC(ルナティックフェアリー)のクラウンピースさんが仕切らせてもらいまーす♪」
霊夢「また出た…。あんまりしつこいと、痛い目見るわよ?」
クラウンピース「まあまあ♪ あたいはご主人様の友人様から、貴女様方を案内するよう頼まれたのよ♪」
さとり「と言ってますが」
ドレミー「ここは言う通りにした方が良いでしょう。と言うわけで、私はこれにて失礼しますね」
優曇華「あ、ちょっと!」
ドレミー「安心してください。終わる頃には迎えに来ますから。では」
ドレミーは去っていきました。
霊夢「……どいつもこいつも……」
さとり「霊夢さんの怒りのボルテージが凄いことに…!」
霊夢「そこのH! 案内するなら、さっさと案内しなさい!」
クラウンピース「わ、分かったから怒鳴らないでよ…」
静かの海(裏)
クラウンピース「お、お連れしました…」
???「ありがとう、下がっていいわ」
クラウンピースに指示を出したのは…胸元にWELCOME HELLと書かれたTシャツを着た少女でした。
霊夢「あんたが純狐?」
???「残念、私は純狐ではないわ」
少女の青色だった髪は真っ赤に変色していきます。
ヘカーティア「私はヘカーティア・ラピスラズリ。純狐の友人よ」
霊夢「だったら、あんたでも良いわ。あのHを月都学園へ差し向けるのも、武力制圧もやめてほしいの。そう、純狐に伝えてくれない?」
ヘカーティア「って言ってるけど、どうする?」
純狐「……まずは、月都学園の奇策を見極める」
優曇華「…貴女が純狐ですね?」
純狐「その通り。月都学園を憎み、復讐を誓った者。それが私よ」
さとり「月都学園の皆さんも、そして我々も迷惑しています。復讐も武力制圧も、今すぐやめてください」
純狐「そこの玉兎以外は…東方学園の生徒ね? どうして貴女達が迷惑しているの? これは私と月都学園の問題なのに」
霊夢「玉兎?」
優曇華「月都学園の下っ端生徒のことよ。まず、私は元月都学園の生徒。今は東方学園の生徒よ」
純狐「なるほど…。では何故、東方学園が迷惑を被るのか、聞かせてもらえるかしら?」
霊夢「月都学園の連中が、東方学園を人質にしたからよ!」
優曇華「霊夢、少しは落ち着いて」
ヘカーティア「人質? どういうこと?」
さとり「実は……」
さとりはこれまでの経緯を説明しました。
純狐「…月都学園らしい、非人道的な手段。月都の狂気は健在か」
ヘカーティア「そこも含めて対策済みではあるけど…」
純狐「でも、第三者が巻き込まれるのは、私も望んではいない。それを聞いたら、復讐心も薄れてきた」
ヘカーティア「じゃあ、解放してあげる?」
純狐「そうしよう。東方学園の皆さん、今回は本当に迷惑をかけた。月都学園に代わり、私が謝ろう」
優曇華「えっと…つまり?」
さとり「めでたしめでたし?」
霊夢「納得いかん!」
優曇華「ここは納得しなさい! 余計な波風を立てようとしないの!」
霊夢「…分かった。じゃあ今回のことを月都学園と東方学園に報告したら、その足でカラオケに寄るから付き合いなさい!」
優曇華「はいはい、分かったわよ」
さとり「わ、私もですか!?」
霊夢「当たり前じゃない! ほら、行くわよ!」
ヘカーティア「ちょっと待って?」
霊夢「まだ何かあるの!?」
ヘカーティア「貴女…博麗霊夢よね?」
霊夢「そうだけど?」
ヘカーティア「私の知ってる博麗霊夢とは随分と雰囲気が異なるけど……貴女とは良いお友達になれそうだわ。これから宜しくね♪」
霊夢「はいはい宜しく! じゃあね!」
純狐「まさか第三者を使うとはね。こんな秘策に打って出た元凶に、一度会ってみたいな」
ヘカーティア「あと、東方学園はなかなか面白そうね。興味が尽きないわ」
純狐「じゃあ今度、東方学園に遊びに行ってみる?」
ヘカーティア「あ、それ良いわね♪」
誰を殴る気にもなれず、しかし怒りの収まらない霊夢は、さとりと優曇華を巻き込み、その怒りを発散するかのようにカラオケで歌い続けました。
月都学園の全生徒を東方学園に転校させる計画も、霊夢達の報告により中止となり、東方学園に再び平和な日々が訪れました。
そしてこの一件以来、清蘭と鈴瑚。そして純狐とヘカーティアは東方学園を頻繁に訪れるようになりました。
それがまた別の問題の火種となるのは、また別のお話。
涼花「次回予告♪ 遂に訪れるビッグイベント♪ その名はハロウィン♪」
霊夢「悪夢でしかないわ…」
涼花「もちろん、東方学園でもハロウィンは変わらずやって来るのだ♪」
優曇華「今のうちに逃げる準備をしないと」
涼花「お菓子もイタズラも両立させたい欲張りさんも目白押し♪」
サグメ「国外逃亡も視野に入れなければ…」
涼花「ちょっとみんな、そこまでしなくても…。じ、次回、東方学園10月♪ 悪夢到来、トリック・アンド・トリート お楽しみに♪」
終わり