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東方学園 11月


文化祭。
文化、芸術交流の一環であり、毎年訪れるお祭り行事です。
文化祭は文化祭実行委員会が生徒会に代わり取り仕切ります。


針妙丸「さあ、今年もこの季節がやって来たよ」
わかさぎ姫「文化祭…ですね」
雷鼓「今年の方針は下克上」
正邪「東方学園のパワーバランスをひっくり返す」
八橋「その為にも、生徒会には私達の行動を隠さないとね、姉さん」
弁々「分かってるわよ」
赤蛮奇「今年の文化祭は、楽しくなりそうね」
影狼「返り討ちに逢わなきゃいいけどね」


文化祭前日。
各クラスの者達は、最後の追い込み作業に明け暮れていました。
時間も6時を回り、霊夢は校内の見回りを行っています。


霊夢「いや…あんたが一緒についてくる必要もなかったでしょ」
魔理沙「そんなこと言うなって。うちのクラスの準備はほぼ終わって、私がやることも無いんだからさ」
霊夢「仕上げの手伝いをしなさいよ…」


話ながら歩いていると、霊夢はある教室で足を止めました。


霊夢「アリスのクラスも、最後の追い込みみたいね」
魔理沙「確か、手作り人形の展示だったか。アリスらしいな」
霊夢「そうね。ちょっと声を掛けてくるわ」

アリス「そこの人形は、もう少し左に寄せて。見映えが良くなるわ。人形の解れとか見つけたら、すぐに私に知らせて」
魔理沙「仕切ってるな」
アリス「この忙しい時に、邪魔でもしに来たの?」
霊夢「そうじゃないわ、ただの見回りよ。もう6時を回ってるから、ほどほどにしなさい?」
アリス「分かってるわ。ほらそこ、サボるな」
霊夢「…邪魔したわね」

魔理沙「アリスってさ、変なところリーダー気質だよな」
霊夢「人を使うのが上手なのよ」


霊夢はまた、ある教室で足を止めました。


魔理沙「ここは…神子の教室か」
霊夢「ここは、確か演劇をやるとか」
魔理沙「へえ。面白そうだし、ちょっと覗いてみようぜ♪」
霊夢「だから、あんたは教室に戻りなさいよ」


神子の教室では、演劇で使う小道具の調整や台本の擦り合わせを行っていた。


霊夢「…熱が入ってるわね」
神子「おや、博麗の…なるほど、見回りか」
魔理沙「お前達は演劇らしいな。何をやるつもりだ?」
神子「このマントを見て、何も分からないのか!」
霊夢「分からない」
魔理沙「分からんな。怪人赤マント青マントか?」
神子「オカルトじゃない…。演劇と言えば王子様だろ」
霊夢「あんたが王子様…ねぇ…」
神子「文句あるのか?」
霊夢「別に?」
神子「用がないのなら邪魔をするな」
霊夢「はいはい、邪魔なんてしないわよ」

霊夢「…あの神子が王子様か」
魔理沙「いやはや、笑いを堪えるのに必死だったぜ。そう言えば、文化祭実行委員会は何をしてるんだ? こういった見回りも、そいつらの仕事のはずだろ?」
霊夢「さあね。任せっきりにしてるから、あいつらが何をしてるのか知らないわ」
魔理沙「だったら、そいつらの様子も見てみようぜ?」
霊夢「……それもそうね。あいつらの仕事も把握しておきたいし、何か企んでる予感がするからね」


文化祭実行委員会は、生徒会室に集まっていました。
霊夢がその扉を蹴破ります。


霊夢「生徒会よ! 全員、大人しくしなさい!」
わかさぎ姫「な、何ですかいきなり!」
霊夢「あんた達、何か良からぬ事を企んでるでしょ」
雷鼓「別に、何も企んでいないわ」
針妙丸「そ、そうよ! 変な言い掛かりをつけないでよね!」
霊夢「隠してもダメ。私のレーダーが反応してるのよ」


そう言って霊夢が指差したのは、霊夢のトレードマークとも言える大きなリボンでした。
そのリボンは『ミコーン、ミコーン』と、怪しげな音を発しています。


魔理沙「それ、レーダーだったのかよ…」
霊夢「まあ冗談はさておき」


霊夢は音の鳴るリボン(税別1,980円)をいつものリボンと取り替えると、文化祭実行委員会達を問い質しました。


霊夢「もう一度聞くわ。あんた達、何か良からぬ事を企んでるでしょ」
赤蛮奇「だから、何も企んでいないって」
弁々「あらぬ疑いを掛けられるのは心外だわ」
八橋「ほんとほんと」
影狼「何か根拠でもあるのかしら?」
霊夢「さっきから正邪が何も言わないのが、とてつもなく怪しいのよ」


指摘された正邪は、じりじりと後退っていました。


霊夢「あんたは天の邪鬼な性格だからね。逆に、嘘をついてるかも分かりやすいのよ」
魔理沙「なるほど。こいつが何も企んでないと言えば、こいつらは何か企んでることになる。何も言わないと言うことは、言えばバレてしまうからか」
霊夢「そう言うことよ」
正邪「うぐぅ〜……」


正邪はとても悔しそうな表情を浮かべていました。


霊夢「さて、何を企んでるのか、詳しく聞かせてもらいましょうか」
正邪「ぐぬぬぬ〜…」


追い詰められた正邪は、生徒会室から逃げ出しました。


魔理沙「悪いこと企んでますって自白したも同然だな」
霊夢「そうね。さっさと追い掛けるわよ」


散々走り回った挙げ句、屋上まで逃げた正邪でしたが、こんなところに逃げ道などあるはずもなく、正邪は霊夢達に追い詰められました。


霊夢「逃げ場はないわ。何を企んでるのか、正直に話しなさい」
正邪「べ、別に何も企んでない」
霊夢「天の邪鬼なあんたの言葉を、そう簡単に信用できると思う?」
正邪「ほ、ほんとだ! 何も企んでない!」
魔理沙「嘘、ばっちり企んでるって言ってるな」
正邪「あのさ…私だって全部が全部、逆転させて話してる訳じゃないんだ」
霊夢「どうだか」
魔理沙「何かしらを企んでるのはバレてんだから、素直になった方が身のためだぜ?」
正邪「うぅ〜…」
「その話、儂に預からせてもらおう」
霊夢「この声は…」


屋上に現れたのは、二ツ岩マミゾウでした。


魔理沙「出た、マミゾウばあちゃん」
マミゾウ「確かにこんな喋り方じゃが、これでもピチピチのJKじゃぞ?」
霊夢「マミゾウ、何の用?」
マミゾウ「先程も言った通り、この話を儂に預けてくれんかのう?」
霊夢「あんたも、何か企んでるのね?」
マミゾウ「逆じゃよ。儂は正邪の企みを知っておるからな。ついでに、正邪の名誉も守ってやろうと思ってやって来たのじゃよ」
霊夢「名誉を守る?」
マミゾウ「正邪、言っても良いな?」
正邪「言いたければ言え」
マミゾウ「絶対に言うなと言っとるようじゃが、元の言葉の意味で話を進めさせてもらうぞ」
霊夢「で? こいつらの企みは何なのよ?」
マミゾウ「なに、簡単な事じゃよ。正邪達の計画は…文化祭を大成功させる事じゃ」
魔理沙「文化祭を大成功させる? それこそ信用出来ないぜ」
マミゾウ「まあ話は最後まで聞け。もし、初等部から高等部までの全クラスが文化祭を大成功させたら…大成功させる事が出来たら、生徒達は文化祭実行委員会をどう評価すると思う?」


突然の問いに、魔理沙は考え込みます。


魔理沙「そうだな……少しは見直すか」
マミゾウ「成功ではなく大成功じゃぞ? 何の問題も起こらず、思い出に残る文化祭を行う事が出来たら」
魔理沙「……ひょっとしたら、霊夢達生徒会より評価が高くなるかもな。それだけの大成功を収められれば、生徒側は文句なしだぜ」
霊夢「まさか……」
魔理沙「ん? 何がまさかなんだ?」
マミゾウ「正邪達の目的は、生徒会より文化祭実行委員会の方が優れていると、学園中に広める事。そうすれば来期の生徒会選挙は、文化祭実行委員会に多くの票が集まるじゃろう」
魔理沙「それってつまり、文化祭実行委員会による生徒会への反乱ってことか?」
マミゾウ「言い方は大袈裟じゃが…まあそんな所じゃ」


全てを暴かれてしまった正邪の表情は、悔しさを滲ませていました。


霊夢「なるほど、確かに良い案ね。それなら、生徒会から言うことは何もないわ」
魔理沙「無いのかよ! こんなに堂々と反乱を企ててるのにか!?」
霊夢「ねえ魔理沙、生徒会選挙はいつ行われると思う?」
魔理沙「あー…確か、4月か5月だったか?」
霊夢「ええ、そうよ。そして、こいつら文化祭実行委員会が活発に活動できるのは、今月の文化祭前後だけ。逆に私達生徒会役員は、一年中活動できるのよ。これが何を意味するか分かる?」
魔理沙「…なるほど。一過性の盛り上がりより地道な努力か」
霊夢「そう言うことよ。もし、今回の文化祭で人気が出て、生徒会選挙に出馬出来るようになったら…その時は全力で相手をしてあげる」
魔理沙「…だそうだ正邪よ」


正邪は本当に悔しいのでしょう。肩をプルプルと震わせていました。
…そして何かを決意したかのような表情を浮かべると、霊夢を指差し高らかに叫びました。


正邪「ならばここで宣戦布告だ。私達文化祭実行委員会は、必ず生徒会選挙で勝利を収める! そして、東方学園のパワーバランスをひっくり返してやる! 首を洗って待ってろ!」


捨て台詞を吐き、正邪は去っていきました。


霊夢「これで、正邪の名誉は守られたかしら?」
マミゾウ「悪いことを企んでいる、と言う疑いは晴れたからのう」
魔理沙「いや、生徒会に反乱だなんて、十分悪いことだと思うぜ?」
マミゾウ「しかし、それも生徒の事を考えての事。これはうかうかしてると、霊夢も足元を掬われるやもしれぬぞ?」
霊夢「その時はその時よ。生徒が求めるなら、あいつらが生徒会役員になっても問題ないもの」
魔理沙「じゃあ、一件落着か?」
霊夢「まだでしょ?」
魔理沙「ん?」
霊夢「文化祭の準備、まだ終わってないじゃない。今日中に仕上げなきゃいけないから、さっさと教室に戻るわよ」
魔理沙「お、おう(すっかり忘れてたぜ…)」
マミゾウ「さて、儂も戻るとするか」
霊夢「あんたは…知ってたなら最初から教えてくれれば良かったのに」
マミゾウ「教えたらつまらんじゃろ。それに、正邪達が本当に生徒会より支持を集められるか、興味もあったのでな」
霊夢「あんたの見立ては?」
マミゾウ「そうじゃな…100%無理とも言えぬのではないかの」
霊夢「………」
マミゾウ「さて、本当に戻らんと神子に怒られてしまうな」
霊夢「…私達も戻りますか」
魔理沙「そうだな」


こうして文化祭当日。
文化祭実行委員会の献身的な働きもあって、文化祭は大成功を収めました。
生徒からの支持を集めた文化祭実行委員会は、一躍ヒーローに…なったのは最初の三日だけ。
その熱も徐々に冷めていき、また文化祭実行委員会も文化祭が終わり、半ば自然消滅していました。
また来年になれば文化祭実行委員会が擁立される事でしょう。
ですが、正邪の野望が潰えたわけではありません。
文化祭での熱気を取り戻す為、正邪は裏で暗躍を続けるのでした。


涼花「次回予告♪ クリスマスが今年もやってくるよ〜♪」
霊夢「そうね。東方学園ではクリスマスパーティーとか無いけど」
涼花「だから生徒だけでクリスマスパーティーをすることになったわたし達♪」
魔理沙「今の私達は未成年だから酒は出ないぜ」
ゆーちゃん「そのクリスマスパーティーで愛の告白が!?」
菫子「リア充爆発しろ〜!!」
涼花&ゆーちゃん「次回、東方学園12月♪ 聖夜の祭典、ホワイトクリスマス♪ お楽しみに♪」