涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
梅雨空
梅雨。それは、恵みの雨をもたらす季節。
植物にとっては嬉しい季節ですが、この雨が困った事態を引き起こすことも少なくありません。
寺子屋。
突然降りだした雨に、涼花ちゃんは立ち往生していました。
涼花「……おかしいなぁ。今日は雨降らないって言ってたのに……」
勢いを増す雨を窓から眺めながら、涼花ちゃんは傘を持ってこなかった自分を恨んでいました。
生徒達は下校してしまい、慧音も今日は用事があるとの事で早く帰ってしまいました。
幸い、どしゃ降りの雨ではないため、帰ろうと思えば帰れるのですが…このまま帰ったら風邪を引いてしまいそうです。
涼花「雨が止むまで待とうかな…。でも、夜まで降り続いたらいよいよ帰れなくなるし…」
そんな独り言を漏らしていると、窓の外に人影が見えました。
傘を差した人影は、ゆっくりと寺子屋に近付いてきます。
そして窓際まで来たところで、その人影がゆーちゃんだと、ようやく気付きました。
涼花ちゃんは窓を開けます。
涼花「ゆーちゃん、どうしたの? 今日は向こうの学校があるんじゃ…」
ゆーちゃん「そうだったんだけど、向こうはどしゃ降りで臨時休校になったんだ。で、幻想郷も雨が降ってたから、もしかしたら涼花ちゃん、傘を忘れてるんじゃないかって思ってね」
涼花「…本当に、わたしの事は何でもお見通しなんだね」
ゆーちゃん「涼花ちゃんは分かりやすいからね♪」
涼花「でも、助かったよ。傘も差さずに帰るところだったから」
と、涼花ちゃんはあることに気付きました。
ゆーちゃんが差しているものの他に、傘が見当たりません。
涼花「…ゆーちゃん?」
ゆーちゃん「ん?」
涼花「肝心の傘は?」
ゆーちゃん「一本で十分♪ 相合い傘で帰ろ♪」
とは言え子供用の傘。大人用ではないため、相合い傘をするには少し小さい気がします。
涼花「大丈夫かな?」
ゆーちゃん「大丈夫大丈夫♪ ぴったりくっついて行けば濡れないよ♪」
涼花「ゆ、ゆーちゃん、どうしたの?」
ゆーちゃん「何が?」
涼花「何か、いつもより積極的と言うか…ゆーちゃん、あまりこう言うことしないし…」
ゆーちゃん「たまには甘えたいの♪」
まるで恋人同士のよう。
二人仲良く歩いていると、一本の木の元までやって来ました。
そう、この場所です。
いつからか思い出の場所となった、この名も無き大木。
そこで雨宿りをしている、二人の人影が見えました。
ぬえと小傘です。
小傘「あっ、涼花ちゃんとゆーちゃんだ♪」
ぬえ「…やっぱりここで会うわね」
ゆーちゃん「こんにちは♪」
涼花「二人は雨宿り?」
ぬえ「一応、傘は持ってるんだけどね。小傘がどうしても、ここで雨宿りしたいって言うから」
ぬえも小傘も、自分の傘を持っていました。
小傘「二人は…もしかして、デート中?」
ゆーちゃん「はい♪」
ぬえ「このマセガキ共…」
涼花「…わたしが傘を忘れちゃって、ゆーちゃんに入れてもらってるだけだよ」
小傘&ゆーちゃん「それってもうデートでしょ?」
涼花「デートなのかなぁ…?」
ゆーちゃん「お二人もデートですか?」
小傘「そう、デート中♪」
ぬえ「…小傘が無理やり、散歩に行こうって誘ってきたのよ」
小傘「そんなこと言って、満更でもないくせに♪」
ぬえ「うるさい」
ゆーちゃん「小傘さん、ぬえさん。私達も一緒に雨宿りして良いですか?」
小傘「ぜひ♪ ここでダブルデートしよう♪」
ぬえ「だからデートじゃないっての」
涼花ちゃんとゆーちゃんは傘を閉じ、小傘とぬえと共に大木で雨宿りを始めました。
雨音の静寂が四人を包みます。
小傘「…気持ちいいわね」
ゆーちゃん「そうですね」
ぬえ「…そう? ジメジメするから、私はあまり…」
小傘「ジメジメするだけが雨じゃないわ。雨の日は色んな音で溢れてるから」
ゆーちゃん「音ですか?」
小傘「ほら、耳を澄ませて? 雨音の中に、色々な音が混ざってるから」
涼花ちゃんとゆーちゃんは耳を澄ませます。
すると…。
ゆーちゃん「……あ」
涼花「違う音が聞こえる」
ポタタッ、ポタタッ。
小傘「これは、雨粒が葉っぱに当たる音」
ゲコゲコ、ゲコゲコ。
ゆーちゃん「これはカエルだね」
涼花「……近くにいるの?」
ピチョン、ピチョン。
小傘「これは、大きめの雨粒が水溜まりに落ちる音」
ピニュッ、ピニュッ。
涼花「これは…?」
ゆーちゃん「カタツムリさんの頭に水滴が当たる音」
ぬえ「そんな訳…」
小傘「正解♪」
ぬえ「嘘でしょ…」
クゥ〜〜……。
ゆーちゃん「今のは?」
ぬえ「ウシガエルの鳴き声にしては、可愛らしかったわね」
涼花「あの……わたしのお腹の音……」
それを聞いて小傘、ぬえ、ゆーちゃんは笑い合いました。
ぬえ「なんだ、お腹が空いてただけか」
小傘「ということは、もう3時なのね」
ゆーちゃん「おやつの時間ですね。涼花ちゃんのお腹は正確だね♪」
涼花「あぅ……」
涼花ちゃんは顔を真っ赤にしています。
ゆーちゃん「涼花ちゃんもお腹を空かせちゃったみたいだし、そろそろ帰りますね」
ぬえ「待った。涼花ちゃん、傘が無いんじゃない?」
涼花「う、うん」
ぬえ「私の傘、貸してあげようか?」
涼花「…貸してくれるのはありがたいけど、やっぱり遠慮する。ゆーちゃんと一緒なら濡れないし」
ゆーちゃん「じゃあ、相合い傘デートの続きだね♪」
涼花「デートじゃないけどね」
涼花ちゃんとゆーちゃんが帰ろうとした時、雲は薄れ、切れ間から日の光が射し込んできました。
ぬえ「…晴れてきたわね」
ゆーちゃん「虹、でるかな?」
小傘「きっと出るよ。……ほら♪」
見上げるとそこには、それは見事な虹の架け橋が掛かっていました。
ぬえ「やっぱり、ここに来ると虹に出会えるわね」
涼花「そうだね。あの時もそうだった」
小傘「もちろん、あの時もね」
ゆーちゃん「あの時もです。そして、これからも」
そう、これからも。
これからも幻想郷の虹は、四人を祝福することでしょう。
いつまでも、どんな時でも。
終わり