涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
春の夢
春。
その暖かな陽気は穏やかで、それは深く心地よい眠りへと誘ってくれることでしょう。
そんな、春眠暁を覚えずと言う言葉がぴったりの、とても穏やかな陽気に、人も、動物も、妖怪ですら、その眠りに抗うことは出来ないのです。
心地よく眠れる。それだけで、幸せなのですから。
幽々子「春ねぇ…」
妖夢「そうですねぇ…」
幽々子「こんな日は、お団子を食べたいわ」
妖夢「ああ、良いですね。すぐに用意してきます」
幽々子「お願いね」
妖夢が立ち上がると、そこは白玉桜の縁側ではなく、博麗神社の庭でした。
妖夢「あ、あれ? 幽々子様?」
霊夢「ちょっと妖夢。そんな所に居ないで、こっちを手伝いなさい」
妖夢「え? ……あ、はい」
妖夢が博麗神社の台所に入ると、またもや景色が変化します。
そこは、人間の里でした。
妖夢「…???」
慧音「妖夢も買い物か? 大食らいの主だと、献立を考えるのも大変だろう?」
妖夢「え? ……え?」
慧音「春は食材が豊富だ。鱈の目の天ぷらなど良いんじゃないか?」
妖夢「そ、そうですね……」
再び景色が変化します。
幽々子「あら妖夢、お団子は?」
そこで妖夢は、ようやく理解します。
妖夢「ああ……これは夢ですね」
幽々子「妖夢、お団子」
妖夢「早く目を覚まさないと……」
妖夢が立ち上がろうとした時、幽々子が妖夢のスカートの裾を掴みます。
妖夢「ゆ、幽々子様!?///」
幽々子「よ〜う〜む〜! お〜だ〜ん〜ご〜!」
妖夢「ちょっ、目を覚ましたら食べさせてあげますから! スカートをつかまないでください!///」
幽々子「だ〜め〜! 今すぐ食べたいの〜!」
幽々子が妖夢の腕を掴むと、そのまま妖夢を抱き締めました。
妖夢の顔が、幽々子のふかふかに埋もれます。
妖夢「ゆ、幽々子様…くるし〜…」
幽々子「早くお団子を用意しなさい」
妖夢「そんな抱き締められたら、用意できないですよ〜……」
ふと、妖夢は不穏な何かを感じとりました。
自分を抱き締めている主から、邪気のような何かを……。
妖夢「……幽々子様?」
幽々子「なに? お団子、用意してくれる?」
妖夢「もちろん、用意しますが…幽々子様、本当に幽々子様ですか?」
幽々子「あら、私以外に見える?」
妖夢「そうではないのですが…幽々子様から、何やら邪悪な気配を感じるのです」
幽々子「妖夢? いくら私が亡霊だからって、それは酷いんじゃない?」
妖夢「正直に答えてください。でないと、いくら主と言えど斬りますよ?」
妖夢が幽々子を睨みます。
すると幽々子は、妖夢の頬に手を添えました。
妖夢「っ!?///」
幽々子「私が私かどうかなんて、そんなつまらないことを話しても、しょうがないでしょう? 妖夢、私はお団子が食べたいの。食べさせてくれないのなら……」
幽々子の顔が近づきます。
幽々子「代わりに……妖夢を……」
妖夢「ゆ、幽々子様、やめてください!///」
妖夢「幽々子様!!///」
そこは、妖夢の寝室でした。
妖夢「はぁ…はぁ…。ゆ、夢…だよね…」
妖夢は額の汗を拭います。
妖夢「嫌な夢を見たな…。変な夢を見たせいか…寝たはずなのに疲れた…」
外はまだ、陽も昇っていないようです。
妖夢「……もう一眠りしよう」
妖夢はもう一度、眠りにつきます。
その様子を外側から伺っているのは、涼花の能力である夢魔でした。
夢魔「ふぅ。久々の生気は美味しかったわ♪ …ただ、さすが半人半霊ね。吸い取れる量も半分か。これは新たな発見ね」
夢魔は夢の中へと消えていきました。
夢の中へと戻ると、涼花ちゃんが膨れっ面をしていました。
夢魔「ただいま♪」
涼花「ちょっと夢魔! どこに行ってたの!」
夢魔「怒った涼花ちゃんも可愛いわ♪」
涼花「誤魔化さないで! 夢魔、勝手に生気を吸いに行ってたでしょ! それはやめてって言ったじゃん!」
夢魔「あら、涼花ちゃんは私に、飢え死にしろと言うの?」
涼花「そうじゃないけど、夢魔はわたしの生気だけで十分なはずでしょ?」
夢魔「たまには別の人の生気を吸いたいのよ。生気と言っても、味はそれぞれ違うからね」
涼花「とにかく、もうやめて。ドレミーお姉ちゃんからも止められてるんだから」
夢魔「はいはい、分かったわ」
そうは言うものの、また勝手な行動を取るだろうと、涼花ちゃんは予感していました。
そして、そんな予感は往々にして当たってしまうもの。
夢魔の身勝手に、これから涼花ちゃんは振り回されてしまうのです。
続く