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幻想と夢 涼花編


「お願い……わたしを…忘れないで……。消えたくない……消えたくないよぉ……。行かないで……行かないで…ゆーちゃん……。嫌だ……消えたくない……ゆーちゃん……行かないで……忘れないで……ゆーちゃん……ゆーちゃん……」



涼花「ゆーちゃん!……あれ?……夢…だったのかなぁ……。嫌な夢見ちゃったなぁ……」


外の世界


涼花「ゆーちゃん、おはよう♪」
ゆーちゃん「あ、涼花ちゃん♪おはよう♪」
涼花「最近、一段と寒くなってきたね〜…」
ゆーちゃん「そうだね〜…でも、運動すれば暖かくなるよ」
涼花「ゆーちゃん、病気が治ってから、寒くても外で遊ぶようになったよね。…わたしは寒いの苦手だよぉ〜…」
ゆーちゃん「ん〜……。あ、だったら、学校まで走っていこうか♪」
涼花「え?」
ゆーちゃん「さあ、行こう?」
涼花「ちょっ、ゆーちゃん!?」


学校……


ゆーちゃん「はぁはぁ、とうちゃ〜く♪」
涼花「はぁはぁ……もう……いきなり走り出すんだもん……はぁはぁ…」
ゆーちゃん「でも、体は暖まったでしょ?」
涼花「ん…ま、まぁね…はぁはぁ…」


先生「……じゃあ、この部分を読んでくれる人〜」
生徒「は〜い!」
先生「それじゃあ……雪柳さん、読んでください」
ゆーちゃん「はいっ」


先生「それじゃあ次の問題が分かる人」
生徒「は〜い!」
先生「ふむ…それじゃあ…香雪蘭」
涼花「……ふぇっ!?あ、は、はいっ!」


ゆーちゃん「…あのさ、涼花ちゃん」
涼花「……ん?なに?」
ゆーちゃん「最近、ボーッとしてることが多いけど、何か考え事?」
涼花「あ、うん…ちょっとね」
ゆーちゃん「……?」
涼花「何か、大切なことを忘れてるような気がするんだ。けど、何を忘れたのかが思い出せなくて…。それで、何を忘れたのかを考えてたの」
ゆーちゃん「ふ〜ん」
涼花「なんだろうなぁ……ぜんぜん思い出せないんだ……それに、思い出そうとすればするほど、心に大きな穴が空いたような気持ちになっちゃって……」
ゆーちゃん「でも、大切なことなんでしょ?だったら、いつか思い出せるときが来るよ♪」
涼花「そうだね。思い出せるように頑張ってみるよ」


翌日


涼花「う〜…今日も寒いなぁ……」
ゆーちゃん「涼花ちゃん♪おはよう♪」
涼花「あ、おはよう、ゆーちゃん♪」
ゆーちゃん「どう?大切なことは思い出せた?」
涼花「ん〜……まだ思い出せないんだ……」
ゆーちゃん「そっか……。あっ!手がかりになるかどうかは分からないけど……はい、これ」
涼花「ん?なに?」
ゆーちゃん「私が書いてる日記だよ。私の日記で、涼花ちゃんの大切なことが思い出せるかどうかは分からないけど……」
涼花「ありがとう♪……でも、ゆーちゃんの日記を、わたしが読んじゃってもいいの?」
ゆーちゃん「いいよ♪涼花ちゃんだから見せられるんだよ♪」
涼花「わたし…だから?」
ゆーちゃん「うん♪だって私達、友達でしょ♪」
涼花「…ゆーちゃん…」ウルウル…
ゆーちゃん「えへへ♪さあ、学校に行こう?」
涼花「う、うん♪」


先生「……と、つまりこうなる訳だ」
涼花(……………ん?これって……?)
先生「それでは、次の問題が分かる人は……」
涼花(いや、でも……そんなハズは……)
先生「…誰も居ないのか?……それじゃあ……香雪蘭」
涼花「……………」
先生「香雪蘭。香雪蘭涼花」
ゆーちゃん「……涼花ちゃん、指されてるよ」
涼花「ふぇっ!?あ、はいっ!?」
先生「どうした?具合でも悪いのか?」
涼花「あ…いえ……そうじゃなくて……」
先生「?……具合が悪いんだったら、無理せず、先生に言うんだぞ?」
涼花「はい…すみませんでした……」


ゆーちゃん「……涼花ちゃん、大丈夫?」
涼花「あ、うん…大丈夫…」
ゆーちゃん「…何かあったの?」
涼花「うん…。ゆーちゃんの日記を読んでたんだけど……そうしたら……ほら、ここ」

○月×日 天気

たいいんしてから、今日で三日目。
ひみつの場所に行ったら、涼花ちゃんが、とおい所へ行っちゃうということを聞いた。
何日間とかは聞かなかったけど、リラと涼花ちゃんとわたしのしゃしんがあるから、さみしくない。
どこに行くのかも聞かなかったけど、きっとすぐにかえってきてくれると思う。
また、三人であそぶのが楽しみだ♪


ゆーちゃん「あれ…?この日って…?」
涼花「ね?おかしいでしょ?だってわたし、どこにも行ってないハズなのに……」
ゆーちゃん「そうだよね、どこにも行ってないよね…」
涼花「それに、この日も……」

○月△日 天気

涼花ちゃんがいなくなってから、何日かたった。
さみしくないと思ってたけど、涼花ちゃんがいないとやっぱりさみしい…。
リラもさみしがってるみたい。
涼花ちゃん、早くかえってきて……。


ゆーちゃん「どういう事?私、こんなの書いた覚えがないよ……」
涼花「あと、一昨日の日記……」

◇月◎日 天気

涼花ちゃんがかえってきた♪
でも、なんだかようすがへんだ…。
話しかけても、かえらなきゃ、かえらなきゃって言ってるし、そのあとは急にたおれちゃうし…。
いちおう、涼花ちゃんのおうちに連れていったけど、だれもいなかったし…。


涼花「わたし、一昨日は普通に学校に来てたハズだし……」
ゆーちゃん「…どういうことだろ……」
涼花「……あれ?まだ続きがあるよ?」
ゆーちゃん「え?どれ?」

それから、涼花ちゃんをベッドにねかせた時に、涼花ちゃんが、げんそうきょう、げんそうきょうって言ってた。
げんそうきょうって、なんだろう?
あとで涼花ちゃんに聞いてみよう。


ゆーちゃん「…げんそうきょう?」
涼花「げんそうきょう……げん…そう…きょう……?あれ?どこかで聞いたことがあるような……」
ゆーちゃん「え?どこで?」
涼花「う〜ん…分からない…思い出せないよ……こんな時、紫お姉さんが要ればなぁ……」
ゆーちゃん「え?ゆかり…お姉さん?ゆかりお姉さんって…だれ?」
涼花「…あれ?誰だろう…?」
ゆーちゃん「………???」
涼花「……まあいいや。昨日の事は、何て書いてあるのかなぁ?」


◇月☆日 天気

今日は、涼花ちゃんに聞きたいことがあったハズなのに、なぜかわすれちゃった。
日記をよんでから思い出したけど、明日になったらわすれちゃうかもしれないから、自分でも分かるところにはり紙をしておいた。
この日記も、涼花ちゃんに見せようと思う。
少しでも、涼花ちゃんの力になりたいから。
わたしは、涼花ちゃんのトモダチだから。


ゆーちゃん「……そうだ。思い出した。私、涼花ちゃんに聞きたいことが」

キーンコーンカーンコーン

ゆーちゃん「あっ!」
涼花「あ、次の授業が始まっちゃうね。日記、ありがとう」
ゆーちゃん(ど、どうしよう……いま言わないと、また忘れちゃう……どうしよう……どうしたら……。……あっ!そうだ!忘れないうちに、メモを書いておこう!そうすれば……)


放課後……


ゆーちゃん「涼花ちゃん、一緒に帰ろ♪」
涼花「うん♪」
ゆーちゃん「あ、そうだ。途中で、秘密の場所に行こう?」
涼花「そうだね。リラにも会ってなかったし」
ゆーちゃん「あれ?昨日会ったでしょ?」
涼花「え?」
ゆーちゃん「あれ?」
涼花「んん〜?」


涼花「あ、ここ……」
ゆーちゃん「ん?」
涼花「リラと、始めて会ったところだ。リラ、元気かなぁ?」
ゆーちゃん(……やっぱり変だよ……なんで忘れちゃうんだろう……メモの事だって………あれ?)
涼花「ゆーちゃん?」
ゆーちゃん「ああっ!」
涼花「ッ!?……び、びっくりしたぁ……どうしたの?」
ゆーちゃん「涼花ちゃんに聞きたいことがあったんだった!!」
涼花「な、なに?」
ゆーちゃん「涼花ちゃんは一昨日の事を覚えてない?」
涼花「一昨日……いつも通り、ゆーちゃんと一緒に学校に……」
ゆーちゃん「………」
涼花「……ゆーちゃん?」
ゆーちゃん「…それ、変だよ……おかしいよ……」
涼花「……え?」
ゆーちゃん「私と一緒に、学校になんて来れないんだよ?……だって、一昨日は…日曜日なんだから……」
涼花「で、でも……」
ゆーちゃん「私も一昨日は、涼花ちゃんと一緒に、学校に行った記憶があるんだ。…でも、一昨日は日曜日……学校は、お休みなんだよ?」
涼花「そ、そんな……」
ゆーちゃん「…頭が、おかしくなりそうだよ……」
涼花「………」
ゆーちゃん「それから……げんそうきょうって…なに?帰るって…どこに?」
涼花「…………げん…そうきょう……帰る……幻…そう……きょう……」
ゆーちゃん「…涼花ちゃん?」
涼花「幻想……きょう……帰る……幻そう郷……帰る……?」
ゆーちゃん「涼花ちゃん?」
涼花「げん想郷……幻…想……きょう……幻…想郷………幻想郷……」ポロポロ…
ゆーちゃん「涼花ちゃん、どうしたの……?」
涼花「う……うぁ……うあぁぁっ!!!!」
ゆーちゃん「り、涼花ちゃん!?」
涼花「い、痛い……頭が……痛いよぉ……」
ゆーちゃん「ど、どうしよう……ひ、人、呼んでくる!」
ガシッ
ゆーちゃん「えっ?」
涼花「ま、待って……ひ、秘密の場所……秘密の場所に……連れてって……」
ゆーちゃん「で、でも……」
涼花「お、お願い……だから……」
ゆーちゃん「……わかった。でも、行ったらすぐに病院に行くからね?」
涼花「うん……それより…早く……」
ゆーちゃん「じゃあ、行くよ?」


秘密の場所……


ゆーちゃん「はぁはぁ…着いたよ」
涼花「うん……」
ゆーちゃん「涼花ちゃん、大丈夫?」
涼花「う、うん…さっきよりは……」
ゆーちゃん「……あれ?」
涼花「……どう…したの?」
ゆーちゃん「あの人……誰だろう?」
涼花「……え?」
???「……………」
涼花「あ……あぁ……」
ゆーちゃん「……?」
涼花「紫…お姉さん……」
ゆーちゃん「え?」
涼花「紫お姉さ……うぅっ!!」フラッ……
ゆーちゃん「ああっ!!涼花ちゃん!!」
涼花「ゆか…り……お姉…さ……」
バタッ
ゆーちゃん「涼花ちゃん!?涼花ちゃん!!しっかりして!!涼花ちゃん!!」






涼花「ん……んん〜……」
ゆーちゃん「あ、目が覚めたみたいだね」
涼花「……ここは?」
ゆーちゃん「病院だよ。涼花ちゃん、急に倒れちゃって……。そこに居るお姉さんに……あ、あれ?居ない?さっきまでここに居たのに……」
涼花「…きっと……もう帰ったんだよ……」
ゆーちゃん「そっか……お礼を言いたかったのにな…」
涼花「そうだね……」
ゆーちゃん「でも涼花ちゃん、何ともなくて良かったね。お医者さんは、疲れてるだけだろうって言ってたよ」
涼花「そう……」
ゆーちゃん「…あ、私、ジュース買ってくるね?」
涼花「うん……」


???「…………」


ゆーちゃん「涼花ちゃん、お待たせ♪いちごジュースしか無かったけど…」
涼花「ん…ありがとう…」
ゆーちゃん「……あ、そうだ」
涼花「ん?どうしたの?」
ゆーちゃん「これ飲み終わったら、秘密の場所に行こう?リラにご飯あげるの忘れてたから」
涼花「うん、そうだね」


秘密の場所


リラ「にゃー、にゃー」
涼花「リラ、久しぶり♪元気だった?」
リラ「にゃ〜♪」スリスリ
涼花「うふふ♪くすぐったいよ〜♪」
ゆーちゃん「ほら、リラ。ご飯だよ〜」
リラ「にゃー♪」
ゆーちゃん「たくさんあるから、いっぱい食べてね♪」
リラ「にゃー♪」


???「……香雪蘭涼花……雪柳至音(ゆきやなぎしおん)……そして、猫のリラか……。……確かめないと……」



涼花「じゃあ、そろそろ帰るね」
ゆーちゃん「……家まで送っていこうか?」
涼花「大丈夫だよ、すぐそこだし。じゃあね♪」
ゆーちゃん「うん、また明日…」


涼花宅


涼花「ただいま。……って、誰も居ないんだよね…」
???「お帰りなさい」
涼花「え?」
???「邪魔してるわ」
涼花「あ……あぁ……」
???「…………」
涼花「紫…お姉さん……?」
紫「……………」
涼花「紫お姉さん!」抱き締める
紫「あ…ちょっと…」
涼花「会いたかった……会いたかったよぉ……」ポロポロ…
紫「…………」
涼花「わたし……ぐすっ……紫お姉さんの事も、みんなの事も、幻想郷の事も忘れちゃって……でも、やっと思い出して…………」
紫「……………」
涼花「ねぇ……紫お姉さんは、わたしの事を……覚えてる?」
紫「……………」
涼花「……紫お姉さん……?」
紫「……ごめんなさい……覚えてないの……。だから、教えほしいの。何故、見ず知らずの貴女が、私の事を知っているの?何故、幻想郷の事を知っているの?」
涼花「……………」
紫「……私達と、どんな繋がりがあったの?」
涼花「……本当に……覚えてないんだ……」
紫「……ええ」
涼花「……………」ポロポロ…
紫「ちょっ…ちょっと……涼花ちゃん…?」
涼花「ぐすっ……ごめん…なさい……」ゴシゴシ…
紫「……………」
涼花「……それじゃあ、最初から……説明するね……」


続く