涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)


夢が終わる時


……わたしの名前は『香雪蘭涼花』…RYOと言う一人の人間の、偶然と妄想から生まれた存在。
本来なら、想像、妄想の中にだけ存在しているはずの者。本当は、顕界には存在してはいけない者。
そんなわたしが、この顕界に生まれた。
経緯はよく覚えていないし、お兄ちゃんも詳しく教えてくれなかったから分からない。
わたしは顕界に生まれたけど、それでもわたしは妄想上の人物と変わらない。だから、人々の記憶から消えると、わたしの存在も消えてしまう。
だからお兄ちゃんは、小説やSSを書いて、わたしは思い出を作るために、人々の記憶に残るように、学校に通った。
学校生活は楽しくて、ゆーちゃんと言う大切な友達や、リラと言う守りたいものも出来た。
でも、そんなある日……リラが不治の病に冒され、更にゆーちゃんの病気が悪化してしまった。
ゆーちゃんは生まれつき病気で、今の医学では治らないと言われてた。
わたしは、ゆーちゃんとリラを助けたかった…。
わたしの、初めての友達だったから…。
それからわたしは、リラの看病をしながら、ゆーちゃんが入院してる病院に、毎日通った。
リラは、何とか一命を取り止めたけど…でも、ゆーちゃんは……。
……わたしは…ゆーちゃんの死を、認めたくなかった…。
ゆーちゃんと、別れたくなかった…。もっと、お話ししたかった…。ずっと一緒に居たかった…。
そう願ったとき、わたしの『夢魔と貘を操る程度の能力』が覚醒した。
自覚はなかったし、どうにやったのかは覚えてないけど、この能力のお陰で、ゆーちゃんとリラは一命を取り止める事が出来た。
そして、治らないと言われていた病気も、ゆーちゃんの体から跡形もなく消えていた。
それからゆーちゃんは退院して、学校にも通えるようになった。
それからの学校生活は、本当に楽しかった。
毎日が充実してた。
そんなある日、わたしは秘密の場所で、紫お姉さんに出会った。
紫お姉さんは、わたしの全てを知ってた。
わたしの存在の事も、わたしの能力の事も、この能力を使ったわたしが、これから辿るべき道も…。
……本来、妄想や想像上の者は、生きとし生ける全ての生命の生死に関与してはならない。これは、この世に存在する絶対的な掟。それを破ることは、妄想、想像から生まれた者の大罪。だって、小説の中の登場人物が、読んでいる人の命を救うなんて、出来ないでしょ?
…わたしは、結果的に掟を破ってしまった。
自覚はなかったとは言え、罪は罪…。罰を受けなければならない。
その罰とは、存在の消失…。
わたしの存在は、顕界から消えてしまう筈だった。
でも、紫お姉さんが、ある方法を提案してくれた。
それは、幻想郷に赴き、四季様の裁判を受けると言うもの。
四季様の『白と黒に分ける程度の能力』で、わたし『香雪蘭 涼花』と言う不安定な存在を『人間』と言う分類に位置付けし、『罪』に対する善行をさせることによって、存在の消失を防いだの。
その『罪』に対する善行は、幻想郷に暮らし、思い出をたくさん作ることだった。
こうしてわたしは、幻想郷で新たな生活を送ることになった。
幻想郷での生活は、最初は慣れない事も多かったけど、幻想郷の人達と少しずつ打ち解けていくことが出来て、とても楽しいものだった。
思い出も友達も、たくさん作る事が出来た。
幻想郷に行って、本当に良かったと思ってる。
怒って、泣いて、笑って……本当に……毎日が楽しかった……。


涼花「……………」
紫「……………」
涼花「…どう?思い出した?」
紫「……………」涼花ちゃんを抱き締める
涼花「あ……紫お姉さん?」
紫「……全部……思い出したわ……ごめんね、涼花ちゃん……忘れてしまって……ごめんね……」
涼花(紫お姉さん…泣いてる……?)
紫「ごめんね……ごめんね……」
涼花「……紫お姉さん、ありがとう……」
紫「……ッ!?り、涼花ちゃん…体が……!!」
涼花「そっか……あの夢……あれは…悪夢じゃなくて……予知夢だったんだ……」
紫「そんな……まだ、後二日はあるはずなのに……」
涼花「もう…終わりにしないと」
紫「だめ……だめよ……涼花ちゃん……」
涼花「……最後に、幻想郷のみんなに…ゆーちゃんやリラにも会いたかったなぁ……」
紫「だったら!!」
涼花「でも駄目…。夢は、もう終わり。朝になればみんな、いつもの生活に戻ってるよ。わたしの居なかった生活にね」
紫「そんなの…嫌よ……涼花ちゃんの居ない生活なんて……」
涼花「悲しいのは今だけ…。夢から覚めた時、『涼花』と言う夢を憶えてることはない」
紫「でも……でも……」
涼花「…このまま時を待って消滅して、みんなが悲しむくらいなら…今消滅して、わたしと言う存在全てが夢だったことにすれば…誰も悲しまない…」
紫「でも……それじゃあ涼花ちゃんが……」
涼花「もう…決めたことだから。それに……みんなの悲しむ顔は、見たくないから……悲しいのは…わたし一人だけで十分だから……。じゃあね、紫お姉さん。幻想郷での生活……本当に……楽しかった……」
紫「…………」
涼花「思い出も……友達も……たくさん出来た……」
紫「う……うぅ……」
ゆーちゃん「涼花ちゃん!!」
涼花「……ゆーちゃん…?」
ゆーちゃん「涼花ちゃん!!消えないで!!……私を…一人にしないで……」
涼花「…聞いてたんだ…」
ゆーちゃん「……………」
涼花「大丈夫…ゆーちゃんは…一人じゃないよ……。リラも居るし…学校の友達も居る…。ゆーちゃんは…一人じゃない……」
ゆーちゃん「でも…でも……涼花ちゃんと…もっと一緒に居たいよ……」
涼花「ゆーちゃん……」
ゆーちゃん「……あの時、涼花ちゃんは私に『諦めないで』って言ってくれたのに……涼花ちゃんは諦めちゃうの?……後悔…してないの…?」
涼花「……ごめんね……でも、わたしは……後悔はしてないよ?…だって……最後に、ゆーちゃんに会うことが出来たんだから……」
ゆーちゃん「り、涼花ちゃん……うぅ……ぐすっ…」
紫「……………」
涼花「ゆーちゃん……リラ……幻想郷のみんな……それから……紫お姉さん……今まで……ありがとう……そして……」




さようなら





ゆーちゃん「……涼花ちゃん?……涼花ちゃん…?」紫「……………」
ゆーちゃん「いや……いやだよ……こんなの……お別れ……したくないのに……」
紫「……ゆーちゃん……」
ゆーちゃん「涼花ちゃん……涼花ちゃん…………う……うぅ………うああぁぁぁ!!」





少女達は、いつまでも泣いていた。
泣いて、泣いて、泣き続けていた。
しかし、泣いたところで彼女は帰ってこない。
勿論、そんな事は分かっていたが、今の少女達には泣くこと以外に成す術がなかった。
だから、少女達は泣いた。
描け替えの無い親友との『別れ』を想い哀しみ……。
……いつしか、少女達は眠りに就いていた。
真実から逃がれるように……全ては悪夢だと思い込むように……。
目が覚めた時、彼女の優しい笑顔がそこにあると信じて……。
そして目を覚ました時、少女達は全てを忘れているだろう。
描け替えの無い親友である『香雪蘭 涼花』と言う名の夢を……。



続く