涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)


夢と現の境界



さとり「……これが、涼花ちゃんの全てです。どうですか?記憶は取り戻せましたか?」

霊夢「…ええ。全部、思い出したわ…」
さとり「そうですか。それは何よりです」
霊夢「……ねぇ、聞いていい?」
さとり「何でしょう?」
霊夢「……どうして、今現在起こっている事すら詳しく、涼花ちゃんの事が分かるの?私の心を読んだだけなのに…」
さとり「涼花ちゃんは、妄想から生まれた不安定な存在。皆の思い出が、そのまま存在維持へと繋がってしまう者。つまり、涼花ちゃんとは、記憶や思い出そのものなのです。心を読み取る…涼花ちゃんとの思い出を想起させると言うことは、彼女の歴史そのものを繙いているようなもの」
霊夢「なるほどね……ねぇ、もうひとつだけ聞いていい?」
さとり「…何でしょう?」
霊夢「涼花ちゃんは……本当に消えてしまったの?」
さとり「……先程言った通り、涼花ちゃんの存在は消滅してしました。……ですが、完全にではない筈です。まだ可能性はあります。何故なら貴女は、涼花ちゃんが消滅する前に、涼花ちゃんとの思い出を取り戻す事が出来たのですから」
霊夢「…そっか……涼花ちゃんは思い出や記憶そのものだから、私が忘れない限りは大丈夫ってことね」
さとり「その通りです。ただし、タイムリミットは今日を含め三日しかありませんよ?」
霊夢「……紫が言ってた『後二日』ってやつでしょ?」
さとり「そうです。『後二日』…つまり、宴会から一週間。それが、涼花ちゃんがこの世に存在し続けることの出来る、最後の時間でしょう。それまでに何とか出来れば或いは……」
霊夢「何とかって言ったって、何をどうすればいいのよ……結局のところ涼花ちゃんは消えちゃったんでしょ?……それに、まだまだ分からないことが多すぎるわ。夢の空間の事や、歴史、運命、記憶が操作されてた事とか……」
さとり「そうですね…では、順を追って説明しましょう」



まずは、涼花ちゃんが創った夢の空間から。
ほぼ全ての者が気付いていないかもしれませんが、あの空間は博麗神社だけでなく、今や幻想郷中に広がっています。
何故、涼花ちゃんの夢の空間が幻想郷中に広がってしまったのかは分かりませんが、涼花ちゃんの意思によるものではないと言う事だけは確かです。
それは、涼花ちゃんの能力が『夢魔と貘を操る程度の能力』であって、『夢を操る程度の能力』ではないからです。
そもそも涼花ちゃんは、夢を操る事も、夢の空間を操作する事も出来ません。
では何故、涼花ちゃんは夢を操作することが出来るのか。
それは、涼花ちゃんの見ている夢が『明晰夢』と呼ばれる夢だからです。
明晰夢とは、夢を夢として自覚できる夢の事。
この明晰夢を見ると、夢の内容を自在に操作することが出来るのです。
つまり、夢魔によって夢の中へと誘われた涼花ちゃんは、明晰夢にて夢の内容を操作し、それを貘に食べさせて現実世界に召喚する。これが、涼花ちゃんの能力の正体です。
しかし、あの時紫は、涼花ちゃんの夢を、貘を介さずに現実世界へと召喚させました。
更に、あの空間は幻想郷の夢だと聞きました。
恐らく、それが何らかの引き金になっているとは思うのですが…流石にそこまでは分かりません。
…さて、次に…涼花ちゃんはどこに消えてしまったのか。何故、消えてしまったのか。
これは私の仮説ですが……涼花ちゃんの存在は、四季映姫の『白と黒に分ける程度の能力』によって『人間』として位置付けされました。しかし、元は想像上の存在なので、想像上の存在としての『寿命』が来てしまったのではないか?と言うものです。
次に、涼花ちゃんはどこへ消えてしまったのか。
先程も言った通り、涼花ちゃんはまだ、完全には消滅していないのではないか、と言うものです。
勿論、涼花ちゃんの存在はこの世界から消滅しました。
ですが、思い出してください。
宴会当日、博麗神社は紫の手によって夢の空間となりました。
そして、涼花ちゃんが消えたのは宴会の最中。
更に、涼花ちゃんの操る夢魔は、涼花ちゃんの夢と他者の夢を繋げ、共有させることによって、他者の夢の世界に介入させる。
つまり、涼花ちゃんの意識は他者…恐らく、ゆーちゃんの夢の中へと飛ばされたのでしょう。
そして、ゆーちゃんの夢を操作し『架空の外の世界』を創り上げてしまった。
これは、涼花ちゃんの『無意識的意識下』によるものでしょう。
涼花ちゃんは心のどこかで、自身の存在の『寿命』が長くはないことを悟ってしまった。
その為涼花ちゃんは、全てを受け入れる幻想郷を無意識的に拒絶。幻想郷での思い出を捨て、最期の時まで親友と過ごすことを望んだ。
しかし、紫の介入や、ゆーちゃんの日記等のイレギュラーが発生した為、涼花ちゃんは無意識的に自身の存在を消滅させた。
哀しむ者は、少しでも居ない方がいいから……。
しかし、消滅したのはこの夢の空間内。
ここまで言えばお分かりでしょう。
そう、消滅したのは夢の空間内の意識だけ。
夢の中で意識が消滅したと言う事は………。


霊夢「……現実の世界に居る可能性が高いってことね」
さとり「その通りです」
霊夢「……涼花ちゃんの居場所は分かったけど…私達は夢の空間内に居るのよ?紫も居ないのに、どうやって現実の世界に……」
さとり「…こいしの無意識を操る程度の能力なら、現実の世界に戻ることも可能でしょうが……何分、あの性格ですからね……」
霊夢「……手詰まりかしら…」
さとり「……いいえ。紫、こいし以外にも、現実の世界に戻る方法を知っている者がもう一人……」
霊夢「え…?」
さとり「……外の世界と幻想郷の事を知っていて尚且つ、涼花ちゃんと最も関わりの深い者……」
霊夢「もしかして…RYO?」
さとり「そうです。RYOさんは、曲がりなりにも涼花ちゃんの創造主です。夢についても、涼花ちゃんについても詳しい筈ですから、現実の世界に戻る方法も知っているかと…」
霊夢「つまり、あいつを締め上げて、現実世界に戻る方法を吐かせればいいのね?」
さとり「そうなのですが…もしも、RYOさんが現実世界に居たら、今度こそ手詰まりです…」
霊夢「…ま、行ってみるしかないわね。…ああ、最後にもうひとつだけ」
さとり「何でしょう?」
霊夢「もし、涼花ちゃんを見付けたとして、どうすれば涼花ちゃんを救う事が出来るの?」
さとり「……分かりません。ですが、貴女の心の中にある、涼花ちゃんとの記憶……思い出……それが、涼花ちゃんの存在を繋ぎ止めるための鍵です。涼花ちゃんの存在だけは、絶対に忘れないでください」
霊夢「大丈夫よ。もう、二度と忘れないから。……もう、涼花ちゃんに…悲しい思いはさせないから……」
さとり「……………」


霊夢「色々とありがとね」
さとり「いえ…私も、涼花ちゃんには消えてほしくありませんから」
霊夢「他にも聞きたいことがあるけど…時間も無いみたいだし、この異変を解決してから、後でゆっくりと聞くことにするわ」
さとり「異変……ですか……」
霊夢「これだけの大事になっていれば、最早異変よ。そして、異変を解決するのは私の仕事。……大丈夫よ。涼花ちゃんを倒すような真似はしないから。……じゃあね」


さとり「……………」

霊夢『大丈夫よ。もう、二度と忘れないから……もう…悲しい思いはさせないから……』

さとり「そうか……だから、霊夢さんを…………霊夢さん!」
霊夢「ん?」
さとり「私も連れていってください」
霊夢「…何故?」
さとり「……見届けたいのです。涼花ちゃんの運命を……そして……」



夢と現の混じり合った……誰も知る由の無い異変の結末を……



続く