涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)


幻想ノ目覚


夢の空間と涼花の存在を思い出した霊夢とさとりは、涼花の存在が消えかけていることを知った。
霊夢とさとりは、涼花の存在を救うための手掛かりを求めて、RYOの行方を追っていた。



幻想郷(夢空間) 人間の里


霊夢「それにしても……これが夢だなんて、未だに信じられないわね……」
さとり「あまりにも現実味を帯びていますからね。それでいて、夢のような奇想天外なことも起こりませんから」
霊夢「確かに、夢なのに何も起こらないわね」
さとり「そして、この夢から目覚めても、何事も無かったかのように生活していくのでしょう。涼花ちゃんと言う夢だけを忘れて……」
霊夢「……急ぐわよ」
さとり「はい」


人間の里の外れに在る水車小屋。
RYOと涼花の住む家である。


霊夢「確かここが、RYOと涼花ちゃんの住んでる家だったわね」
さとり「その筈ですが……人の気配はありませんね。何より、心の声が聞こえません」
霊夢「……手遅れだった…?」
さとり「…まだ分かりません。一応、中を調べてみましょう」
霊夢「そうね…何か手掛かりでもあれば良いけど……」


捜索から数分……。


さとり「霊夢さん」
霊夢「どう?何かあった?」
さとり「駄目です…何もありませんでした…」
霊夢「そう……こっちも、何も無かったわ」
さとり「…では、白玉楼に行ってみましょう。もし居なくても、情報は得られるかもしれません」


白玉楼


さとり「…大きなお屋敷ですね」
霊夢「あ、そうか。あんたは来た事無かったんだっけ。でも、見とれてる暇はないわよ」


幽々子「あら、珍しいお客様ね。妖夢、お茶をお出しして?」
霊夢「いや、お茶はいいわ。それよりも、RYOがどこに居るか知ってる?」
幽々子「RYO?RYOなら、涼花と言う少女について話があるって言って、閻魔様の所へ行ってしまったわ」
さとり「やっと情報が得られましたね」
霊夢「……閻魔の所って…川を航ったってこと?」
幽々子「そこまでは分からないわ」
霊夢「…とりあえず、三途の川まで行ってみましょう。もしかしたらRYOが居るかも」
さとり「そうですね」
幽々子「…ああ、それから……RYOから伝言よ」
霊夢「伝言?」
幽々子「紫は覚醒している。霊夢が目覚めるのを待っている。…これが伝言よ」
霊夢「紫が?…でも紫は……」


そう…紫は直接、涼花と接触してしまったが故に、涼花との記憶が消えている筈である。
その紫が待っている…?
記憶が戻ったのか、或いは……。


幽々子「会えば分かると言っていたわ。それと、RYOを探しているのなら、急いだ方が良いわよ」
さとり「何故ですか?」
幽々子「夢魔と言う悪魔も、RYOの事を探していたわ。何をしようとしているのかは分からないけど、何かしらの妨害はしてくるかもしれないわ。だから、急いだ方が良い」
霊夢「そう……ありがとう。恩に着るわ」
幽々子「……あ、そうそう」
霊夢「ん?」
幽々子「霊夢。貴女にだけ伝えてほしいと言われていることがあるの」
霊夢「私にだけ?」
幽々子「ええ。確か…『ここが夢の世界だと言うことは、幽々子様と妖夢にしか話していないし、他の誰にも話すつもりはない。もし、他の誰かが、ここが夢の世界だと言う事を知っていたら、そいつには気を付けろ』だそうよ」
霊夢「?……わかったわ。それじゃあ、そろそろ行くわ」


中有の道

死者の魂が、三途の川に行くまでの道である。
この道には出店が並び、死者の道ながらに活気に溢れているのだが…。


霊夢「……何で妖精の大群が居るのよ……」
さとり「これが、夢魔の妨害かもしれませんね。どうします?」
霊夢「決まってるじゃない。正面突破よ」
さとり「……やっぱりそうなるんですね」
霊夢「よし、それじゃあ………ッ!?」
さとり「…?どうしました?」
霊夢「さとり、避けて!!」
さとり「えっ?」

恋符『マスタースパーク』

閃光と共に、霊夢の見慣れた極太のレーザーが、妖精達を一掃していた。
霊夢とさとりは、辛うじてそれを回避することが出来た。


さとり「あ……危なかったぁ〜……」
魔理沙「よっ、霊夢」
霊夢「よっ、じゃないわよ!!撃つなら撃つって言いなさいよ!!」
魔理沙「言ったら避けられるだろ?それに、私はあいつらを一掃してやったんだ。むしろ感謝されて然るべきだと思うがな」
霊夢「まったく……そこは感謝するけど……。それよりも、なんで魔理沙がここに?」
魔理沙「ま、色々と……な」
霊夢「……?」
さとり「霊夢さん、新手の妖精が集まってきています。先を急ぎましょう」
霊夢「え、ええ…。じゃあね、魔理沙」
魔理沙「おう」


魔理沙の態度が気になった。何かを隠しているような、そんな気がしたが、今は先を急ぐことにした。


魔理沙「……これで良いのか?」
???「ええ。助かったわ」
魔理沙「……お前はいったい、何を企んでる?」
???「その内分かるわ。その内…ね……」
魔理沙「……………」


この少女は何者なのか?何を考え、何をしようとしているのか?今の魔理沙には知る由もなかった。
しかし、少女が言った『その内分かる』と言う言葉を聞いて、魔理沙は深く詮索することが出来なかった。
以前感じたことのある『神の威厳』に似た『何か』を、この少女が放っていると感じたから。


三途の川 此岸

中有の道から三途の川まで、それほど距離があるわけではないのだが、次から次へと現れる妖精達の猛攻に遭い、かなりの時間が掛かってしまっていた。


霊夢「……いくら妨害って言っても…これはちょっと多すぎない?軽く数百は居るわよ…」
さとり「……あの……霊夢さん」
霊夢「……ん?」
さとり「その…先程白玉楼で、幽々子さんに何を言われたのですか?」
霊夢「これから厳しくなるから、注意しろって言われただけよ」
さとり「そうですか……」
霊夢「……ん?」


霊夢とさとりの眼前には、妖精の大群と戦っている小野塚小町の姿があった。
彼女も、妖精の大群に手を焼いているようだった。


小町「よっと。…まったく……これじゃあキリがないな……」
霊夢「あ、サボマイスタ」
小町「誰がだ……って言ってる場合じゃない。この状況を何とかしてくれないか?こいつら、倒しても倒しても沸いてくるんだ…」
霊夢「……仕方がない、今助けるわ。夢符『封魔陣』」
さとり「想起『ノンディレクショナルレーザー』」


三人は全体攻撃系統のスペルカードで応戦する。しかし、無尽蔵に現れる妖精の大群の前に、三人は次第に疲弊していった。


霊夢「はぁ…はぁ……こいつら、どれだけ沸いてくるのよ……これじゃあ消耗戦じゃない……」
さとり「もう……避けるのも精一杯です……」
小町「このままじゃあ、こっちのスペルカードが……」
霊夢「……もう尽きたわ」
さとり「こっちもです……」


その言葉を待っていたかのように、妖精達は瞬く間に霊夢達の周囲を包囲した。
妖精に似つかわしくない、統率された動き。恐らく、こちらに止めを刺そうとしているのだろう。
数百は居るであろう、妖精の大群による一斉射撃。こんなものを喰らえばひとたまりも無い。
しかし、そんな状況を前にして、霊夢は恐ろしい程に冷静に、現状の分析と、白玉楼から三途の川まで、ずっと感じていた違和感の解明を行っていた。
まずはこの妖精達…これまでの攻撃から見ても、何者かが妖精達を操っていることは明らかである。
恐らく夢魔の仕業だろうが…しかし、これだけの数の妖精を操ることが出来るのだろうか?
仮に操ることが出来たとして、ここまで統率された動きを、妖精達にさせることが出来るのだろうか?
……危険な場所や危険人物の周辺では、妖精達は活発になり、攻撃的になる。
三途の川も、確かに危険度は高いが、これ程の攻撃にはならない。
どこかへ近付けさせないというよりは、単に現れ、攻撃しているだけにしか見えないのだ。
いくら頭の弱い妖精だからと言って、こんな無意味な行動を繰り返すだろうか?
……夢魔の能力がどの程度なのか、未だに分かっていない。もしかしたら、これほどの妖精を操ると言う芸当も出来るのかもしれないが、どうも腑に落ちない。
…もうひとつの違和感。それは、さとりが相手の心を読めなくなっていると言うこと。
本人は言っていないが、霊夢は薄々感づいていた。
白玉楼から三途の川まで一度も、心を読んでいるような話し方をしていなかった。
さとりからしてみれば、心を読むと言うことは、さとりの妖怪としての存在意義そのものであり、決して抗うことの出来ない能力である。
それなのに心を読む事が出来なくなっているのであれば、さとりにも動揺が生まれる筈である。
しかし、さとりは至って冷静だった。
読めなくなっているのか、読まないのか……或いは、最初から読めていない……?
……それからもうひとつ…先程の魔理沙の態度である。
明らかに、何かを隠しているような態度だった。
言えないような事情でもあったのだろうか?
……この二つは後で考えるとしよう。
問題は目の前。
もし、霊夢一人だけなら結界の力を使い、この包囲網から脱出する事は出来るだろう。
しかし、今はさとりと小町が居る。
この二人を見捨てて、自分だけ助かるような真似だけはしたくない。
だが、現状は完全に手詰まりである。
さとりと小町を守り、尚且つ、この悪夢のような現状から脱するには…。

霊夢「……」
さとり「霊夢さん!」

さとりの言葉により一瞬、現実に引き戻される。
既に妖精達から放たれた弾幕は、霊夢達の眼前まで迫っていた。
しかし、そんな事よりも……。

霊夢「悪夢のような現状……悪夢……夢……夢の中……?」
小町「霊夢!」
さとり「霊夢さん!しっかりしてください!」
霊夢「………と言うことは……つまり」


これは……悪夢……?



霊夢がそう呟いた瞬間だった。
眼前まで迫っていた弾幕が消えていた。
それどころか、周囲の妖精達まで、忽然と姿を消していた。


霊夢(……成る程。あれは、私達が見せられていた悪夢だったのね。夢を夢として認識した瞬間、その夢は形を失い現実に引き戻されるって、誰かが言ってたわね。……例外もあるらしいけど。……さて)


霊夢の左右には、呆気に取られている二人の姿があった。何が起こったのか把握できていない様だった。
しかし、そんな事はお構い無しに、霊夢は口を開いた。


霊夢「……まったく。まさか、あんたがあの妖精達を操っていたとはね」


と言い、霊夢はさとりを睨み付けた。


さとり「えっ……な、何を言っているのですか霊夢さん!!私は、今まで霊夢さんと行動を共にしてきたのに……」
霊夢「あんたは、白玉楼からここに来るまでに、他人の心を読んでなかった。もし、心が読めていたら、前の妖精達との戦いで、あんたは催眠術…テリブルスーブニールを使った筈。トラウマを妖精達に見せた方が、戦意喪失の意味も込めて効率が良いに筈なのにね。……まったく…何時入れ替わったのかしらね……涼花ちゃんの家?白玉楼?…もしかして、最初からかしら?」
さとり「私は……」
霊夢「あんたがもし、本物のさとりなら、私の心が読める筈よ?」
さとり「……………」
霊夢「どう?読めないでしょ?それもそうよね。だって……あんたは夢魔なんだから」
さとり「わ、私は違います!!それに……霊夢さんだって、貴女が本物の霊夢さんだと証明することが出来るのですか?」
霊夢「……何ですって?」
さとり「普段の霊夢さんなら、先程の攻撃…自分だけでも助かろうと結界の力を使う筈です。結界の力を使わなかった…いいえ、使えなかったのは、貴女が夢魔であると言う証明になるのではないのですか?」
小町「お、おいおい…今は仲間割れしてる場合じゃないだろう?」
霊夢「…生憎、私は妖怪を仲間だと思ったことは無いわ」
さとり「それは私も同じです。人間を、仲間だと思ったことなどありません」
小町「その辺にしときなって…まずは、この空間を何とかするのが先決だろう?」
霊夢「そう。その為に、私はこいつを…夢魔を倒すの。……霊符」
小町「おい…」
さとり「……それは私も同じ気持ちです……。……想起」
小町「おい!」
霊夢「『夢想封印』!」
さとり「『戸隠山投げ』!」


霊夢、さとりの放った弾幕はお互い…ではなく、なんと小町に直撃していた。


小町「くっ……何故…私を……」
霊夢「本当はあんたなんでしょ?夢魔が化けているのは」
小町「何を言って……」
霊夢「まず、あんたが妖精達に襲われてる理由が無い。妖精達の狙いは私達。中有の道でもそうだったけど、あの妖精達は私達だけを狙って攻撃していたわ。それなのに、あんたは妖精達と戦っていた。……いや、戦っていた様に装っていただけかしら?」
小町「……RYOからこの空間の事を聞いていたから、狙われていたのだとしたら?」
霊夢「幽々子が言っていたわ。RYOは、幽々子と妖夢以外には、この空間の事は絶対に話さないって。もし、この空間の事を知っている者が居たら注意しろってね」
小町「……幽々子が夢魔だったと言う可能性は?」
さとり「それは有り得ません。彼女の心は、RYOさんと妖夢さんを想う心でいっぱいでしたから」
小町「……心が読めないんじゃ……」
さとり「ええ、読めませんよ。あの妖精の大群の中ではね」
小町「……?」
さとり「人間の耳と同じです。あんなに周りで騒がれたら、聞きたいものも聞きとれませんから」
小町「……………」
霊夢「それから最後に、あんたは決定的なミスを犯した」
小町「……?」
霊夢「本物の小町は、自分の事を『あたい』って言うのよ」
小町「ッ!!」
霊夢「それから、幽々子の事も呼び捨てにはしない。あんたは、幽々子の事を呼び捨てに出来ない立場なのよ」
小町「………」
霊夢「あんたにボロを出させるために、一芝居打たせてもらったわ」
小町「……スペルカードが尽きた振りをしてまでか……」
霊夢「さあ、いい加減、元の姿を現したらどう?」
小町「ふぅ……まさか、これ程とはね…少し侮りすぎたかな?」


そう言うと、小町の姿は崩れ、新たな形を取り始めた。

夢魔「そう、私は夢魔。涼花ちゃんの使役する、夢に誘う者」
霊夢「…あんたが、涼花ちゃんを……」
夢魔「妖精共が悪夢だと言う事、私の正体を暴いた事…それから、貴女達の演技力の高さは褒めてあげる。でもそこまで。私の正体を暴いたところで、貴女達はこの夢の空間から出ることは出来ない」
霊夢「ここであんたを倒せば現実の世界に戻れる……って訳でもないみたいね」
夢魔「これは、貴女達が見ている夢ではないからね。自ら目覚めることは不可能なのよ」
さとり「しかし、RYOさんは夢の空間から脱出する方法を知っている。だから貴女は、私達をRYOさんに近付けさせないように妨害をした」
霊夢「だったら、直接RYOを倒すか何かすれば良いだけの話。それをしないのは、RYOを倒すことの出来ない理由があるのか、あんたの能力では及ばない、強力な何か…例えば、紫のスキマがあったから…とか?」
さとり「RYOさんを倒せないのは、涼花ちゃんの悲しむ姿を見たくない…と言った理由でしょうか?」
夢魔「……流石ね。妖怪退治なんか辞めて、探偵にでも成ったらどう?」
霊夢「生憎、今の生活に満足してるわ」
夢魔「そう。ま、貴女達が長々と説明をしてる間に、こっちは準備完了なのよね」


霊夢とさとりは辺りを見渡す。
そこには、先程と同じように妖精の大群が居た。
さとりの表情は凍り付いた。
しかし霊夢は、余裕の笑みを浮かべていた。


夢魔「……何?その表情は……もしかして、この妖精共も消せると思ってる?…言ったでしょ?準備完了って。この妖精共は、幻想郷の夢から作り出したもの。貴女達の意思とは遠く及ばない、幻想郷の思念そのもの。幻想郷が生み出したこれだけの妖精……全て倒すことが出来るかしら?」
霊夢「……詰めが甘いわね。私が何の為に、長々と説明したと思ってるの?」
夢魔「どう言う意味……ッ!?」


夢魔が口を開いた瞬間、夢魔の胸を湾曲した銀色の刃が貫いていた。


夢魔「こ…これは……」
霊夢「さっきの説明は、あんたではなく……」
小町「……あたいに説明していたのさ」
さとり「こ、小町さん!?」
夢魔「ば……かな……何故……」
霊夢「ここは小町の仕事場。偽者が化けていても、本物はこの近くに居ると思ったわ」

小町は、夢魔の胸を貫いた鎌を引き抜いた。

霊夢「で、本物とあんたが鉢合わせしないように、あんたは小町を眠らせた」
小町(……元々寝てたとは言えないな…)
霊夢「だから私は、夢想封印を放ったの。あの爆発音なら、流石の小町でも起きると思って」
小町「……まったく…あたいが気付かなかったら、どうしてたつもりだ?」
霊夢「その時はその時で、また別の方法を考えてたわよ」

夢魔の傷痕からは、光の煙のようなものが立ち上っていた。
どうやら、この夢の空間で死ぬことはないらしい。

小町「さて、どうする?まだ続けるかい?」


夢魔の周りを、三人が取り囲む。
今度はこちらが手詰まりか…。そう思った夢魔は…。

夢魔「……今は退くわ…。でも次は、こう上手くはいかないわよ」


そう言い残して、夢魔は光の粒となって消え去った。

さとり「……逃がして良かったんですか?」
霊夢「ここは夢の空間。つまり、夢魔のテリトリー。倒したところで、何が起こるか分かったものではないわ。そもそも私達の目的は、涼花ちゃんを救うことでしょ?」
さとり「そ、それもそうですが…さっきのはやりすぎではないでしょうか…」
霊夢「ま、死ぬことはないみたいだし、問題ないんじゃない?」
さとり「はあ……」
霊夢「それより、先を急ぎたいんだけど……小町、あんた、RYOがどこに行ったか知らない?」
小町「RYOか?RYOなら、博麗神社に向かったぞ?」


博麗神社へ?…もしかして、すれ違いだった…?
…いや、今は考えている時間も惜しい。


霊夢「分かったわ。ほら、行くわよ?」
さとり「は、はい」


霊夢とさとりは、その場を後にした。


小町「……………」

RYO「頼みたいことがあるんだ」
小町「……?」
RYO「もし、霊夢が来たら…手助けをしてほしい」
小町「霊夢に手助け?そんな事、する必要ないんじゃ…」
RYO「今回ばかりは、霊夢でも手を焼くと思うんだ。……だから」
小町「……分かった。ただし、条件がある」
RYO「……え?」
小町「なに、簡単なことさ。…何が起こっても、絶対に無茶はするなよ?」
RYO「……分かった」


小町「…あたいは、あんたとの約束を守った。今度は、あんたがあたいとの約束を守る番だ」


夢と現実との境界に出来た、小さな亀裂。
そこに、夢魔は逃げ込んでいた。


夢魔「はぁ……はぁ……まさか…夢が同期するなんて……」
???「そう…夢の中に現れる人物は全て、夢の作り出したもの。でも、あの子達は違う。夢を共有している。貴女と同じように…」
夢魔「……あんた…最初から知ってたわね?」
???「……………」
夢魔「……まあ…良いわ……この傷も…すぐに治る……さあ、次に私が成すべき事を言いなさい……」


博麗神社


結局戻ってきてしまった。
RYOはここに居る。しかし、今の博麗神社は相当広い。
ここからRYOを探すのは骨だと思われたが…。



さとり「あ、居ましたよ!」
霊夢「やっと見付けたわ」


博麗神社裏の大木。RYOはその前で佇んでいた。


RYO「やっぱり霊夢か。……それに…さとり?……なるほど、さとりの能力で、ここの事と涼花の事を思い出したのか」
霊夢「…ずっと気になってたんだけど、私が来ることが分かってたの?」
RYO「……魔理沙や咲夜さん。妖夢や早苗には、この空間の違和感には気付けないだろうと思ってた。霊夢だって、気付くかどうかは分からなかった。ただ、霊夢の勘なら或いは…そう思って、幽々子様と小町に頼んだんだ」
さとり「小町さんにも?」
RYO「ああ。しかし…夢の空間に気付いたとして、涼花に辿り着くかどうかは賭けだった。……まあ、その様子だと、涼花との記憶も取り戻し、この空間の事にも気付いているようだね」
霊夢「RYO…あんたも全部知ってたんでしょ?なのに何故、何もしなかったのよ」
RYO「……したさ。あらゆる手を尽くした。でも……これは、涼花が望んだこと。無理矢理、存在を繋ぎ止める事は出来ない。繋ぎ止めようとすれば、涼花の心は……。私はこれ以上、涼花の心を危険に晒したくなかった……」
霊夢「どういう事?」
RYO「あの子は……涼花は、あまりにも多くのものを背負いすぎた。普段は、あんなにも明るく振る舞っているが、幼い涼花の心には負担が大きすぎた……。いつ、心が壊れてしまってもおかしくなかった……。涼花の存在を繋ぎ止めると言う事は、涼花の心を縛り付けると言う事。そんな事をすれば、涼花の心は間違いなく壊れてしまう……。そしてあの日、涼花は自らの心を守るために、全てを…幻想すらも拒絶し、過去の虚像に逃げ込んだ……」
さとり「そこまで分かっていながら、何故……?」
RYO「……私と涼花には、血の繋がりはないと言う事。曲がりなりにも、創造主と創造物と言う関係。これが、涼花と私との間に出来た溝……。私からの言葉は、涼花の心には届かなかった……。私は……涼花には、いつまでも笑顔でいてほしかった。……心を壊してまで存在を繋ぎ止めるよりは、心があるまま消滅した方が……涼花の為でもあるのではないのか……そう、思ってしまった……」
霊夢「……涼花ちゃんもあんたも、現実から逃げようとしてるだけじゃない。記憶を消して涼花ちゃんも消えれば誰も悲しまない?そんな筈はないわ。だって、消えてしまう本人は、孤独と悲しみを背負わなければならないんだから……。それに、例え記憶を消されても、人と人との繋がり…絆だけは、消すことは出来ないと思ってる。私が、涼花ちゃんとの思い出に辿り着いたのも、涼花ちゃんとの絆のお陰だと思ってる」
RYO「……………」
霊夢「そもそもあんたは、涼花ちゃんを何とかしてほしくて、幽々子に協力してもらったんでしょ?…わざわざ言伝てまで残して」
RYO「それは…そうだが……」
霊夢「……それにね…自己犠牲による解決なんて…惨めなだけよ……」
さとり「私も、涼花ちゃんには消えてほしくありません。彼女は私の、大切な友達ですから」
RYO「……そうか……そうだな……。すまなかった。私も涼花の為に、出来る限りの事はしよう」
さとり「ありがとうございます」
RYO「…この大木の上に、紫の作ったスキマ空間がある。そこから、現実の世界に戻れる筈だ」
霊夢「……幽々子の所でも疑問に思ってたんだけど…紫は記憶が戻ったの?」
RYO「そこまでは分からない。…この状況を見越して作っておいたのか……再び記憶が戻って作ったのか……。……ただ、紫が覚醒しているのは事実。そして、紫が作ったものなら、紫も…霊夢とさとりと同じ気持ちなんだと思う……」
霊夢「紫……」
RYO「それから、現実の世界に戻ったら、まずは永遠亭に向かってくれ」
霊夢「何故?」
RYO「永遠亭にある、胡蝶夢丸と胡蝶夢丸ナイトメアの両方が必要なんだ。その二つを涼花の傍で飲めば、涼花の夢の中へ入ることが出来るはずだ」
霊夢「胡蝶夢丸と胡蝶夢丸ナイトメアの両方ね。分かったわ」
RYO「ああ。ただ、急いだ方がいいかもしれない。あのスキマ…今にも閉じてしまいそうだから…」
さとり「本当ですね…急ぎましょう」
霊夢「そうね。ほら、あんたも早く」
RYO「私は…こちら側に残る。この空間は幻想郷の夢ではあるが、涼花の意識も干渉している。ならば、こちら側でも何かしらの手は打てると思うんだ」
さとり「そうですか……分かりました。では、この空間の事はお願いします。霊夢さん、私達は現実の世界に戻りましょう」
霊夢「ええ。…RYO、必ず、涼花ちゃんを助けてみせるから、あんたも諦めるんじゃないわよ?…それからもし、涼花ちゃんを助けることが出来たら……ちゃんと叱ってやるのよ?」
RYO「……分かってる」
霊夢「じゃ、行ってくるわ」


霊夢とさとりは、紫のスキマ空間へと入っていった。
それと同時にスキマ空間は閉じ、その姿を消してしまった。
二人を見送ったRYOは、煙草に火を灯し紫煙を燻らせ、空を見上げた。
見上げた先には、夢魔の姿があった。


夢魔「順調かしら?」
RYO「……ああ」
夢魔「それじゃあ、私達も始めましょうか……」


そう言うと、夢魔の周りに大量の弾幕が現れた。
今から走れば、辛うじて避ける事は出来るかもしれないが…RYOは煙草を吹かし、その場に佇むだけだった。


夢魔「覚悟の上ってことね……さあ、夢の深淵に堕ちなさい!夢色『ドリームワーカー』!」




博麗神社(現実世界)


霊夢「ん……ここは……?」
さとり「現実の世界ですよ」
霊夢「…なんか、実感が沸かないわね……そうだ、紫は?」


辺りを見渡す。すると、博麗神社の鳥居の下、魔方陣の中心に、探していた妖怪が立っていた。


霊夢「紫!」
紫「……霊夢……」
さとり「紫さん、涼花ちゃんの記憶が……?」
紫「ええ…戻りつつあるわ」
霊夢「……涼花ちゃんはどこ?」
紫「私が、安全な場所に隠したわ」
さとり「そうですか…。しかし、何故…涼花ちゃんの記憶が?貴女は、涼花ちゃんに接触したせいで、涼花ちゃんに関する記憶が無いはずなのに……」
紫「…ずっと、私の事を見ていたのは貴女だったのね……ある少女が、涼花ちゃんとの記憶を思い出させてくれたの。でも、その事はいいわ。…それよりも、涼花ちゃんを救うことの方が先決でしょ?」
霊夢「そうだったわね。……確か、胡蝶夢丸と胡蝶夢丸ナイトメアを涼花ちゃんの傍で飲めば、涼花ちゃんの夢の中に行けるのよね」
紫「そうよ」
霊夢「でも、どうして涼花ちゃんの夢の中に?」
紫「涼花ちゃんを目覚めさせるためよ。……今の涼花ちゃんはとても不安定なの。外からの刺激で目覚めさせてしまうと、今、夢の中に居る幻想郷の住人を含め、何が起こるか分からない。だから、涼花ちゃんの夢の中に入って、涼花ちゃんの精神体に直接呼び掛けて、目覚めさせるしかないのよ。その為に、胡蝶夢丸と胡蝶夢丸ナイトメアが必要なの」
霊夢「それは分かったけど…どうして、悪夢を誘発させるナイトメアも使う必要があるの?涼花ちゃんの夢の中に入るだけなら、胡蝶夢丸だけでも……」
紫「…さっきも言った通り、今の涼花ちゃんはとても不安定。悪夢や吉夢……あらゆる夢を見ているわ。そんな不安定な夢の中へ行くには、悪夢と吉夢の両方を使う必要があるのよ」
霊夢「……まあ、とりあえずは、胡蝶夢丸とナイトメアの両方を手に入れることが先決ってことね」
紫「そうよ。ただ……もしかしたら、夢魔が妨害をしてくるかもしれない。ここは現実の世界だけど、実態を持って現れるかも…」
霊夢「ま、その時はその時よ。勝負を挑んできたら倒すまで」
紫「……そう上手くいけばいいけど……」
霊夢「……ん?」
紫「何でもないわ。さあ、早く行きなさい。夢魔の妨害が始まる前に」
霊夢「…分かったわ。行くわよ」
さとり「はい」


紫「……さて、ここから彼女はどう動くのかしら……」


博麗神社を後にした霊夢は、程無くしてある事に気が付いた。
幻想郷は静寂に包まれていたのだ。
人々や妖怪達の声、獣達の呻き声、小鳥の囀りは勿論の事ながら、木々のささめきや、風の音色、水のせせらぎすら聞こえない。
まるで、自分達以外の時間が止まってしまったような…そんな錯覚に陥ってしまう。
幻想郷だけでなく、幻想郷を含む全ての生物、無生物が夢の中に誘われてしまっているのだろう。
その光景はあまりにも儚く、恐ろしい程に不気味で、それでいて幻想的だった。
少なくとも、霊夢はそう感じていた。


永遠亭

やはりここも、全てが眠りについていた。
その光景は、自分達の方が夢の中に居るのではないかと思わせてしまうほど。
しかし、自分達は目覚めている。
今、涼花を救えるのは私達しか居ない。改めてそう思ったとき、霊夢は永遠亭内に、不吉な妖気を感じ取った。
それはさとりも同様だった。
夢の中でも出会った妖気……そう、夢魔の妖気だ。
霊夢とさとりは、妖気が発せられている方向へ走った。

永遠亭 薬品庫

八意永琳の作った、数多くの薬品が保管されている部屋。
先程の妖気が、この部屋から発せられている事は間違いないようだ。
霊夢は、部屋の扉を勢いよく開けた。


夢魔「…あら、遅かったわね。残念だけど、薬は私が手に入れたわ」


部屋の奥の薬品棚の前には、やはり夢魔が居た。
手遅れ?霊夢はそう思ったが、さとりは違った。


さとり「……嘘ですね。貴女はまだ、薬を手に入れていない」
夢魔「……さとり…と言ったかしら?貴女は確か…心が読めるのだったわね。…なら、嘘をついても仕方がないか…」
霊夢「……なんであんたが、現実の世界に居るのよ」
夢魔「あら、私は元々、こちら側(現実の世界)の住人だから、実体を持っているのは当たり前よ?こちら側の人間を刺激することによって、私は人間に悪夢を見せているのだから」
霊夢「そう。じゃあ、今のあんたは本体って訳ね。なら、話が早いわ。涼花ちゃんを目覚めさせなさい」
夢魔「それは出来ない。そうさせない為に、私はここへ来たんだから」
霊夢「なら、あんたを退治するまでよ」
夢魔「ふふ…貴女に出来るかしら?」
霊夢「……後悔しても知らないわよ……霊符」
さとり「ま、待ってください!」
霊夢「…何よ?」
さとり「今ここで戦ったら、薬が……」
霊夢「あ……」
夢魔「あら、来ないのかしら?それもそうよねぇ。ここでやり合えば、間違いなく薬は手に入らなくなるものねぇ」
霊夢「くっ……」
夢魔「それじゃあ、貴女達の目の前でゆっくりと、薬を処分していってあげる♪」

???「霊夢、さとり、伏せなさい」

幻巣『飛光虫ネスト』


その言葉と同時に、小さなスキマ空間から無数のレーザーが放たれた。
霊夢とさとりは身を屈め、何とかそれを回避したが、夢魔は避けきれず、レーザーの餌食となった。


紫「まったく…心配になって来てみたら……」
霊夢「紫!?」
さとり「紫さん!?」
紫「貴女達もまだまだね。霊夢、貴女なら結界で動きを封じることも出来た筈よ?」
霊夢「そう言われても…そうだ、夢魔は?……いや、それよりも薬が……」
紫「大丈夫。胡蝶夢丸とナイトメアはここには無い。永琳の診療室にあるわ」
霊夢「…そう言うことは先に言いなさいよね」
さとり「…夢魔はどうなったのでしょうか?」
紫「さあ?でも、直撃はしていたから、無事では……!?」
夢魔「うふふ♪ちょっと酷いんじゃない?いきなり蜂の巣にするなんて」
紫「ば…馬鹿な……」
さとり「無傷……そんな……」
霊夢「…だったら、今度は封印してやるわ」
紫「…待ちなさい」
霊夢「紫…?」
紫「夢魔は私が食い止めておくから、その間に貴女達は薬を回収しなさい」
霊夢「…三人で夢魔を倒せば……」
紫「見なさい、夢魔の体を。まだ少し、レーザーの焼け跡が残っているわ。つまり、この短時間で回復していると言うこと。どうやったのかは知らないけど、あの回復力…気になるわ。それに万が一、私達が負けたら……誰が涼花ちゃんを助けるの?」
さとり「しかし……」
紫「大丈夫よ。私は負けないから」
霊夢「……分かったわ。…紫、負けたら承知しないわよ」

紫「…どうして、霊夢とさとりを行かせた?」
夢魔「貴女を倒してからでも遅くはないと思ったからよ」
紫「随分な自信ね」
夢魔「……まぁね♪……そろそろいいかしら?」
紫「待ちなさい。…ひとつだけ聞かせなさい。その回復力…どうやった?」
夢魔「それは秘密♪」
紫「……大方、夢の中に居る人間や妖怪の生気を吸い取っての回復でしょう?」
夢魔「…それが分かったところで、貴女にはどうすることも出来ないわ」
紫「それはどうかしらね」
夢魔「…まあいいわ。続きといきましょうか♪現夢色『エルムストリートの殺人鬼』!」
紫「……結界…『夢と現の呪』」


永遠亭 診療室


さとり「……紫さんは大丈夫でしょうか……」
霊夢「あいつの心配をしたって無駄なのよ。あいつは、夢魔なんかにやられるような妖怪じゃない。それは私がよく知ってる」
さとり「……………」
霊夢「そんなことより有ったわよ。胡蝶夢丸とナイトメア」
さとり「丁度、三人分ありますね」
霊夢「さあ、戻りましょう」

???「そうはいかないわよ?」
霊夢「ッ!!」
夢魔「ふふふ♪」
霊夢「……紫は?」
夢魔「ふふふ♪随分と呆気なかったわね、あの大妖怪様」
さとり「そんな……紫さんが……?」
夢魔「……そうそう。夢の中で、RYOにも会ったわねぇ。邪魔だったから、私が消しておいたけど♪」
さとり「RYOさんまで……」
夢魔「……これで障害はお前達だけだ。もう誰も…涼花ちゃんへは近付けさせない」
霊夢「……もし……」
夢魔「……ん?」
霊夢「RYOは兎も角…もし、紫を倒せたと勘違いをしているのなら、あんたは相当、おめでたい奴ね」
夢魔「…何を言っているのかしら?私は現に……」


刹那、夢魔の目の前にスキマ空間が顕れ、夢魔の喉元目掛けて刃が飛び出した。
飛び出した刃は、夢魔の首に巻かれているチョーカーに埋め込まれた宝石を貫いた。


紫「まったく……やっと隙を見せたわね」


紫がスキマ空間から現れる。その手には、妖怪が鍛えし刀『楼観剣』を携えて。


夢魔「かっ……はっ……」
紫「……そのチョーカーに埋め込まれた宝石は、貴女の吸い取った生気の結晶体。それを砕かれた貴女は、今やただの妖怪よ」
夢魔「な……何故……これが……」
紫「貴女はそのチョーカーを庇いながら戦っていたわ。それに、それだけ強いエネルギーを発していれば嫌でも分かるわよ」
夢魔「……もう、姑息な手段は通用しない……か……」
紫「……これが最後のチャンスよ。涼花ちゃんを目覚めさせなさい」


紫は楼観剣を振りかざした。
しかし、夢魔は…。


夢魔「ふ……ふふ………あっはははは!」
紫「…何がおかしい?」
夢魔「霊夢!さとり!」


夢魔は二人の名を呼んだ。
そして、不適な笑みを浮かべながら…。


夢魔「夢で逢いましょう♪」
紫「…逃がさないわよ!」


夢魔を逃がすまいと、紫は楼観剣を振り下ろす。
しかし、紫の一閃は空を裂くだけだった。
夢魔の体は光の粒となり、消えていた。


紫「逃げられた……」
霊夢「……夢魔の言い残した言葉の意味は?」
紫「そのままの意味よ。次は、涼花ちゃんの夢の中に入った貴女達を迎え撃つつもりなのね。多分、次は本気で、貴女達を仕止めるつもりよ」
さとり「……今更ですが、戦いを避けることは出来ないのですか?彼女だって、涼花ちゃんの消失を望んでいないのなら……」
紫「……彼女は彼女なりに、涼花ちゃんを守ろうとしている。私達も私達なりに、涼花ちゃんを救おうとしている。ただ手段が違う。故に、今は対峙している。それだけよ」
さとり「……………」
紫「……貴女達が夢魔に勝てば、涼花ちゃんを救える可能性はある。しかし、貴女達が夢魔に負ければ、涼花ちゃんを救う術は無くなるわ。……最後の戦いの準備は良い?」
霊夢「ええ。必ず、涼花ちゃんを救ってみせる」
さとり「涼花ちゃんを、消失させたりはしません」


二人の意思を受け止めた紫は、幽かに笑みを浮かべた。
そして振り替えると、手にした扇でゆっくりと空を裂き、そこにスキマ空間を作り出した。


紫「この先に、涼花ちゃんが居るわ。さあ、往きなさい」


霊夢「往くわよ、さとり」
さとり「はい、霊夢さん」


二人は、スキマ空間の奥へと消えていった。


紫「……霊夢……さとり……涼花ちゃんに、本当の笑顔を取り戻させてあげて……」


紫は自らの想いを二人に託し、ゆっくりとスキマ空間を閉ざした。


後は……貴女次第よ……



雪柳 至音




続く