涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
思い出
二人がスキマ空間を抜けると、そこは外の世界と幻想郷の狭間に出来た、小さな空間だった。
周りには大小様々なスキマ空間があり、外の世界や、幻想郷など、様々な世界と繋がっているようだ。
その小さな空間の中央に、涼花は横たわっていた。
霊夢「涼花ちゃん……やっと会えた……」
さとり「さあ、涼花ちゃんの夢の中に………ッ!?!?」
霊夢「…どうしたの?」
さとり「そ…そんな……どうして……」
霊夢「さとり?…何があったの?」
さとり「……こいしと…同じです……。完全に……心を閉ざしています……」
霊夢「何ですって?」
さとり「…このまま夢の中に入ったとして……目覚めさせることが出来たとして……果たしてそれは、本当に涼花ちゃんを救ったと言えるのでしょうか……」
霊夢「さとり……」
さとり「紫さんは……RYOさんは……この事を知っていたから………」
霊夢「……心を開かせれば良いのね?」
霊夢は、数あるスキマ空間の中から、外の世界へと通じているスキマ空間を探し、その前に立った。
さとり「……霊夢さん、何を……?」
霊夢「涼花ちゃんは思い出によって、この世に存在している。それを知っている筈のRYOも紫も、涼花ちゃんの心を開かせる事が出来なかった。つまり、幻想郷の思い出だけでは、心を開かせる事が出来ないと言うこと。でももし、外の世界での思い出があれば……」
さとり「……涼花ちゃんは心を取り戻す……?」
霊夢「…さとり」
さとり「は、はい」
霊夢「涼花ちゃんの事、頼んだわよ」
さとり「まさか……一人で外の世界へ?だったら私も……」
霊夢「……あんたまで、心の目を閉ざすことになるかもしれないのよ?」
さとり「……え?」
霊夢「あんたが地底に行った頃よりも、外の世界は混沌としてると聞いたわ。人間も、昔に比べたら大勢居る。そんな所へ行ったら、あんたもこいしと同じになるわよ?」
さとり「……………」
霊夢「大丈夫。必ず戻るわ」
そう言い残し、霊夢は一人、スキマ空間の中へと入っていった。
外の世界 上空
霊夢「ぐっ!?…な、何よ…この空気は……」
気管が痛い。目も霞む。
本当にこんな所で、人間は生活できているのだろうか?
そう思わせてしまうほどに、外の世界の空気は汚れていた。
霊夢「……これは、あまり長居をしたくないわね」
霊夢がその場を去ろうとしたその時…。
霊夢「……魔理沙?」
霊夢の直感は、ここに居ない筈の魔理沙の気配を読み取った。
何故?魔理沙は幻想郷に居る筈…。
魔理沙か、魔理沙の近くに居た者が、外の世界(こちら側)に居る…?
魔理沙の気配の正体を確かめるべく、霊夢は気配のする方向へと向かった。
暫くすると、町の外れに着いた。
先程に比べ、空気が澄んでいる。
ここにはまだ、自然が残っているようだ。
霊夢は辺りを捜索した。すると。
弟「…あれ?霊夢?」
霊夢「RYOの……弟?…なるほど。魔理沙の気配がすると思ったら、あんただったのね」
弟「何の事か分からんけど……と言うか、何で霊夢が外の世界に居るんだよ」
霊夢「それはこっちの台詞よ。あんた、幻想郷に居たんじゃなかったの?」
弟「こっちに用があったから、紫に頼んで連れてきてもらったんだ。今日で一週間になるけど、迎えに来てくれなくて…」
霊夢「そう…」
弟「…で?何で霊夢がこっちに?」
霊夢「それは……」
霊夢は、これまでの事を細かく説明した。
弟「ふ〜ん……涼花ちゃんの思い出…ねぇ……」
霊夢「何か、心当たりは無い?」
弟「ん〜……そうだな……あ、そうだ。家に来てみる?涼花ちゃん、学校に通ってたから、何かあるかもよ?」
RYO達の家 涼花の部屋
霊夢「……涼花ちゃんらしい部屋ね。ねえ、涼花ちゃんは日記とか書いてなかったの?」
弟「…書いてなかったなぁ……」
霊夢「そう……」
弟「あ、そう言えば……」
霊夢「ん?」
弟「涼花ちゃんと涼花ちゃんの友達が、にぃにや親に内緒で、猫だか犬だかを飼ってたことがあったなぁ」霊夢「……もしかして、猫のリラ?」
弟「名前までは分からないけど……って、何で霊夢が、その事を知ってるんだ?」
霊夢「それは後で説明するから、リラがどこに居るのかを教えなさい」
弟「って言われても……近くの山にある神社の周辺…としか聞いてないからな……」
霊夢「神社……」
弟「とりあえず、そこまでは案内するよ。何か、手掛かりはあるかもしれないし」
神社
霊夢「…外の世界の神社なのに、ここの神社は信仰が集まってるわね」
弟「やっぱり分かる?ここは札所だからね」
霊夢「札所?」
この地域では、神社や寺院を巡る札所巡りと言う巡礼が行われている。その為、小さく寂れた寺院や神社にも、毎年多くの人が訪れ、信仰を集めている。
弟「この近くで遊んでたらしいけど……」
霊夢「……ん?」
霊夢は、神社の脇に獣道があることに気付いた。
恐らく、普通の人間は気付けない程の、小さな獣道。
何と言うことの無い、ただの獣道だが…この獣道の先に何かがある。
霊夢の直感が告げていた。
弟「こんな所に獣道がねぇ…」
霊夢「この先には、何かあるの?」
弟「知らない。……何十年も前に、この辺りで土砂崩れがあったとは聞いてるけど……」
霊夢「それだけ?」
弟「多分……」
霊夢「…まあいいわ。行ってみましょう」
弟「なんで?」
霊夢「気になるのよね…この先が……」
霊夢とRYOの弟は、獣道へと入っていった。
人一人がようやく通れるような獣道を、二人は進んでいく。
肌寒くも清々しい空気。何処と無く、幻想郷の空気に似ている気がする。
獣道を暫く進むと、二人は開けた所に出た。
辺りには暖かな木漏れ日が差し込み、その中央には岩が重なって出来た洞穴が、何処か寂しそうに口を開けていた。
霊夢「ここは……?」
弟「……ああ、ここの事だったんだ」
霊夢「……?」
弟「言わなかったっけ?涼花ちゃん、秘密の場所って所でよく遊んでたんだ」
霊夢「聞いてないわよ…」
弟「まあ、それはそれとして…」
ニャー…
霊夢「ん?」
リラ「ニャー……」
弟「おお、リラ。元気だったか?」
霊夢「この子がリラ?」
弟「そう。にぃにに飼ってることがバレてからは、少しの間家で飼ってたんだ。リラが元気になった後は、ここで育ててたんだな」
リラ「ニャー……」
弟「…元気が無いな。どうした?」
リラ「ミー……ミー……」
消え入りそうな鳴き声で、リラは霊夢の袖を引いている。
何かへ案内したいのだろうか?
そう思うと、リラは洞穴の方へと歩いていった。
霊夢「…そこに、何かあるのね?」
霊夢は、リラの後に付いていった。
リラ「ミー……」
洞穴の中は、涼花が持ち込んだと思われるガラクタや玩具が置いてあった。
その奥の壁の前で、リラは立ち止まった。
そこには、涼花へ宛てられた一通の手紙が置いてあった。
霊夢「この手紙……いったい誰が……」
弟「多分、ゆーちゃんじゃないかな?」
霊夢「ゆーちゃん……涼花ちゃんの友達の?……でも、あの子は……」
そう、雪柳紫苑も紫と同様、記憶を消されている筈である。
それなのに、手紙を……?
弟「読んでみれば?」
霊夢「……それもそうね。…涼花ちゃんへ」
涼花ちゃんへ
また、涼花ちゃんは行っちゃったから言えなかったんだけど…実はわたし、びょうきがさいはつしちゃったんだ。
早めに見つかったから、アメリカのびょういんに行けばなおるって、お母さんが言ってたの。
だから、しばらくは会えなくなっちゃうんだ。
でも、ぜったいになおるって言ってたから、しんぱいしないでね?
それから、わたしのことをわすれないように、あの木にリボンをかけておくね。
おぼえてる?わたしたちが初めてお友だちになったときに、涼花ちゃんがくれたリボンだよ。
さいごに。今、涼花ちゃんに何が起こってるのかは分からない。でも、わたしはもうどんなことがあっても、涼花ちゃんのことをぜったいにわすれないよ。
だから涼花ちゃんも、わたしのこと、わすれないでね。
至音より
霊夢「……ゆーちゃん……」
リラ「ミー…ミー…」
霊夢「……リボンの所まで、案内してくれるのね」
リラ「ミー…」
リラに案内されたのは、秘密の場所の側にある木。
そこには、白いリボンが掛けられていた。
何の変哲もないリボンだが、霊夢にはそれが光輝いて見えた。
間違いない。このリボンが、涼花を救う為の鍵となっている。
霊夢はそう感じた。
早く、これを涼花に届けよう。
そう思い、霊夢はリボンに触れた。すると。
涼花「へぇ、こんな所に洞穴があったんだ」
至音「……だれ?」
涼花「え…あ……えっと……わ、わたしは涼花。香雪蘭涼花。……あなたは?」
至音「涼花……良い名前だね。私は雪柳至音。影林小学校の、二年一組…」
涼花「え……わたしと同じクラス…?」
至音「私……元々体が弱いから、あまり学校にも行ってないの」
涼花(……そう言えば、いつも窓側の席が一つ空いてたっけ……)
至音「…じゃあ、私はこれで…」
涼花「あ…待って!」
至音「…ん?」
涼花「その…初対面なのに、こんな事言うのもアレなんだけど……」
至音「……」
涼花「わ、わたしと……友達になってください!」
至音「……とも……だち……?」
涼花「…ご、ごめん……いきなり、友達になってくださいなんて…迷惑……だよね?」
至音「……そんなことない」
涼花「……え?」
至音「今まで…友達が出来なかったから……嬉しくて、ちょっとびっくりしてるだけ」
涼花「…じゃあ」
至音「これからよろしくね、涼花ちゃん」
涼花「う、うん♪よろしくね、至音ちゃん♪」
至音「…ふふ♪」
涼花「えへへ♪」
至音「…あ、そうだ」
涼花「ん?」
至音「友達の証に、このリボンを受け取って?」
涼花「…いいの?」
至音「うん」
涼花「ありがとう♪じゃあ、わたしのリボンも受け取って?」
至音「うん、ありがとう。これからは何があっても、私は涼花ちゃんの友達だよ」
涼花「ありがとう、至音ちゃん♪」
リボンに触れた瞬間、このリボンに込められた思い出が、霊夢の頭の中に流れ込んできた。
こんな素敵な思い出さえも、涼花は消そうとしているのか?
…届けよう、この素敵な思い出を。そして伝えよう。みんなの想いを。至音の願いを。
霊夢は、手紙とリボンを握り締めた。
リラ「ミー…ミー…」
霊夢「…あんたも、寂しかったのね。でも大丈夫。必ず、涼花ちゃんを助けるわ」
リラ「ミー…」
霊夢「弟君。この子の事、頼んだわよ」
そう言い残し、霊夢はスキマ空間へと急いだ。
このリボンが、外の世界と幻想郷の全ての思い出を繋ぐ、絆であると信じて…。
続く