涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
聖夜の鐘が鳴る時
12月24日 クリスマスイブ
涼花「ジングルベ〜ル♪ジングルベ〜ル♪すっずが〜なる〜♪」
魔理沙「こんな寒い中、随分とご機嫌だな」
涼花「あ、魔理沙お姉ちゃんこんにちは♪今日はクリスマスイブだもん♪気分だって浮かれるよ♪」
魔理沙「ああ、もうそんな時期か」
涼花「今年一年は良い子で過ごしたから、サンタさんもプレゼントを奮発してくれるはず♪」
魔理沙「その自信はどこから来るのか…。そう言えば、今年も紅魔館でクリスマスパーティーがあるんだっけ。涼花ちゃんも来るのか?」
涼花「もろちん♪」
魔理沙「もちろんな。まあ、夜中まで掛かるし酒も出るから、いつもの事ながら気を付けるんだな」
涼花「もろちん♪」
魔理沙「もちろんな」
涼花「ねえ、魔理沙お姉ちゃん」
魔理沙「ん?」
涼花「サンタさんって、どんな人なの?」
魔理沙「なんだ、知らないのか?そうだな…赤い服を着た髭のじいさんだな」
涼花「それは知ってるよ。そうじゃなくて、世界中の子ども達にプレゼントを配るんでしょ?やっぱりマッチョさんなのかな?」
魔理沙「そんな事はない、普通のじいさんだ。世界中にプレゼントを配れるってのは諸説あるからな。サンタの国には各国のサンタが居て、クリスマスイブになると手分けして配ってるとか、空飛ぶ橇で一夜にして配ってしまうとか、いじめられっ子な馴鹿の大出世とか」
涼花「赤鼻のトナカイだね」
魔理沙「ああ、そうだな。まあ諸説あるが、ただ者では無いことは確かだな。それだけの事をしているのに、クリスマスの目撃情報はほぼ皆無だからな」
涼花「ふ〜ん」
魔理沙「ま、夜中まで起きてサンタの正体を暴こうとする悪い子の所には現れないから、涼花ちゃんも気を付ける事だ」
涼花「大丈夫、私は良い子だから♪」
魔理沙「そうかい。それじゃ、私は用事があるから」
涼花「うん、またパーティーでね♪」
涼花「う〜ん…やっぱり良く分からなかったな…。ちょっと本屋さんに寄って、サンタさんの本が無いか見てみようかな」
人間の里 鈴奈庵前
涼花「……別の本屋さんにしよう」
「おや、涼花ちゃんじゃないか」
涼花「ん?」
「直接話をするのは初めてかな?」
涼花「…えっと…だれ?」
「…博麗の巫女と言い涼花ちゃんと言い、ちと厄介じゃの……ほれっ」
涼花「あっ」
マミゾウ「これで分かるかな?」
涼花「マミゾウお姉さん」
マミゾウ「よっと。里では人間に化けておるのじゃ。その方が、色々と都合が良いのでのう。それで、鈴奈庵に何か用事かな?」
涼花「い、いや、別に…」
マミゾウ「そうか?しかし、本屋がどうのと…」
涼花「き、聞き間違いじゃないかな?わ、わたし、用事があるからこれで…」
マミゾウ「あ、涼花ちゃん……行ってしまったか…。小鈴と何かあったのか?」
涼花「はぁ……危ない危ない。小鈴お姉ちゃんは手をかざすと、どんな本でも読める能力があるからね……しばらく、鈴奈庵には近付かないようにしよう…」
鈴奈庵
小鈴「いらっしゃ…あ、貴女は」
マミゾウ「どうも」
小鈴「今日は何かご入り用ですか?それとも、また本を持ってきてくださったのですか?」
マミゾウ「いや、ちょっと聞きたいことがあってな」
小鈴「はい、何でしょうか?」
マミゾウ「涼花と言う少女を知っておるか?」
小鈴「ああ、噂は聞いています。ですが、直接会ったことはありませんね」
マミゾウ「そうか……」
小鈴「あの、その子が何か?」
マミゾウ「いや、会ったことが無いのなら良い。邪魔したな」
小鈴「は、はあ……またお越しください」
マミゾウ(面識は無しか…涼花ちゃんの態度が気になるが…ま、良いか)
香林堂
涼花「結局ここまで来ちゃった…まあ、霖之助さんに会えるから良いけど」
涼花「こんにちは」
霖之助「涼花ちゃん、いらっしゃい。何かお探しかな?」
涼花「うん。ちょっと本を探しに」
霖之助「外来本?」
涼花「うん」
霖之助「そう。また新しい本も入荷したからね。ゆっくりしていくと良いよ」
涼花「ありがとう」
涼花「これかな?"The Night Before Christmas"?」
霖之助「直訳すると『クリスマスの前の晩』だね」
涼花「クリスマスイブって事?」
霖之助「まあ、そう言う事だね」
涼花「………」
霖之助「………」
涼花「読めない……」
霖之助「ハハ…だろうね。全部英語だから」
涼花「霖之助さんは読める?」
霖之助「まあ少しなら」
涼花「じゃあお願い。私、サンタさんについて知りたいの」
霖之助「ふむ……特にこれと言った事は書かれていないね。皆が抱いているサンタクロース像そのものだよ」
涼花「そっか……ありがとう」
霖之助「力になれなくてごめんね」
涼花「ううん、大丈夫だよ」
人間の里
涼花「つ…疲れた…香林堂と里は往復するものじゃないね…。どこかで休もう…」
甘味処 あんころ庵
輝夜「いらっしゃいませ〜♪あ、涼花ちゃん」
涼花「こんにちは。ちょっと休みに来ただけなんだけど…大丈夫かな?」
輝夜「ええ、大丈夫よ」
涼花「ありがとう♪」
涼花「ふぅ……疲れたぁ……」
輝夜「はい、これ」
涼花「ん?わたし、注文してないよ?」
輝夜「私からのおごりよ」
涼花「ありがとう輝夜お姉ちゃん♪」
輝夜「こ、こら、抱きつかないの」
涼花「あ、輝夜お姉ちゃん」
輝夜「ん?」
涼花「今日は紅魔館のパーティーに行くの?」
輝夜「こっちがちょっと時間が掛かりそうなのよね。でも、終わり次第行こうと思ってるわ」
涼花「そっか」
輝夜「涼花ちゃんは?」
涼花「行くよ♪」
輝夜「だったら、あまり夜更かししちゃ駄目よ?ただでさえお酒が出るんだから」
涼花「それ、魔理沙お姉ちゃんにも言われたんだけど……とにかく、わたしは大丈夫だから」
輝夜「そう?ちょっと心配だけど」
涼花「大丈夫だって♪」
輝夜「ま、くれぐれも気を付けなさい」
涼花「は〜い」
涼花「はぁ、美味しかった♪ごちそうさまでした♪」
輝夜「ありがとうございました♪」
涼花「さてと、早く買い物を済ませないとね」
人間の里 大通り
涼花「おじさん♪こんにちは♪」
八百屋の店主「やあ、涼花ちゃんじゃねえか。今日もお使いかい?」
涼花「うん♪」
八百屋の店主「いつも偉いねぇ。今日は何を買ってくれるんだい?」
涼花「え〜と…これと、これをください♪」
八百屋の店主「毎度!涼花ちゃんはいつも、ひとりで買い物頑張ってるからな。これは、おじさんからのクリスマスプレゼントだ!」
涼花「わぁ!ありがとう、おじさん♪」
涼花「ふふ♪八百屋のおじさんは優しいなぁ♪」
阿求「あら、涼花ちゃん」
涼花「あ、阿求お姉ちゃん♪」
阿求「買い物ですか?」
涼花「うん♪」
阿求「そうですか。私も、頼んでいた物を取りに行くところだったんです。それ程時間も掛かりませんし、その後にどこかでお茶でもどうですか?」
涼花「ありがとう。でも、今日は帰ってからパーティーの準備とか色々あるから」
阿求「そうですか…。では、また今度に」
涼花「うん、誘ってくれてありがとう♪」
人間の里の外れ 涼花達の家
涼花「ただいま。疲れたよぉ……って言っても、今日はお兄ちゃんも弟君も居ないんだよね…」
涼花「…二人共今日は帰らないって言ってたし、とりあえずご飯の支度はしなくていいから、私もパーティーの準備をしなくっちゃ」
数分後……
コンコン…
涼花「はぁーい。誰だろう?」
涼花「どちら様?」
ルーミア「こんにちは」
涼花「あれ?ルーミアちゃん、どうしたの?」
ルーミア「ちょっとね。寒いから中に入れてもらえると助かるかな」
涼花「あ、うん、どうぞ」
ルーミア「はぁ〜…あったか〜い…」
涼花「それで、どうしたの?私に何か用?」
ルーミア「特に用事とかじゃないんだ。近くを通りかかったから寄っただけ」
涼花「あ、そう…」
ルーミア「はぁ〜…あったまるぅ〜♪」
涼花「ゆっくりしていていいよ。私はパーティーの準備があるから」
ルーミア「パーティー?」
涼花「紅魔館でクリスマスパーティーがあるんだよ」
ルーミア「ああ、そう言えば招待状が来てたね。とは言っても、結局はみんなお酒を呑みたいだけだし、クリスマスパーティーだってその為の口実でしょ?」
涼花「たまにルーミアちゃんだけ大人っぽい発言するよね」
ルーミア「そりゃあ、涼花ちゃんよりは年上だし。チルノみたいな見た目の年齢相応のも居るけど、あれは妖精だし。兎に角、参加するのは構わないけど、お酒は間違いなく出るし、夜遅くまでやるんだから、あんまり夜更かししちゃ駄目だよ?」
涼花「……なんでみんなから同じ事言われなきゃならないの……」
ルーミア「考えてることは一緒だね」
涼花「それならルーミアちゃんにだって言えるでしょ?」
ルーミア「涼花ちゃん、私が何なのか忘れてない?夜は妖怪の時間。私は妖怪。夜更かししたってお酒を呑んだって問題無い」
涼花「………」
ルーミア「ま、年長者の言葉は素直に聞くのが吉ってものよ。それじゃ、私はそろそろ行くよ」
涼花「本当に暖まりに来ただけなんだね……」
夕方……
涼花「よし、準備完了♪可愛いドレスを買ってもらえて良かったよ♪…そろそろ時間かな?」
コンコン……
涼花「はぁーい。今日は良く人が来るなぁ」
涼花「はい、どちら様……」
霊夢「涼花ちゃん、迎えに来たわよ」
涼花「霊夢お姉ちゃん…どうしたの?そのドレス…」
霊夢「魔理沙と霖之助さんが見繕ってくれたのよ…私はいつも通りで良いって言ったんだけど…」
涼花「なんか…新鮮だね。霊夢お姉ちゃんってドレスとか着ないから」
霊夢「正直、動き辛くてしょうがないわ…早く着替えたい…」
涼花「えぇ〜…似合ってるのに勿体ないよ…」
霊夢「そんな事言われた私はどう反応すればいいのよ…」
涼花「笑えばいいんじゃない?」
霊夢「ほら、さっさと行くわよ」
涼花「誤魔化してるし…霊夢お姉ちゃんが一緒に行ってくれるの?」
霊夢「本当なら魔理沙が来る予定だったんだけど、急用が出来たとか言ってどこかに行っちゃったのよね。だから、代わりに私が来たの」
涼花「そっか。紅魔館までちょっと遠いから助かるよ」
霊夢「ん?飛ばないわよ?」
涼花「……え?」
霊夢「だって、飛んでいったら流れ弾に当たるかもしれない。避けられるから良いけど、ドレスが汚れたりするのは勘弁だからね」
涼花「そ、それは困る…」
霊夢「だから、紅魔館までは徒歩よ」
涼花「……はぁ」
紅魔館前
涼花「美鈴お姉ちゃん♪」
美鈴「あ、涼花ちゃんに霊夢さん。ようこそ、紅魔館のクリスマスパーティーへ」
霊夢「こんなに寒いのにご苦労な事ね…。はいこれ、パーティーの招待状」
美鈴「確かに。どうぞ、もう何人か集まってますよ」
涼花「早いね。一番かと思ったんだけどな」
美鈴「…ああ、涼花ちゃんと霊夢さん」
涼花「ん?」
美鈴「そのドレス、とても似合ってますよ」
涼花「えへへ♪ありがとう♪」
霊夢「……///」
涼花「ふふ〜ん♪」
霊夢「な、なに?」
涼花「満更でもないって顔してる♪」
霊夢「き、気のせいよ」
紅魔館 大広間
文「ふむふむ、なるほどなるほど」
涼花「文お姉ちゃん♪」
文「ん?おやおや、涼花ちゃんじゃないですか。今日はおめかししてきたんですか?良く似合ってますよ〜♪可愛いですね〜♪」
涼花「あ、ありがとう…嬉しいけど、恥ずかしいからあまり撮らないで?」
文「何を言いますか!こんなに可愛らしい被写体が居るのに撮らずにいられますか!」
霊夢「そのくらいにしときなさいよ…」
文「ん?霊夢さ……ぶはぁっ!!な、何ですかその格好は!!」
霊夢「ドレスよ。見て分からない?」
文「おお〜…良いですねぇ、良いですねぇ〜…これは堪まりませんねぇ…ジュルリ…」
涼花「文お姉ちゃん…涎と鼻血が両方出てるよ…」
文「おっと、これは失礼…」
霊夢「……やっぱり着替えようかしら?」
文「それを着替えるなんてとんでもない!」
涼花「そうだよ?せっかく似合ってるのに着替えるなんて」
霊夢「これじゃあ単なる晒し者じゃない…」
咲夜「騒がしいわね。何事?」
文「これはこれはメイド長の咲夜さん、ご無沙汰しております♪」
咲夜「貴女を呼んだ覚えはないんだけど…美鈴は何をしていたのかしら…」
文「細かい事を気にしてはいけませんよ♪」
咲夜「そんな事より霊夢、今日はドレスを着てきたの?」
霊夢「悪い?」
咲夜「…馬子にも衣装ね」
霊夢「どういう意味よ」
咲夜「そのままよ。さて、私は忙しいの。あまり問題は起こさないようにね」
文「もちろんです!」
咲夜「貴女が一番心配なのよ…」
涼花「アリスお姉ちゃん、こんばんは♪」
アリス「あら、涼花ちゃん。こんばんは。今日はドレスを着てきたの?」
涼花「うん、どうかな?」
アリス「良く似合ってるわよ」
涼花「ありがとう♪」
アリス「…あら?霊夢もドレス?」
霊夢「…あんたもどうせ茶化すつもりでしょ?」
アリス「どうして?良く似合ってるじゃない。もしかして、茶化してほしいのかしら?」
涼花「咲夜お姉ちゃんに馬子にも衣装って言われて、いじけちゃってるの」
アリス「そうなの?霊夢、元気出しなさいよ」
霊夢「いじけてないわよ!」
アリス「素直じゃないんだから」
霊夢「はぁ……あんた達と話してると疲れるわ……」
アリス「そんな事言って、もう長い付き合いじゃない。この照れ屋さん」
霊夢「あんた…いい加減にしなさいよ?」
アリス「おお怖い。それじゃあ、私は退散するわ」
霊夢「まったく……」
涼花「あ、咲夜お姉ちゃん」
咲夜「ん?どうしたの?」
涼花「ちょっと質問。今日のクリスマスパーティーは特別なの?私や霊夢お姉ちゃんもそうだけど、ドレスを着てる人が多いから」
咲夜「あら、招待状に書いてあったはずなんだけど…ちゃんと読まなかったでしょ?」
涼花「え?」
咲夜「今年のクリスマスはダンスパーティー。勿論、他にも色々やるけど、メインはダンスだから。って書いておいたはずなんだけど」
涼花「ちゃんと読んでなかった…」
咲夜「お嬢様の思い付きだから、すぐに飽きるとは思うけど…まあ、そう言う訳だからよろしくね」
涼花「わかったよ。ダンスに自信はないけど…」
夜も更け……
咲夜「皆様ご静粛に。これより、レミリアお嬢様よりご挨拶がございます」
レミリア「コホン…今年も、紅魔館のクリスマスパーティーに参加してくれて感謝するわ。存分に楽しんで頂戴」
咲夜「それでは皆様、これより舞踏の時間とさせていただきます。お近くの方とペアになっていただきたいと思います」
アリス「ねぇ、魔理沙見てない?」
霊夢「魔理沙なら急用が出来たとか言ってどこかに行っちゃったわよ。まったく…見繕った本人が見ないとか何なのよ…」
アリス「?……まあ良いわ。空いてるならダンスの相手をしてもらえない?」
霊夢「良いけど…私、ダンスなんかしたこと無いわよ?」
アリス「大丈夫、私がちゃんとリードするから」
レミリア「涼花ちゃん、ダンスのお相手をお願いしても良いかしら?」
涼花「喜んで♪」
神奈子「…なんでお前となんだ?」
紫「近くにいたから仕方なくよ。それより、私のドレスを踏むとか不器用なことはしないでよ?」
神奈子「こういう事には慣れてないからな…」
諏訪子「なんであんたかなぁ…」
チルノ「ダンスくらい、あたいの華麗なステップで避けきってやるわ!」
諏訪子「どんな勘違いをしているのよ…」
燐「お空?あたいの言ったとおりに足を動かすんだよ?そうすれば上手くいくから」
空「そもそも、ダンスって何?食べ物?」
燐「踊りよ、踊り」
空「踊りなら得意だよ♪それっ♪」
燐「人の話を聞きいてよ…」
咲夜「演奏隊、準備はいい?」
妖精メイド演奏隊「いつでもオッケーです!」
咲夜「それでは始めなさい」
妖精メイド演奏隊「皆いい?いくわよ?1…2…3…」
……一方その頃 人間の里上空
魔理沙「…始まったみたいだな。それじゃ、そろそろ私も動きますか」
紅魔館
霊夢「む…難しいわね…」
アリス「ほら、緊張しないで、リラックスして?」
レミリア「涼花ちゃん、なかなか上手いわね」
涼花「えへへ♪ちょっとは練習してたからね♪(これで相手が霖之助さんなら良かったんだけど…)」
咲夜「……なかなか良い感じね。一部を除いて」
文「おお……こういうのも良いものですねぇ〜」
咲夜「新聞屋さん?撮るときは腰より上。良いわね?」
文「見えるか見えないかのギリギリさがまた何とも…」
咲夜「良いわね?」
文「は、はい……」
パチェ「楽しんでるみたいね」
咲夜「パチュリー様。装置の方は?」
パチェ「順調よ。誰も手伝ってくれないから調整に時間が掛かったけど、なんとか今日中には完成しそうね」
咲夜「誰も手伝ってくれないって…司書の小悪魔さんは?」
パチェ「あそこ」
美鈴「な、なかなか難しいですね…」
小悪魔「大丈夫ですよ。ほら、リラックスしてリズムに合わせて」
咲夜「後でお仕置きですね」
パチェ「頼むわよ。それじゃあ、私は最終調整があるから」
咲夜「一人で大丈夫ですか?」
パチェ「山は超えたから、後は一人で何とかなるわ。それより……」
咲夜「?」
パチェ「……白黒が来てないわね」
咲夜「気になります?」
パチェ「貴女…多分誤解してるわね?来ていないと言う事は、もしかしたら何かを企んでいる可能性があると言う事。……図書館は結界を施しておいたから大丈夫でしょうけど、何が起こるか分からないわ。貴女も用心しておきなさい」
咲夜「そこまで心配する必要も無いとは思いますが…一応、見張りは強化しておきます」
パチェ「お願いね」
午後11時 人間の里上空
魔理沙「よし、こんなもんだろう。後一時間……そろそろ紅魔館に向かうか。確か時計塔にアレがあったはず……」
紅魔館
パチェ「完成……疲れた……」
フラン「パチェ、それなに?」
パチェ「ああ、妹様。これは投影装置です」
フラン「とうえい?」
パチェ「去年までは、魔法で作った雪を室内に降らせて雰囲気を作っていました。ですがそれだと、私が常に管理していなければならず、パーティーを楽しめなかったのです。そこでこれ。幻術の応用で雪の情景を常に投影し続ける装置を作りました。これを使用すれば管理をする必要もなく、私もパーティーを楽しめるという訳」
フラン「よく分からないけど、便利な代物なんだね」
パチェ「さて、後はスイッチを入れれば…」
霊夢「ん?」
涼花「わぁ〜♪綺麗〜♪」
アリス「ここの魔女は相変わらず、クリスマスだけは張り切るわね」
咲夜「いつ見ても、この光景は素敵ですね」
レミリア「なんでクリスマスの日だけ、こんなに張り切るのかは謎だけどね」
妖精メイド「お、お嬢様!メイド長!大変です!」
レミリア「喧しいわね…せっかくのムードが台無しじゃない」
咲夜「何かあったの?」
妖精メイド「実は……」
紅魔館 上空
魔理沙「ふぅ……なんとか片付いたか。それにしても、何でこんなに警備が強化されてるんだ?」
咲夜「そこの白黒、止まりなさい」
魔理沙「はぁ……まあ、これだけ暴れれば出てくるよな…」
咲夜「何の用?もうパーティーは始まってるわよ」
魔理沙「パーティーに来た訳じゃない事くらい分かるだろ?」
咲夜「……このこそ泥め」
魔理沙「誤解だ…って言っても、信じてくれないよな…」
咲夜「今すぐに立ち去れば、今回は見逃してあげるわ」
魔理沙「生憎、私はこの先に用があるんだ。立ち去る訳にはいかないな」
咲夜「先……?」
魔理沙「ああ。私は時計塔に用があるんだ。もう時間もあまり無い。時計塔のアレを使いたいだけなんだ」
咲夜「何の事だか分からないけど、貴女の言うことは素直に信じられないわね」
魔理沙「だろうな。仕方がない、温存しておきたかったが…」
咲夜「させないわ。メイド秘技『殺人ドール』」
紅魔館
涼花「あはは♪そうだね♪」
霊夢「涼花ちゃん、楽しんでるところ悪いけど」
涼花「ん?」
霊夢「もうすぐ0時になるわ。そろそろ帰った方が良いんじゃない?」
涼花「もう……せっかく愉しい気分なのにそう言う事言うかな?」
霊夢「ちょっと酔ってるわよね?……匂いのせいかしら?」
涼花「酔ってない酔ってない♪大丈夫大丈夫♪」
霊夢「……はぁ」
紅魔館 上空
咲夜「らしくないわね、そんなに必死になって」
魔理沙「何しろ時間が無いものでね」
咲夜「こちらにはたっぷりとあるの。そう、たっぷりと…」
魔理沙「はぁ…なんでこうなっちゃったかなぁ…」
咲夜「貴女が泥棒だからよ」
魔理沙「……仕方がない、これで終わらせる。上手く避けろよ?」
咲夜「当たりに行く馬鹿もいないと思うけど?」
魔理沙「それは良かった。行くぜ!『ブレイジングスター』!」
咲夜「なっ!?」
魔理沙「時間が無いって言っただろ!じゃあな!」
紅魔館 時計塔
魔理沙「30分前…何とか間に合ったな。え〜っと…アレは……お、あったあった」
魔理沙「誰が何の目的で建てたのか分からないこの鐘楼。しかもクリスマス期間にだけあると言う不思議なもの。ちょっと借りるぜ」
魔理沙「ま、理由は何となく分かる気がする。この時計塔は鐘が鳴らないからな。クリスマスの期間だけってのも、恐らくムード作りの為だろう」
魔理沙「……よし、これで準備は整った。後は…」
咲夜「見付けたわ!」
魔理沙「流石に早いな。もう追い付いたか」
咲夜「魔理沙、まさか貴女、それを盗むつもり?」
魔理沙「まさか。もう私の用は済んだ。邪魔者はさっさと退散するぜ」
咲夜「あ、魔理沙!……何だったの?」
紅魔館
咲夜「ただいま戻りました」
レミリア「遅かったわね。あいつは捕まえられた?」
咲夜「それが…何も盗まずに逃げていきました」
レミリア「珍しいわね、あいつが何も盗らずに逃げるなんて。まあ、被害が無いのならそれで良いわ。もうすぐパーティーも盛り上がる時だから、貴女も持ち場に戻りなさい」
咲夜「分かりました…」
涼花「んふふ〜♪何の話をしてるのかなぁ〜♪」
レミリア「涼花ちゃ…うっ!?…お酒臭い…まさか、涼花ちゃん…」
霊夢「大丈夫、お酒は呑んでないわ。どうも、お酒の匂いで酔ったみたいなのよね…」
涼花「ふふふ〜♪なんだか良い気分〜♪」
レミリア「…これはアウトじゃない?」
霊夢「それより、なんだか慌ただしかったけど、何かあったの?」
咲夜「それが…」
人間の里 上空
魔理沙「準備完了。…10分前か。そろそろかな?」
「ホーホーホー!」
魔理沙「来たか。おーい!」
「ん?」
魔理沙「来てもらって早々で悪いが、あんたの持ってる物を全部置いていってもらうぜ!」
「え?え!?」
紅魔館
霊夢「へぇ…魔理沙がね…」
咲夜「何も盗られていないし別に良いとお嬢様は言うのだけど…」
霊夢「あっさり逃げたのが気になると?」
咲夜「らしくないのよね、今夜の魔理沙は」
霊夢「魔理沙は鐘楼に行ったのよね?何か細工でもしたんじゃない?」
咲夜「そう思って調べたけど、何もされてなかったわ。ほんと、何をしたかったんだか…」
霊夢「確かに不可解だけど、何かあったら後でシメてやれば良いだけよ。私達は今を楽しみましょう?」
咲夜「う〜ん……それもそうね」
涼花「霊夢お姉ちゃ〜ん♪もうすぐカウントダウンが始まるって〜♪」
霊夢「……あの子はあの子で何とかしないとね」
人間の里 上空
魔理沙「ちょこまかと避けやがって」
「あ、危ないわね…いきなり何するのよ!びっくりするじゃない!」
魔理沙「驚いたのはこっちの方だぜ。まさか、サンタクロースが女だったとはな。一応、名前だけは聞いておいてやるか」
クラース「…クラース。サンタクロースの孫娘よ。あんたは?」
魔理沙「霧雨魔理沙。偉大なる大魔法使い様だ」
クラース「あんたが霧雨魔理沙…おじいちゃんがよく話してたこそ泥ね」
魔理沙「こそ泥じゃない、魔法使いだ。それよりお前、さっき孫娘とか言ってたな。本物はどうした?」
クラース「おじいちゃんは腰痛が酷くなっちゃって自宅療養中よ」
魔理沙「腰痛持ちだったのか…」
クラース「そんな事はどうでもいい。さっさとそこを退きなさい。私はプレゼントを配るので忙しいの」
魔理沙「そうはいかないな。……後10秒」
クラース「?」
魔理沙「…8…7…6…」
紅魔館
涼花「5!4!3!2!」
人間の里 上空
魔理沙「…1…0…」
紅魔館
涼花「メリークリスマス!」
ゴーン……ゴーン……(鐘の音)
人間の里 上空
魔理沙「メリークリスマス」
クラース「なっ!?こ、これは!?」
魔理沙「魔法障壁だ。紅魔館の鐘をスイッチに、里全体に作れるように色々と仕込んだ、私の力作だ(本当は小鈴の所にあった魔導書に書いてあったんだがな)。とりあえず、これでお前は袋の鼠だ」
クラース「もう…何なのよ…こんな寒い中かり出されるわ、変なこそ泥に絡まれるわ…と、ぼやいてる場合じゃないわね。早く配らないと」
魔理沙「させないぜ」
クラース「あんた…いい加減にしなさいよ?」
魔理沙「その荷物を置いていったら考えなくもないんだがな。くらえ!魔理沙ンタからの贈り物だ!」
クラース「!?」
紅魔館
パチェ「魔理沙が鐘楼に?」
咲夜「はい。特に細工もされていなかったので見逃しましたが…一応、パチュリー様が作られたものなので、報告を」
パチェ「………」
咲夜「パチュリー様?」
パチェ「気になるわ。ちょっと様子を見てくる」
咲夜「分かりました。外は寒いのでお気を付けて」
涼花「………」ウトウト
霊夢「さて問題。この子をどうしようか」
アリス「帰した方が良いんじゃない?」
霊夢「誰が帰すの?」
アリス「私は嫌よ?パーティーを楽しみたいし」
霊夢「それは私だって同じよ。…そうだ」
アリス「?」
霊夢「レミリア、ちょっと」
レミリア「ん?何かしら?」
霊夢「メイドを何人か貸してくれない?涼花ちゃんを家まで送らせたいの」
レミリア「そう言う事なら力になりたいけど…魔理沙の迎撃に向かって、今ここにいるメイド達以外は再起不能なのよね」
霊夢「馬鹿魔理沙め…」
アリス「こうなったら、誰が連れて行くかジャンケンで決めるしかないようね」
霊夢「良いわよ、私が送っていくから」
アリス「あら、良いの?」
霊夢「ちょうど、外の空気を吸いたかったしね。それと、帰りに魔理沙の様子でも見てくるわ」
アリス「あら、気になる?魔理沙の事が気になるの?」
霊夢「…魔理沙関連で茶化されるのはあんただけかと思ってたのに、当の本人が茶化してくるとは思ってもみなかったわよ」
アリス「違う違う、霊夢をからかうのが面白いだけ」
レミリア「それには同意せざるを得ないわね」
霊夢「………」
紅魔館 鐘楼
パチェ「寒……早く調べよう……」
パチェ「…ん?これは……」
パチェ「まさか、鐘の裏側に魔法を施すなんて…咲夜が気付かない訳ね。しかもこれは…魔理沙が雑に作らなければ、解除には時間が掛かったでしょうね。これくらいならすぐに解除できるわ」
人間の里 上空
魔理沙「やっと追い詰めたぜ。さあ、その荷物を置いていきな」
クラース「この壁さえなければ…」
魔理沙「言っておくが、その魔法障壁を壊すことは出来ない。魔法の元、鐘楼の魔法を解かない限りはな」
クラース「それなら、あんただって出られないんじゃない?」
魔理沙「自分が閉じ込められるような仕掛けを、わざわざ作ると思うか?」
クラース「だったら、今すぐ障壁を解きなさい」
魔理沙「解いてやっても良いが、交換条件だ」
クラース「嫌よ。どうせ、解いてやるから荷物を置いていけって言うんでしょ?」
魔理沙「交渉決裂だな。もう少し穏便に済ませたかったが仕方がない。これで決めてやるぜ。マスター……」
「ホーホーホー!」
魔理沙「ん?」
クラース「え!?」
人間の里
涼花「わぁ〜♪綺麗な流れ星〜♪」
霊夢「ん?あら、本当ね。向こうに居るのは魔理沙かしら?まったく…パーティーすっぽかして何やってるんだか…」
涼花「あ、お願い事できなかった…まあ良いか♪寒いから早く行こ?」
霊夢「それもそうね」
人間の里 上空
「やれやれ、心配になって来てみたら…案の定、魔理沙に絡まれておったか」
クラース「おじいちゃん!?なんで!?」
魔理沙「いや、その前にどうやって入ってきた?里には障壁が張ってあったはずだ」
「どうもこうも、障壁なんぞ無かったぞ?」
魔理沙「……え?」
紅魔館 鐘楼
パチェ「解除完了。まったく、勝手に魔法を施して…今度会ったらみっちり叱ってやろうかしら」
パチェ「それにしても寒い…早く戻ろう…」
人間の里 上空
サンタ「霧雨魔理沙よ。相変わらず、泥棒稼業に勤しんでおるのかのぅ?」
魔理沙「久しぶりだな、サンタよ。言っておくが、私は泥棒なんかしてない、ただ借りてるだけだぜ?」
サンタ「これは今年も、プレゼントは無しかのぅ?」
魔理沙「ま、待て!まずは落ち着いて、ちゃんと話し合おう?な?」
クラース「あんたみたいな悪い子に、誰がプレゼントなんかあげるのよ?言っておくけど、サンタは何でもお見通しなのよ?」
サンタ「まあまあ。クラースの妨害をして、プレゼント配りを大幅に遅らせた訳じゃが……今夜の働き次第では、特別に免除しようではないか」
魔理沙「どういう事だ?」
サンタ「遅れてしまった分、プレゼント配りの手伝いをしてもらおうではないか。真面目にやれば、今夜の一件は無かったことにするし、プレゼントもあげようと言っておるのじゃ」
魔理沙「ほ、本当か?」
クラース「おじいちゃんは甘過ぎるのよ。こんな奴に配らせたら何が起こるか…」
サンタ「おやおや、魔理沙の罠にまんまと掛かっておったのは、どこの誰だったかのぅ?」
クラース「ぅ……」
サンタ「やれやれ…まだまだ、若い者には任せておれんのぅ。儂も手伝うとするか」
クラース「で、でもおじいちゃんは腰痛が…」
サンタ「なんのこれしき。子供たちの笑顔を見れば、腰痛なんぞ吹き飛ぶというものじゃよ♪」
クラース「子供たちの…笑顔…」
サンタ「お前には、まだまだ学ばねばならん事が多いようじゃな。さあ、うかうかしておれんぞ?大急ぎでプレゼントを配るのじゃ!」
魔理沙「おう!」
人間の里
霊夢「すっかり遅くなっちゃったわね…パーティー、まだやってれば良いけど…」
霊夢「それにしても涼花ちゃん、家に帰った途端寝ちゃったわね。疲れてたのかしら?」
「ホーホーホー!」
霊夢「……あら?この声は……」
サンタ「それ、ダッシャー!それ、ダンサー!それ、プランサーとヴィクセン!」
クラース「行け、コメット!行け、キューピッド!それ、ドナーとブリッツェン!」
魔理沙「家のポーチの上へ、壁を駆け上がれ!」
サンタ&クラース&魔理沙「さあ、急いで行け!行け、みんなで急げ!」
霊夢「…毎年の事だけど、サンタも大変ね」
クラース「さあ、ルドルフ!みんなの先を、明るく照らしなさい!」
魔理沙「頑張れ、ルドルフ!」
サンタ「子供たちの笑顔を、未来をも、その鼻で明るく照らせ!」
魔理沙「メリークリスマース!」
霊夢「子供たちの笑顔と未来か……。メリークリスマス、サンタさん。そして、毎年ご苦労さま」
クリスマスの晩、三人のサンタクロースはトナカイを繰り、家々の屋根を走り抜け、子供たちの為に空飛ぶ魔法のソリを走らせる。
プレゼントを楽しみにしている、子供たちの為に。そして、その笑顔の為に…。
終わり