涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
はなよりだんご
春!
春と言えばいろいろなイベントが目白押し!
その中でも特に盛り上がりを見せるのが…
お花見!
幻想少女達にとって、それは春の訪れを感じるためだけでなく、お酒を呑むための口実でもあった。
しかし…。
霊夢「今年はお酒は出さないわよ」
と言う、貧乏巫女の空気の読めない発言は、幻想少女達を震撼させた。
魔理沙「なあ霊夢よ。本当に今年はお酒無しなのか?」
霊夢「諄いわね。無しだって言ってるじゃない。それとも、あんたが全員分のお酒を用意してくれる?」
魔理沙「そ、それは……」
霊夢「それに、呑んだ後は酔っ払ってそのまま帰っちゃうから、後片付けだって大変なの。それもあんたがしてくれる?」
魔理沙「ぅ……」
霊夢「だから当然の措置よ。うちで花見をするのは構わないけど、お酒は絶対に出さないから」
魔理沙「う〜ん……そうなると、今年は誰かが花見を開いてくれるのを待つしかないか……」
紫「そんな貴女達に朗報よ♪」
魔理沙「うわっ!?」
紫「この反応…たまらないわ♪」
魔理沙「くそっ…完全に油断してた…」
霊夢「紫、何の用?言っておくけど、花見酒はさせないから」
紫「そうではないわ。お酒が出ないのなら、提供してくれる者の所へ行けば良いだけの話。と言うわけで、白玉楼でお花見をしているわ。一緒にどう?」
霊夢「あんたが長々と話してる間に、魔理沙はもう行っちゃったわよ。私も行く用意が出来たから、あんたの話を流したらすぐにでも行くわ」
紫「私をぞんざいに扱うなんて…良い度胸じゃない?」
霊夢「女も度胸よ。それじゃ」
紫「あ、待ちなさい!……もう、せっかく近道用のスキマを用意しておいてあげたのに……まあ良いわ」
白玉楼
魔理沙「おお、集まってる集まってる。そしてここの桜は毎年の事ながら、見事の一言に尽きるぜ」
霊夢「………?」
魔理沙「うん?どうした?」
霊夢「いや…お酒無くない?」
魔理沙「まさか、そんな筈は……」
幽々子「あら、貴女達も来たのね?」
魔理沙「おい幽々子、これはどういう事だ?」
幽々子「なにが?」
魔理沙「お酒が無いじゃないか」
幽々子「お酒を出すなんて言ってないわ。私はお花見を開くと言っただけ」
魔理沙「あいつ……」
紫「ちょっと幽々子!これは一体どういう事よ!」
幽々子「なにが?」
紫「なにが?じゃないわよ!お酒が無いじゃない!」
幽々子「お酒を出すなんて言ってないわ。私はお花見を開くと言っただけ」
霊夢「まあそうカッカしないで。たまにはこう言うお花見も良いじゃない?」
魔理沙「もうお茶を飲んでる…順応するの早いな…」
幽々子「お酒を呑むのは構わないわ。ちゃんと後片付けをしてくれるのならね」
紫「……仕方がない。後片付けは藍に任せて、私はお酒をいただくわ」
魔理沙「お、だったら私も加わるぜ♪」
幽々子「あらあら…お花見とは花を見て楽しむものであって、お酒を楽しむものではないのだけれど…」
霊夢「でも、花見酒は風流よね」
幽々子「お酒にお団子は合わないわ。はい、お花見団子」
霊夢「あんたには食い気しかないのね…」
幽々子「あら、いらないのなら私が」
霊夢「お花見にお団子は付き物よね、いただくわ」
妖夢「幽々子様」
幽々子「どうしたの?」
妖夢「やっぱり宴会が始まってしまっていますが…あれは…」
幽々子「後片付けは自分でしてくれるそうよ」
妖夢「そ、そうですか…よかった…」
魔理沙「妖夢!」
妖夢「な、なに!?」
魔理沙「お前もこっちにきて一緒に呑め」
霊夢「もう出来上がってる…」
妖夢「い、いや、ちょっと離して…霊夢!何とかしてください」
霊夢「なんで私に頼むかな…」
幽々子「程々にだったら良いわよ♪」
妖夢「ゆ、幽々子様!?」
魔理沙「じゃ、ちょっと借りてくぜ♪」
妖夢「い〜や〜!」
霊夢「…あんたもちょっとは従者を労ってやりなさいよ」
幽々子「だったら貴女が行く?」
霊夢「……必要な犠牲よね」
幽々子「そう言うこと♪さて、こっちも向こうほどではないけど人数も集まってるし、そろそろ始めましょうか」
妖夢「ちょ……ちょっと待って……もう……これ以上……呑め……」
紫「だらしがないわね…」
藍「この程度で音を上げていては、従者失格だぞ?」
妖夢「む、無茶……言わないでくだ……ウップ……」
咲夜「まあまあ、妖夢も頑張った方だと思いますよ?」
レミリア「だったら、貴女も頑張ってみる?」
咲夜「遠慮しておきます」
優曇華「妖夢は断れなかったのに…」
咲夜「断る勇気も必要ですわ」
優曇華「私にもそんな勇気があったら…」
魔理沙「従者共が愚痴り始めたな」
永琳「今宵だけは無礼講って事で許してあげる」
涼花「ぶれーこーぶれーこー♪」
魔理沙「涼花ちゃんはいつから紛れ込んでたんだ?と言うか、こっちはお酒を呑んでるんだから、涼花ちゃんはあっちへお帰り」
涼花「ブーブー!」
魔理沙「はいはい、ブーイングは分かったから」
霊夢「…なかなかカオスね」
幽々子「これで貴女が泥酔してたら、もっと混沌としてたわよ」
霊夢「え?泥酔した私って、そんなに酷い?」
幽々子「あら、気付いてなかった?あんなに乱れてたのに?」
霊夢「う、嘘でしょ?」
幽々子「嘘よ♪」
霊夢「む……」
幽々子「乱れてたと言うのは嘘だけど、手が着けられなくなるのは本当よ」
霊夢「……少しは控えようかしら」
魔理沙「おい霊夢、涼花ちゃんが向こうに行ってたぞ?目を離しちゃ駄目じゃないか」
霊夢「あんたもかなり酔ってるわね…涼花ちゃんが来てた事自体初耳なんだけど…」
涼花「霊夢お姉ちゃん♪来ちゃった♪」
霊夢「涼花ちゃ…う……酒臭い……魔理沙、あんたまさか」
魔理沙「毎度の事で、酒の臭いで酔っちゃったみたいだな。判断はお前に任せる」
涼花「任せる♪」
霊夢「はぁ……」
霊夢「それにしても、こっちの面子は質素ね」
さとり「各勢力のトップは酒池肉林。まあ仕方のない事ですね」
霊夢「こっちは…あんたと幽々子と…聖と神子。これだけ居るのに華が無いとはこれ如何に」
聖「これも酒の魔力なのです。質素だって良いのです」
霊夢「負け犬の遠吠えにしか聞こえないわね。それに、あんたの所の妖怪達は向こうにいるけど?」
聖「別に構いません。お仕置きとお説教の時間が長くなるだけですから」
霊夢「あ、そう」
聖「しかし…花より団子とはよく言ったものですね」
幽々子「そうね。こんなにも美しい桜も、このお団子ひとつに勝らないなんて」
霊夢「あんたの場合、色気より食い気って言葉もぴったりよね」
幽々子「あら、色気も食い気も、両方兼ね備えているつもりよ?」
霊夢「そう言う意味じゃないわよ」
こいし「pudding before praise.」
霊夢「え!?い、今のなに!?」
さとり「気にしないでください。いつも通りの妹です。因みに、今のはpudding before praise.賞賛よりもプリンと言う意味ですね」
レミリア&フラン「プリンがあると聞いて!」
霊夢「帰れ!」
幽々子「まあまあ。プリンは無いけど、お花見団子ならあるわ」
レミリア「いらん!」
フラン「あ、だったらお姉様の分も私が貰う♪」
レミリア「ちょっと待った!」
霊夢「うるっさい!いちいち叫ぶな!」
レミリア(私も食べたい)
霊夢(こいつ…直接脳内に…!)
さとり「何をしてるのですか…」
レミリア(茶番?)
さとり「聞かないでください。それと、私のサードアイに直接訴えかけるのはやめてください」
フラン「わぁ、まんまるでかわいい♪」
レミリア「そう言えば、お花見団子ってどうして三色なのかしらね?」
幽々子「それはね、全ての色が、季節を表しているからなのよ」
レミリア「長くなるなら三行で説明して」
幽々子「だが断る。この、季節と言うのは諸説あるのだけれど、赤色が桜、或いは太陽。白色が白酒や春の白い空、残雪とも言われているわ。そして、緑色が若葉、蓬(よもぎ)と言われているの。どれも春のものでしょう?」
レミリア「確かに…」
幽々子「上から赤色、白色、緑色と言う順番も、春の訪れの順番だと言われているわ」
レミリア「なるほどね」
幽々子「ちなみに」
慧音「ちなみに、赤色を太陽、或いは桜から春、白色を雪の色から冬、緑色を新緑から夏と、四季を表現するという説もある」
幽々子「……」
フラン「ふ〜ん。……ん?四季を表現してるんだったら、ひとつ足りないね」
慧音「良いところに気が付いたな。これにも意味があるのだが、何故だと思う?」
レミリア「う〜ん……?」
フラン「…分からないな」
慧音「秋が無い。あきない。転じて商いと掛けている。昔から花より団子として、茶店等はこの季節に団子を売っていたから商い。また、秋が無い。飽きないとして、団子は食べていて飽きないと言う言葉遊びもあったそうだ」
静葉「クシュン!」
穣子「姉さん、花粉症?」
静葉「…ううん、誰かに噂されたみたい」
穣子「噂されるだけ良いじゃない。私なんかくしゃみのひとつも…クシュン!」
静葉「穣子のは花粉症じゃない?」
穣子「私のも誰かに噂されたからよ」
静葉「…」
穣子「…」
静葉&穣子「クシュン!」
フラン「なるほど…」
幽々子「それから」
霊夢「それから、このお花見団子の色、他にも意味があるのよ」
幽々子「……貴女達、私に何の恨みが……」
フラン「他の意味って?」
霊夢「まず、赤色と白色から、紅白として縁起の良い色。緑色はそのままで、邪気を払う縁起物の色。つまり、この三色団子はとても縁起の良い食べ物なのよ」
フラン「つまり、霊夢は紅白だから縁起物ってこと?」
レミリア「ありがたや〜」
フラン「ありがたや〜♪」
霊夢「ありがたがるな。別に私が縁起物ってわけじゃないわよ」
さとり「色合いだけですよ」
幽々子「そうね。色合いだけは縁起物よね」
霊夢「だけって言い方もなんか引っかかるわね…」
魔理沙「おい霊夢」
霊夢「今度はなによ?」
魔理沙「涼花ちゃんが、胸の大きい奴らを揉みしだいた挙げ句、満足してそのまま寝ちゃったんだ。何とかしてくれ」
霊夢「何とかって言われてもねぇ…」
幽々子「とりあえず、こっちに連れてきましょうか」
涼花「すー……すー……」
幽々子「この満足げな表情、可愛いわね」
霊夢「これが揉みしだいた後じゃなければ、純粋に可愛いんだけどね…」
さとり「それもこれも、無邪気さ故の行動。許してあげるのが大人です」
聖「この子の場合は邪な気しか無いような気がするのだけれど…」
さとり「そもそも癖なんですから、大目に見ましょうよ」
神子「その様な癖がある事自体問題だと思うのだが?」
慧音「そうだな。この子の将来が心配だ」
霊夢「…なんで皆、涼花ちゃんの寝顔を見に集まってるのよ…」
リリーホワイト「は〜るで〜すよ〜♪」
幽々子「あら、春告精だわ」
リリーブラック「こら、待ちなさい!」
霊夢「黒い方もいたわね」
リリーブラック「ノーパンで飛び回るなんて、何考えてるのよ!」
霊夢「………ただ事じゃなかったわね」
幽々子「春ね…」
霊夢「違う春だけどね」
フラン「どんな春?」
霊夢「聞くな…」
幽々子「それはね?」
霊夢「説明するな!」
こいし「実践をふまえてじっくりと」
霊夢「するな!」
魔理沙「なんだコレ…向こうより混沌としてるじゃないか」
霊夢「もう…呑んでも呑まなくても大差ないんじゃないかしら…」
魔理沙「楽しみたい気持ちは皆同じだ」
霊夢「限度があるわよ…。まあでも……ちゃんと後片付けをするって条件付きなら、うちで花見をしても……」
魔理沙「素直に寂しかったって言えよ」
霊夢「五月蝿い…別にそんなんじゃないわよ」
こうして、花見は深夜まで続いていった。
呑めや歌えや踊らにゃ損々とばかりに、各々がそれぞれの方法で、春の訪れを感じていた。
思えば春雪異変以降、冥界と顕界の結界は修復されないままだ。
しかし、ここの桜を楽しむ事を、幻想郷の少女達は良しとしている。
少なくとも春の間は、結界が修復されずこのままでも良いと思っているのかもしれない。
桜は人を惹き付ける。それは、たとえ冥界であっても同じ事なのである。
桜に惹き付けられた者達は、人間や妖怪、幽霊や悪魔と呼ばれる者達も、分け隔て無く、その美しさに心を寄せる。
これこそが、幻想郷が楽園と呼ばれる所以なのかもしれない。
そう、心の片隅で思う霊夢であった。
終わり