涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
春眠暁を覚えず
ここは 光の三妖精の元住処…から少し外れにある 春告精『リリー・ホワイト』の住む大木
この場所は 一部の妖精や小動物を除き 誰も知らない秘密の場所
この大木 光の三妖精の住処のように 内部が部屋になっていて そこで春告精は 春以外を過ごしています
リリー「すー…すー…」
どうやら リリー・ホワイトは まだ眠っているようです
しかし もう春の季節
幻想郷に春を告げるため もう起きなければなりませんが……
リリー「んん……すー……すー……」
リリー・ホワイトは まったく起きる気配がありません
まだ 春は訪れていませんが 気温はぽかぽかと暖かく お昼寝をするには 良い日和です
リリー「すー……すー……むにゃむにゃ……」
幸せそうな寝顔
春を告げる妖精は いったいどんな夢を見ているのでしょうか?
少し 覗いてみましょう
ここは リリー・ホワイトの夢の中
彼女が見ている夢は 辺り一面 色とりどりの花が咲き誇り 一足先に 春が訪れているようです
目の前にはお花畑 その中心にリリー・ホワイトがいます
羽根をパタパタと動かして なんだかとっても楽しそう
少し遠いですが ここから 彼女の様子をうかがってみましょう
リリー「〜♪」
鼻歌交じりに 何かを作り始めました
お花の冠のようですね
リリー・ホワイトの着ている 服の色と同じ 真っ白なシロツメクサで作っています
リリー「うん、良い感じ♪」
リリー・ホワイトは帽子をとり お花の冠を被ります
とても 可愛らしいですね
続いて ふたつめも作り始めました
誰かに渡すのでしょうか?
すると お花畑の奥から 誰かが歩いてきました
黒い春告精 リリー・ブラックです
ブラック「こんな所にいたのね?探したわ。…何を作っているの?」
リリー「あ、良いところに♪ちょっと帽子をとって?」
ブラック「な、なによ?」
リリー「いいからいいから♪」
リリー・ブラックは しぶしぶ 帽子をとりました
リリー「じゃあ…目を閉じて?」
ブラック「何なのよ?」
リリー「いいから、早く♪」
ブラック「…分かったわよ」
リリー「覗いてない?」
ブラック「覗いてない」
リリー「…はい、目を開けて良いよ♪」
リリー・ブラックの頭には 先ほど作っていた お花の冠が乗せられています
ブラック「これ…」
リリー「ほら、私とおそろい♪」
ブラック「…ありがと」
リリー「ふふ♪」
リリー・ブラックは 少し恥ずかしそうな しかし 悪くないといった顔をしています
すると そんな二人の間を 優しい春風が 吹き抜けていきました
お花畑の花びらを巻き上げながら
二人の春告精は 春風に髪をなびかせながら 空を見上げています
舞い降りる花びらに 二人はしばしの間 時を忘れて 見入っていました
リリー「……きれいだね」
ブラック「うん……」
ところで この黒い春告精は リリー・ホワイトの夢が作り出したものでしょうか?
いいえ 彼女は正真正銘 リリー・ブラック本人です
偶然ではないか? いいえ
たまたま同じ夢を見ていた? いいえ
彼女は リリー・ホワイトの夢に 誘われてしまったのです
一度 リリー・ホワイトの夢から 出てみましょう
目の前には 先ほどと同じように リリー・ホワイトが寝ています
その隣には リリー・ブラックが 椅子に座りながら うたた寝をしています
起こしにきて そのまま眠ってしまったようですね
では もう一度 リリー・ホワイトの夢に戻りましょう
戻ってきましたね
目の前には お花畑
しかし リリー・ホワイトの姿も リリー・ブラックの姿も見当たりません
どこに行ってしまったのでしょうか?
少し 辺りを探してみましょう
お花畑の近くの森
その森の中に 光の差し込む広場がありました
広場の中心には 切り株がひとつ
その切り株に 二人の春告精が寄り添って座っています
リリー「あたたかい…」
ブラック「うん…」
リリー「…そう言えば」
ブラック「ん?」
リリー「さっき、私を探してたって言ってなかった?」
ブラック「…今夜、博麗神社で、いつも通りの宴会があるから、一緒にどうかな?って思って」
リリー「宴会か。楽しそうだね♪」
ブラック「ただ…」
リリー「うん?」
ブラック「…いいや、何でもない」
リリー「…?」
ブラック「………」
リリー「………」
ブラック「あ、あのさ…」
リリー「うん?」
ブラック「実は、この宴会…毎年やってるんだ。幻想郷に春が訪れたお祝いに…。あんた、春を告げたあと、だいたい妖怪に食べられちゃって、復活するのが一日掛かりでしょ?だから、知らないのも無理ないけど…」
リリー「………」
ブラック「怒ってる?」
リリー「まさか。そんな楽しそうな宴会に、毎年参加出来ないのは残念だけど…でも、今年はこうして参加出来るんだから、怒りもしないし、悲しい気持ちにもならないよ♪」
ブラック「そう…」
リリー「宴会か…楽しみ♪」
ゆったりとした時間が流れていきました
ぽかぽかとあたたかい日差しは まるで いま二人のためにある
そんな 不思議な感覚に包み込まれ 二人の夢は その形を 少しずつ変えていきます
あなたは 現実の世界に戻ってきました
小鳥たちが 窓の外に集まっています
彼らも 春の訪れが待ち遠しく 春告精の様子を 見に来たようですね
先ほどから チュンチュンと 春はまだかと さえずっています
そろそろ 彼女を起こしてあげなければいけません
もう一度 リリー・ホワイトの 夢の中へ 行ってみましょう
最初に見たお花畑
二人の春告精は その中心で 肩を寄り添って 眠っています
どうやら 深い眠りに 落ちてしまったようですね
さあ 目を閉じて
無意識に 身を委ねて
私たちも 彼女たちを 追いかけてみましょう
ここは 普段見ている夢の さらに深いところ
とても 夢らしい夢
明るく 楽しく 幸せな空間
春の日差しのような あたたかい空間
目の前には 二人の春告精
夢の中を きれいなお花で いっぱいにしています
とても楽しそうですが 二人には 夢から覚めてもらいましょう
さあ 二人に呼びかけてください
もっと大きな声で
二人は あなたに気付きません
かなり 深いところまで来てしまっていますから 少しの刺激では 起きないのかもしれませんね
あなたが いくら呼びかけても 二人の春告精は目を覚ましません
あなたが困っていると 奥から 少女がひとり 歩いてきました
その少女は あなたもよく知っています
涼花「リリーお姉ちゃん」
リリー「涼花ちゃん、どうしたの?」
涼花「わたしを、あそこまで連れてって」
リリー「あそこって?」
少女は 上を指差しました
その先には 太陽とは違う 真っ白な光が広がっています
その光は とてもあたたかく 見ていると 吸い込まれてしまいそう
目の前にはお花畑と 二人の春告精
あなたは 先ほどの夢に 戻ってきました
二人の春告精も 戻ってきたみたいですね
すると奥から 先ほどの少女が 歩いてきました
涼花「リリーお姉ちゃん」
リリー「涼花ちゃん…?」
涼花「もう、朝だよ?みんなに、幻想郷に、春を告げないと。さあ、起きて?」
ここは 春告精『リリー・ホワイト』の住む大木
この場所は 一部の妖精や小動物を除き 誰も知らない秘密の場所
この大木 光の三妖精の住処のように 内部が部屋になっていて そこで春告精は 春以外を過ごしています
リリー「んん〜…」
ブラック「…やっと起きたわね」
リリー「あ…おはよ〜」
リリー・ホワイトは ようやく 目を覚ましました
小鳥がさえずり 窓を叩いています
ブラック「ほら、この子達も、春が待ち遠しいみたいよ」
黒い春告精が 窓を開けると 小鳥たちが 部屋の中に入ってきました
リリー「みんな、ごめんね?すっかり寝坊しちゃって」
ブラック「まったくよ。あとで、涼花ちゃんにもお礼を言っておきなさい?」
リリー「うん、そうだね」
ブラック「さあ、早く支度をして。幻想郷が、春の訪れを待ってるわ」
リリー「うん」
ブラック「…それから」
リリー「うん?」
ブラック「もし、今年は無事に帰ってきたら……その……」
リリー「?」
ブラック「え、宴会、一緒に行かない?」
リリー「…うん♪一緒に行こう♪」
こうして 少しだけ遅れて 幻想郷に 春が訪れました
春告精を目覚めさせてくれた 涼花ちゃんにも 感謝しなければなりませんね
当然 私に付き合ってくれた あなたにも
それでは そろそろお別れの時間です
わざわざ 外の世界から来てくださって ありがとうございます
はい
……私ですか?
私に名はありません
しかし みんなからは 大妖精 と呼ばれています
春告精を目覚めさせ 幻想郷に 春を告げさせる
それが 大妖精と呼ばれる 私の役目なのです
……さあ 目を閉じて
あなたが 次に目を開けると あなたは いつも通りの場所に 戻っています
また お会いできれば良いですね
それでは さようなら
宇佐見 菫子「………朝?」
頭が ボーっとしている
いつもの 幻想郷に居た感覚とは違う
あれは 本当に夢だったのだろうか?
ふと 何かを握りしめていることに気付く
柔らかい感触
そっと 手を開いてみる
そこには 先ほど 夢の中で 春告精が冠を作っていた シロツメクサの花びらが
菫子「………」
窓の外を見る
あたたかい日差しが 春の訪れを告げている
とても 穏やかな気持ちに包まれていると ひとりの少女の名が 頭を過ぎった
菫子「……涼花ちゃん……」
まだ 会ったこともない少女だが 何故か私は その少女の事を よく知っている
春の日和のような 優しさに包まれた少女を
おわり