涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
こどもの日
今日は5月5日、こどもの日。
5月5日は、古来から端午の節句として、男子の健やかな成長を願う行事が行われていたのですが…。
れいむ「な、なんなのよこれは…」
朝起きたら、何故か体が子供になってしまった霊夢。
れいむ「…こどもの日だから?こんなしょうもないことをするのは紫しかいないわ!いますぐとっちめて、もとのすがたにもどさせないと!」
パタパタと小さな手を振り、怒りを露わにしていますが迫力がありません。
おまけに呂律も回っていません。
何とも可愛らしい光景です。
すると…。
魔理沙「おーい、霊夢ー!」
れいむ「!」
いつもの如く、魔理沙がやってきました。
何故か魔理沙は、子供になっていません。
魔理沙「おーい!……居ないのかー?」
れいむ(い、いまでていったら、まちがいなく魔理沙におもちゃにされる!どこかにかくれないと!…というか、なんで魔理沙はこどもじゃないのよ!)
咄嗟に居間に隠れた霊夢(幼)でしたが、このままでは見付かってしまうでしょう。
魔理沙「う〜ん…居ないのか…。仕方がない、戻ってくるまで待つか」
れいむ(いないとおもったら、あきらめてかえってよ!…とにかく、みつかるとやっかいだから、どこかにかくれないと!)
魔理沙は居間に来ようとしています。
魔理沙に見付からないよう隠れようとする霊夢(幼)でしたが、小さな体は思うように動かず、霊夢(幼)はその場に盛大に転んでしまいました。
れいむ「あうっ!」
顔面ダイブ。その痛さに涙がにじみます。可愛いですね。
魔理沙「誰か居るのか?霊夢か?」
れいむ「あ…」
魔理沙「うん?」
れいむ「そ、その…」
魔理沙「…お前、誰だ?里の子か?」
れいむ「え、え〜っと…」
魔理沙「巫女の格好なんかして、霊夢の真似か?」
れいむ「う〜……」
魔理沙「ふむ……霊夢は無愛想で可愛げがないが、お前はまだましかな?」
れいむ「っ!」
思いっきり魔理沙のスネを蹴る霊夢(幼)。
魔理沙「〜〜〜!!」
れいむ「だれがぶあいそうでかわいげがないって!」
魔理沙「な、何だよ?別にお前の事は言ってないだろ?」
れいむ「わたしが霊夢なのよ!」
魔理沙「は?何を言ってるんだ?霊夢がそんな子供なわけないじゃないか。…ひょっとして、なりきり遊びか何かか?」
れいむ「そうじゃないのよ!わたしが博麗霊夢なのよ!」
魔理沙「はいはい。分かったから、里に戻ろうな?」
れいむ「はなしをきいてよ!」
無理もないことですが、魔理沙には一向に信じてもらえません。
すると。
藍「霊夢、居るか?」
魔理沙「おや、珍しいな。霊夢なら居ないぜ?…変な子供なら居たけどな」
れいむ「だからわたしは…」
藍「む?…もしかして、霊夢なのか?」
れいむ「や、やっとわかってくれるやつがいた…。こいつにはいくらせつめいしてもむだみたいだったからたすかるわ」
魔理沙「読みづらい」
れいむ「うるさい」
魔理沙「と言うか、こいつが霊夢?何を言ってるんだ?どう見ても子供じゃないか」
藍「いや…その…こちらもこちらで、厄介な事になっていて…」
魔理沙「厄介な事?」
藍「紫様、出てきてください」
藍の後ろから出て来たのは、金髪の小さな女の子でした。
恥ずかしいのか、藍のスカートの裾を掴みながら、顔だけを覗かせています。
魔理沙「その子は誰だ?」
れいむ「…まさか、紫なの?」
藍「そう…なんだ…」
ゆかり「………」
藍「紫様、恥ずかしがっていないで、ちゃんと説明してください」
ゆかり「………」
俯きながら、紫(幼)が藍の前へ出て来ました。
れいむ「どういうことなのか、ちゃんとせつめいしなさい」
ゆかり「……げ、げんいんはわからないけど、わたしのせいじゃないわ。わたしも、あさおきたらこんなすがたになってて…こどもの日と、かんけいがあるとはおもうけど…」
紫(幼)が元凶でなければ、いったい誰がこんな事をするのでしょうか?
紫(幼)の言葉を、そのまま信用すればの話ですが。
魔理沙「どうにも嘘臭いな…。藍、お前、私を嵌めようとしてるんじゃないだろうな?」
藍「まさか」
魔理沙「そもそも、どうしてこいつが紫だと断言出来るんだ?」
藍「それは…」
魔理沙の言うとおり、藍は紫の子供の頃を知っているわけではありません。
藍も魔理沙同様に、目の前の少女の存在を疑ったはずです。
すると、紫(幼)が消え入りそうなほど小さな声で説明し始めました。
ゆかり「……わたししかしりえないことをいったからよ」
魔理沙「と言うと?」
ゆかり「……それは」
藍「それ以上はいけません!」
魔理沙「何だよ?別に良いじゃないか」
藍の反応から、大体のことは想像が付いた霊夢(幼)。
れいむ「なるほど。つまり、わたししかしりえない魔理沙のことをいえば、こいつにもしんじてもらえるってわけね」
ゆかり「……そういうことよ」
れいむ「じゃあ…きのう魔理沙が、わたしがたのしみにとっておいたおだんごを、わたしにないしょでたべたこととか…」
魔理沙「な、何故その事を…」
れいむ「おととい、まほうのじっけんにしっぱいして、かみがたがアフロになっちゃったこととか…」
魔理沙「う…あ、あれは、ちゃんと帽子で隠して、霊夢にしか見せてなかったはず…」
れいむ「あとは…さきおとといにアリスのいえで…」
魔理沙「わー!分かった!信じるからそれ以上言うな!」
ゆかり「……あなた、なにをしたのよ」
魔理沙「し、しかし…この霊夢が本物だとして」
れいむ「ほんものよ」
魔理沙「なんで子供の姿になってしまったんだ?」
ゆかり「……わからない」
魔理沙「と言うか、記憶とかはそのままなんだな」
藍「そうみたいなんだが…どうやら精神は子供になっているみたいで…」
魔理沙「それで、こんなに引っ込み思案なのか?」
ゆかり「………」
藍「可愛いだろ?」
魔理沙「確かに、今はかなり出しゃばりなのにな。呼んでもいないのに出て来るし」
藍「まあ何にせよ、現状異変かどうかも分からない状態だからな。くれぐれも注意してくれ」
そう言って、藍は紫(幼)を連れて帰りました。
れいむ「ちゅういっていってもね…」
魔理沙「何をどう注意すれば良いのか分からんな。あいつ等も何をしに来たんだか。さて……」
不敵な笑みを浮かべながら、霊夢(幼)を見つめています。
魔理沙「お前が霊夢だと分かったことだし、今までの仕返しをさせてもらおうかな」
嫌な予感が的中してしまいました。
魔理沙は間違いなく、霊夢(幼)を玩具にするでしょう。
れいむ「そんなこと、させるわけないでしょ?」
その場から一目散に逃げ出す霊夢(幼)でしたが。
魔理沙「所詮は子供だな」
あっさり捕まってしまいました。
れいむ「は〜な〜せ〜!は〜な〜し〜な〜さ〜い〜よ〜!」
魔理沙「…ヤバい、可愛い」
同感です。
魔理沙「諦めて、私の玩具になるんだな」
れいむ「い〜や〜!」
マヨヒガ
藍「ふぅ…疲れた…。まさか、おんぶしろと言うとは思わなかった」
ゆかり「すー…すー…」
藍「………」
こちらもこちらで邪心が見え隠れ。
藍「ま、まあ…橙もいるし、今は流石にな…」
何とか理性を保ちました。
藍「橙、帰ったぞ」
「おかえりなさ〜い」
藍「!!?」
現れたのは、ネコミミ尻尾付きの女性でした。
格好は橙にそっくりですが…背丈や色々なところが、橙よりも育っていますね。
藍「だ、誰だ?」
「え?やだな〜。藍さま、私のこと忘れちゃったんですか?」
藍「……ま、まさか、橙…なのか?」
橙(大)「はい、そうですよ」
藍「………」
橙(大)「どうしました?」
藍「いや……紫様が子供になったり、橙が大人になっていたりで、この状況に付いていけていない……」
橙(大)「私が大人…?」
藍「……鏡を見てきなさい」
洗面台へ鏡を見に行った橙。
程なくして…。
橙(大)「にゃー!なにこれー!」
藍「はぁ……」
張りのある弾力をぷるんぷるんと揺らしながら、バタバタと橙(大)が戻ってきました。
橙(大)「ら、藍さま!これはいったい!?」
藍「ほら、紫様?ちゃんと説明してください」
ゆかり「ん〜?なによ、そうぞうしいわね……」
橙(大)「紫さま!これはどう言う事なんですか!」
ゆかり「……だれ?」
藍「橙です」
ゆかり「……え?」
ゆかり「……ちょっとせいりしましょう。橙、あなたは、あさおきたらおとなになっていた…というわけではないのね?」
橙(大)「はい…朝はいつも通りでした…」
藍「それは、私が橙を起こしたから確認済みです」
ゆかり「……いつ、橙は大人になってしまったのかしら?」
橙(大)「よく分からないです…。藍さまに言われて初めて気付きましたし…」
ゆかり「……藍」
藍「はい?」
ゆかり「……ほかにも、おとなになっていたり、こどもになっているものがいないか、しらべてちょうだい」
藍「分かりました」
橙(大)「私も一緒に行きます」
ゆかり「……橙とわたしはるすばんよ。いっしょにいったら、よけいなごかいをまねきかねないわ」
藍「大丈夫だよ橙。これくらいなら、私一人でも何とかなるさ。では、早速調べてきます」
紅魔館
さくや「これは…いったい、どういうことなのですか?」
レミリア「こっちが聞きたいわよ…」
どうやら、紅魔館でも子供化が起こっていたようですね。
めいりん「まさかこどもになってしまうなんて…」
ぱちぇ「なんでレミィはこどもになっていないのかしら?わたしたちだけなんておかしいわ」
レミリア「さあ?何でかしら?」
さくや「…まさか、おじょうさまが…」
レミリア「わ、私の所為じゃないわよ!」
ぱちぇ「いくらレミィののうりょくでも、こんなことはできないでしょ」
めいりん「やっぱり、紫さんのしわざではないのでしょうか?」
レミリア「間違いないでしょ…まったく、あいつは何を考えているのかしら…」
ぱちぇ「…ほんとうに紫のしわざなのかしら?」
レミリア「じゃなきゃ、誰がこんな事をするって言うのよ?」
藍「やれやれ…ここはいつ来ても騒がしいな…」
丁度良いタイミングで藍がやってきました。
藍「…さながら、幼稚園か保育園ってところだな」
めいりん「せめて、しょうがっこうっていってほしかったです…」
レミリア「ちょっとキツネ!あんたのところの主人の仕業なんでしょ!?元に戻すように言いなさい!」
さくや「こんなからだでは、しごとにししょうをきたしてしまいます!はやくもとにもどすよういってください!」
藍「お、落ち着け…今回は、紫様の所為ではない…原因を調べるために私は、この子供化がどれほど広まっているのかを調べているんだ…」
そう言って藍は数を数えるような仕草をして…。
藍「…紅魔館では四人も子供化が起こっているのか…かなり広まっているみたいだな」
めいりん「……ん?」
さくや「よにん?」
ぱちぇ「ばんごー」
めいりん「いち」
さくや「に」
ぱちぇ「さん」
レミリア「………」
藍「……お前は違うのか?」
レミリア「……へ?わ、私は違うわよ!見れば分かるでしょ!」
藍「す、すまない…他とあまり変わらないように見えて…」
レミリア「何ですって!」
さくや「まあまあ…」
怒りを露わにしているレミリアを鎮める咲夜(幼)。
美鈴は、どうして良いのか分からずオロオロしていて、パチュリーはそれを傍観。体が子供になっていること以外はいつも通りの光景です。
藍「本当に騒がしいな…見たところ、子供化していないのはお前だけなんだ。原因が分かるまで、お前がしっかりとお守りをするんだぞ?」
レミリア「……納得出来ないけど仕方がないわね。その代わり、迅速に原因を突き止めなさいよ?このままでいられたら身が保たないわ」
藍「分かってるって」
藍は去っていきました。
藍が去った後、レミリアは大変なことに気が付きました。
レミリア「あー!」
さくや「ど、どうしました?」
レミリア「咲夜が子供ってことは、ご飯はどうするのよ!」
めいりん「こどものからだで、紅魔館のぜんいんぶんのしょくじをつくるのは、たしかにたいへんですよね」
ぱちぇ「ようせいメイドにぜんぶやらせるのは…むりでしょうね」
レミリア「そもそも、子供に刃物なんか持たせられないわよ」
さくや「………」ピク
めいりん「さ、さくやさん…おちついてください」
さくや「おことばですがおじょうさま。からだはこどもになってしまいましたが、きおくまでこどもにもどったわけではありません。りょうりのひとつやふたつ、どうということはありません!」
両手を腰に当てプンプンと怒っていますが、その姿がまた可愛らしいです。
レミリア「う……そ、そこまで言うのなら任せるけど…」
ぱちぇ「…しんぱいだから、あとでようすをみにいきなさいよ?」
「お姉さまー!!」
レミリア「ぐはっ!!」
突然、弾丸のような速度で、何かがレミリア目掛けて飛んできました。
レミリア「い…たた…」
「お姉さま、見て見て!なんだか凄いことになっちゃったよ!」
レミリア「な、なによ…凄いこと……って」
レミリアの胸に飛び込んだそれは、間違いなくフランドール…の筈なのですが、元よりも身長や色々なところが成長しています。
レミリア「貴女、フラン…なの?」
フラン(大)「そうだよ♪なんだかよく分からないけど、体が大きくなっちゃった♪咲夜とパチェも見……あ、あれ?」
そこでようやく、咲夜(幼)、美鈴(幼)、パチェ(幼)の事に気付いたフラン(大)。
フラン(大)「この子達はだれ?」
レミリア「……一から説明するから、驚かないで大人しく聞いてなさい?」
幻想郷 上空
藍「う〜ん……子供化か…こどもの日だから、と言う理由なのだろうが…橙の体が大人になってしまったのはどう言う訳だろうか?」
考え事をしながら飛ぶのは大変危険です。
「どいてどいてー!」
藍「…ん?うわわっ!」
正面衝突。
痛い。とても痛い。
言葉にならない声を上げて悶絶しています
「いたた…余所見してたら危ないじゃない!」
藍「す、すまない…少し、考え事を…」
視線を上げると、見たこともない少女が頭を押さえていました。
青い長髪に青いワンピース。背丈は藍と同じくらいでしょうか?
背中には、六枚の透き通った美しい羽根。どうやら妖精のようですが…?
藍「お前…妖精か?それにしては随分と大きいような…」
「なっ!この、幻想郷最強のあたいの名前を忘れたとでも言うの!?」
この妖精の服装、自称幻想郷最強、あたいと言う一人称、Hっぽい口調…まさかとは思いながらも、藍は恐る恐る聞いてみました。
藍「…もしかして、氷の妖精チルノか?」
チルノ(大)「ふん!やっと思い出したみたいね」
やっぱり、目の前の妖精はチルノでした。
その長髪やスラッとしたスタイルは、思わずチルノさんと呼びたくなるものがあります。
藍「チルノ、お前も体が大人になっていたんだな…」
チルノさん「そうだった!あたいをこんな体にした奴を懲らしめようと思ってたんだった!」
藍「心当たりはあるのか?随分と急いでいたようだが」
チルノさん「心当たりと言うか、怪しい奴を見掛けたからね。絶対にそいつの仕業だと思う」
藍「そうか。しかし、こっちには誰も来ていないぞ?」
チルノさん「むぅ…逃げられたか…」
藍「どんな奴だったんだ?」
チルノさん「ウサギの耳にピンクのワンピース、怪しさ満点の顔つきだった」
藍「それって…」
チルノさんが言っている人物は恐らく、因幡てゐの事だと思われますが…チルノさんとてゐには面識があるはずです。
藍「チルノ、お前が追いかけているのは、恐らく永遠亭の因幡てゐだろう」
チルノさん「てゐがあんなに大きい訳ないよ。普段を知ってるし、あたいが見間違えるはずもない!」
藍「お前や橙が大人になっているんだ。てゐが大人の見た目になっていても不思議ではない」
チルノさん「橙もこんな事になってるの?」
藍「そうなんだ。そして、紫様は何故か子供に…」
そこまで言って、ハッと口を押さえる藍。
今、このタイミングでこの話題を、チルノさんにしてはいけませんでした。
チルノさん「へぇ〜。あのスキマがねぇ」
ぽよんぽよんを持ち上げ、強調するような腕の組み方をしながら、何かよからぬ事を企んでいそうな表情を浮かべるチルノさん。
藍「…言っておくが、私が居るんだ。変なことはさせないぞ?」
チルノさん「え〜っと、あんた達の家はどこだったかなぁ?」
藍「話を聞け…。それに、子供になっているのは紫様だけではないみたいなんだ。紫様でなくとも、他の者でも良いではないか」
チルノさん「う〜ん…じゃあ、とりあえず神社にでも行ってみようかな?あの貧乏巫女には、色々とお世話になってるからね〜♪」
チルノさんは藍に別れを告げると、博麗神社の方向へ飛んでいきました。
心の中で霊夢(幼)に謝罪をし、藍は異変調査を続行するのでした。
妖怪の山
ここでも子供化してしまった妖怪が数名。
そして、今回の騒動の犯人もここに居ました。
雛「う〜ん…まさか、こんな事が起こってしまうなんて…。私がもう少し注意しておけば…」
にとり(幼)「雛、なにかしってるの?」
雛「知ってると言うか…私が犯人と言うか…」
にとり(幼)「え?」
雛「え〜っと…どう説明すれば良いのかしら…。と、兎に角、怒らないで聞いてね?」
マヨヒガ
調査を終えた藍が帰ってきました。
藍「ただいま戻りました」
橙(大)「藍様、おかえりなさい」
藍「紫様は?」
橙(大)「お昼寝中です」
藍「そ、そうか…」
橙(大)「あと、お客様も見えてますよ」
藍「客人?」
「お邪魔してるわよ〜♪」
ふわふわとした、聞いていると力が抜けてしまいそうな聞き慣れた声が、居間の方から聞こえてきました。
藍「幽々子様か…。声の感じだと、幽々子様は子供になっていないようだが…」
橙(大)「はい、幽々子様は子供になっていないのですが…」
藍「どうせ妖夢が子供化でもしたのだろう。これは一体どう言う事なのか、紫様に尋ねにいらした。と言ったところか」
すでにかなりの人数に、紫が犯人ではないことを説明してきたため、最早説明することが面倒になっていました。
どれだけ端的に説明することが出来るかを考えながら、居間へと向かいます。
藍「幽々子様、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。本日は、どの様なご用件で?生憎、紫様は…」
幽々子「橙ちゃんから聞いてるから、知っているわ」
藍「そちらの方は……」
幽々子の隣には、銀色の長髪の美少女が座っていました。
恐らく妖夢でしょうが…一応確認をしてみる藍。
藍「妖夢は大人か…。大方、妖夢の件で紫様に会いにいらしたのでしょうが…」
幽々子「あら?貴女には、妖夢が大人の見た目になっているように見えているのかしら?」
藍「……ん?え〜っと、どう言う意味でしょうか?どう見ても、妖夢は大人に…」
幽々子「あらあら……この程度の事で惑わされてしまうなんて、貴女も紫もまだまだね」
藍の目つきが鋭くなりました。
藍「どう言う事ですか?何かご存知なのですね?返答次第では、幽々子様と言えど容赦いたしませんが?」
幽々子「そんな怖い顔しないで?ちゃんと説明してあげるから」
博麗神社
れいむ「ふぇふぉ〜!」
魔理沙「いやはや、これは楽しいな。あの霊夢が手も足も出ないとは」
チルノさん「本当だね♪これは楽しいわ♪」
魔理沙「しかし、霊夢が子供になっているかと思えば、チルノは大人になっているとは」
チルノさん「最初はびっくりしたけどね。今は慣れた」
れいむ「ふえいあがあはあすあ!(つねりながらはなすな!)」
魔理沙「なんて言ってるか分からんな」
両サイドから、霊夢(幼)の頬をつねくる魔理沙とチルノさん。
霊夢(幼)はつねくられて涙目です。
二人とも、霊夢(幼)が子供な事を良いことに好き放題ですね。
すると、そこへもう一人。
アリス「邪魔するわよ」
やってきたのはアリスでした。
アリスは子供化、大人化が起こっていないようです。
魔理沙「おお、アリスじゃないか。お前もこっちに来い、面白いから♪」
アリス「遠慮しておくわ」
魔理沙「と言うか、霊夢とチルノがこんな有り様なのに驚かないんだな」
アリス「他の場所でも同じようなことが起こってたから、もう馴れたわ」
魔理沙「他の場所?やっぱりここだけじゃなかったか」
アリス「で、この騒動を解決しようと、スキマ妖怪の式が動き始めたけど…魔理沙はどうするの?」
魔理沙「う〜ん…異変じゃないっぽいしな…」
れいむ「うゅ〜……」
アリス「と言うか、そろそろ放してやりなさい?泣きそうになってるわよ?」
魔理沙「しかしチルノの話を聞くと、これから子供化、大人化が起こる可能性もある。私がこんな目に遭うのも嫌だし…」
アリス「霊夢から仕返しされそうね」
魔理沙「仕方がない。あんまり乗り気ではないが、私も動くか」
アリス「そう」
魔理沙「お前はどうするんだ?」
アリス「私は…」
れいむ「うぅ……ぐすん……」
アリス「……霊夢の面倒を見てるわ」
霊夢(幼)のあまりの可愛さに、母性に目覚めてしまいましたかね?
アリス「そこ、五月蝿い」
おっと、これは失礼。
魔理沙「さて、行くとなると…今回はどんな装備で行こうかな?」
アリス「チルノを連れて行けば?」
魔理沙「ん?う〜ん…氷のオプションか…。アリだな」
アリス「でしょ?」
魔理沙「よし、そうと決まれば、早速出発だ」
チルノさん「あたいを連れて行くのは構わないけど、足手まといにならないでよ?」
魔理沙「おう、善処するぜ♪」
意気揚々と博麗神社を後にした二人。
アリス「さて……」
霊夢(幼)は、目に涙を浮かべながら両頬を押さえています。
れいむ「うぅ〜…ひどいめにあったわ…」
アリス「まったく…いつもの貴女らしくないわね」
れいむ「し、しかたがないじゃない…だんまくははれないし、そらもとべないんだから…」
アリス「思い込みの力って、凄いわね」
れいむ「え?」
アリス「何でもない。それより、ケーキを買ってきたの。一緒に食べない?」
れいむ「たべる♪」
アリス(……か、可愛い)
紅魔館
レミリア「…と言う訳よ」
フラン(大)「ふ〜ん。原因は分かってるの?」
レミリア「こどもの日だからって事みたいだけど、それ以外はさっぱりよ」
フラン(大)「そっか。お姉様はどうして変化がないの?」
レミリア「さあ?それもさっぱりよ」
フラン(大)「分からないことだらけじゃない」
レミリア「前例が無いんだから仕方がないでしょ…」
フラン(大)「でも、私はお姉様以上のふかふかを手に入れたし、他のみんなも可愛いから、別にこのままでも良いと思うけどな」
レミリア「勘弁してよ…」
二人が話していると、キッチンの方から凄い物音が聞こえてきました。
嫌な予感に駆られたレミリアは、キッチンへと急行しました
紅魔館 キッチン
さくや「う〜……」
目に涙を浮かべながら、咲夜(幼)がキッチンに立ち尽くしています。
辺りには、ひっくり返ったボウルやら、中身が飛び出した鍋などが散乱しています。
料理作り、失敗してしまったみたいですね。
レミリア「もう…だから言ったのに…」
子供をあやすようにだっこされてしまった咲夜(幼)。
さくや「…もうしわけありません、おじょうさま〜…」
レミリア「別に良いから泣かないの」
さくや「ぐすん……」
時間が経つにつれて、性格がどんどん子供になってしまっているようですね。
レミリア「メイド隊」
妖精メイド「はい、何でしょうか?」
レミリア「ここの後始末を任せたわ」
妖精メイド「任せてください!」
さくや「…ごめんなさい…」
妖精メイド「大丈夫♪咲夜さんは悪くありませんよ〜♪」
頭をナデナデされている咲夜(幼)。
普段ならこんな事、恐れ多くて出来ませんが…咲夜(幼)自身、満更でもなさそうです。
レミリアはその場を妖精メイドに任せ、咲夜(幼)をだっこしたまま図書館へと向かいました。
紅魔館 大図書館
レミリア「パチェ、居る?」
ぱちぇ「ええ、いるわよ。…どうしたの?」
レミリア「色々あってね…」
さくや「ぐすん……」
ぱちぇ「…あまりふかくせんさくはしないわ」
レミリア「それより、子供化について、何か分かった?」
ぱちぇ「さっぱりよ」
レミリア「そう…」
めいりん「おじょうさま〜、どこですか〜?」
レミリア「ここよ。それから、あまり大きな声は出さないで?」
さくや「すー…すー…」
どうやら、泣き疲れて寝てしまったみたいですね。
眠ってしまった咲夜(幼)を起こさないよう、小さな声でレミリアが続けました。
めいりん「…寝顔は可愛いですね」
レミリア「本当にね。ところで、私を探していたみたいだけど、何かあったの?」
めいりん「おきゃくさまです」
レミリア「こんな大変な時に、いったい誰が…」
神子「お邪魔してます」
レミリア「あ、貴女はみこえもん!」
神子「ほんと…その呼び方はやめていただけないでしょうか…」
レミリア「何でも願いを叶えてくれるみこえもんが、我が紅魔館にいったい何の用?生憎だけど今は立て込んでいて、もてなしの一つも出来ないけど…」
みこえもん「呼び方……もう良いです。今日は、貴女と優雅にお茶をしに来たわけではありません。今回の騒動で、紅魔館が最も被害が大きいと聞いて、様子を見に来たのです」
みこえもんの言葉に、真剣な表情を浮かべるレミリア。
藍の台詞から、他の場所でも子供化、大人化が起こっているとは思っていたレミリアでしたが、まさか紅魔館が最も被害が大きいとは思ってもいませんでした。
レミリアはみこえもんを私室に招き、話の続きを聞くことにしました。
紅魔館 レミリア私室
フラン(大)「お姉様、何があったの?」
レミリア「色々とね…。あと、咲夜が起きちゃうから、あまり大きな声は出さないで?」
さくや「すー…すー…」
フラン(大)「あら、可愛い♪…後ろの人は?」
みこえもん「どうも」
レミリア「ほら、以前話した、不思議なポッケで願いを叶えてくれる…」
みこえもん「違います」
フラン(大)「ああ、少し前に復活したっていう聖人ね」
みこえもん「…妹君の方がしっかりしていますね」
レミリア「私はこれから、この猫型ロボット」
みこえもん「いい加減にしてもらえます?」
レミリア「…もとい、この聖人と話があるから、ちょっと咲夜を預かってて」
フラン(大)「分かったわ」
レミリアから咲夜(幼)を受け取ると、慣れた手付きであやし始めました。
みこえもん「…色々と疑問は尽きませんが、とりあえず現状について話しておきましょう」
レミリア「まず、紅魔館が一番被害が大きいって、どう言うこと?」
みこえもん「そのままの意味です。妖怪の山以外では、ここが一番でしょうね。そこから近いから、と言う理由でしょうが」
レミリア「?」
みこえもん「貴女も貴女です。運命の操作が出来るのに、こんな事に惑わされてしまうなんて」
レミリア「……まさか?」
能力を使用してフラン(大)と咲夜(幼)を見詰めるレミリア。
すると、ある事に気づきました。
レミリア「…なるほど、そう言う事だったのね。そして、妖怪の山がここ以上に酷いみたいな言い回しだったから、今回の騒動の元凶は、妖怪の山に居るって事ね?」
みこえもん「そう言う事です。もう既に数名、解決のために行動を開始したようですが…」
レミリア「当然、私も行くわ。犯人を懲らしめて、しばらくの間紅魔館でこき使ってやる!」
フラン(大)「駄目だよお姉様」
レミリア「何でよ?」
フラン(大)「だって、お姉様が行ったら、だれが咲夜達の面倒を見るの?咲夜はこんな状態だし、他のみんなも同じようになっちゃうかもしれないんだよ?」
みこえもん「確かに、ここまで幼児退行している従者を見ると、何かあった時のために、面倒を見れる者が残った方が良いと思います」
フラン(大)「ほらね?」
レミリア「フランが残って面倒見れば良いじゃない」
フラン(大)「駄目駄目。私だと力加減が難しいから、勢い余って壊しちゃうかもしれないよ?」
みこえもん「決まりですね」
レミリアは納得いかない表情を浮かべています。
しかし、フラン(大)に任せる事は出来そうにありません。
レミリアが留守番で決まりですが、問題は紅魔館から誰が解決に向かうかです。
フラン(大)「私、行ってみたい♪異変解決とか、一度やってみたかったのよね♪」
レミリア「それこそ認められないわ。貴女を幻想郷に解き放ったら、何が起こるか分かったものではないもの」
フラン(大)「これでもパワーセーブ出来るようになってきたんだから、大丈夫だって♪」
さくや「わたしもおともします!」
レミリア「さ、咲夜!?」
今まで寝息を立てていたはずの咲夜(幼)が、急にフランのお供を申し出てきました。
突然のことに驚く三人を後目に、咲夜(幼)は続けます。
さくや「あんなしゅうたいをさらし、さらにはおじょうさまにごめいわくをかけてしまいました!めいよばんかいのために、いもうとさまのおともとして、いへんをかいけついたします!」
レミリア「そ、そう……でも、大丈夫?」
さくや「だいじょうぶです!もう泣きません!」
顔を見合わせるレミリアとみこえもん。
紅魔館メイド長としてのプライドを、子供化によって傷つけられた咲夜(幼)の意志は固そうです。
レミリアはやれやれと言った表情を、みこえもんは微笑ましい何かを見るような表情をしながら、フラン(大)と咲夜(幼)の騒動解決を許可しました。
さくや「ありがとうございます!かならずや、このいへんをかいけつしてみせます!」
フラン(大)「久々のお出掛けか。ふふふ、楽しみ〜♪」
二人は意気揚々と出発しました。
みこえもん「さて…それでは私はこの辺で…」
レミリア「あら、逃がさないわよ?」
みこえもんのマントの裾をしっかりと掴むレミリア。
みこえもん「な!?は、放してください!」
レミリア「咲夜もフランも行ってしまったから、もう貴女に頼るしかないのよ!それに、貴女のところは被害がないんでしょ?」
みこえもん「た、確かに被害はありませんが…」
レミリア「ならば決まりね。咲夜達が解決するまで、しっかりと働きなさい?」
みこえもん「いや、本当にやめてください!放してください!」
レミリア「まずはメイド服を着てもらって、掃除に洗濯お料理も」
みこえもん「お願いですから話を聞いてください!」
妖怪の山 麓
魔理沙とチルノさんは、妖怪の山の麓に到着しました。
藍が先に向かっている筈ですし、先に犯人を倒してしまうでしょうが、まあ問題ないかと思いながら先へと進みます。
魔理沙「…なあチルノよ」
チルノさん「なによ?」
魔理沙「どうだ、大人になった感想は?」
チルノさん「実感わかないね。強いて言うなら…肩が凝る?」
「そうなのよね〜。あんたと違って、たゆんたゆんになっちゃったからね〜」
両手を広げた金髪の女性が、ふわふわと魔理沙達の前に現れました。
見た目の特徴から、目の前の女性が何者なのか魔理沙は分かったようです。
魔理沙「お前…喧嘩売ってんのか?」
「真実を述べたまでよ」
魔理沙「………」
「…ん?なぁに?私のぷろぽーしょんに見惚れてるの〜?」
魔理沙「…いちいちしゃくに障ること言いやがって…。一応確認するが…お前はルーミアだな?」
ルーミア(大)「そうだよ♪」
チルノさん「えー!あんた、ルーミアなの!?」
魔理沙「まあ…チルノが大人になってたり霊夢が子供になってたわけだし、私はあまり驚かないがな」
ルーミア(大)「あの巫女がねぇ…あ、そう言えば、この先でも何人か子供になってたみたいだよ」
到着して早々、貴重な情報を仕入れることが出来ました。
しかし、そんな事を教えるために現れたわけではないようで。
ルーミア(大)「ねえねえ、一緒に遊ばない?」
魔理沙「弾幕ごっこだろ?私は構わないんだが…」
チルノさん「あたいは早く元に戻りたいのよ!あたいの邪魔をしようってのなら、容赦しないよ!」
魔理沙「…結局、こうなっちゃうんだな」
妖怪の山 九天の滝
一方、紅魔館を出発したフラン(大)と咲夜(幼)は、妖怪の山名物『九天の滝』に来ていました。
先ほどから警備の妖精達の歓迎を受けていますが、特に問題にもせず進んでいます。
フラン(大)「滝って、こんなに大きいんだね。初めて見たよ」
さくや「ここのめいぶつだそうですよ」
フラン(大)「ふ〜ん。……なんかさ」
さくや「はい?」
フラン(大)「ここじゃない気がする」
さくや「わたしも、そうおもっていたところです」
フラン(大)「でも、妖怪の山でしょ?」
さくや「はい」
フラン(大)「……もしかして、上じゃないのかな?」
さくや「そうかもしれませんね」
フラン(大)「戻るのか…めんどくさ…。あの聖人も、知ってるんだったらちゃんと教えてくれれば良いのに」
「ちょっと、そこのあなたたち!」
白くもふもふな耳と尻尾が可愛らしい少女が、目の前に立ち塞がりました。
小さな曲剣と紅葉柄の盾を持っていますが……よく見るとその二つは、オモチャの剣に紅葉の絵を描いた鍋の蓋でした。
「このやまはたちいりきんしよ!はやくでていきなさい!」
さくや「いわれなくても、もどろうとおもってたところよ」
もみじ「そんなこといって、こっそりのぼるつもりでしょ?妖怪の山のしょうかいてんぐ、犬走椛のめはごまかせないわ!」
目の前の少女は椛(幼)でした。
椛は、そのもふもふな毛並みを逆立て、両手をブンブンと振って威嚇していますが…。
フラン(大)「か…」
もみじ「か?」
フラン(大)「可愛い〜!」
目にも止まらぬ速さで、フラン(大)は椛(幼)を捕獲しました。
フラン(大)「うわぁ♪このもふもふ、たまらないわ〜♪」
もみじ「は、は〜な〜せ〜!」
さくや「わ、わたしにももふもふさせてください!」
もみじ「みみをさわるな!しっぽをなでるな!もふもふするな〜!」
妖怪の樹海
所変わって妖怪の山、麓の樹海。
昼間でも光の射さない陰気な森を、藍と橙(大)は進んでいきます。
橙(大)「藍さま?」
藍「ん?どうした?」
橙(大)「藍さまは大人化、子供化の原因が分かったんですよね?」
藍「ああ」
橙(大)「どうしてここに?」
藍「ここに居る奴が、今回の騒動の犯人で間違いない…のだが…」
橙(大)「誰も居ませんね。妖精や毛玉なら出会しましたけど…」
藍「逃げたか…?」
橙(大)「その犯人って、いったい誰なんですか?」
藍「それは…」
「お〜っと、そこまでだ」
藍と橙(大)の前に現れたのは、河童の少女でした。
「あんたたちを、ここからさきへはいかせないよ?」
藍「河童か…悪いが、遊んでる暇は無いんでな」
にとり(幼)「ふふん♪わたしをこどもあつかいしてると、いたいめをみるよ!この河城にとりが、あんたたちをここで『まんしんそうい』にしてやる!」
藍「お前、にとりだったのか!?」
橙(大)「にとりさんは子供なんですね…何だか、パターンが分からなくなってきました…」
二人が驚いていると、にとり(幼)は背中のリュックから、外の世界の物と思われるゴツい水鉄砲を取り出しました。
二人の表情が凍り付きます。
にとり(幼)「たしか、しきがみはみずによわいんだよね〜?」
ガチャン!と、銃身下部のスライドを引いてみせるにとり(幼)。
その音は最早、玩具の域を越えています。
橙(大)「ら、藍さま…」
藍「橙、私の後ろで援護を。どれほどの威力かは分からんが、私は式としては永い。水鉄砲如きではやられないさ」
にとり(幼)「それはどうかな?いったでしょ?こどもあつかいしてると…いたいめをみるって!」
妖怪の山 麓
チルノさん「勝ったー!」
ルーミア(大)「負けたー!」
魔理チルコンビは余裕の勝利を収めました。
魔理沙(氷のオプションはコールドインフェルノ以来だが…なかなか安定したショットになったな。氷だから威力は低めだが、その分広範囲をカバー出来ると)
チルノさん「さあ、あたいの勝ちだよ!約束通り、犯人の居場所を教えな!」
ルーミア(大)「そんな約束してないじゃない…私だって、どこの誰が犯人なのか分からないんだし…」
見事にボロボロになった自分の服を眺めながら、ため息を吐くルーミア(大)。
破れた服から谷間を覗かせているのを見て、ため息を吐きたいのはこちらの方だと言わんばかりに、魔理沙もため息を吐きます。
とは言え、目の前の現実は変わらないので、魔理沙は話を進めます。
魔理沙「本当に知らないのか?」
ルーミア(大)「う〜ん……あ、そう言えば、ほとんどの奴らが子供になってるのに、ひとりだけ子供になってない奴を見たよ」
魔理沙「それ、どこだ?」
ルーミア(大)「河童が住んでる川の辺り」
魔理沙「よしチルノ、そこへ向かうぞ」
チルノさん「あたいに命令するな!」
妖怪の山 九天の滝
フラン(大)と咲夜(幼)のもふもふ責めから、ようやく脱出する事の出来た椛(幼)。
髪や尻尾はもうボサボサです。
もみじ「はぁはぁ!な、なんとかぬけだせた!」
フラン(大)「あらら。でも、十分過ぎるほどもふもふ出来たから、私は満足だけどね♪」
さくや「わたしは、もっともふもふしたかったです…」
フラン(大)「ところで椛ちゃん?」
もみじ「な、なによ?」
フラン(大)「この辺りに、子供化の犯人が居るはずなんだけど…どこに居るか知らない?」
もみじ「……いえば、やまからでていく?」
フラン(大)「言わなきゃ、あんたをもふり倒す♪」
もふり倒すと言う言葉に、恐怖を覚えた椛(幼)は。
もみじ「わ、わかったわよ!いうわよ!……ここのした、かっぱたちのすむかわにいるよ」
フラン(大)「…やっぱり、通り過ぎてたみたいだね」
さくや「ですが、ここからとおくもありません。すぐにむかいましょう」
妖怪の樹海
にとり(幼)「きゅ〜…」
にとり(幼)の予想外の猛攻に苦戦しながらも、辛くも勝利した藍と橙(幼)。
藍「はぁ…はぁ…。ま、まさか、スペルカードを使ってくるとは…」
橙(大)「子供化したら、能力も弾幕も使えないはずなのに…」
藍「こいつは、今回の犯人とも仲が良かったからな。今回のことについても知っていたんだろう。…さて、こいつが逃げ出す前に、犯人の居場所を聞いておくか」
にとり(幼)「ギクッ!」
こっそり逃げ出そうとしていたにとり(幼)でしたが、藍にはバレていました。
藍は逃げられないように、にとり(幼)の襟を掴み上げました。
にとり(幼)「は、はなしてよ!」
藍「さあ、喋ってもらおうか?」
にとり(幼)「な、なにをしゃべれっていうのよ?」
藍「分かってるだろ?」
にとり(幼)「さ、さあ?なんのことだか?」
藍「惚けるなよ、犯人の居場所だ。知ってるんだろ?」
にとり(幼)「…………し、しらない」
藍「そうか……橙」
橙(大)「はい、何でしょう?」
藍「こいつが持っていた水鉄砲を取ってくれ」
橙(大)から水鉄砲を受け取ると、その銃口をにとり(幼)に向けました。
藍「かなりの威力だったからなぁ…この距離で撃たれたら、さぞ痛いだろうなぁ…」
にとり(幼)「ひゅい!?」
橙(大)「言った方が身のためですよ?藍さまは、やると言ったらやる方ですから…」
にとり(幼)「わ、わかった!いうから!じゅうこうをこっちにむけないで!」
妖怪の山 未踏の渓谷
先に到着していたのはフラン(大)と咲夜(幼)でした。
周りに居る河童達は、将棋を指したり機械を弄っていたりと、体が子供になりながらも、いつも通りに気ままに過ごしていました。
フラン(大)「あれだけ大騒ぎになってるのに、ここの河童達は呑気なものね」
魔理沙「まったくだな」
フラン(大)「うわぁ!」
唐突に横に現れた魔理沙に驚き、その拍子に足を滑らせ、フラン(大)は尻餅を付いてしまいました。
フラン(大)「いたた…いきなり何なのよ!びっくりするじゃない!川に落ちてたらどうするのよ!」
魔理沙「す、すまんすまん…」
さくや「魔理沙?あなた、どうしてここに?」
魔理沙「それはこちらの台詞だぜ。ここに来てるのは狐じゃなかったのか?」
フラン(大)「狐?見てないよ?」
さくや「わたしたちも、紫のしきがみがしゅっぱつしたときいて、ここまできたのよ」
魔理沙「そうか…まさか藍の奴、もう犯人倒しちゃったのか?」
チルノさん「でも、あたいの体、まだ元に戻ってないじゃない」
魔理沙「確かに。犯人を倒していれば、元に戻ってもおかしくはない」
さくや「そもそも、はんにんをたおしたところで、もとにもどれるのかしら?」
魔理沙「知らん」
藍「やれやれ、お前達は体に変化が起こっても、変わらず騒々しいな」
遅れて、藍と橙(大)がやってきました。
河童達は、これほどの面子が揃っていることに驚いていますが、関わらない方が良いだろうと、見て見ぬ振りをしています。
魔理沙「何だ何だ?私達は、お前が出発したって聞いたからここまで来たってのに、お前が遅れてくるとは何事だ?」
藍「そ、それはだな…」
橙(大)「子供化したにとりさんに苦戦してたんです」
藍「こ、こら橙…」
魔理沙「子供相手に苦戦したのか?」
藍「苦戦などしていない。ただ、水鉄砲が厄介だっただけだ」
魔理沙「…ま、そう言う事にしといてやるぜ」
フラン(大)「みんな、ここに集まったって事は、犯人がこの近くに居るって事よね?」
橙(大)「その様ですね」
チルノさん「その犯人って、いったいどこのどいつなのよ?」
藍「それは…」
「あれ〜?みんな、こんな所で何をしてるの?」
六人の前にふわふわと現れたのは、涼花ちゃんでした。
涼花ちゃんは、子供化も大人化も起こっていないようです。
フラン(大)「涼花ちゃん♪久しぶり〜♪」
涼花「フランお姉ちゃん久しぶり〜♪」
チルノさん「こんな所で、何してんのさ?」
涼花「何って言われても…みんなは、何しにここへ?」
さくや「みてのとおりです。子供化、大人化のはんにんをこらしめるために」
涼花「ふ〜ん。可愛いし、そのままでも良いと思うけど?」
藍「勘弁してくれ…」
魔理沙「で?涼花ちゃんは何をしてるんだ?」
涼花「それは…その…」
フラン(大)「…うん?」
さくや「まさか?」
チルノさん「あんたが犯人か!」
涼花「ち、違う違う!わたしじゃないよ!」
フラン(大)「でも、涼花ちゃんは大人になってないし」
チルノさん「ここに犯人が居るって聞いてきたし」
橙(大)「間違いないんじゃないですかね?」
不穏な空気になってきました。
一人を除いて皆、涼花ちゃんが犯人だと思っています。
魔理沙「退治されて初めて一人前だ。涼花ちゃんもそろそろ、良い頃合いだと思うぜ?」
涼花「うぅ〜…わたしじゃないって…」
藍「まあ待て」
そこへ助け船を出したのは藍でした。
チルノさん「なによ?邪魔する気?」
藍「冷静になれ。涼花ちゃんは犯人ではない」
魔理沙「何故、そう言い切れる?」
藍「私は知っているんだ。今回の犯人をな」
魔理沙「なに?」
フラン(大)「涼花ちゃんじゃなくて?」
藍「涼花ちゃんではない。全くと言って良いほど無関係だ」
さくや「では、いったいだれが?」
藍「それは」
雛「私よ♪」
くるりくるくると回りながら、雛がこちらにやってきました。
辺りに、どす黒い気配が立ち込めます。
魔理沙「不快だな、この空気…いったい、どれほどの厄を溜め込んだ?」
雛「私の所為だけど、私の所為ではないわ」
フラン(大)「言ってる意味が分からないよ」
さくや「というか、あなたのせいならはやくもどしなさい!このままだとふべんきわまりないのよ!」
チルノさん「肩も凝ってしょうがないのよ!」
橙(大)「そうです!早く元に戻してください!」
雛「元に戻すって…貴女達の目は節穴なのかしら?誰も何の変化も起こしていないじゃない。…と言ったところで、貴女達には分からないかもしれないけど」
魔理沙「ああ、分からないな。ちゃんと説明してくれ」
フラン(大)「そんな面倒なことしてる暇はないわ。こいつを倒しちゃえば、万事解決なんだから」
チルノさん「それには、あたいも同意するわ」
魔理沙「倒して解決できない異変は無い。と言うことで悪いな。あんたを亡き者にさせてもらうぜ」
雛「ふふふ♪良いわ。厄を溜め込んだ私の、本当の恐ろしさを見せてあげる」
皆が戦闘態勢に入ります。
しかし…。
雛「……なんてね♪冗談よ。明日になれば、みんな元に戻るわ。だから安心して?」
魔理沙「な、なんだよ…せっかく、弾幕を張る準備をしたのに…」
雛「ごめんなさい、ちょっとからかっただけ。私も、今回の騒動を収拾するのに手一杯なの」
フラン(大)「いったい、何が起こっていたの?」
雛「そこの、妖怪の賢者の式神さんは分かっているみたいだけど?」
橙(大)「…藍さま?」
藍「…原因は分かったが、確信が持てなかったからな。だから直接、お前に会って確かめたかった」
魔理沙「で?どう言う事なんだ?ちゃんと説明してくれよ」
チルノさん「そうだそうだ!」
雛「順に説明するけど…大人化、子供化した者が、都合良くそのサイズの服を着ていることに疑問を持たなかったの?いつの間にか体が変化していて、不思議に思わなかったの?」
魔理沙「確かに、普通に考えたらエロい事になっていても良さそうなものだ」
雛「でも、自分の姿を誰かに指摘される。或いは、自分の姿を見て、その事に初めて気付く。さっきまで普通だった者が…ほら、気付かないうちに」
雛が魔理沙に向けて指を指しました。
すると…。
フラン(大)「……うん?」
さくや「え?」
チルノさん「あ、あんた、誰?」
まりさ「うん?え?なんだ?どうしたんだ?」
藍「…ほら、鏡で自分の姿を見てみろ」
藍から手鏡を渡され、それを覗き込む魔理沙(幼)。
まりさ「な、なんだよ、これ…」
雛「ね?」
フラン(大)「あんた、魔理沙に何をしたのよ?」
雛「私は何もしていないわ。そして、魔理沙には何の変化も起こっていない」
チルノさん「さっきから何を訳の分からないことを言ってるのよ?」
藍「そのままの意味だ。魔理沙の肉体に、直接変化があるわけではない」
雛「貴女達には、彼女が子供になってしまったように見えているだけ。…ほら」
雛がパンッ!と両手を叩きます。
するとフラン、咲夜(幼)、チルノさん、橙(大)、魔理沙(幼)の体から何かが抜け出し、それぞれ元の姿に戻りました。
魔理沙「お、おお?」
チルノ「元に戻ったー!」
咲夜「よ、良かった…このままだったらどうしようかと…」
フラン「う〜ん…ふかふかが無くなっちゃったのは、ちょっと残念かな?」
橙「でも、さっき…私達の体から、何かが出て行ったような…」
雛「あれは厄に取り憑かれた、哀れな霊達よ」
魔理沙「霊?」
雛「この時期になるとね。戻れるものなら子供に戻りたい。なれるものなら大人になりたいと言う、未練を持った霊達が盛んになるのよ。でも、霊は霊。厄を払って、向こう側に送らなければならない」
魔理沙「それはお前の仕事なのか?役割が違う気がするんだが」
雛「私は、溜まりまくった厄を集めてるの。ひな祭りやこどもの日は、そう言った厄が溜まりやすいからね。送るのは、私の役目ではないわ」
藍「しかし、この霊達は厄に影響されている。仕事をサボっていたのか?」
雛「まさか。…と、言いたいところだけど。サボったと言うよりは、私の処理能力を超過した。と言ったところかしら」
咲夜「…それと子供化と、いったい何の関係が?」
雛は近くの手頃な岩に腰をかけ、話を続けました。
雛「さっきも言ったとおり、戻れるものなら子供に戻りたい。なれるものなら大人になりたいと言う、未練を持った霊達が盛んになる。それらが厄にあてられ、半ば怨霊となって幻想郷中に溢れていったわ。そして、そんな怨霊紛いに憑依された者は」
魔理沙「子供化や大人化が起こってしまうってか?」
雛「そうよ。見えているものに変化が起こると、それを信じざるを得なくなる。目を擦っても、頬を抓っても元に戻らなければ尚更ね」
フラン「でも、咲夜や他の皆が子供化した時、性格や口調まで子供になったのはどうして?」
雛「それは恐らく、思い込みよ」
フラン「思い込み?」
雛「自分が子供になってしまったと思い込み、また、周りの者も、その者が子供であるかのように扱ったため、幼児退行が起こった。胸の膨らみを見て、それが重いものだと知っている者は、それが重いと思い込み、肩が凝った。能力も、子供だから制御出来ないと思い込んだ為に使うことが出来ない」
魔理沙「つまりはあれか?全てはそう見えてしまったがための思い込みだったと?」
雛「そう言う事です」
藍「こいつらは良いとして、他の者は元に戻るのか?」
雛「もちろん戻るわ。今日が終わればね」
咲夜「と言っていますが、いかがなさいますか?」
フラン「元に戻るんだったら、私はもう少し楽しみたいわ。パチェと美鈴も可愛かったし」
チルノ「あたいも元に戻れたし、あの貧乏巫女をもう少しいぢめたいわ♪」
魔理沙「そこは私も同感だ」
橙「私は、どちらでもあまり支障がありませんでしたし…」
藍「紫様は……まあ、あのままで良いか。たまには、良い薬になるだろう」
魔理沙「と言うわけで、これだけデカい事をしておきながらお咎め無しだ。運が良かったな」
雛「流石に、こんな事は二度も起こさせないわ。後始末だって大変なんだから」
魔理沙「次やったら、霊夢が黙っていないだろうしな」
雛「分かってる。ほんと、今回は巫女が来なくて助かったわ」
藍「さて、原因も分かったことだし、我々はもう戻ろうと思う」
咲夜「私達も戻りましょう」
フラン「そうだね。じゃあね魔理沙ー♪」
魔理沙「ああ。たまには地下室へも遊びに行ってやるからな。さて、チルノよ。ここから神社まで競争といくか?」
チルノ「望むところよ!」
六人は、それぞれの思惑を胸に帰って行きました。
雛「さて…貴女の目的は、いったい何なのかしら?」
涼花「ん?」
雛「惚けないで?私に用があって、ここまで来たんでしょ?」
涼花「う〜ん…用があると言えばあるんだけど…雛お姉ちゃん大変そうだし、今日は帰るよ。また後で来るから」
雛「そう?」
涼花「うん。今じゃなくても大丈夫だし。じゃあね」
雛「え、ええ…」
謎を残したまま、涼花ちゃんは帰ってしまいました。
雛「……ま、良いか」
翌日。
雛の言ったとおり、子供化、大人化した者達は全員、元の姿に戻っていました。
今回の一件は天狗の文により、真相は隠され内容は脚色され、文々。新聞の大きなネタとして、幻想郷中へと広まりました。
しかし、いくら真相が隠され、内容が脚色されたとは言え、各勢力のトップクラスには、犯人が誰なのか容易に想像することが出来ました。
レミリア「ほら!サボるんじゃないわよ!」
メイド雛「は、はい!」
メイドみこえもん「何で私まで……」
本人に悪気はなかったとは言え、迷惑を掛けたことは事実。
雛は、今後1ヶ月間日替わりで、各地でタダ働きをさせられてしまうのでした。
メイド雛「うぅ〜…どうしてこんな事に…」
メイドみこえもん「誰か助けて…」
終わり