涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
リラ アドベンチャー
我輩はリラである。
涼花ちゃんとゆーちゃんに拾われた、いたいけな子猫だ。
まずは、申し訳ないが私の愚痴から聞いてほしい。
と言うのもだ。
私はゆーちゃんに連れられ、幻想郷を訪れた訳だが、何故ゆーちゃんは私を忘れて帰ってしまったのだろう?
幻想郷がどのような場所なのか、それは幻想郷に住む猫達から聞いているから理解はしている。
だからこそ、私のようないたいけな子猫を置き去りにするなど、あってはならないはずだ。
涼花ちゃんの家に居るにしても、そこは猫の悲しい性だ。
当然、暇をもて余してしまう。
さらに言うと、涼花ちゃんは私をお風呂に入れようとする。
確かに、私は涼花ちゃんが居ない間に、安全な場所の探検をしているから、もちろん体は汚れるだろう。
しかし! だからと言って、水嫌いな私をお風呂に入れて良い理由にはならない!
…だから私は、冒険の旅に出ることにした。
涼花ちゃんには悪いが、しばらくは戻るつもりはない。
猫は気まぐれ。縛られてはいけないのだから。
と、意気込んだは良いものの、どこか行く宛があるのかと問われれば、答えはノーだ。
人間の里にも猫の集会所は存在するが、そこに行く気にはならない。
と言うのも、私は人間の里に住むボス猫が苦手だ。
良い奴ではあるのだが…どうにも過保護が過ぎる。
それに、妖怪猫の橙さんにも会いたくない。
彼女は私を子分にしようとしている。
私は猫だ。 然るに、縛られたくないのだ。
結局私は、猫の集会所に来てしまった。
周りの猫達に挨拶をし、ボス猫の所へ行く。
確かに過保護な方だが、ボス猫らしく知識も豊富だ。
何か妙案があるなら承りたい。
集会所の奥で佇む三毛猫。
人間の里の猫達をまとめあげるボス猫、スズさんだ。
スズと言う名は、彼女の数ある名前のひとつだそうで、他にも名前はいっぱいあるそうだ。
…イッパイアッテナと言う名前ではない。
また、彼女は女性ながら喧嘩も強く、長く生きていることから様々な逸話を持っている。
喧嘩で打ち負かした妖怪鴉の背に乗って、大空を散歩した。とか、博麗の巫女から焼き魚を奪って逃げ切った。他にも、あの橙さんを泣かせた等々。
眉唾ではあるものの、大半の猫達はそれらの話を信じていて、彼女は里の猫達の憧れとなっている。
スズ「あら、リラちゃんじゃない。しばらく顔を見せないから心配してたのよ?」
まさに猫なで声で頬擦りをしてくる。
嫌ではない。嫌ではないが鬱陶しい。
私はスズさんから距離をとった。
リラ「スズさん、お久しぶりです。実は、折り入って相談が…」
私はスズさんに、どこかへ冒険をしたいと伝えた。
すると。
スズ「あら、冒険?良いじゃない。私も若い頃は、色々とやんちゃをしたものよ。…近場だったら、博麗神社がオススメね。あそこは様々な妖怪が訪れるから飽きないわ。博麗の巫女にちょっかいを出すのも面白いわね。…そうだ。久々に博麗の巫女から、魚を奪ってみようかしら。リラちゃんもどう?」
そう言う話を聞くと小腹が空いてくる。
魚か…。悪くないかもしれない。
スズ「決まりね」
そう言うとスズさんは、私の首元をくわえ持ち上げた。
…スズさんのこう言うところが好きになれない。
博麗神社の庭先。
そこでは博麗の巫女が都合よく、魚を七輪に乗せて焼いていた。
魚の焼ける匂いに食欲をそそられる。
スズ「う〜ん、美味しそうね♪」
確かに、美味しそうな焼き魚だ。
スズ「それじゃあ、私が囮になるわ。その隙に、あの魚を奪っちゃいなさい♪」
リラ「と言われても…相手はあの博麗の巫女ですよ?見つかって逃げられるかどうか…」
スズ「それが案外、どうとでもなるのよ♪兎に角、博麗の巫女の注意を引くから、リラちゃんはただ奪うだけでいいのよ」
簡単に言っているが、勝算はあるのだろうか?
なんて考えていると、スズさんは七輪目掛けて走っていった。
霊夢「…よしよし、良い感じに焼けてきたわね♪今日は久々の魚だから奮発したんだけど…やっぱり、私の魚を付け狙う輩が居るようね」
菜箸と団扇を構えた博麗の巫女は、スズさんの前に立ちはだかった。
霊夢「以前の魚の恨み、ここで晴らさせてもらうわ!」
スズ「……♪」
しかしスズさんは怯まず、それどころか博麗の巫女の顔面目掛けて飛び掛かった。
霊夢「なっ!?」
咄嗟に防ごうとする博麗の巫女。
しかし、それを読んでいたかのように、防ごうとした腕にしがみつき、博麗の巫女から菜箸を奪い取ったスズさん。
霊夢「あっ!?」
スズ「ニャン♪」
霊夢「こら!菜箸返しなさい!」
境内の方へと逃げるスズさん、それを追う博麗の巫女。
これはチャンスなのだろうか?
…うん、チャンスだ。
私は七輪に乗せられているご馳走の尻尾をくわえ、その場から逃げ出そうと試みた。
しかし…この魚、思った以上に大きい。
いたいけな子猫の私からすれば、この獲物は大きすぎた。
どうにか引きずっていくが、このままでは博麗の巫女が戻ってきてしまう。
霊夢「う〜…。菜箸は取り戻せたけど、泥棒猫には逃げられたわ。…ってあれ!?」
霊夢「無い!無い!私の魚が無い!」
魔理沙「魚が無い事よりも、七輪に火を点けたまま居なくなるお前に問題があると思うぞ?」
霊夢「ま、魔理沙?」
魔理沙「まったく。火事にでもなったらどうするつもりだ?」
霊夢「あ…火、消してくれたんだ。確かに軽率だったわ、悪かったわね。ところで、私の魚がどこにあるか知らない?」
魔理沙「それなら私が食べてやった。…と、言いたいところだが、私が来た時には何も無かったぜ?」
霊夢「そう…。あの泥棒猫め。今度見かけたら、ただじゃおかないわよ!」
魔理沙「猫ごときに大袈裟だな」
そんなやり取りを、私とスズさんは茂みからうかがっていた。
私達の足元には、こんがりと焼けた戦利品。
スズさんのおかげで、どうにかここまで運ぶことができた。
スズ「博麗の巫女が神社に入ったら、これを集会所へ持っていきましょう」
そうしてこうして集会所へと戻った私とスズさんは、みんなと一緒に戦利品を分け合った。
奮発した。と言っていただけあって、とても美味しかった。
…と、本来の目的を忘れたわけではない。
確かに楽しめた。
もて余していた暇を潰すこともできた。
しかし、私の目的は冒険の旅に出ることだ。
スズ「さっきの巫女をからかう遊びも、十分冒険だと思うけどね。他は…魔法の森が面白いかも。変わった人間や妖怪が多いからね。連れていってあげましょうか?」
リラ「いえ、大丈夫です。ひとりで行けます」
スズ「そう…」
やっぱり、冒険の旅に出るからには、あまり手を出してほしくない。
それに、あの移動はもう勘弁してほしい。
首元をくわえられると、我々猫は何もできなくなってしまうからだ。
魔法の森。
妖怪や獣は居るものの、猫の天敵となるような存在は居ない。
魔法使いは居るが…出会わなければ問題はないだろう。
魔理沙「おや、こんなところに猫とは珍しいな」
…早々に見つかってしまった。
私はこの、霧雨魔理沙と言う人間が苦手だ。
こいつは以前「魔法使いは猫を連れているもの」とか言って、私を拉致しようとした過去がある。
それに、あまり良くない噂も耳にする。
関わらない方が身のためだろう。
魔理沙「おっと、逃がさないぜ?」
そう言って霧雨魔理沙は、帽子から何かを取り出した。
食べ物で釣ろうと言う算段だろうが、あいにく私は先程の魚でお腹いっぱいだ。
しかし、魔理沙が取り出したものは食べ物ではなく、別のものだった。
それを目にした瞬間から、私はそれに釘付けになっていた。
魔理沙「お前達猫は、これに目がないんじゃないか?」
魔理沙はそれを、私の目の前でフラフラと動かして見せた。
この女、よりにもよって猫じゃらしを使うとは…。
魔理沙「ほらほら、さっさとじゃれついてきたらどうだ?」
リラ「ニャ…ニャ…」
だめだ、これ以上理性を保てない…!
私は一心不乱に、猫じゃらしに飛びかかっていた。
ああ、楽しい♪超楽しい♪
リラ「ニャニャニャニャニャ♪」
魔理沙「ははは。やっぱり、猫は猫なんだな」
私は隙を突かれ、魔理沙に捕らえられた。
しかし、そんなことはどうでも良い。もっと遊ばせろ。
魔理沙「所詮は猫か。後でたくさん遊んでやるから、少しは落ち着けよ」
…我に返ったとき、私は魔理沙の家の中に居た。
だが、散々遊んでもらったから、私はとても満足だ。
満足した私は…いつの間にか眠ってしまったようだ。
…暖かい。
何だろう、何かに包まれているようで…とても落ち着く。
誰かに抱き抱えられてるような…でも薄暗い。
少し窮屈な感じが、とても落ち着く。
何だろう。 ここは、何処だろう。
ふと上を見上げると、僅かな隙間から光が射し込んでいる。
私は光の方向へと登ってみた。
その場所から顔を出すと、私の目に飛び込んできた光に目が眩む。
風も強いようで、なかなか目を開けられない。
魔理沙「よう。目が覚めたようだな」
私の上には、霧雨魔理沙の顔が間近にあった。
…どうやら私は、霧雨魔理沙の服の中に居たようだ。
魔理沙「ぐっすり眠っていたからな。その間に、お前を家まで届けてやろうと思ってたんだ」
次第に目も慣れてきた私は、ようやく今の状況を把握した。
私は今、霧雨魔理沙に連れられ幻想郷の上空に居るようだ。
道理で、風が強いわけだ。
そして霧雨魔理沙は、私がリラだと知っていたようだ。
私の家…と言うより、涼花ちゃんの元へ送ってくれているようだ。
それにしても、この霧雨魔理沙と言う女。猫相手に普通に話しかけるとか、実は相当な変わり者なのではなかろうか?
魔理沙「…そろそろ着くぜ」
…私の冒険の旅が、このような形で終わりを迎えるとは。正直、思ってもいなかった。
もう少し冒険をしたかったが、この状況では逃げ出すことも出来やしない。
しばらくはこの、上空から眺める幻想郷の光景を堪能しよう。
人は稀に、猫の目線の高さが羨ましいと言う。
しかし、我々猫からすれば、人間の目線の高さが羨ましいのだ。
高い目線と言うものは、それだけ多くのものを見ることが出来るからだ。
だから私は、今のこの目線の高さが好きなのだ。
…こうして見ると、幻想郷は以外と狭い。
そう言えばスズさんは、妖怪鴉の背に乗って大空を散歩したらしい。
つまりスズさんも、この光景を眺めていたと言うことになる。
スズさんはこの光景を、どんな気持ちで眺めていたのだろう。
…と、感傷に浸るのはここまで。
さきほど、私の冒険の旅が終わると言ったな。
あれは嘘だ。
魔理沙「涼花ちゃん、居るか?」
涼花「魔理沙お姉ちゃん♪何か用?」
魔理沙「こいつ、お前のとこの猫だろ?」
涼花「リラ…? リラー! 心配したんだよ!」
魔理沙「魔法の森に居たから保護したんだ」
涼花「見つけてくれてありがとう、魔理沙お姉ちゃん♪」
魔理沙から涼花ちゃんへ、私を引き渡す瞬間。
この時を待っていた。
私は霧雨魔理沙の手をすり抜け、涼花ちゃんの足元を潜り抜ける。
二人が私を見失ったことを見計らい、里まで一目散に走り抜けた。
…すぐに追いかけてくるだろうが、人間が全速力の猫に追い付けるはずがない。
ある程度走ったところで獣道に入る。
小型の動物専用の、里への抜け道だ。
そこで少し待機していると、涼花ちゃんと霧雨魔理沙の足音が通り過ぎていった。
…どうやらまいたようだ。
これで安心して、人間の里へ行くことができる。
人間の里へ戻ってきたが、どうやら涼花ちゃんが私の行方を探しているようだ。
なので大通りは歩けないが、そもそも大通りを通る必要はない。
猫には、秘密の抜け道が至るところに存在する。
木の上や屋根の上はもちろん、民家の庭先や土間も抜け道だったりする。
集会所への道も、ひとつではなく無数に存在する。
人間に見付からずに移動するなど簡単なことなのだ。
スズ「リラちゃん、おかえり。さっき、涼花ちゃんが血相を変えて、リラちゃんのことを探してたわよ?」
リラ「良いんです、気にしないでください。しばらくは戻るつもりはありませんから」
スズ「そう…。ところで…」
そこまで言って、スズさんの表情が険しくなった。
それと同時に、背後に何やら嫌な気配を感じる。
スズ「…リラちゃん。そのまま振り返らずに、私の所まで走りなさい」
???「残念、逃がさないよ」
走り出す間もなく、私は何者かに捕らえられてしまった。
この独特の匂い…まさか。
橙「ふふふ♪子分候補、一匹確保♪」
私を捕らえたのは橙さんだった。
身の危険を感じた私は、何とか橙さんから逃れようと試みる。
…やるだけ無駄だった。
橙さんは私の体をしっかりと抱き抱えているようで、身動きのひとつも取れやしない。
橙「さあ、大人しく私の子分になりなさい?」
スズ「あら、その子を貴女の好きにはさせないわ」
橙「またあんたか。…ちょうど良いわ。あの時の借りを、ここで返させてもらうよ」
橙さんはスズさん目掛けて弾幕を放った。
…橙さんは馬鹿なのか?阿呆なのか?
こんな人里のど真ん中で弾幕を撃つなんて。
しかも、その相手はただの猫だし。
…前言撤回。スズさんはただの猫ではないようだ。
橙さんの弾幕を、いとも容易く避けている。
スズ「…まったく。また泣かされたいようね」
橙「あの時は、あんたが卑怯な手を使ったからでしょ! それに、私は泣いてない!」
橙さんの放った弾幕を回避したスズさんは、近くの民家の屋根によじ登った。
橙「逃げるつもり!?」
スズ「別に逃げる気は更々無いわ」
そう言うスズさんは、口に何かをくわえている。
それと同時に、辺りに良い匂いが立ち込める。
あれは…マタタビだ!
スズさんはそれを、橙さんの方に放り投げた。
橙「にゃは〜ん///」
橙さんは色っぽい猫なで声を上げながら、私を放り投げマタタビに飛び付いた。
橙「はぁ…はぁ…久々のマタタビ…最高///」
橙さんはマタタビに頬擦りをしている。
その様子を、とても冷めた目で見下しながら、スズさんは橙さんの側へ歩み寄った。
そして…。
スズ「私の可愛い仲間達に手を出そうとした罪、償ってもらうわよ?」
橙「……ハッ!」
スズ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
橙「ぎにゃああぁぁ!」
スズさん怒濤の猫パンチ。
猫パンチは大して痛くない。痛くないはずなのだが…。
まるでどこかのスタンドばりのラッシュに、橙さんは頭を押さえ身を守っている。
スズ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
橙「い、痛い痛い!!やめてー!!」
痛くないはず…。しかし、スズさんのそれは明らかに痛そうだ。
…さすが、長く生きているだけある。
そうこうしている内に、橙さんはどうにか、スズさんを引き離した。
橙「いたた……。もう!次に会ったときは容赦しないわよ!」
そんな捨て台詞を吐き捨て、橙さんは四つ足で逃げていった。
彼女は人型だが、こう言うところは猫っぽい。
さて、私の足元にはマタタビが転がっているわけだが…。
…私は子猫だから、マタタビはまだ早い。と、取り上げられてしまうことが多々ある。
しかし、この心地のよい香りは抗いがたいものがある。
…少しだけ。少しだけなら。
スズ「あら、ダメよ。リラちゃんにはまだ早いわ」
私が匂いを嗅ごうとした瞬間、マタタビはスズさんによって取り上げられてしまった。
リラ「そ、そんなぁ…。お願いです、ほんの少しだけで良いですから…」
スズ「そうね…。酔いつぶれたリラちゃんに対して、あれこれして良いと言うのなら嗅がせてあげるわ♪」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら、そう持ちかけてきたスズさん。
いやいやいやいや。いくら幻想郷とは言え、リアルなにゃんこ同士の百合なんて、そんな特殊すぎるシチュエーションあってたまるかと声高に言いたい。
私にだって選ぶ権利はあるし、どうせなら強くて優しいイケ猫が良い。…って、私は何を考えているんだろう。
これはマタタビのせいに違いないな…。
なので私は、丁重にお断りすることにした。
民家の屋根を渡り歩く。
気が付けばまんまるのお日様は、ゆっくりと地平に沈もうとしていた。
猫と言えば夜…なのだろうが、幻想郷の夜はとても危険だ。
もう人里にも、目立った妖怪達がちらほらと現れ始めた。
それに私は家猫だから、自分が夜行性だと断言できない。
夜になれば眠くなるし、外で遊ぶ気力もなくなる。
それに何より、涼花ちゃんが心配するだろう。
曲がりなりにも私は、涼花ちゃんから「逃げて」しまった。
間違いなく心配しているだろう。
…しかし、涼花ちゃんから「逃げて」しまった私は、どんな顔をして戻れば良いんだろう?
ひとこと謝れれば良いのだろうが、あいにく我々の言葉は人間には届かない。
我々の言葉が伝わらないのは、時折、とても不便に感じる。
なんてことを考えていると、いつの間にか涼花ちゃんの家にたどり着いていた。
…ここまで来てしまったら、悩んでいても仕方がない。
いつも通り。いつも通りで良いんだ。
私はいつもの出入口である、玄関に備え付けられた猫用の出入口から、家の中へと入っていった。
家の中に入ると、玄関では涼花ちゃんがうずくまっていた。
どうやら、私が戻ったことに気づいていないようだ。
………。
心配になった私は、ひとつ鳴き声を上げた。
ようやく私に気づいた涼花ちゃんは、目に涙を浮かべていた。
そして私を抱き上げると、震える声で私を叱咤した。
涼花「リラ!どこに行ってたの!心配したんだよ!」
本当に悪いことをしてしまった。今は反省している。
涼花「でも、無事で良かったよ…。さあ、ご飯を用意してあるから、一緒に食べよう♪」
リラ「ニャン♪」
今日のご飯は、大好物のカリカリだった。
涼花ちゃんの親心…とでも言うべきなのだうか?
その好意には、涙が溢れる思いだった。
食事の後は、案の定お風呂タイムだった。
本来ならば逃げ出しているところだが、涼花ちゃんを心配させた罪悪感から、私は我慢してお風呂に入ることにした。
涼花ちゃんも一緒に入ると言うのだから、逃げ出すわけにはいかない。
確かに、水に濡れるのは嫌だ。
しかし、お風呂のぽかぽかは嫌いではない。
…だが、あまり長湯は勘弁してもらいたい。
暑くてのぼせそうだ。
その後は、もう涼花ちゃんは寝る時間だ。
涼花「おいでリラ。一緒に寝よう」
…涼花ちゃんは寝相が悪いわけではない。
しかし、どうも近くにあるものを抱き締めて寝ると言う癖があるらしく、涼花ちゃんに抱き締められて寝苦しかった記憶がある。
一緒に寝るならゆーちゃんの方が良いのだが…ここは我慢してやろう。
涼花「おやすみ、リラ」
おやすみ、涼花ちゃん。
深夜。
窓を叩く音に目を覚ます。
これは猫の合図だが…誰かを呼んだ覚えもないし、こんな夜中に、いったい誰だろう?
窓へよじ登って外を見てみると、そこにいたのはスズさんだった。
スズ「こんばんは、リラちゃん」
リラ「スズさん。こんな夜中に、何の用です?」
スズ「ちょっと近くまで来たから、寄ってみたのよ。…涼花ちゃん、よく寝ているわね」
本当に、安心しきっているかのような寝顔だ。
スズ「リラちゃん、あまり涼花ちゃんを心配させちゃダメよ?この子、あなたを探すために、危ない場所にまで入ろうとしていたんだから。…私がそれとなく誘導しておいたから大丈夫だったけどね」
リラ「そ、そうだったんですか…」
スズ「冒険をしたいと言うあなたの気持ちは、よく分かるわ。でも、あなたには涼花ちゃんが居る。私のような野良とは違うの。そこはよく覚えておきなさい?」
リラ「は、はい…申し訳ありませんでした」
確かに、スズさんの言う通りだ。
今回の件で、涼花ちゃんには心配をかけてしまった。
そこは深く反省しなければならないだろう。
スズ「分かれば宜しい♪ ところでこれから、命蓮寺に住んでるネズミの小娘をからかいに行くんだけど、一緒にどう?」
それは間違いなく、ナズーリンのことだろう。
確かに子分のネズミ達は美味しそうではあるが、ナズーリン本人は猫に対して苦手意識を抱いていないように思える。
むしろ苦手たからなのだろうか、窮鼠猫を噛むどころか窮鼠弾幕を張るような奴だからな…あまり関わりたくない。
それに、さっきの今でもある。あまり涼花ちゃんを心配させたくない。
スズ「よく言ったわね。私が見込んだだけのことはあるわ」
…私はスズさんに試されていたのだろうか?
スズ「それじゃあ、私だけで行ってくるわ。土産話、楽しみにしていてね♪」
止めた方が良い気もするが…まあ、スズさんなら大丈夫だろう。
それよりも今夜だけは、涼花ちゃんの側に居てあげたい。
私はスズさんの無事を祈り、涼花ちゃんの寝ている布団に潜り込んだ。
その後、闇夜を裂くナズーリンの悲鳴が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。
命蓮寺からは距離もあるし、こんなところまで悲鳴が届くはずがない。
後日、スズさんが土産話を持ってきた。
ナズーリン相手に何をしたのか気になったが、スズさんはただナズーリンに添い寝をしていただけだそうだ。
ただ、それに気づいたナズーリンの慌てようが凄かったらしく、スペルカードまで使って追い出そうとしたとか。
狭い場所でスペルカードを使えばどうなるか。
案の定、ナズーリンの部屋はほぼ全壊。隣の部屋にまで被害が及んでいたとか。
で、真夜中に大暴れをしたことにより、ナズーリンは聖さんに大目玉を食らったと。
それはそれで見てみたかった。
しかし、行かないのは正解だったようだ。
朝、目を覚ますと、隣で涼花ちゃんが、私の名前を呟きながら涙を流していたから…。
………。
冒険を控えようとはあまり思わないが…まあ、心配をかけるようなことだけは控えようと思う。
それにしてもだ。
ナズーリンの攻撃から無傷で逃げ帰ったスズさんは…いったい何者なのだろう?
スズ「乙女に秘密はつきものよ♪」
終わり