涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)
雨空散歩
今年も例年通り、幻想郷に訪れた梅雨。
連日降り続く雨は、作物にとっては恵みの雨となっていることでしょう。
田畑では蛙達が合唱を始め、雨粒の音色と一体となり、見事なハーモニーを奏でています。
そんな梅雨時期ならではの、日本の原風景のなかを、傘をさした二人の少女が歩いています。
涼花「ピッチピッチ♪」
ゆーちゃん「チャップチャップ♪」
涼花&ゆーちゃん「ランランラン♪」
お揃いの傘をさし、お揃いの長靴をはいて、二人の少女は雨空の散歩を満喫していました。
涼花ちゃんがいれば。
ゆーちゃんがいれば。
それだけで二人は、どこへ行っても全てを楽しむことができるのです。
涼花「…それにしても」
ゆーちゃん「ん?」
涼花「ゆーちゃん、幻想郷に来る機会がすごく増えたよね」
ゆーちゃん「ん〜…そうかな?」
ゆーちゃんはすっかり、幻想郷を好きになっていました。
休日の都合さえあえば、紫に無理を言って幻想郷を訪れるほどに、幻想郷を好きになっていました。
そしてゆーちゃんは、この二人の妖怪と出会ったことで、幻想郷をもっと好きになってしまうことでしょう。
小傘「やっほー、涼花ちゃん♪」
ぬえ「元気だった?」
涼花「小傘お姉ちゃんにぬえお姉ちゃん♪」
現れたのは、小傘とぬえでした。
小傘はいつも通りの傘に、小傘の髪と同じ色の長靴をはき、ぬえはお洒落な紅い蛇の目傘に、紺色の長靴をはいています。
今のところ危険は感じられませんが、初めて見る二人の妖怪に、ゆーちゃんは涼花ちゃんの陰に隠れてしまいました。
涼花「わたしは元気だよ♪ もしかして、二人も散歩?」
小傘「まあね。…ところで、そっちの白い子は?」
ゆーちゃん「………」
涼花「ほら、前に話した、わたしの友達。ゆーちゃん、この二人は大丈夫だよ」
ぬえ「ああ、君がゆーちゃんか。涼花ちゃんから話は聞いてるよ」
小傘「涼花ちゃんの大親友だってね♪」
ぬえ「私は封獣ぬえ、妖怪よ。そっちが小傘」
小傘「小傘で〜す♪」
ゆーちゃん「ゆ、雪柳至音です…」
ぬえ「…そんなに警戒しないで? とって食べたりしないから」
微笑む二人の妖怪ですが、ゆーちゃんは少しだけ不安そうです。
涼花「ゆーちゃん、この二人は大丈夫。それはわたしが保証するから」
ゆーちゃん「う、うん…」
小傘(…これは時間がかかりそうね)
ぬえ「ところで、貴女達はこれからどこへ行くの?」
涼花「どこに行くあても無いんだよね。ただのお散歩だし」
ぬえ「そう。だったら…」
訪れたのは、何の変哲もない大木。
幻想郷に、似たような場所は至るところにあります。
しかしここは、この大木は、涼花ちゃん、小傘、ぬえにとって、とても大切な場所。
そしてそれは、ゆーちゃんにとっても大切な場所となることでしょう。
ゆーちゃん「…ここは?」
ぬえ「ここはね、私と小傘が、初めて涼花ちゃんと出会った場所なの」
小傘「そして、涼花ちゃんとお友達になった場所。あの日も、こんな雨の日だったね」
涼花「そうだったね。なんだか、ずっと昔のことみたい」
ぬえ「その時のこと、聞きたい?」
ゆーちゃん「はい、聞きたいです」
ぬえ「そう。それじゃあ、どこから話そうかしら」
四人は傘を閉じ、大木の下で雨宿りを始めました。
そしてぬえは、その時のことを鮮明に思い出しながら、ゆーちゃんに思い出を語ります。
急に雨に降られて大変だったこと。 大木の下で、涼花ちゃんと出会ったこと。 傘を持って現れた小傘と、雨空の散歩をしたこと。
ぬえの話に涼花ちゃんと小傘も加わり、あの時はどうだったと語り始めました。
楽しそうな三人の笑顔は、次第にゆーちゃんの緊張をほぐしていきました。
いつしかゆーちゃんは、この三人がとても羨ましくなっていました。
私も一緒に思い出を語りたいと、心から強く願うほどに。
そこにはもう、二人の妖怪に対する警戒心は残っていません。
あるのは、この二人の妖怪とも友達になりたいと言う、純粋な思いだけでした。
ぬえ「…とまあ、私達の出会いはこんなところね」
ゆーちゃん「とても素敵です」
ぬえ「う〜ん…素敵かどうかは分からないけど」
小傘「いや、素敵だと思うよ? ね、涼花ちゃん♪」
涼花「うん♪」
ぬえ「…なんだか恥ずかしくなってきたわ」
小傘「ぬえは素直じゃないからね」
涼花「だから恥ずかしいんだよ」
ぬえ「勝手に言ってなさいよ…」
そんなやり取りを見て、ゆーちゃんはクスリと笑みをこぼしました。
小傘「あ、やっと笑ってくれたね♪」
ぬえ「なんだ、笑顔の方が可愛いじゃない」
ゆーちゃん「え…う…その…///」
ゆーちゃんは顔を真っ赤にして、うつむいてしまいました。
涼花「もう、あんまりからかわないであげて?」
ぬえ「ごめん…悪い癖が出ちゃったわ」
小傘「…そうだ。ねえ、ゆーちゃん。貴女と涼花ちゃんの出会いも教えてよ」
ゆーちゃん「私と、涼花ちゃんの?」
ぬえ「ああ、それは確かに気になるわ。こんな素敵な友達と、どうやって知り合ったのか」
ゆーちゃん「え〜っと、それじゃあ…」
ゆーちゃんにとって涼花ちゃんとの出会いは、ずっと昔の出来事のようでした。
それほどまでに涼花ちゃんとゆーちゃんは、とても濃い時間を過ごしてきたのです。
ゆーちゃんは涼花ちゃんとの出会いを鮮明に思い出しながら、ぬえと小傘に思い出を語ります。
二人の少女の素敵な出会いに、二人の妖怪の表情は綻んでいきます。
四人はいつしか、時間を忘れてさまざまな事を話し合っていました。
何と言うことはない、それでいて素敵な、他愛もない事。
四人の少女の無垢な笑い声は、雨音を、そして雨雲さえも消し去る力があったのでしょう。
ふと周りを見渡すと、太陽の光が雫に反射し、幻想郷全体がキラキラと輝いているかのような光景が広がっていました。
そして空を見上げると、そこにはそれは見事な虹が架かっていました。
ぬえ「…ねえ、ゆーちゃん」
ぬえはゆーちゃんの前にしゃがみ、目線を合わせました。
そしてゆーちゃんに、手を差し出します。
ぬえ「涼花ちゃんの友達は、私の友達よ。これからも、仲良くやっていきましょう?」
ニコッと微笑むぬえ。
その手を握り、力強く握手をするゆーちゃん。
ゆーちゃん「はい。こちらこそ、よろしくお願いします♪」
小傘「それじゃあ私も。よろしくね、ゆーちゃん♪」
ゆーちゃん「はい、よろしくお願いします♪」
ゆーちゃんは小傘とも、力強く握手をしました。
少女達の前に架かった大きな虹は、いつか消えてしまうでしょう。
しかし少女達の心には、決して消えることのない、大きな虹の架け橋が架かったのです。
それを少女達は”キズナ“と呼び、いつまでも大切にしていくことを心に誓ったのでした。
終わり