涼花ちゃんストーリーまとめサイト(改)


Dreamer Christmas


12月24日。そう、待ちに待ったクリスマスイブです。
子供たちはプレゼントを貰うために良い子にしていたことでしょうし、サンタさんは子供たちのために頑張ることでしょう。
そんなクリスマスイブでの、とある出来事…。

博麗神社。
いつもの事ながら、霊夢は境内の掃除をしていました。
そこへ…。

ゆーちゃん「霊夢さん、こんにちは」
霊夢「ゆーちゃん、いらっしゃい。一人で来たの?」
ゆーちゃん「はい」
霊夢「涼花ちゃんは?」
ゆーちゃん「……実は、その涼花ちゃんのことでお話があるんです」
霊夢「涼花ちゃんの事?」


涼花ちゃんの事…となれば、霊夢の脳裏をよぎったのは涼花ちゃんの癖の事でした。
涼花ちゃんには、豊満な女性の胸を揉むと言う困った癖があるのは周知の事実です。
その事が、ゆーちゃんにバレてしまったのかと勘ぐる霊夢。
しかし、ゆーちゃんから話を聞いてみると、どうやらゆーちゃんからの話は癖の事ではなかったようです。


霊夢「涼花ちゃんが、いなくなった?」
ゆーちゃん「はい……。いつもだったら、どこへ行くにも私と一緒に行くか、行き先を私に伝えてから出掛けていたんです。それが、朝になったら涼花ちゃんの姿がどこにも見当たらなくて……」


霊夢は頭を抱え、ため息を漏らします。
あのエロガキは、いったい何を考えているのか、と。


霊夢「要するに、涼花ちゃんを探してほしいんでしょ? なら探してきてあげるから、ゆーちゃんはここで待ってなさい」
ゆーちゃん「イヤです」
霊夢「む……ずいぶんキッパリと言うのね」
ゆーちゃん「原因は分かりませんが、私は涼花ちゃんが心配なんです。お願いです、私も一緒に連れていってください」
霊夢「そう言われても……危険な場所に行くかもしれないのよ?」
ゆーちゃん「それは百も承知です。……もし、連れていってくれないのなら泣きますよ?」


ゆーちゃんの目は真剣でしたし、ここでゆーちゃんに泣かれてしまうと、霊夢はどうすれば良いのか分からなかったので。


霊夢「分かった分かった。一緒に行きましょう」
ゆーちゃん「ありがとうございます!」
霊夢「厄介なことに巻き込まれたわ……」


こうして、霊夢とゆーちゃんは涼花ちゃんを探すため、博麗神社を出発しました。


Stage1 消えた人間の里 〜静寂の思郷〜


とりあえず近場から探そうと思った霊夢でしたが、そこで問題が発生します。
霊夢は間違いなく、人間の里を目指していたのですが、どこを見渡しても人間の里が見当たりません。
これは……永夜異変以来の事でした。


ゆーちゃん「里が……消えちゃった」
霊夢「大丈夫。どこぞの阿呆が隠しただけだから」


霊夢が辺りを見回すと、上空から誰かの独り言が聞こえてきました。


「……今宵は満月だろうか? どうにも苛々するな……」


そこに居たのは『里を守るヒストリーイーター』上白沢 慧音でした。


霊夢「ちょっと慧音」
慧音「霊夢か。どうした?」
霊夢「どうしたじゃないわ。何で里を隠したのよ。差し迫った危機も無いでしょうに」
ゆーちゃん「え、慧音先生がやったんですか?」
慧音「ああ、私の力で里を隠した。私はブラックサンタから、里に住む人間を守っているんだ」
ゆーちゃん「ブ、ブラックサンタ?」
慧音「なんだ、知らないのか」
霊夢「私も初耳よ」
慧音「ブラックサンタとは、クリスマスイブに現れる悪党だ。民家に忍び込み、プレゼントを奪っていく…らしい」
ゆーちゃん「らしい?」
慧音「私も会ったことはない。しかし、そんな悪党から里を守るのは、私の役目だ」
霊夢「あ、そう」
ゆーちゃん「そう言えば慧音先生、涼花ちゃんを見ませんでしたか?」
慧音「涼花なら二、三時間ほど前に、魔法の森へ向かって歩いているのを見かけたぞ」
霊夢「魔理沙かアリスの家にでもいるかもね。そう言うわけで、私達はこれで」


去ろうとする霊夢達を、慧音は制止しました。


慧音「まあ待て。そんなに急ぎの用でもないんだろう? だったらここで、私と一勝負してくれないか?」
霊夢「悪いけどお断りするわ。ゆーちゃん、行きましょう」


再び去ろうとする霊夢の横を、弾幕が掠めていきました。


慧音「このまま去ると言うのなら、お前を撃ち落とすだけなのだが?」
霊夢「なんで、今日のあんたはそんなに血気盛んなのよ?」
慧音「満月が近いからだろうな。で、どうする?」


霊夢はしばらく考え、そしてため息を吐きました。


霊夢「分かった。ゆーちゃん、しっかり掴まってて」
ゆーちゃん「は、はい」


幻想郷 某所


「本当に、ここにブラックサンタがいるの?」
「ああ。確かな筋からの情報だ」
「ふ〜ん。でも今のうちに倒しちゃえば」
「私達が幻想郷のヒーローになる」
「……ふふ♪ 楽しみ♪」


人間の里


ゆーちゃんを庇いながら、霊夢は見事、慧音を撃墜しました。


霊夢「ゆーちゃん、大丈夫だった?」
ゆーちゃん「は、はい」
霊夢「…今後もこんなことが起こるかもしれないし、やっぱり戻ってた方が」
ゆーちゃん「いえ、私なら大丈夫です」
霊夢「そう…。でも、無理だけはしないでね?」
ゆーちゃん「はい」


Stage2 騒々しい魔法の森 〜White Forest〜


魔法の森へ到着した霊夢達。
しかし到着して早々、霊夢達はクリスマスで浮かれた妖精達から、熱烈な歓迎を受けていました。


霊夢「……なんでこんなに妖精達が湧いてるのよ」
ゆーちゃん「霊夢さんはいつも、こんな数の妖精さんと戦ってるんですか?」
霊夢「いつもってわけじゃないけど…どうして?」
ゆーちゃん「なんだか、慣れてるみたいだから」
霊夢「異変が起こったりすると、これくらいは相手にするからね。でも、今回はちょっとキツいかも」


ゆーちゃんを背負っていることもあり、霊夢は普段のような動きを出来ないでいました。
その事を口にはしませんでしたが、妖精に囲まれてしまった現状に、霊夢は内心焦っていました。


霊夢「さて、どうしたものかしらね」
ゆーちゃん「…もしかして、私が一緒だから追い詰められちゃった?」
霊夢「そんなことはないわ。そんなことはないんだけど…仕方がない。ゆーちゃん、眩しくなるから目を瞑ってて」
ゆーちゃん「は、はい」
霊夢「いくわよ? 夢符……」


霊夢がスペルカードを使おうとした瞬間でした。
上空から、とても穏やかな表情の人形が落ちてきました。
思わず人形と目が合ってしまった霊夢。
その人形は妖精の群れまで落ちると…。


魔操『リターンイナニメトネス』


轟音と共に爆発を引き起こし、妖精達をまとめて吹き飛ばしました。
霊夢の横や背後でも、同様の爆発が起こります。
その爆発で、霊夢を取り囲んでいた妖精達は全滅したようです。
そして上空からの声。


「やれやれ。この程度の妖精に後れを取るなんて、修行不足なんじゃない?」


『七色のパペットマスター』アリス・マーガトロイドが、霊夢達を見下ろしています。


霊夢「修行不足って、そんなことはないと思うんだけど…まあ、助かったわ」
ゆーちゃん「アリスさん」
アリス「あら、ゆーちゃんも一緒だったのね」
ゆーちゃん「あの、涼花ちゃんを見ていませんか? こっちに来たみたいなんですが」
アリス「ええ、見かけたわ」
霊夢「どこにいるのか教えてくれない?」
アリス「それは無理な相談ね」
霊夢「な、なんでよ?」
アリス「教えたら霊夢は、ゆーちゃんを連れていくでしょ? それにどうせ、ゆーちゃんも一緒に行きたいって言ったんでしょ? そうなればゆーちゃんは、さらに危険な場所に足を踏み入れなければならなくなる」
霊夢「それはそうだけど…」
ゆーちゃん「……」
アリス「ゆーちゃん、私は意地悪で言ってるわけではないの。貴女の身を案じての事なのよ。分かってちょうだい」
ゆーちゃん「お断りします」
アリス「ゆーちゃん…?」
ゆーちゃん「私は涼花ちゃんが心配なだけ。ただ、それだけなんです。お願いします、涼花ちゃんの居場所を教えてください」


アリスはしばらく考えた後、ひとつため息を漏らしました。


アリス「……なるほど、分かったわ。だったら、友のために危険な場所へ赴く勇気を、私に示しなさい」


アリスは霊夢目掛けて弾幕を放ちました。
咄嗟に回避する霊夢、必死にしがみつくゆーちゃん。


霊夢「…始まったものは仕方ないとして、怪我をしたくなければしっかり掴まってなさい?」
ゆーちゃん「はい!」


幻想郷 某所


「……?」
「どうした?」
「……大丈夫。きっと気のせい」
「そうか……。もう少しだ」


魔法の森


霊夢はアリスを見事撃破しました。
ゆーちゃんも無事のようです。


アリス「まだ少し不安だけど…まあ良いわ。ゆーちゃんの勇気を認めましょう」
霊夢「意外とどうにかなるものね。でもゆーちゃん」
ゆーちゃん「は、はい?」
霊夢「今回は何とかなったけど、言葉は慎重に選びなさい? ただでさえ、幻想郷は弾幕馬鹿ばかりなんだから」
ゆーちゃん「…ごめんなさい」


Stage3  寒気凜冽と狐狸妖怪 〜氷の流れる玄武の沢〜


アリスから、涼花ちゃんがこの場所に向かった事を知った霊夢とゆーちゃん。
しかし玄武の沢は、凍てつくほどの冷気を放っていました。
更に吹雪も発生していて、先を見通すことができません。


ゆーちゃん「う〜……さ、さむい……」
霊夢「こ、この寒さは、あいつらの仕業ね……。ちょっと懲らしめてやらないと……」
ゆーちゃん「あいつら…って、誰ですか?」
霊夢「冬になると現れて、寒気をばら蒔く迷惑な妖怪がいるのよ。もう一人いるとしたら、能天気な氷の妖精ね」
「その両方ともいるわよ」


吹雪がおさまると、そこにいたのはレティ・ホワイトロックとチルノでした。


霊夢「やっぱり、あんた達だったのね」
レティ「私達以外にあり得ないでしょ。もうクリスマスだと言うのに雪が降らないなんて、サンタクロースに申し訳ないわ」
ゆーちゃん「だったら雪だけ降らせてください…。吹雪なんて起こしたら迷惑ですし、それこそサンタさんに申し訳ないですよ」
チルノ「そこはブラックサンタ対策。これだけ吹雪いてれば、プレゼントも盗めないでしょ」
霊夢「とにかく、こんなに寒いのは望んでないし迷惑なだけ。悪いけど、ここの寒気は止めさせてもらうわ」


弾幕ごっこを始めたレティとチルノでしたが、霊夢の放った夢想封印によってあっさり撃墜されてしまいました。


霊夢「……まあ、こいつらを倒したところで、暖かくなるわけでもないんだけどね」
ゆーちゃん「…くしゅん!」
霊夢「ゆーちゃん、大丈夫?」
ゆーちゃん「は、はい…だいじょぶ…くしゅん!」
霊夢「大丈夫ではなさそうね…。どこかに防寒具でもあれば…」


ふと、霊夢が視線を上げると、その先には『変幻自在の化け狸』二ッ岩 マミゾウが横切っていくのが見えました。


霊夢「……防寒具を見つけたわ」


霊夢は直ちに、マミゾウの後を追います。
そして射程に入ると、霊夢は結界を作り出し、マミゾウの前方へ回り込みました。


マミゾウ「な、なんじゃなんじゃ!?」
霊夢「ゆーちゃんのために、あんたの毛皮をいただくわ」


それを聞いて少し考えたマミゾウは、こう切り出しました。


マミゾウ「霊夢よ、捕らぬ狸の皮算用と言う言葉を知っているか?」
霊夢「捕ってもいない狸の皮で算用することよ」
マミゾウ「まあ、その通りだ。そしてそれは、今のお前の事を言う。そう簡単に、儂の皮を奪えると思うなよ?」


マミゾウは即座に弾幕を展開しました。
…が、以前霊夢が戦った時より、弾幕に勢いがありません。
そうしてあっという間に、マミゾウは追い詰められてしまいました。


霊夢「…らしくないわね」
マミゾウ「…儂は弾幕馬鹿でもないのでのぅ。いつもスペルカードを持ち歩いているわけでもないんじゃ」
霊夢「だったら大人しく、あんたの皮を寄越しなさい」
マミゾウ「それは無理な相談じゃ。……ここはひとつ」
霊夢「あら、私から逃げられると思わないことね」


周囲は霊夢の結界が張られていて、容易に脱出することは出来ません。


マミゾウ「さて、どうしたものかのぅ……」
「こら霊夢!」


突如、霊夢の結界が破られてしまいました。
こんな芸当が出来るのは数名ですが…。


藍「お前、こんなところでゆーちゃんを背負って、いったい何をしているんだ!」


声の主は『式神ナインテール』八雲 藍でした。


霊夢「……ああ、あんたでも良いわ。ゆーちゃんのために、あんたの毛皮をいただくわ」
マミゾウ「と言う訳なんじゃ。お主に頼むのは忍びないが、助けてくれんかのう?」
藍「……お前が合わせてくれるのなら、力を貸してやる」
マミゾウ「恩に着るぞい♪」
藍&マミゾウ「いくぞ霊夢! 双輝『ダブル狐狸妖怪レーザー』!」


幻想郷 某所


「…さて、案内ご苦労様。ここから先は一人で行くよ」
「な、何を言っている言ってるんだ? この先は尚の事危険だぞ」
「大丈夫、心配しないで?」
「お、おい!」


玄武の沢


狐と狸の息の合ったコンビプレーに苦戦を強いられながらも、霊夢は見事勝利しました。


霊夢「さあ、その毛皮を寄越しなさい」
藍「ま、待て待て。防寒具なら二人分を見繕ってやる。それで勘弁してくれ」
霊夢「最初からそう言ってくれれば、あんた達と戦わなくても良かったのに」
マミゾウ「そっちがいきなり襲いかかってきたんじゃろうが…」
霊夢「ゆーちゃん、もうすぐ防寒具が手に入るわ」
ゆーちゃん「……くしゅん!」
霊夢「…ああそれから、ひとつ聞きたいことがあるの」
藍「…なんだ?」
霊夢「あんた達、涼花ちゃんを見なかった?」
マミゾウ「涼花ちゃんなら、あっちで見かけたぞ」
藍「ああ、私もそっちで見かけた」
霊夢「こっちね、ありがと」


Stage4 スカイ・レヴァリエ 〜銀雪舞う天空〜


雲一つ無い幻想郷の空を、霊夢はゆーちゃんを背負って飛んでいます。
吹雪いていたのは玄武の沢だけのはず。
そして今は雲一つ無いはずなのに、上空には雪が舞っていました。


霊夢「寒くはないけど、雪が降ってきたわね。ゆーちゃん、寒くない?」
ゆーちゃん「はい、藍さんから貰った防寒具のおかげでぬくぬくです」
霊夢「そう、それなら良かったわ」
「そこ行くお姉さん、そんなに急いでどこに行くの?」


いったい何時からそこに居たのか、霊夢の横を飛んでいた『悟らぬサトリ』古明地 こいしが話し掛けてきました。


霊夢「ああ、ちょうど良かった。あんた、涼花ちゃんを見なかった?」
こいし「見たけど…見てないわ」
ゆーちゃん「どっち…」
霊夢「どうせ『私に勝ったら教えてあげる』とか言うつもりでしょ?」
こいし「よく分かってるじゃない。でも、涼花ちゃんを追うだけで良いの? 今、幻想郷に訪れている危機は、ブラックサンタなのに」
霊夢「あんた、ブラックサンタについても、何か知ってるのね?」
こいし「分からない方がおかしいの。…いや、霊夢は人間だから分からないのかな?」
霊夢「何だって良いわ。涼花ちゃんの居場所もブラックサンタの事も、洗いざらい喋ってもらうわよ」


その言葉を合図に、ゆーちゃんは霊夢の背中にしがみつきました。
ここまで多くの戦闘を経験してきたゆーちゃんにとって、この展開はもう慣れたものです。


こいし「荷物を背負ってるのに、やっぱり強いね」
霊夢「悪いけど、ゆーちゃんを荷物だなんて思ったことはないわ」
こいし「そう。ま、どっちでも良いけどね。本能『イドの解放』!」


こいしから放たれる無数のハート型の弾幕。
しかし、一度攻略したことのあるスペルカードに苦戦する霊夢ではありませんでした。


こいし「凄い凄い♪ ここまでいつも通りに動けるなんてね。抑制『スーパーエゴ』!」


こいしの放った弾幕が、こいしの元へと戻るような軌道を描く『スーパーエゴ』。
しかしこれも、霊夢からすれば回避することは難しくないスペルカードでした。


こいし「そっか、背後を取ってもダメなんだね。じゃあとっておき。これを攻略したら、色々と話してあげる。『サブタレイニアンローズ』!」


それは言葉通り、こいしのとっておき『サブタレイニアンローズ』でした。
とっておきと言うだけあって、霊夢からすれば苦戦した記憶のあるスペルカード。
しかし、こいしは手加減しているのか、以前のような弾幕の濃度ではありませんでした。
非常に避けやすく、しかし油断をすれば被弾してしまいそうな、程よい難易度。
霊夢は歯応えを感じつつ、どうにかこいしを退けました。


こいし「はぁ、負けちゃった」
霊夢「あんた、最後は手加減したでしょ?」
こいし「そりゃそうよ。私はラスボスじゃないんだから」
ゆーちゃん「こいしさん、約束です。涼花ちゃんの居場所を教えてください」
こいし「良いよ、教えてあげる。涼花ちゃんには、ここからまっすぐ飛んでいけば会えるよ」
霊夢「本当に?」
こいし「間違いないわ。それから、ブラックサンタについてだったね」
霊夢「ブラックサンタって、本当に何なのよ」
こいし「そうね……あれを喩えるなら、正義の味方ならぬ妖怪の味方ってところね」
霊夢「妖怪の味方?」
こいし「そう。まあ、そんな仰々しいものでもないんだけどね」
霊夢「そいつはどこにいるの? ついでに退治しておきたいんだけど」
こいし「それは無理かな? だって、ブラックサンタはまだこの世に居ないからね」
霊夢「どう言うこと?」
こいし「それも、このまま涼花ちゃんを追っていけば分かるってね。じゃあ、私はそろそろ帰るから」
霊夢「ち、ちょっと!」
ゆーちゃん「……行っちゃいましたね」
霊夢「なんだか、余計謎が深まったわ…」
ゆーちゃん「でも、涼花ちゃんの居場所は分かりましたし、このまま進みましょう」
霊夢「……それもそうね」


Stage5 玩具の城 〜Dream Castle〜


こいしに言われるまま真っ直ぐ進んでいくと、ある場所を境に霊夢とゆーちゃんは、何処とも知れぬ城の中を飛んでいました。


ゆーちゃん「な、なに、ここ……。私達、幻想郷の空に居たのに……」
霊夢「…ごめん、私にも何が起こったのか分かってないわ。でも、恐らくだけど、ここに涼花ちゃんかブラックサンタ、あるいはそのどちらも居る。私の勘が、そう囁いてるわ」
ゆーちゃん「じゃあ、早く進みましょう」
霊夢「早く行きたいのはやまやまだけど…」


謎の城の中では、妖精の群れが待ち構えていました。
霊夢の姿を確認した妖精達は、次々と弾幕を張る準備をしていきます。


霊夢「…まずはこいつらを捌かないとね。ゆーちゃん」


ゆーちゃんは霊夢が言うより早く、霊夢にしがみついていました。


霊夢「さすがに慣れてきたわね。じゃあ、行くわよ!」


霊夢は妖精の群れを迎え撃ちました。
自分を狙うものや広範囲にばら蒔くもの、中には何もせず去ろうとするもの、そして去り際に大量の弾をばら蒔くもの等。
ここに来ての猛攻に、霊夢は苦戦を強いられていました。


霊夢「…仕方がない。ゆーちゃん、少し眩しくなるから目を瞑ってて」
ゆーちゃん「はい」
霊夢「いくわよ? 夢符『封魔陣』!」


霊夢の封魔陣が弾幕を消し去り、妖精達をまとめて吹き飛ばしていきました。


霊夢「ふぅ。これで少しは片付いたわね。さあ、一気に行くわよ!」
ゆーちゃん「はいっ!」


妖精達を退けつつ進んでいくと、急に妖精達の攻撃が止みました。
こう言うときは霊夢の経験上、厄介な敵が出てくるものなのです。
しかも、それなりに厄介な敵が。


「動くと撃つ!」


と言う声と共に霊夢達の前に立ちはだかったのは『極めて普通の魔法使い』霧雨 魔理沙でした。


霊夢「魔理沙? どうしてあんたがここに居るのよ」
魔理沙「それはこちらの台詞だぜ。……ゆーちゃんを連れて、こんな所まで何しに来た?」
ゆーちゃん「涼花ちゃんを探して、ここまで来たんです」
霊夢「ついでにブラックサンタとやらも、退治してやろうと思ってね」
魔理沙「そうはさせない。せっかく、異変の元凶まで一番乗りで来れたんだ。今回ばかりは、私が真っ先に倒させてもらうぜ」
霊夢「そうは言っても、あんたはここで立ち往生してたんでしょ? この先に行くことが出来ないから」
魔理沙「…まあな。ここは一本道の迷宮だ。どこまで進んでも、元の場所に戻されてしまう」
ゆーちゃん「無限ループってやつですね」
霊夢「…この程度の結界、私なら簡単に突破出来る。悪いことは言わないから、魔理沙はここで引き返しなさい」
魔理沙「嫌だね。ここまで来て帰れるか。どうしてもと言うのなら」


魔理沙はミニ八卦炉を構えました。


魔理沙「お前達にはここで一回休みになってもらう」
霊夢「……ゆーちゃん」
ゆーちゃん「は、はい?」
霊夢「魔理沙は、今まで出会ったやつらよりも強いわ。死ぬ気でしがみついてないと振り落とすから、そのつもりでいなさい?」
ゆーちゃん「わ、分かりました」
魔理沙「準備は良いか?」
霊夢「ええ、いつでも」
魔理沙「じゃあ…始めるぜ!」


魔理沙は、大小様々な星型の弾幕をばら蒔きはじめました。
それらを慎重に見極めながら、攻撃を仕掛ける霊夢。
今まで以上に必死にしがみつくゆーちゃん。


魔理沙「ゆーちゃんを背負っているのに、動きは普段と大差無いか。だったら、加減をしなくても良いよな? 魔空『アステロイドベルト』!」
ゆーちゃん「わわっ!」
霊夢「ほんと、加減をしないわね。下手な妖怪より質が悪いわ」
魔理沙「お前もな」
霊夢「…まあ、長引かせる訳にもいかないからね。パスウェイジョンニードル」


霊夢は今まで放っていた、敵を追尾するお札のホーミングアミュレットから、威力重視の針、パスウェイジョンニードルに攻撃を切り替えました。


魔理沙「くっ! 途中でショットを変えるとかアリかよ」
霊夢「二人がかりじゃないだけマシだと思いなさい。それに、今回は涼花ちゃんを見つけるのが目的だからね」
魔理沙「そうかい…だったら、これでもくらいな! 黒魔『イベントホライズン』!」


魔理沙は新たなスペルカードを発動させました。


霊夢「アステロイドベルトにイベントホライズン。お次はスターライトタイフーンかダブルスパークかしら?」
魔理沙「永夜異変の時と同じだと言いたいんだろ? だが、そうではないことは自分の目で確かめるんだな!」
霊夢「…やれやれ。霊符『夢想封印』!」
魔理沙「なっ!?」


霊夢の放った夢想封印は周囲の弾幕を消し去りながら進み、魔理沙に直撃すると大きな爆発を引き起こしました。


魔理沙「くぅっ! いったぁ!」
霊夢「さあ、次は?」
魔理沙「……チッ!」


魔理沙は箒にまたがると、凄まじい速度で一本道の迷宮に入っていきました。


ゆーちゃん「……え? 逃げた?」
霊夢「追うわ。掴まってなさい」
ゆーちゃん「は、はい!」


霊夢とゆーちゃんも、魔理沙の後を追います。
しかし一本道の迷宮に入って早々、霊夢達は妖精達から再度歓迎を受けることとなってしまいました。


霊夢「邪魔よ、退きなさい」


霊夢は妖精達を蹴散らしつつ、更に魔理沙を追っていきます。


霊夢「…よし、捉えた」
魔理沙「それはこちらの台詞だぜ! 天儀『オーレリーズソーラーシステム』!」


魔理沙は逃げながら、いくつものビットを配置していました。
そして魔理沙のスペルカード発動と共に、それぞれのビットから霊夢目掛けて弾幕が放たれます。
…が、自分を狙うのであれば、霊夢からすれば回避することは難しいことではありません。


霊夢「…なかなか、面白いことをしてくれるじゃない」
魔理沙「ふん、もっと面白いことをしてやるぜ? 邪恋『前後不覚のマスタースパーク』!」


それは、霊夢には聞き覚えの無いスペルカードでした。
いったい、どの様な攻撃が来るのかと身構えていると、魔理沙は霊夢にではなく自分の背後にマスタースパークを放ちました。
突然のことに呆気にとられる霊夢。


霊夢「…あんた、どこに撃って」
ゆーちゃん「霊夢さん! 後ろ!」
霊夢「え?」


霊夢が振り向くと、先ほど魔理沙が放ったはずのマスタースパークが迫ってきていました。
咄嗟に回避する霊夢でしたが、少し掠ってしまったようです。


ゆーちゃん「れ、霊夢さん、大丈夫ですか?」
霊夢「ええ、このくらいどうって事ないわ。…それよりも厄介ね。この無限ループを上手く利用したマスタースパークなんて」
魔理沙「この場所限定だけどな」


魔理沙は今度は、霊夢達目掛けてマスタースパークを放ちます。
真っ直ぐ飛ぶ極太のレーザーを回避するのは容易ですが。


ゆーちゃん「霊夢さん、前からまた来ます!」


そう。無限ループを通ったマスタースパークは、放った方向と同じ方向に、もう一度やって来るのです。


霊夢「…だから前後不覚なのね。確かに、意表を突く良い案だったわ。でも、それは前後だけ。これで左右も来るのなら、もう少し苦戦したかもね」


マスタースパークの軌道を完全に見切った霊夢は、危なげなくスペルカードを攻略しました。


魔理沙「へへっ。やっぱり、こんな付け焼き刃じゃダメだな」
霊夢「いや、その考えは良かったと思うわよ。場所限定じゃなければね」
魔理沙「……私の体力もそろそろ限界だ。次で最後にしよう」
霊夢「ええ、そうね」
魔理沙「…行くぜ? 魔砲『ファイナルマスタースパーク』!」


魔理沙の、最後にして最大の恋の魔法。
その超極太レーザーを、霊夢はギリギリのところで回避します。


霊夢「本当、パワーで攻めるスペルカードね。見ていて清々しいわ。でも、これで終わりよ! 霊符『夢想封印』!」


霊夢渾身の夢想封印はファイナルマスタースパークを避けるように飛び、魔理沙に全て直撃しました。
思いの外、霊夢達は苦戦してしまいましたが、この勝負は霊夢達に軍配が上がりました。


魔理沙「いやはや、割と本気だったんだがな」
霊夢「そうね。ゆーちゃんが居なかったら、あのマスタースパークの餌食になってたかも」
魔理沙「…これは、研究の余地ありだな」
霊夢「さて、魔理沙も倒した事だし、結界の切れ目を探さないとね」


Final Stage 聖夜に夢見る可憐な花 〜Dreamre Christmas〜


一本道の迷宮を抜けると、そこはバルコニーでした。


霊夢「…なんとなく気付いてはいたけど、ここは幻想郷ではないわね」
ゆーちゃん「え?」
霊夢「正確に言うと、ここは夢の中。どうやら、生身の状態で夢の世界に来てしまったようね」
「その通りです」


何処からともなく声が聞こえてきましたが、どこを探しても声の主は見当たりません。


「ですが、貴女達は少々早く来てしまった。こちらにも準備がありますので、しばらく夢の世界の妖精達と遊んでいてください」


声が聞こえなくなったと同時に、バルコニーの外にはおびただしい数の妖精が現れました。


霊夢「この数は骨が折れるわね…」
ゆーちゃん「霊夢さん」
霊夢「ん?」
ゆーちゃん「あそこ、何か光ってるように見えるんですけど」


ゆーちゃんの指差す方向には塔があり、その頂上付近が淡く光っているのが見えました。


霊夢「…ゆーちゃん、お手柄よ。あそこに行けばあるいは…」


霊夢は妖精達の攻撃を避けつつ、光る塔を目指しました。
妖精達の猛攻をどうにか捌きつつ、霊夢は突き進んでいきます。
すると。


「ちょっと待ってください!」


突如、霊夢達の前に現れたのは『夢の支配者』ドレミー・スイートでした。
ドレミーは何やら慌てている様子です。


ドレミー「どうしてあの場所が分かったのですか。…いや、それよりも、まだ準備が終わってないと言ってるじゃないですか」
霊夢「そんなの、私の知った事ではないわ。あの塔に、涼花ちゃんが居るんでしょ?」
ゆーちゃん「お願いです、ここを通してください」
ドレミー「涼花ちゃんの親友さん。お願いだから、もう少し待ってほしいのです」
ゆーちゃん「もう待てません。通してくれないのなら泣きます」
ドレミー「うぅ……子供の純真無垢さに弱いのですが……それでもやはり、もう少し待ってもらわなければなりません。どうしても通りたいと言うのなら、ここで少し足止めさせていただきます。這夢『クリーピングバレット』!」


霊夢達の周りを這い寄るように、ドレミーの放った弾幕が迫ってきます。


霊夢「これか…。移動することを強要されるような弾幕は好きじゃないのよね」


と言いつつも、霊夢が一度経験したスペルカード。
さほど苦戦せずに攻略する事が出来ました。


ドレミー「…足止めとしては十分ですね。では、私達はあの塔で待っていますので、ゆっくりいらしてください」


そう言い残し、ドレミーは去っていきました。


霊夢「…何だったのよ」
ゆーちゃん「でも、これで先に進めますね」
霊夢「ええ、そうね」


霊夢達は塔を目指し、更に進んでいきました。
そして遂に、塔へと辿り着いた霊夢とゆーちゃん。
塔の窓からは淡い光が漏れています。
涼花ちゃんはこの中に居るのでしょうか?


ゆーちゃん「塔に着きました。霊夢さん、早く入りましょう」
霊夢「………」
ゆーちゃん「霊夢さん?」
霊夢「結界が張られてる。それも、かなり強固な結界よ。これを解くには、かなりの時間が必要だわ」
ドレミー「この結界を解くなんてとんでもない。わざわざ封印していると言うのに」
霊夢「出たわね。涼花ちゃんはどこに居るの?」
ドレミー「すぐに来ますよ。…ほら」


ドレミーが指差すと、塔の更に上空に『夢に誘うフリージア』 香雪蘭 涼花が宙に浮いていました。


涼花「やっぱり、霊夢お姉ちゃんなら来てくれると……ん?」
ゆーちゃん「涼花ちゃん!」
涼花「え…ゆ、ゆーちゃん!? どうしてゆーちゃんがここに居るの!?」
霊夢「何も言わずに消えた涼花ちゃんを心配して、一緒に探しに来たのよ」
涼花「そんな、話が違うよ…」
ドレミー「大丈夫ですよ。多少のイレギュラーは想定済み。涼花ちゃんは計画通りに動いてくれれば良いんです」
霊夢「計画って、ブラックサンタのこと?」
ドレミー「その通り。貴女に、ブラックサンタを封印してもらうためのね」
霊夢「解放するの間違いじゃないの?」
ドレミー「まさか。こんな危険な都市伝説(オカルト)を、解放するわけにはいきません」
ゆーちゃん「そもそも、ブラックサンタって何なんですか?」
ドレミー「…クリスマスと言うのは年に一度、サンタクロースが子供達に夢(プレゼント)を配る日。それと同時に、ある聖人の聖誕祭でもあるのです。人間からすれば神聖な日であるのですが、妖怪にとっても同じかと問われれば、答えはノーです」
霊夢「妖怪は聖人を嫌うからね」
ドレミー「つまり妖怪にとっては、まさに悪夢となる一日なのです。そして妖怪は無意識に願いました。自分達妖怪にとっての聖人は現れないか…と」
霊夢「……まさか」
涼花「そう。そうして生まれようとしてるのが、ブラックサンタと言う都市伝説(オカルト)なの。ブラックサンタが生まれれば、クリスマスは妖怪達にとっての吉日になるから」
ドレミー「そして、このブラックサンタの誕生を阻止するために、ブラックサンタが現れると言う噂を流し、貴女をここへ誘き寄せたのです。……涼花ちゃんの親友さんが一緒に来たのは誤算でしたが」
霊夢「でも、今の言い方だと、ブラックサンタはまだ生まれてないんでしょ?」
ドレミー「それも時間の問題でしたが……貴女が私達を倒してくれれば、ブラックサンタは生まれることはありません」
霊夢「どういう事?」
ドレミー「私と涼花ちゃんの力で押さえ込んではいるのですが、それではまだ足りないのです。夢だけでなく、現実世界からの干渉。博麗の巫女である貴女が全力の攻撃をしてくれれば、この封印は完全なものとなるのです」
ゆーちゃん「それってつまり…涼花ちゃんを倒さなきゃならないってこと?」
ドレミー「涼花ちゃんの親友さん、そんな不安そうな顔をしないでください。ここは現実ではありません。全力で戦ったとしても、現実世界に及ぼす影響は微々たるものなのですから」
霊夢「…気乗りしないけど、そう言うことなら仕方がないわね」
ゆーちゃん「………」
涼花「ゆーちゃん、私なら大丈夫だよ。それから霊夢お姉ちゃん」
霊夢「ん?」
涼花「どうも手加減出来そうにないから、油断してやられないでね?」
霊夢「いらぬ気遣いだわ。私よりもゆーちゃんよ。覚悟は出来た?」
ゆーちゃん「……はい! 私なら大丈夫です!」
霊夢「今までで一番良い返事ね」
ドレミー「私はスレイブとなり、涼花ちゃんをサポートします。その方が都合が良いでしょう」
涼花「それじゃあ、ブラックサンタの誕生を阻止するために…」

霊夢「あんたを倒すわ! 無垢な夢!」
涼花「わたしを倒して! 紅白の夢!」


その言葉を合図に、涼花ちゃんは弾幕を展開しました。
大小様々、色とりどりな弾幕に加え、直進する蝶型の弾幕を放ちます。
その弾幕の密度は、今日出会った全ての者の弾幕よりも濃いものとなっています。
ゆーちゃんは自分の手が痛くなるほど、必死に霊夢にしがみついていました。
一方の霊夢は、冷静に弾道を見極めながら、しかし確実に涼花ちゃんに攻撃を当てていきます。


涼花「いった〜! だ、弾幕ごっこって痛いんだね。でも、ここからが醍醐味。夢符『円環の晴夢』!」


スペルカード発動と同時に、涼花ちゃんを中心とした円状の弾幕が、幾重にも敷き詰められました。
円状の弾幕は一度涼花ちゃんの元に収束し、外へと展開されていきます。
霊夢は追い詰められないよう、収束する前に弾の間をすり抜け、どうにか回避していきます。


涼花「一目見るだけで避けられるなんて、さすがだね」
霊夢「…たまたまよ。それより、涼花ちゃんにこんな弾幕が撃てるなんてね」
涼花「ドレミーお姉ちゃんの力を借りてるけどね。じゃあ次だよ! 夢符『螺旋の霹夢』!」


涼花ちゃんは今度は、螺旋状に弾幕を配置しました。
そして霊夢のいる方向へ一瞬、光の線が伸びました。
嫌な予感を感じた霊夢は、すぐさまその場所から移動します。
すると、先ほどの光の線を通るように、雷のように枝分かれした形状の弾幕が配置されました。


霊夢「なるほど、カミナリをイメージしてるのね」
ゆーちゃん「よ、よく避けられましたね」
霊夢「あの光の線が出た瞬間、嫌な予感がしたのよ」


霊夢は螺旋状の弾幕と雷状の弾幕に追い詰められないよう細心の注意を払いながら、スペルカードを攻略していきます。


涼花「いたっ!」
ドレミー「援護します。夢符『藍色の愁三重夢』!」


ドレミーはスペルカードを発動させ、涼花ちゃんを援護しています。


霊夢「やっぱり二対一は狡いわね…。でも、これも一度攻略したスペルカードよ。パターンは分かってるわ」


霊夢は、危なげなくスペルカードを攻略しました。


ドレミー「涼花ちゃん、私が弾幕で足止めをします。今のうちにスペルカードの準備を」
涼花「うん、分かった」


ドレミーは涼花ちゃんの前に立ち、通常の弾幕を放って時間を稼いでいます。
…が、ゆーちゃんの体力を考えると、あまりのんびりすることも出来ないと霊夢は考えていました。


霊夢「もう終わりにしなさい」
ドレミー「うぅ……」
涼花「ドレミーお姉ちゃん、代わって! 夢想『濡羽色の怪夢』!」


ドレミーの前に出た涼花ちゃんによるスペルカード発動。
霊夢を取り囲むように配置された黒色の弾幕は、その外周へまるで解れるように展開していき、中に居る霊夢達へはまばらな弾幕が放たれていきます。


霊夢「移動が制限されるタイプね。でも焦らず、自分のところに飛んでくる弾にさえ注意すれば」


このタイプは霊夢にとっては得意なのか、苦戦することなく攻略しました。


涼花「はぁ、はぁ……」
霊夢「もう良いんじゃない?」
涼花「まだ…まだ終われないよ…」
ゆーちゃん「涼花ちゃん…」
ドレミー「しかし、涼花ちゃんの体力はそろそろ限界。残り二枚と言ったところですね。なので、少しでも負担を減らすために…夢双符『羊毛色のナイトメア』!」


それは、ドレミーと涼花ちゃんによる合同スペルカードでした。
スペルカード発動と共に、霊夢達の目の前に巨大な羊が現れました。


ゆーちゃん「あ、可愛い」
霊夢「なんて言ってる場合じゃない、来るわよ!」


巨大な羊が体を振ると、羊の毛皮から新たに小さな羊達が飛び出してきました。
その小さな羊達は霊夢を視認すると、まるでミサイルのように飛んできたのです。


霊夢「危なっ! …そう言えばドレミーは、攻撃の時に羊を使ったりしてたわね」
ゆーちゃん「………」
霊夢「ゆーちゃん、触ろうとしちゃダメよ?」
ゆーちゃん「あう……」


羊ミサイルは霊夢を狙うものばかりだったので、霊夢は上手く誘導し、回避していきました。


涼花「はぁ…はぁ…。こ、これで最後…! 『譎詭変幻(けっきへんげん)トロイメライ』!」


最後に涼花ちゃんが放ったのは、大小様々で色とりどりな弾幕。
それらは霊夢の周りを埋めつくし、消え、また埋めつくすを繰り返します。
ここまで来て、霊夢の集中力は極限まで高められています。
ゆーちゃんの体力はすでに限界を迎えているはずですが、この猛攻が止むまでは絶対に手を離さないと、心に誓っていました。
もう少し……。あと少し……。
そして……。


クリスマスイブの幻想郷。
辺りはすっかり暗くなっていました。


霊夢「まったく、ゆーちゃんも無茶するんだから」
ゆーちゃん「ごめんなさい。でもこれで、ブラックサンタの驚異は去りましたね」
涼花「ゆーちゃん! 霊夢お姉ちゃん!」
ドレミー「どうも」
霊夢「あんた達も戻ったのね」
ドレミー「はい。ブラックサンタの封印を確認してきました。もうあれが、現実世界に現れることはないでしょう」
霊夢「…だと良いけどね」
ゆーちゃん「……香雪蘭 涼花!!」
涼花「は、はひっ!!」
ゆーちゃん「もう黙っていなくなっちゃダメ!」
涼花「う……ご、ごめんなさい。霊夢お姉ちゃんも、ごめんなさい」


涼花ちゃんは深々と頭を下げました。
ちゃんと反省をしているようです。
その様子を見て、ゆーちゃんは涼花ちゃんの方に小指を向けました。


涼花「……ゆーちゃん?」
ゆーちゃん「指切り」
涼花「あ、うん」


涼花ちゃんとゆーちゃんは小指を組み、指切りをしました。


ゆーちゃん「今度黙っていなくなったら、私泣くからね?」
涼花「わ、分かった。約束するよ」


妖怪にとっての聖人、ブラックサンタ。
彼の者の誕生は阻止することが出来ました。
ドレミーによって広められた噂も、時が経てば忘れられることでしょう。
ブラックサンタと言う都市伝説は、その都市伝説が生まれる前に消滅したのです。
こうして何事もなく、幻想郷にいつも通りのクリスマスが訪れるのです。


Next Dream…?