【縁コウキ専用台本】です。


***

【ガチャっとドアが開く音】

(テレビの前でゲームをしながら)……なんだよ、また来たの?
ってかいつもいつも言ってんじゃん。 
(目線はテレビに向けたまま)いくら幼馴染だからって勝手に家に上がりこんで、ノックもせずにも俺の部屋に入るなって。
は?子供の頃はいつも好き勝手にお互いの部屋を行き来してた?
いやいや、俺らの今の年齢考えろって。
もう高校生なんだぞ。
とにかく今、見ての通り立て込んでるから、相手できないからな。


【(ゲームなんて切っちゃえばいいじゃん。せっかく遊びに来てあげたのに)】


遊びに来てあげたのにって、俺別に頼んでないよな?
あ、ちょっ……勝手にコントローラー触るなって!
負けちゃうだろ、あーもう!
あーあ、なんなんだよ。
せっかくここまで来たのに、また途中からやり直しじゃん。

【彼女は構ってほしくて彼のゲームの邪魔をするが、彼はテレビから視線を外さず、彼女の方を見ない。
それが不満な彼女は頬を膨らませた】

なにムスッとしてんの?
分かった分かった、キリのいい所までやったら話し相手になるから。
それまで漫画でも雑誌でも好きに見ながら待ってろよ。


【ため息をついた彼女は、彼のベッドに寝転び雑誌をめくり始める。彼もやれやれと息を吐いた後、ふたたびゲームに集中し始めた】

でさ、なんで今日来た訳?
なにか理由があって俺の所に来たんじゃないの?
えっ、ああ、ふーん情報早いじゃん。
そうそう、3組のあのショートカットの可愛い子から告られたよ。
まだ返事は保留中だけど。


【彼は相変わらずゲームに集中し、面倒くさそうに説明する。
彼女は気が気ではなく、わざとからかうような事をいった】


は?子供の頃のお前に守られてばかりいた俺が、なんでモテるのか分からないって?
あのなー、あれから何年経ってると思ってんだよ。
そりゃ昔の俺は小柄で気弱で、幼稚園で苛められてた事もあったけどさ。
今じゃ身長だってお前を抜かしてるし、体格だって良くなっただろ。
もうお前の後ろに隠れてメソメソ泣いてる俺じゃないんだよ。
え?あの子と付き合う気はあるのかって……?
(少しだけ怒り気味に)それ……お前に関係ある?
ないよな?
だってお前、よく周りの連中に俺の事「弟みたいなもん」だって紹介してるじゃん。


【彼は大きくため息をつき、コントローラーを置く。
そしてゲームのスイッチを消して彼女の方にようやく視線を向けた】


(真剣な声で)それを聞くたびに、俺がどれだけ傷ついてたか……分かってる?
何が弟だよ、いつまで俺の世話係してるつもりなんだよ。


【彼はキシッと音を立て、彼女のいるベッドに上がっていく。
そして覆いかぶさる形になり視線を絡めた】


さっきも言ったけどさ、もう高校生なんだぞ俺達。
こうやって簡単にお前の上に乗って、身動きを封じる事だって容易にできるんだからな?
俺だって……男なんだぞ?
簡単に部屋に入ってきて、警戒心ゼロでベッドでゴロゴロなんてするなよ。

【しばらく見つめあってた2人。だが彼は力が抜けたようにフフッと笑った】

ははっ、冗談だって。
何本気でびっくりした顔してんだよ。
さてと、ゲームの続きしよっと。
って、おっ?!

【いきなり腕を掴まれて引っ張られた彼は、そのまま彼女に抱きつかれる。
突然の事に、彼は激しく動揺した】

なっ、ちょっ……いきなり抱きついてくんなって、え?
「その子と付き合わないで、他の人の物にならないで」……って。
(おおきなため息)はぁ、あのさ……そういう態度、もっと早く出してほしかったよ。

【彼は彼女を強く抱き締め返す】

ぎゅーっ。
子供の頃から、俺はずっとお前一筋だったのに。
お前が周りに俺の事は男として見てないなんて言いふらすから、全然脈無しだって諦めてたんだぞ。
え?照れ隠し?
いや、分からないって。
じゃあさ、ちゃんと気持ち伝えてよ。
お前が言ってくれたら、俺も真面目に伝えるから。
なんで私からって?
だって先に抱きついてきたのはお前だろ?

【彼女は恥ずかしそうにうつむき、小さな声で「好き」だと伝える】

ありがと……うん、俺も好き。
もう一回言って?

【「あなたが大好き」】

はは、何度聞いてもいいなぁ。
俺も、めちゃくちゃお前の事が好きだよ。
お前以外、興味ない。
だから、今日から幼馴染じゃなくて、俺の彼女になってくれる?

END
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