縁コウキ専用台本です。
読み物としてお楽しみ下さい。


【大晦日、二人は彼のマンションで過ごしていた】


(空返事)んー?んー……あぁ、うん
えー?カウントダウンまであと30分?
へぇ……いや、別にいい。
俺こっちの寝室で動画見てるから。

は?いや、俺別にリビングでテレビ見ながらカウントダウンとか、興味ねぇし。
だーかーらー、別にいいって。
年越しの瞬間より、寝室でダラダラしながら動画投稿サイトでくだらねぇ動画見てる方が楽しいし。


【彼女は「そんな事言わないで、一緒にカウントダウンしよ?」と誘う】


あーもうっ、鬱陶しいなぁ。
カウントダウンしたいなら、お前一人でリビングでやってりゃいいじゃん。
ほら、あっち行ってろよ。
今、スゲー面白いやつ見てるからさ。


【彼女呆れながら彼を見つめている。
そしてため息混じりに「ねぇ?私の事好き?」】


(スマホから目を離すことなく面倒臭そうに)は?いきなり何?
私の事好き?って……好きに決まってんじゃーん。はいはい好き好き。
これでいい?
何度も言ってるけど、俺、今動画見てるからさ、後で構ってやるってば。


【「私は、今あなたが嫌いになった」】


……は?え?
今お前、俺の事嫌いになったって言った?


【彼は慌ててスマホを置き、彼女の方を見つめる。
すると彼女はバッグを掴んで玄関から出ていってしまった】


えっ、あ、マジ……で?
うそ、だろ……え?
ちょっ……


【彼もすぐに玄関に向かい、外に出て彼女を追いかける。
そして彼女の腕を掴んで足を止めた】


待って、おい、待てって!
嫌いとか言うなよ。
冗談だよな?
え、冗談じゃない?
俺のこと……本当に嫌いになっちゃった……のか?

(泣きそうな声で)ごめん、さっきのは本当にごめん!悪かったと思ってる!
だから、頼むからそんなこと言うなよ……。


【彼女は怒った顔のまま、彼に問う】


「何が悪かったと思ってるの?」って……だから
お前と一緒にいるのにスマホばっかり見て、蔑ろにしてしまった事だよ。
せっかくの年越しで、お互い時間作って会ってるのに……俺、自分の事しか考えてなかった。
本当にごめん。

俺さ、お前なら多少ダラダラしても許してくれるんじゃねぇかって、甘えてた。
いや、甘え過ぎてた。
お前が優しいのをいい事に、自由にし過ぎた。
ごめんな?
こんなんじゃ、嫌われても仕方ない……か。


【少しの間を開けた後、彼は様子をうかがうように彼女に話しかける】


あの、さ……お前はもう、俺に愛想尽きちゃった?
もう、別れたい?
でもごめん、例えお前がそれを望んでいても、俺……それを受け入れられる自信ない。

だって、俺……お前の事好きだし!
え?いや、ほんとに好き!嘘じゃねぇよ!大好きなんだって!
だから……

ん?手……繋いでくれた……え?
「一緒に帰ろう」って……いいの?
俺を嫌いって言ったのは、取り消すって、ほんとに?

よかったぁ……はぁ、本当に良かった……。
もう愛想つかされて捨てられるんじゃねぇかって、俺……めちゃめちゃ怖かった。

って、ああああ!
ごめん!
今スマホで時間見たら、もう12時越えてる……。
あぁ、俺のせいで最悪な年越しになっちまったな。
カウントダウンもしてやれなかった。
ん?
俺のたくさんの「好き」を聞けたから許してあげるって……
ーーーッ、もう!お前可愛すぎ!

ぎゅー。

え?人前だから離して?
やーだ、ぜーったいに離さない。
好き好き大好き!

あけましておめでとう。
今年の終わりは笑顔でカウントダウンしよう?
いや、今年だけじゃなくてこれから先、ずっと。
約束な?

end
 
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