豹変系男子WEEK【縁コウキ専用台本】

***

はぁ、あのさー。
毎日毎日、なんで俺についてくるんだよ。
は?毎日だろ?
学校終わってさて帰るかってなると、いつもお前は無邪気な顔して「一緒に帰ろー!」とか言いながら俺についてくるじゃねぇか。
いや、家が隣同士とか、んな事は分かってんだよ。
だからって一緒に帰る必要はねぇだろって話だろうが。
幼馴染だからって、お前が常に傍にいるとうぜーんだよ。


【「なにがうざいのよ」と彼女はふくれっ面になる】


髪の色染めんなとか、ピアスじゃらじゃらつけんなとか、喧嘩すんなとか、そういうのがうぜーって言ってんの。
母親かよてめぇは。
だいたい俺がどんな格好しようと、俺の勝手だろうが。
お前に関係ねぇーだろ。
は?軽い人間に見られちゃう?
別によくね?
俺、女の子好きだし?軽く見られて困る事なんてなーんもねぇよ。
セフレだって数え切れないくらいいるしなー。
毎日求められて、マジ体持たねぇよ。

だからさぁ、お前が近くにいると邪魔な訳。
わかったならほら、離れて歩けよ。


【彼女はムスッとした後、歩みのスピードを落として彼から離れる】


そうそう、離れたとこ歩いとけ。
はぁ、これでせいせいした。


【そう言ってしばらく歩く彼。すると背後から不穏な声が聞こえてゆっくりと振り返った】


あ?
なんか後ろがごちゃごちゃうるせー。
んだよ?
……って、は?あいつ、ナンパされてんじゃん。
何やってんだよ……
ま、俺には関係ねぇし。


【気にしていないふりをしつつ立ち去ろうとするが、足が止まってしまう】
 
……ったく、仕方ねぇな。


【彼はため息をついた後、少し威嚇するような顔つきで彼女とナンパ男の方に歩いていった】

        
オイ、何モタモタ歩いてんだよ、こっち来い。


【彼はそう言いながら、彼女の腕を掴んで引き寄せる】


で、あんたら何?
コイツになんか用?
(凄むように)コイツは、俺と一緒に帰ってんの。
ナンパなら別の女のところにいけよ。

【ナンパ男は舌打ちした後、その場から去っていき、そこには二人だけが残される】


あ、アイツ舌打ちして行きやがった。
んだよ、苛つくなぁ。

……で、お前は何してんだよ。
簡単にナンパなんてされてんじゃねぇよ、ったく。


【「助けてくれてありがとう」】


は?別にお前を助けたかったわけじゃねぇし。
ああいう男が嫌いだっただけだし。
……でもまぁ、良かったな。
俺がいてくれてー?はは。
またあんなのに絡まれたら面倒クセェから、今日だけは一緒に帰ってやるよ。
ほら行くぞ。


【そう言って二人は、並んで歩き出す】


それにしてもさ、お前って男っ気全然無いよな。
お前が俺以外の男と一緒にいる所見たことねぇもん。
(探るように様に)……好きな男とかいねーの?

え?何でそんな事聞くのかって?
だからさ!
早く、彼氏とか作ってそいつにナンパ野郎から守ってもらえって話。
その方が、俺も肩の荷が下りるし。
は?俺はどうなんだって?
さっきも言ったけど、俺は女なんていくらでもいるからさ、いちいち一人に絞ったりしねぇの。


【「好きな人、いるよ。子供の頃から貴方が好きだった」】


は?え?
今……オレの事が好きって聞こえたんだけど、き、聞き間違いだよな?
だってお前、いっつも俺に文句ばっかり言ってるじゃねぇか。
あれがだめ、これがだめって。
え?それは、俺を心配して?

……なんだ、てっきり昔から嫌われてるのかと思ってた。
だから俺……。


【「でも貴方の周りには、たくさんの女の子がいるんだもんね。だから諦めよっかなー。そろそろ他の男の人にも目を向けようかな」】


は?いや、なんで、え?
俺にはたくさんの女がいるから諦めるって、いやいや、なんであっさり……そんな……。
はぁ?他の男に目を向けようかなって、なに楽しそうに言ってんの?!
ちょっと待って、待てって!

いや、だから、その、全部嘘なんだって!
俺、お前に嫌われてると思ってたから……悔しくて、腹が立って
、他にいくらでも女がいるって強がって……。
(弱気な声になり)本当は、こんなチャラチャラした見た目だけど……俺……女の子と付き合った事なんて……ないんだよ……。


【彼は途端に気弱になり、それを見た彼女はクスクス笑いだして「知ってたよ」と告げた】


えっ、俺が強がってたの……気づいてた?
は?マジ……で?
チャラチャラしてるのも、フリだってバレてた……って事か?
うわぁ、マジか、恥ずかし過ぎるんだけど……!
あーもう、何やってんだ俺。


【彼は頭を抱えて恥ずかしがった後、緊張しながら彼女の方に視線を向ける。
そしてゆっくりと口を開く】


あの、さ、もう気づいてると思うんだけどさ
俺も、ずっと……(消え入りそうな声で言った為、聞こえない)

え?聞こえなかった?!
だーかーらー!
お前が好きだったっつったの!!
はぁ、恥ずかし過ぎる。
ってか、笑うなよ。
お前、涙が出るほど笑ってんじゃねーか。
あーもう、こんな事ならもっと早く好きって伝えてりゃ良かった。


【彼が可愛く思えた彼女は、思わず彼に抱きつく。
彼は予想外の展開に、あたふたしてしまう】


ちょっ……なっ、急に抱きついてくんなよ! 
えっ、てか、こんな道の真ん中で……お、おいって
はぁ?動揺してる俺が可愛い?!
うるせー!可愛いとか言うなって!恥ずかしいだろ!
は?お、俺もお前を抱きしめ返せって?
…………こ、こうか?
ギュー。

なんか、こうやって密着するとお前っていい匂いがする。
ってか、女の子ってこんなに華奢なんだな。
え、だって初めて抱きしめたからさ……。
力加減とか大丈夫か?
痛くない?そっか……。
ん?
「お互い恋愛初心者だから、少しずつ慣れていこう」?
……そんな、可愛い事言うなよ。
キス、したくなるじゃん。
え、ええっ、いいの?
じゃあ……上手くできるか分からねぇけど
今から初めてのキス、してもいい?

END


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